side傷原被身子
今日は雄英高校じゃなくてブラッドロータス事務所。
別に顔を出す予定はなかったんですが、知人が来ているとの事で流水さんと2人で会いに行くことに。
「すまない。傷原。それと先生。こういう話は面と向かってしたかったから。」
お相手は障子目蔵くん。私の雄英の頃の同級生。
今は触手ヒーローテンタコルとしてビルボードチャート上位に載るくらいの大人気ヒーローに。
異形差別問題に真摯に取り組んで、異形差別の数を減らしていっているらしい。偉大だね。
「いいですよ。それで?今回のお話というのは?」
障子くんは度々流水さんと意見交換するために顔を出すことがある。それだけ異形差別は根強いし闇が深い。
流水さんは表立ってないが、あれからいくつも異形個性、犯罪に手を出しかけた人等を救い、お店を作ったりマンションを作ったりしている。…………そんな事してるからお金が無限に湧いてくるんですよ?お人好しですね。
その手腕を買って、障子くんは色々教えを乞いに来ている。その度に私には同席して欲しい……と。理由を聞くと幸せな夫婦関係を崩したくない。だって。紳士ですねぇ。
「はい。私事ながら、先日婚約をいたしまして……。」
「ええええええっ!!!凄いじゃないですか!!」
「おめでとう。障子くん。これから守るものが増えるね。」
「はい。新しい責任がのしかかってますが……絶対に彼女を守りきってみせます。」
おー……障子くんらしいかっこいい返事ですね。
「うん。いい返事だ。君なら出来るよ。」
「ありがとうございます。」
「お相手は……あの時の?」
「ああ。あの時は本当にすまなかった。」
「いえいえ……まさかコレがそんな事になるなんて思わないですよ。」
自分のスマホを持ち上げる。……ビーズのストラップがキラリと光る。
…………そう。1年生の頃にA組女子皆に買ったストラップ。
それは3年生になって少し経った後。所用で私と百ちゃんと障子くんが外に出ており、学校に帰っている時……校門に見たことない制服を着た女の子が居た。
その女の子は障子くんを見ると駆け寄ってきた。
「……お久しぶりです……覚えてますか?」
と。なんのことか全くわからなかったけど、障子くんとお話してたので2人を避けて帰る訳にも行かず立ち往生。
聞くところによると、障子くんの生まれた村に一緒に住んでいた幼馴染……?らしく、それでいて障子くんがヒーローを目指すきっかけになった人……らしい。
障子くんの村って……確か障子くんに異形差別してたとんでもない村だ……としか私は事前情報がないので、障子くんにも救いがあったんだと思うと少し安心。
「……先生方に連絡だけしておきますね。」
「百ちゃん。頼りになる!」
「ふふっ。もう。」
百ちゃんの肩をつんつんすると少しだけ嬉しそうだったのを覚えてます。
それで百ちゃんがスマホを取りだした瞬間……
「それっ!!」
女の子が大声をあげたんですよね。
「……あの時は普通に怖かったです。」
「ああ。本当に済まない。……なんというか……愛が深い子だから。」
「それヤンデレっていうんですよ。……百ちゃんのタコのキーホルダー見ただけで障子くんは私のモノだから!なんて言わないですって。」
「ヤンデレ……なるほど。でも愛してもらってるのは事実だ。俺は嬉しい。」
「……被身子ちゃんは人の事言えないよね。」
「…………はて?なんのことでしょうか。」
「この子ったら。」
後々事情を聞いてみれば、障子くんの顔の傷はその子を助けた時に大人につけられたものらしく…………女の子は障子くんに助けてもらったのに顔に大きな傷を作ってしまった。責任を取らなくてはいけない。みたいな使命感から、どんどんどんどん良くない方向に感情が向かっていって、結果ヤンデレ……と。
いっぱい写真撮ろうとするし、家もいつの間にか知られてた……というかマンションの隣の部屋に引っ越して来たし、合鍵まで作られたらしいですが……
障子くんは気にしなかった。っょぃ
なんなんでしょうね。障子くん少しだけ流水さんみたいな感じするんですよね。何しても許してくれそうというか…………だから流水さんに無限に甘えれるんですけどね。……私も甘えてもらってますし。
prrrr……
「ん?電話だ。すまない。」
「「いいですよ。」」
ピッ
「ああ。俺d……」
『目蔵くん!今どこにいるの!?』
あっ………………
「今は君との婚約を報告するために先生の事務所に来ているんだ。今朝も言ったと思うが……。」
『…………』
うーん……これを受け止める懐の深さ。障子くん本当にすごいですね。
「……被身子ちゃんは怒る時静かだよね。そっちの方が怖いや。」
「……流水さん?」