私のヒーロー   作:おいーも

18 / 232
初めての訓練。結果。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

女子更衣室にて。

 

 

「対人戦闘訓練かぁ……」

 

私の横にいる芦戸ちゃんがボヤく。

 

「別に変わったことではなくないですか?」

 

「いやいや。私ら中学生まで個性使うなって言われてきてたんだよ?」

 

「あ〜なんかわかる気がするわ。」

 

耳郎ちゃんも会話に入ってくる。

 

「雄英でヒーローになる為とはいえ……今まで禁止されてたもの使うのちょっと慣れないよね。」

 

「ん〜……そうでしょうか?私は……あまり。」

 

「そういえば渡我の個性ってあんまり聞いてなかったけどどんなの?身体測定でも使ってなかったよね?」

 

まぁ……使えないですし…。

 

ちなみに芦戸ちゃんと仲良くなったのは身体測定で、お互いほぼフィジカルだけで似たような結果を残せたこと。葉隠ちゃんもそう。

 

良い友達兼ライバルって感じ。

 

「うーん……あまりいいたくないっていうか……」

 

「いっつもそうだよねぇ〜……秘密兵器ってやつ???」

 

「ふふっ……どうでしょうね?」

 

「芦戸さん。人のあまり喋りたくない事をとやかく掘り返すのはあまりよくありませんわ。」

 

「それよりも早く着替えたら?芦戸ちゃん。」

 

「わっ!ヤバ!皆もう着替え終わってるじゃん!!」

 

「お先にね〜」

 

「待ってよぉ!」

 

 

 

 

 

 

「………」

「………」

 

「如何なさいましたか?渡我さん。耳郎さん。」

 

「なんか……八百万ちゃんの…すごいコスチュームだね。」

 

「発育の暴力……。」

 

「?凄いっていうと渡我さんも凄いですけど……」

 

「自覚なし!」

 

「ははは……私のは可愛いのを選んだので。」

 

私のコスチュームは見た目重視で選んだ。

 

流水さんのコスチュームが、見た目重視で機能性を織り交ぜてるスタイルなのを見習って私も一旦そうした。だって私の個性にあったコスチュームの見た目ってわかんなくない?

 

「制服……っていうか腰周りの機械?……これは注射器でしょうか。なかなか興味深い構造ですね。」

 

「……私の個性的に無いとダメかもって流水……傷原先生に言われたから。」

 

「ブッッ……別に流水先生でいいじゃん……もうバレバレなんだし」

 

「もう!耳郎ちゃん!!!!」

 

 

 

「おい!渡我。ちょっと話がある。」

 

 

声の主は相澤先生。イレイザーヘッド。もうそろそろ授業なんだけど……

 

 

「え!?相澤先生じゃん。何したの渡我……」

 

「わ……わかんない。とりあえず行ってみる。」

 

 

 

 

 

「単刀直入に言う。お前の個性の事、吸血衝動の事は傷原先生に聞いた。」

 

「……そう……ですか。」

 

「……責めるためじゃない。今日の対人戦闘訓練は俺も見る。お前の吸血衝動の対処は、俺と傷原先生に任されてるからな。」

 

「!」

 

「こんな社会だ。誰しもそういうものはある。……さっき傷原先生にとても頭下げられた。お前をよろしくお願いしますだと。」

 

「流水さん……。」

 

「だから気負わず行け。お前の個性も、特性も。こいつらはきっと受け入れてくれる。もっと周りを信じろ。それと……」

 

「?…えっそれ……」

 

今日は使えないと思って家に置いてきた……師匠たちの卒業祝い……

 

「個性が戦闘においてあまり機能出来ないだろうと……傷原先生が渡してきた。個人的にはあまり褒められたモノじゃないが、お前の全部を知ってもらうためには必要だろう。」

 

「……はい!頑張ります!」

 

「……ほら行け。時間ギリギリだぞ。」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これで良かったですか。傷原先生。」

 

「はい。ありがとうございます。相澤先生。」

 

「……何を言い出すかと思えば…」

 

「合理的じゃないですか?担任じゃない私が言うのも……と思いまして。」

 

「……一理あります。こういう特性は俺が認めないと前には進めない。」

 

「ふふっ……いい方向に進んでくれるといいですねぇ。……それでは保健室で待ってますね。立てないくらい怪我した子が居たら……」

 

「わかってます。」

 

「はい。それでは。」

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対人戦闘訓練は2vs2。組み分けはランダムだ。

ヒーロー側と敵側に別れての勝負。

 

ヒーローは敵を捕まえるか、建物内の爆弾(レプリカ)に触れれば勝ち。

 

敵はヒーローを捕まえるか、制限時間まで爆弾に触れられなければ勝ち。

 

 

 

かくいう私のペアは……

 

「私は……耳郎ちゃんと一緒か。」

 

「よろしくね?渡我。……相手は最悪だけど。」

 

「うーん……正直相手になるかすらわかんないね。」

 

 

 

轟くんと障子くん。……寡黙パーティ。

 

「………警戒すべきは…」

 

「そうだね。轟。……身体測定でも凄かったからなぁ……氷。」

 

轟くんの個性の全貌は知らないけど、氷を操ってたから多分そういう系。出力も相当あると見ていい。

 

でも……多分勝敗を決するのは……

 

「…………障子くんがどれだけ機能するか……みたいな勝負になりそう。」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

空気悪ぅ……

 

緑谷くん&麗日ちゃんvs爆豪くん&飯田くんの後……

 

八百万ちゃんが酷評に次ぐ酷評で爆豪くんをこき下ろした結果、訓練に負けたしボロクソに言われたしでもう機嫌悪い。

 

 

「じゃ……じゃあ次のペアだね!」

 

オールマイト先生……気まずそうに……

 

 

「……私たちか。行こう耳郎ちゃん。」

 

「う……うん。まぁ気楽に行こ。」

 

「相澤先生が見てるんだし全力出さなきゃダメよ。」

 

「うっ……わかったよ。」

 

私たちは敵サイド。ヒーローサイドがどう出るか……

 

 

 

 

 

配置に着いた。というのも耳郎ちゃんは隣にいるんだけど。

 

「本当にここで大丈夫?」

 

「大丈夫だから索敵しておいて。違和感があったら言って。」

 

「……わ……わかった。」

 

まだ始まってないが、始まる前からの勝負だと思う。どれだけ準備できたか。どれだけ対策できるか。心構えが大事。師匠がよく言ってた。

 

「そういえば……個性って聞いていいわけ?作戦も立てておきたいんだけど。」

 

「………いいですよ。私の個性は『変身』です。他人に変身できます。」

 

「はぁ!?凄っ……じゃあなんで身体測定の時……」

 

「個性の発動条件と……私の身体能力が変わる訳では無いからです。」

 

「……発動条件?」

 

「はい。私の個性の発動条件は………ッフーッ……」

 

「……あー……聞いといてなんだけど言いたくないから……」

 

「大丈夫です。いずれ皆さんにも言う予定ですし。……血を吸うことです。」

 

「血?……なるほどねぇ……そりゃ無理だ。」

 

少し納得した様子だ。

 

「ごめんなさい。あまり気持ちのいい話ではなかったでしょ?」

 

「んーん。大丈夫。そういう社会だし。色んな人いるよね。……それよりも轟どうするんだよ〜……」

 

「……ありがとうございます。……まぁいざとなったらコレで私が対処します。」

 

「…………それ何なの?更衣室では持ってなかったよね?」

 

「私の……個性発動をサポートしてくれるモノですよ。」

 

「ふーん」

 

『それでは!START!!!』

 

始まった。……まずは…

 

「渡我!なんかパキパキ言ってる!!!」

 

まず……

 

 

 

バキン!

 

 

 

一瞬で部屋が氷に包まれた。

 

氷の出力……すごい個性だ。

 

かくいう私は……

 

耳郎ちゃんをお姫様抱っこして咄嗟に飛び跳ねることで何とか躱せた。

 

「あ……ありがとう渡我……よく反応できたね。」

 

「……ここからです。耳郎ちゃんは爆弾のポイントに行ってください。……多分ですけど轟くんは部屋を確認しに来ます。私たちが動けないかどうか。」

 

「うん。わかった。」

 

「足元気をつけてくださいね。」

 

耳郎ちゃんは部屋を後にする。

 

「……あとは……私が…」

 

私は部屋の入口の影に身を隠す。不意打ちが基本。

 

特に個性で完封できたと思ってる相手は尚更。多分こんなことしてるんだから障子くんは機能してない。つまり……

 

 

「……居ねぇか。」

 

この不意打ちは通る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side轟焦凍

 

「……本当によく躱すな。」

 

「もしかして褒めてます?」

 

俺は……少し驕っていたのかもしれない。

 

推薦入試で入れた雄英。父親を見返すためとは言え……

 

半身で結果を残すと決めたとはいえ……

 

バキン!

 

「……ある程度もう氷は見切りました。……ですが攻めあぐねてますね……。足場も良くないですし。」

 

こいつ……渡我被身子に俺は阻まれている。

 

「………」

 

動体視力と反射……それに付随して動く身体。とても戦闘を始めたばかりの学生とは思えない。

 

不意打ち……ナイフの投擲も彼女が足を少し滑らせなければ確実に当たっていた。……頬の切り傷だけで済んだのは不幸中の幸いか。

 

 

「……何考えてるんですか?……これ以上の攻め手がないなら……私にも考えがあります。」

 

渡我被身子は……背中に担いでいた包帯を解き……

 

「ふふふっ……かぁいい……さぁて……反撃開始ですね。」

 

薙刀。身長と同じくらいの長さの薙刀。スチームパンクな見た目で……しかもただの薙刀ではないようだ。

 

刃の部分になにかをつけるアタッチメントがある。

 

「よし。行きますよ?」

 

渡我被身子は腰の注射器らしきものを薙刀のアタッチメントにつける。注射器のようなものには管が繋がっており、腰のタンクに繋がっている。

 

刹那、低空姿勢で渡我被身子が飛び込んできた。

 

「!!」

 

氷での壁を作るが…

 

「もう見飽きました。」

 

一閃。

 

薙刀で叩き切られる。

 

「はい。射程です。」

 

突き。

 

何とか上体を右にそらして躱し、また距離を取る。

 

「……いいのかよ。そんな刃物。ヒーローが使って。」

 

「……私の個性と戦闘スタイルの都合を師匠たちが考えてくれた結果なので。……先生も容認してますし…これを対処できないのであれば。」

 

ここに推薦で入ったクセに戦う資格がないのでは?

 

「……っ…」

 

「Plus・Ultra……ですよ轟さん。」

 

渡我被身子は注射器のようなものをもう1個腰から外し……管を持ってブンブンと回し始めた。

 

まるで鎖鎌だな……

 

警戒はしていた。突撃してきたら。近付いてきたら。

 

違った。

 

目の前に注射針が飛んできていた。

 

「っ!!!」

 

何とか身体ごと躱す。

 

「よく初見で見切りましたね!凄いです!」

 

「な……なんだそれ……」

 

注射器を飛ばしてきていた。ハンマー投げの……

 

「縄鏢……昔の武術らしいですよ。師匠が非力な私ならこれがいいだろうって。まぁ……1年くらいで武器も扱えるようになりましたが。」

 

渡我被身子は注射器の管を引っ張って手元に戻す。

 

「……厄介だな。」

 

身体能力をフルに使った接近戦と、注射器による遠距離攻撃。

 

多分まだ刺されてはないが、刺された瞬間ほぼ負けだと見てもいい。

 

「ありがとうございます。訓練してたかいがありますね。」

 

会話の最中に注射器がまた飛んでくる。

 

「ちっ!!」

 

「ふふふっじゃあこれはどうですか?」

 

体勢を崩したところに接近戦。

 

氷の壁で対処。体勢を少しでも戻す時間を……

 

「こっちです。」

 

「なっ!?」

 

後……

 

 

『ヒーローチーム!WIIIIIN!!』

 

 

ピタッ

 

 

「……ちぇ〜負けちゃいました。耳郎ちゃん。ごめんなさい。」

 

『轟。大丈夫か?何度か声をかけたが反応がなかったが……』

 

「あ……あぁ大丈夫だ。…………」

 

障子の声が聞こえなくなるくらい集中してたらしい。

 

障子が来てくれてなければ…………

 

そのまま立ち去ろうとする渡我被身子。

 

「まて。」

 

「なんですか?」

 

「……あのまま……あのまま試合が続行してたら俺はどうなっていた。」

 

「……多分1回斬って戦意削いでから……捕縛して終わりでしたかね?その通りに行くとは限りませんが。」

 

「………………わかった。そういうことにしておく。」

 

「……」

 

確実に。

 

確実に殺す目だった。

 

 

心のどこかで殺されることなんて無いと

 

自分が死に直面することは無いと。

 

 

……世界は広いな。

 

少しだけ自惚れてたかもしれねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

「すごいじゃん渡我!あんなに動けるなんて!!」

 

「もう少し耳郎さんに気を使って……はあまりにも理想的すぎるでしょうか?お相手はあの轟さんですものね。」

 

「すごいわ響香ちゃん被身子ちゃん。私最初の氷で負けちゃったかと思ったわ。」

 

「耳郎ちゃんが氷の音聞いてくれたおかげだよ。」

 

「でも私がもうちょっと障子を止めてれば……ごめん!渡我!」

 

「ううん。大丈夫だよ。私もいい汗かけたし!」

 

「……その薙刀と腰の機械。やっぱり見せて貰ってもよろしいでしょうか?すごく構造が気になります。」

 

「いいよ。後でね?」

 

皆が労ってくれる。負けちゃったの悔しいな……

 

 

「被身子ちゃんお疲れ様。」

 

「え!?流水さ……先生!?」

 

なんでいるの???

 

「…………緑谷を保健室に案内してから渡我の試合だと言ったら居着いた。」

 

「なんかすっごい真剣な目で見てたよ先生。いつも通りのほわほわした感じじゃなくて。」

 

 

 

聞かなくちゃ。怖いけど。きっと……

 

「……どうでしたか。」

 

「0点。」

 

だよね。わかってた。

 

「…………」

 

「なっ!?それはないでしょ!!あれだけ頑張って……」

 

「大丈夫だよ芦戸ちゃん。分かってるから。」

 

「でも!」

 

なにか文句を言いそうな芦戸ちゃんを制して八百万ちゃんが前に出る。

 

「傷原先生。後学のためになんで0点か教えていただいてもいいですか?」

 

……八百万ちゃんわかってるくせに。…ありがとうね。

 

「いいわよ。過程はどうであれ……相方との意思疎通を忘れ、結果負けているのだから0点。とっとと薙刀抜いて、轟くんを処理すれば良かった。あなたはそれが出来たはずよ?」

 

薙刀がなくてもできるって思い込んじゃたって私の弱さ。個性の壁はぶ厚いね。

 

 

「…………ごめんなさい。」

 

 

 

「……傷原先生。」

 

「傷原くん。それはそうだがまずは生徒を讃えようじゃないか。皆頑張ったんだ。」

 

相澤先生とオールマイト先生が流水さんに声をかける。

 

「オールマイトは黙っててください。……これはヒーローの先生としての評価。ここからは師匠としての評価よ。」

 

 

 

「!」

 

 

「動きは〇。よく動けてたわ。寒さで身体があまり動かない上であの動きができてたなら及第点。縄鏢の使い方まだもう少しだけ煮詰めれそうね。相手に不意を突く。意識外からの攻撃が縄鏢術の強みよ。もっと学んでいきましょうね。それと……何度も言ってるけど耳郎さんを無視したらダメ。仲間なんだよ?時間を稼ぐのはいいけど、敗北条件をもう一度頭に入れた方がいいわ。」

 

褒めて……くれたんだよね?……うん!自信がついてきた!

 

「……はい!ありがとう。流水先生。」

 

「うん。よく頑張ったわね。」

 

 

 

 

「……オールマイト先生。」

 

「言うな。傷原くんの方がアドバイスが上手いとか言ってくれるな。……悲しくなっちゃう。」

 

 

 

 

「……なーんだ。心配して損しちゃった。」

 

「優しい彼女さんですのね?」

 

もう!最近は八百万ちゃんまでからかってくる!

 

 

「かっ……今は先生ですし!!」

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハ。怪我してる子あんまいないようで良かったよ。轟くんはあとから保健室に来ること。顔の傷消毒しないとね?」

 

「……はい。」

 

 

 

もっと短時間で相手を制圧しないと。

 

頑張ろう。流水さんの隣に立つために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。