私のヒーロー   作:おいーも

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傷原被身子の暇な一日⑥

 

 

 

 

side傷原被身子

 

 

 

運動場γ。鉄筋アスレチックみたいなゾーン。

 

「相澤先生。呼ばれた通りコスチュームで来ましたけど……」

 

「ありがとう。傷原。……まぁ見ての通りだ。」

 

 

今日は相澤先生に頼まれて、1-A組のヒーロー基礎学のお手伝い……というか実技授業を手伝って欲しいと言われました。

 

コスチューム……完全武装で。

 

腰の注射器のようなアタッチメントがついてるユングファー・イム・グリューネン。薙刀の真夜(まよ)。それと捕縛布。

 

もうガチガチに着込んできました。

 

 

「……ブラッドヘリアンサス先生って戦えんのか?」

 

「知らない。相澤先生の元お弟子さんなんでしょ?」

 

「……なんかすごい武器持ってるけど……それと相澤先生の布。」

 

 

ん〜……血気盛んと言いますか……少し無謀と言いますか。今年の1年生はかなり曲者揃いって聞きます。

 

相澤先生は大変ですね。こんな問題児だらけのクラス受け持つ事になって。

 

 

「……一旦今日の方針を話す。今日はブラッドヘリアンサス先生と鬼ごっこをしてもらう。もちろん個性ありで何してもいい。ブラッドヘリアンサス先生を捕まえたらお前らの勝ち。全員捕まえられたらお前らの負けだ。」

 

 

「え!?20対1!?」

 

「普通にやったら負けないですけど?」

 

「相澤先生。さすがに……」

 

 

…………少しお灸を据えましょうか。

 

「…………いいですよ相澤先生。多分この子達なら個性使わなくても10分で行けます。」

 

 

「「「はぁ!!??」」」

 

「あんまり舐めない方がいいっすよ!」

 

「ゼッテェ捕まえてやる!!」

 

 

「はぁ…………わかった。であれば皆。好きなところに行け。5分後にブラッドヘリアンサス先生に追っかけてもらう。」

 

「「「はーい。」」」

 

 

ザワザワと雑談しながら運動場に入っていった。

 

「…………相澤先生も手を焼いてるんですね。」

 

「お前達の時のようにはなかなかいかんものだ。」

 

相澤先生が頭を搔く。本当に困ってそう。

 

デク先生のクラスとは大違いですね。意図的に問題児を集められてますよコレ。

 

 

「足もそうですけど……年齢もありますし……。」

 

「…………そうだな。……傷原に頼るようなことになってすまんな。」

 

「いえいえ。プロヒーローを舐め腐ってると酷い目に合うってのを教えておきます。」

 

ガシャン……

 

腰のユングファー・イム・グリューネンを外す。

 

「…………これ……良いのか?」

 

「いりません。捕縛布と真夜だけでいいです。……預かっててください。ハンデです。」

 

「…………もうそろそろ5分経つぞ。」

 

「……まぁ。……あれくらいなら行けるでしょ。全員中央に集まってますし……速攻で終わらせてきます。」

 

「…………説教だな。」

 

「それは終わってからですね?」

 

 

捕縛布を近場のパイプに引っ掛ける。

 

「それじゃ……行ってきます。」

 

「多少の怪我なら目を瞑る。」

 

「んふふ。どうでしょうねっ?」

 

 

そのまま運動場の中に身を投じる。全身が風を切る感覚。軽度の緊張感と溢れる高揚感。

 

1番高いところに着いた。みんなは……居ますね。

 

こういう場所から見下ろしたら見つかるよな場所に大人数で居るのが間違いなんですよね。せっかく人数有利があるのに……散開しないのは経験不足ですね。

 

 

「…………。」

 

まぁ……あっちも個性でこっちの動向探ってると思うので……気楽に行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………。」」」

 

「……これが今のお前らの実力だ。」

 

 

数分後。全員もれなく簀巻きになって私に引きづられてきた。

 

「俺にあれだけ実践的な訓練がしたいだの……やれ試合させろだの。お前らはまだまだ身体も個性も経験も未熟。戦える段階に居ない。」

 

「「「…………。」」」

 

生意気ですねぇ??親の教育どうなってるんですか。私のパパを見習ってください。

 

「…………ブラッドヘリアンサス先生。どうだった。」

 

「……正直に言ってください。私今保健室の先生ですが……正直舐めてたでしょう?」

 

「「「……。」」」

 

沈黙。埒が明かないので続けちゃいます。

 

 

「実は私これでも雄英高校出身でしっかりいい成績残してた方なんです。……まぁ今は楽な活動しかしてないですけど。」

 

「「「えぇ!?」」」

 

生徒の視線が相澤先生に向かう。

 

「本当だ。3年間俺のクラスだったからな。印象に残ってる。」

 

 

「……まぁ一旦それはいいとして。雄英に受かってちょっと浮かれちゃいました?ヒーローになれるって。……残念。今の時代雄英を卒業したからってヒーローになれません!」

 

「「「……!」」」

 

 

「学校でしっかり努力して、成績を残して、自分を磨き上げた者が、立派なヒーローになれる時代です。雄英だから全員ヒーローになれるなんて甘い考えは捨ててください。今ここで。甘えてるんですよ。人に。自分に。……入学して半月の子に言うものでもないですけどね。」

 

「……ブラッドヘリアンサス先生の言う通りだ。……たしかに俺はあまり激しい運動が出来ん。そしてデク先生みたいにフレンドリーにも出来ん。だからといってお前らを見捨ててる訳じゃない。俺の生徒だ。卒業までしっかり見といてやる。いくらでも試せ。間違えろ。頭を下げるのは俺の仕事だ。」

 

「「「先生……!」」」

 

 

「今日はブラッドヘリアンサス先生に体術を教えてもらう。現場にたどり着くための身体の動かし方、見る場所、考え方をしっかり学ぶように。実践もしてもらうからそのつもりでな。」

 

「「「はい!!」」」

 

 

……なんだかんだ相澤先生って甘いですよね。除籍とか言いそうなもんですけど。

 

正直デク先生より甘いと思います。

 

 

…………絶対言いませんけど。

 

 

 

 

 

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