side渡我被身子
今私はバスに揺られている。
なんでも、今回の授業は別の施設でするらしい。……敷地内だよね?バス移動ってなに?
……それよりも不安な事が1個……
『気のせいだといいけどなぁ……』
流水さんの一言。
喉につっかえてるって言うか……魚の小骨が刺さってるっていうか。
すごくモヤモヤする。なんだろう…メールしても見てくれてないみたいだし……なにかあったのかな?
「……おーい」
「…………」
「ねぇ渡我?聞いてる?」
「……あっ…なんでしたっけ?」
「もー……どうしたの今日?なんか上の空だね?」
芦戸ちゃんが心配して声をかけてくれてたのに気が付かなかった。ごめんね。
「ちょっと悩み事があって……。」
「悩み事〜?もしかして!」
「違います。」
最近は私と流水さんの関係をどんどん深堀りしてくるからなんでもかんでもすぐ結びつく。本当にこの恋愛脳ちゃんは……
「えー……違うのか〜……でも羨ましいけどね?私人を好きになったこと無いからさ〜どんな感じなのか気になるんだよね〜。」
「……まぁ…悪くないですよ。」
「フゥ〜!進んでる〜!!」
「うるさいです。」
バスが止まる。
「着いたぞ。降りろ。」
伝えておいた方がいい気がする。
バスを降りてから声をかける。
「相澤先生。」
「なんだ渡我。」
「そういえば、流水先生が…………」
「……わかった。頭に入れておく。」
「ありがとうございます。」
「……心配するな。雄英の先生はみなプロヒーローだ。」
「……はい。」
USJ(嘘の災害と事故ルーム)
なんとまぁ……なんとまぁ……な名前ですね。
コスチュームに身を包んだ私たちを出迎えたのは……宇宙服みたいなコスチュームの13号先生。ちょっと可愛いかも。流水さんみたい。
私は最後尾。なんというか……心配事が大きすぎてあまりその気になれない。
ソワソワする……と言ったらなんだが……。
……あまり心配しても良くない。授業に集中しなきゃ。
ズ…ズズ……
「一塊になって動くな!!」
相澤先生!?何が……
「13号!生徒を守れ!」
黒いモヤの様なものから無数の人……あれも……授業の一環ってわけじゃ無さそうだ。
「やはり先日のはクソ共の仕業だったか。」
流水さん……。
side傷原流水
「むむむ……シェルターを壊した奴がいる……だけで収穫無しか……。どうしたもんかな。」
内通者が居る線はとりあえず0。外からぶっ壊した奴がいる。それだけわかった。
ん〜侵入経路を探ってみる?どこまで入られたかを理解しないとその辺わかんないよね〜……。
PPPPPPP…
「うわっ……びっくりした……アラームが…………」
根津校長から渡されたアラーム。被身子ちゃんの吸血衝動が起こったとき用の緊急連絡。
「被身子ちゃんになにかあった……?……今USJだよね。」
バス……よりも飛んで行った方が早いね。
じゃ、ちょっくら行ってきますか。
side渡我被身子
真ん中にいる手がいっぱい付いてる人が喋る。
「どこだよ、せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ」
「オールマイト、平和の象徴いないなんて…子どもを殺せば来るのかな?」
殺す。明確な殺意。
「師匠以来ですね。……ただ」
師匠程ではないですね。
「先生、侵入者用センサーは。」
八百万ちゃんが13号先生に質問をする。
センサー……あるんだったら反応しなかったよね。
「もちろんありますが。」
「現れたのはここだけか学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうこと出来る個性がいるってことだな……校舎と離れた隔離空間、そこにクラスが入る時間割、バカだがアホじゃねぇ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ。」
轟くんも結構頭が回るタイプ?……それもそうか。初見の殺人術の動きについてきたんだもん。
「13号、避難開始、学校に連絡試せ。センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、おまえも個性で連絡試せ。」
え?相澤先生一人で行くの?流石に……
「先生は!?一人で戦うんですか!?あの数じゃいくら個性を消すっていっても…イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は……。」
緑谷くんも言ってる。多分みんな同じ気持ちだ。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号、任せたぞ。」
相澤先生は飛び込んで行った。
何とか捌けてる……というか制圧してる。
……これがプロヒーロー。私の目指す道。
「この間に避難を……。」
ズズ……
「させませんよ。初めまして、我々はヴィラン連合。せんえつながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして。」
黒いモヤの人。多分この人があいつらを連れてきた。ワープの個性?
「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ。ですが、何か変更があったのでしょうか?まぁ、それとは関係なく、私の役目はこれ。」
「その前に俺たちにやれることは考えてなかったか!?」
切島くんと爆豪くんが突っ込んで行った。……多分あれは……
「危ない危ない…そう、生徒といえど優秀な金の卵。」
当たってないよね。相手も本物だから。……少し……嫌な感じがする。
「私の役目は散らして嬲り殺す!!」
モヤが私たちを包んで……でも!
これくらいは……抜けれる!
「自分で自分をチリにしてしまった。」
「や…やられた……。」
……上手い。13号先生の個性を上手く使われた。
「先生!」
芦戸ちゃんが叫ぶ。
今ここにいる人員は……芦戸ちゃん。麗日ちゃん。瀬呂くん。飯田くん。障子くん。
「飯田くん!早く先生を!!」
「くそっ!」
飯田くんの目の前に黒いモヤ……
「待つべきはあくまでオールマイトのみ。教師たちを呼ばれてはこちらも大変ですので!」
そこを障子くんが全身を使って拘束する。
「行け!早く!」
「ちょこざいな、外には出させない。」
麗日ちゃんが走り出した。
「麗日ちゃん!?」
「なまいきだぞ、メガネ、消えろ!」
黒いモヤが飯田くんを襲う。
「理屈は知らへんけど、こんなん着とるなら実体あるってことじゃないかな。」
麗日ちゃんが触れたモヤの人は宙に浮く。
「行けええ、飯田くーん!!」
まだ抵抗しようとするモヤの人を瀬呂くんが肘のテープで止める
「させねぇ!!」
飯田くんは外に出てそのまま走り去っていった。
……これで……何とか…。……まだだね。
「……皆。私ちょっと行ってきますね。」
「え!?渡我!先生は逃げろって……。」
「ごめんなさい。芦戸ちゃん。私……先生を見捨てれないや。だって……それがヒーローでしょ?」
「……。」
立ち止まるみんなを尻目に私はかけ出す。先生……黒いでかいのにのしかかられてる。馬乗りだ。
まずい。早く合流した方が良さそうだ。
「誰か突っ込んできたぞ!」
「学生か?ここは遊びじゃねぇぞ!?」
「痛めつけりゃいいんだよ。死柄木さん言ってただろ。」
「邪魔です。有象無象は……消えてください。」
ドスドスドスドス
「なんだこりゃ……注射器……ガァッ!?」
注射器を敵の首元に刺し、そのまま管で首を絞め投げる。道は開いた。
「相澤先生!!」
「…渡我!?……来るな!!」
「なんだあいつ……脳無!」
私の目の前に黒い大きな敵が立ち塞がる。相澤先生でも対処が遅れるスピード。そしてパワー。
「…………。」
多分勝てない。だとしても立ち向かわなければならない。でないと私は流水さんの横には立てない。
「……ふっ!」
私は勢いそのまま黒い敵……脳無と呼ばれた化け物の股下をくぐり抜ける。
そのまま相澤先生を回収、距離を取った。
「……渡我……なんで来た。」
「今ここで先生を見捨てたら……流水さんに顔向けできません。」
先生は……救出が早かったのも相まって何とか立てるくらいだ。……右腕は……
「……あの黒い敵は……俺の抹消が効いてない。つまり……素のスピードとパワーはオールマイト並だ。」
「……どうすれば…」
「渡我!!」
「!」
気が付かなかった。一瞬で化け物に詰められた。
急に……目の前……まず……
「死柄木弔!!!!」
「………脳無ゥ!!!」
脳無と呼ばれた化け物が急に方向転換して飛び上がった。
声の主に視線を配ると、そこには宙に浮いてる手が沢山あった人と……武器を2本構える……流水さん。
「流水さん!!!!!」
脳無が流水さんに迫る。
「……早い。」
武器の構え方を変える流水さん。
脳無と手の人が重なった瞬間。
「クロユリ十断(じっだ)」
十字に振った武器と……飛ぶ大きな血の斬撃 。
それが手の人にヒット……した時、斬撃が2人を包み込むように捉える。そのままの衝撃で地面に激突した。
「がっ!?!?」
流水さんが音もなく着地する。……なんであの距離飛び上がって着地できるんだろう。
「…………まずは2人。」
「脳無!!何とかしろ!!!」
「生憎様。10分は動けないわよ。」
そして流水さんが私に近くに来る。
「遅くなっちゃったわね。被身子ちゃん。あとは任せてちょうだいな。」
「流水さん…………傷!太ももが……」
流水さんの両の太ももに大きな切り傷。前もあったけど血が出てるのを見るのは初めてだ。血が地面に付きそう。
「傷原……先生。」
「安心して。大丈夫。……相澤先生。あなたの安否確認はあとです。私たちの仕事は……オールマイトが来るまで時間を稼ぐこと。途中で飯田くんとすれ違いました。……時間を稼げばどうにかなります。」
流水さんは相澤先生の右腕を自らの血で縛っていく。
「こ……これは…….。」
「どうにか負荷を少なく、動けるようにしました。効果は10分くらいです。」
「……助かります。」
「わ……私も……」
「大丈夫。被身子ちゃん。今はお姉さんのかっこいいところ見てて?」
「…………。」
「渡我、今は我慢をしろ。……お前は強くなれる。」
「…………はい。」
相澤先生が何とか立ち上がり、流水さんの横に付く。
私も……いつかは。
「お相手は……まだまだ元気ね。」
見ると脳無と呼ばれた化け物と手の男が復帰してきている。
「だいぶパワー系。……まぁ何とかなるでしょ。」
「ふぅ……正念場だな。」
2人のヒーローの時間稼ぎが始まる。
傷原流水の武器はナタというかカトラスを想像してます。