私のヒーロー   作:おいーも

211 / 233
傷原被身子の暇な一日⑪

 

 

 

 

 

side傷原被身子

 

 

 

「…………ヂュー……。」

 

吸血パックを捨てる。

 

 

時計を見る。19:00。

 

残業です。はい。残業。

 

 

ちょっとしたトラブルがありまして……それのお手伝いです。めんどくさ……ゲフンゴフン。

 

明日は流水さんと一緒に休みなので早く帰って流水さんとくんずほぐれつ……とか思ってたんですけどこれは無理そうですね。

 

ごめんなさい流水さん。遅くなるかもしれませんって連絡入れたんですけど……『わかった。』とだけ返ってきました。

 

寂しい思いさせてますよね。ごめんなさい。本当にごめんなさい。今すぐにでも帰りたいんですけど……終わる目処が。

 

学生時代流水さんが遅く帰ってきた日を思い出します。流水さんってこんな気持ちだったんですね。残業死すべし慈悲は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21:00

 

 

 

帰りの電車に乗って最寄り駅に着きました。やっと帰れそうです。早くシャワー浴びて……ご飯食べる前に寝ちゃいそう。

 

 

疲労困憊。早く流水さんの顔を見たい。

 

……なんかうるさいですね?

 

 

「おらぁ!!もっと俺を見ろ!!もっと俺に注目しろぉ!!!」

 

目の前で車を持ち上げて暴れ回ってる男。顔が真っ赤なので酔っ払ってるんでしょうか。

 

 

「……。」

 

「助けて!!!車の中に娘が!!」

 

よく見ると車の窓に手が見えますね。

 

 

残業。またしても。

 

…………カバンを下ろす。捕縛布を取り出す。

 

「……。」

 

すぐにでも帰りたいのに。

 

1歩。1歩。

 

 

「え!?嬢ちゃん!?危ねぇよ!!」

 

「黙って見ててください。」

 

うるさい。うるさい。

 

 

「あぁん!?なんだテメェ!!自殺志願者か!!」

 

こいつのせいで……こいつのせいで!!!

 

 

「……のせいで……」

 

「は?」

 

「貴方のせいで!!妻を待たせてるんだよォ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21:30

 

 

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!!ヒーローの方とは露知らず……」

 

「いえ。やるべきことをやっただけなので。」

 

 

鎮圧。拘束を終わらせ、警察の方を呼んであとは警察におまかせしようとしたところ、被害者の家族に捕まった。

 

 

「もしかして何処かの事務所のヒーローの方ですか!是非お礼をしたく……」

 

「……。」

 

めんどくさ……早く帰りたい。

 

……あ、そうだ。

 

 

「これお渡しするので、そういうのは後日お願いできますか?」

 

名刺を渡す。きっとこれがスマートですね。

 

 

「あっはい!ありがとうございます!ぜひ伺わせていただきます!」

 

めんど……いやもういいや。

 

「はい。それでは。」

 

帰ったら報告書作って……え?

 

 

「おねーさん!ありがとうございました!!」

 

袖を握られたと思ったら助けた女の子から感謝された。

 

 

「すっごくかっこよかったです!私……ヒーロー目指してて……おねーさんみたいになれますか!!」

 

パッと見中学生。まだ高校生じゃない子。ヒーローになれるかどうかはさておき、目指しているのであれば……

 

 

「……なれますよ。貴方はヒーローになれます。……ただ夢を追うなら苦しい努力も嫌な努力もなんでもしないといけません。あなたにそこまでの信念がありますか?」

 

「…………はい。あります!!」

 

 

「うん。よし。じゃあきっとなれます。胸を張って生きてください。あなた自身を信じてあげてください。ね?」

 

「!!……はい!!」

 

頭をポンポンと撫ででその場を後にする。

 

「……かっこいい……」

 

 

……好きになるのは構いませんが、私には流水さんがいるので。それは叶えてあげれませんよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21:45

 

 

 

ガチャ……

 

「……はぁ。」

 

 

やっと帰ってこれた。部屋は真っ暗。流水さん寝ちゃったかな。

 

 

パチ……パチ……

 

電気をつけて、荷物を置いて……机の上にラップした料理が。本当にごめんなさい。流水さん。

 

一緒に食べたかったなぁ……

 

 

ただこのまま座っちゃうと立てなくなっちゃいそうなので出来ることはしちゃいましょう。

 

シャワーを浴びて、パジャマに着替えて。

 

 

「……ふー……。」

 

 

 

……寝てるでしょうが……顔だけ見ておきましょうか。

 

ガチャ……

 

 

布団が盛り上がってますね。流水さんでしょう。

 

 

布団を少し捲る。

 

「……ひ……被身子……ちゃん。」

 

「あれ!?流水さん起きてる!?」

 

 

顔赤い!熱……!?

 

額に手を当てる。

 

「ふぁっ……ちょっ!」

 

熱は無い……けど……あれ?この反応……

 

 

布団を全部取る。

 

「まっ……」

 

 

あられもない姿の流水さんと……俗に言うおもちゃの数々。

 

「…………。」

 

「……さ……寂しくて……被身子ちゃんの……匂い嗅いでたら……ちょっと……」

 

 

よく見ると枕元に私の下着が。それ朝脱いだやつですよね?

 

「…………。」

 

「被身子ちゃん??……目が……怖いよ?」

 

 

あーもう我慢できません。晩御飯はこれにします。もう無理疲れすぎて頭が正常に働きません!

 

「えっ!被身子ちゃん?待ってなんで……ちょっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

03:00

 

 

 

「ケダモノ!!」

 

「流水さんが可愛いのがいけないんですよ?」

 

「ケダモノ!ケダモノ!!」

 

晩御飯美味しい〜……流水さんの料理は冷めても美味しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。