side傷原流水
……意識飛……んでた……
暖かい……
……声が…聞こえる
被身子ちゃんの……声……
オール……マイト……来てくれたんだ……
状況は……あまり……よくなさそうね……
「……しよ……」
大丈夫……安心して……
「…る…ん……!」
私が……お姉さんが……
「……な……待って……」
平和の象徴を……助けるから。
「嫌っ!!流水さん!!!」
side相澤消太
勝負が膠着している。
あの脳無とかいう化け物相手……さすがのオールマイトも突破が困難みたいだ。
……個性の維持が難しくなってきた。ワープが起動する……くそっ……どうすれば……
「やだ!流水さん!!血がっ!!!なんで!?」
「!?」
渡我の絶叫。目を外してはいけないと理解しつつ、目線を送ってしまう。
血が…………まるで人1人以上の量が体から溢れ出し……飲み込むような……血の池地獄……それが正しい気がした。
「な……何が起こってる……」
「わ……たし……が…………おー……る……まいと……を……」
傷原が手を伸ばす……ゆっくり、ゆっくりと。
「なんだこりゃ!?血か?」
「…………まるでひとりでに……死柄木弔!逃げますよ!!」
「……なんなんだこれは…傷原くん!?………何をしてるんだ!?」
「待って流水さん!!死んじゃう!!!!!」
渡我の声は届かない。
「結果……出しなさいよ……オールマイト……」
「傷原……くん……」
傷原が手をグッと握る。
突如敵側の地面大きくが割れて、血の渦と破片が高速で混ざり合う。……まるでミキサーだ。
「……」
これは……この範囲は……
「ぐおおおっっ……何だこの規模はっ……くっ……」
「待て黒霧!あいつは!先生に貰ったやつだ!」
「無理です死柄木弔!貴方だけで精一杯だ!!」
「くそっ……くそっ……覚えてろよヒーロー!……俺たちは……俺達はぁ!!!」
ゴリゴリゴリゴリ……
「…逃がしたか。」
「すみませんオールマイト。目線が……」
「いいよ相澤くん。私にはあまりダメージは無かったし……それよりも……」
渡我が抱きしめてる傷原先生……血の大量使用による技なのか……辺り一面が血の海だ。生きているのか……不安になる。
目の前の血の渦が球体になり……少しづつ圧縮されている。
ズブ……ブシャァ
「「!?」」
突如血の球体が弾け飛び、中から脳無が出てきた。
皮が禿げ、筋肉繊維がむき出し。所々に大きな傷があるが再生しつつある。
「こいつ!!これでもまだやるのか!?」
「サポートしますオールマイト!!」
「頼んだ!!」
脳無に駆け出すオールマイト。
ここが正念場だ相澤消太。目が潰れてでも抹消を維持しろ。
side傷原流水
白い天井。……見たことない天井だ。
私の腕には1本の管が繋がれてる。
病院?
……カーテンから漏れる光。朝かな?
「……ぁー……なんだここ。」
意識の混濁。少しづつ時間をかけて意識がはっきりしてくる。
右腕と……右足?……腰、肩、胸……ギプスまみれだなこりゃ……。
「……脳無!!敵は!?!?痛っ!?」
びっくりして飛び上がる。布団に重み。被身子ちゃんだ。……寝てる。
「…………おはようございます。傷原先生。無理はあまりしない方がいい。」
声をかけられた。相澤先生。
大きい病室だな。ベッドは一つだ。相澤先生は私の病室のソファに座っている。
「お……おはようございます。相澤先生。……結果をお聞きしても?」
「…………まずは敵連合……あいつらが口に出していたので間違いないでしょう。連合を撤退させることには成功しました。」
「……ほっ。」
「そしてあの化け物……脳無と呼ばれた敵の研究が進んでます。」
少し難航してるのかな?まぁ……明らかに様子がおかしいしね。
「……そういえば……あの手の子が喋ってたような気が……あっ相澤先生は無事でしたか!?腕!」
「……ハァ……」
「なんですかそのため息!」
血染くんみたい!!私をバカにしてる時の!
「普通はまず自分のことでしょう。……私はそこまで酷使をしなかったので割と大丈夫でした。リカバリーガールに治療されて……あとはギプスが取れるのを待つだけです。」
「他のみんなはどうですか?」
「生徒に怪我人ほぼ無し。緑谷が個性で指をやったくらいです。」
「うんうん。みんな優秀だね。」
うんうんと頷く。さすが天下の雄英生。あの程度のチンピラじゃ負けないね。
「……そこまで喋れるなら……人を呼んできます。リカバリーガールに、貴方が起きたら声をかけろと言われているので。」
「うっ……それはちょっと困るなぁ……なんて。」
「……駄目です。」
相澤先生は無慈悲にも病室を出ていく。
「そんなぁ……」
怒られること確定じゃん……ぶーぶー……私はみんなを守りたかったんですー!
しばらくして
「あぇ……流水さ……ん?」
被身子ちゃんが起きたみたい。頭を撫でてやる。
「被身子ちゃんおはよう。」
「流水さん……流水さん!!!!」
抱きしめられる。いてててててて!!!
怪我人!アイアム怪我人!!!
「イタタタタ!!被身子ちゃんステイステイ!」
「ごっごめんなさい!…………」
「落ち着いた?……心配かけちゃったね。」
「リカバリーガールが……血が……足りなさすぎるって……言ってました。」
「…うっ………」
「最後のあれ……どれだけ血を使ったんですか……」
side相澤消太
リカバリーガールと病室に向かう最中。気になったので傷原先生の事を少し聞いてみる。
「……常人の5割……ですか……」
「そうさね。あれは常人であればほぼ捨て身。あの子が元気な時に使えば……ビル1個巻き込むことは容易だよ。……そこから戦闘もできるって言うんだから人間業じゃないね。」
「ビル1個……もはや災害ですね。」
「…………渡我被身子がいなかったら本当に危険水域だったね。よく生きたよ。」
「はい。本当にそう思います。」
「渡我被身子……もしかしたらあの子は…病院の未来を担うかもしれないね。」
side傷原流水
「え!?被身子ちゃんが輸血したの!?」
血液型一緒だったっけ?
「……私の個性で……流水さんに変身すれば……血液型も一緒になるみたいで……」
「……なるほど……」
すごいな。そんな使い方が……これ病院から引っ張りだこなんじゃない?
「……それよりも!!!」
「わっ!?」
「……私になにか無いんですか。私いっぱい心配しました。いっぱい泣きました。皆に大泣き見られました。パニックを起こしてたみたいで……リカバリーガールが来るまで流水さんを誰にも触らせなかったみたいです。」
「…………ごめんね。心配かけて。」
「嫌です。許しません。」
「うー……だってしょうがなかったじゃん……」
「……ですが、自分の命を賭してやることじゃ無かったです。脳無をオールマイト先生が吹き飛ばした後に……ほかの先生も来たのでどうにでもなりました。飯田くんとすれ違ったんですよね?……でしたらほかの先生を待つことも出来たはずです。」
うぐっ……ごもっともです……。
「……ごめん。どうしたら許してくれる?」
少し悩んだ後、被身子ちゃんが口を開く。
「…………お世話。」
「……え?」
「私に身の回りのお世話をさせてください。ギプスが取れるまで。全て。」
全部!?!?恥ずかしい恥ずかしい!!まってそれ以上に
「いや!?え!?……学校は!?仕事どうするの!?」
「アンタ!まだ馬鹿な事気にしてんのかい!!!!」
「げぇ!リカバリーガール!」
リカバリーガールと相澤先生……それと何故か根津校長とオールマイト(トゥルーフォーム)が居た。なんか増えてない!?
「アンタはねぇ!!いっつも私たちを心配させるようなことして!!!私らだけじゃないよ!?被身子ちゃんだってすごーーーく心配してたんだから!」
「ひいいいっごめんささーい!!!」
「そうですよ流水さん!!聞けば学生時代からこんな感じだったらしいじゃないですか!!成長してください!!!」
「うわーん!根津校長助けてくださーい!!」
「HAHAHA!君は1度こっぴどく怒られとくのがいいかもね!僕だって心配したんだ!」
オールマイトも相澤先生もどっちも顔を背ける。
「げぇ!助け舟がない!」
「説教はまだ終わってないよ!!!ほんとにあんたって子は……」
「流水さんは私に愛されてるって自覚ありますか!?こんなことなら家に縛り付けて監禁して……」
「被身子ちゃん???何言ってるの!?」
「聞いてるのかい!?」
「聞いてます!マム!」
説教はまだ続きそうだ。