side印照才子
カチャ……カチャ……
珍しくドレスに身を包んだ私の目の前に広がる光景。
ナイフ。フォーク。真っ白なテーブルクロス。その中心を彩るはコース料理の数々……
個室とは思えないほど広く、隅々まであしらわれた装飾も料理を引き立てるひとつのピースのなっているようです。ウェイターの方もゆっくりと、確実に料理を運んできてくれています。
私は学生時代、こういうお店には何度も足を運んだことがありますが……大人になってからめっきり減ってしまいました。庶民的な金銭感覚になったと言った方が良いでしょうか。
それなのに……
「……ん〜……やっぱり偶にこういうお店に来るのもいいね。」
「ですね!」
「んふふ♪流水ちゃんは色んなお店知ってるね?すっごく美味しいよ!」
「……本当にお支払いしなくても良かったのですか?」
「大丈夫大丈夫。今日はそういう日だから♪」
今日は目の前に居られるブラッドロータス様……流水様が全部出してくださると……
本当に彼女はどれくらいお金を持っているのでしょうか。目測ですと1人5万は下らないお味ですが……
「ここはね〜……パパが教えてくれたお店だから。私もよく使わせて貰ってるんだ♪」
「婚約指輪貰ったのもここでしたよね?」
「え!そうなの!?」
「うん。……んふふ。ちょっと恥ずかしいけどね〜?」
「まぁ……ロマンチックですのね。」
「私の一生の宝物です!」
流水様が被身子様に婚約指輪を渡した場所……そう聞くとここはブラッドロータス様のファンの方の聖地というものになるのでは……?
来るだけでも出費が大きすぎますが……
「っていうか……ドレスコードがあるお店なの最近だと珍しいよね。」
「まぁ……ここは雰囲気も大事だからね。料理を彩るのは食器や装飾だけじゃないから。」
「……そっか♪」
……流水様はナイフとフォークの扱いだけではなく、こういう場所でのマナーにも長けておられます。この人は本当に何が出来ないのでしょうか?
「それにしても……流水さんが急に皆を誘うなんて珍しいですね。」
「たしかに。なかなか無いよね。」
「ん〜……まぁね。」
何かを言い淀んでるご様子。……そういえば……
「火伊那様が居られませんね?お呼びすれば……」
「そうだよ!なんで呼ばなかったの?」
「絶対だめ。」
流水様の口からでた言葉は信じられないものだった。
「「「え?」」」
だって今日は火伊那様はお休みのはず……
「今日はね。彼女達には色々話してもらいたいから。」
「「「……??」」」
なんの事……でしょうか?彼女『達』?
「逃げ場を無くさないとね。……私は筒美さんには幸せになってもらいたいんだよ。だから自分の幸せから逃げて欲しくない。」
「え……と??」
「話が見えてきませんね……?」
「……ま……布石は打っておいたし、明日にはわかるでしょ。」
「「「??」」」
結局なにも話しては貰えずそのまま食事を楽しんで解散。
……結局何だったのでしょうか?