side筒美火伊那
ドアが元気よく開かれる。……アイツか。
「たっだいま〜♡」
「……おかえり。」
コイツ……気月千歳と付き合って、同棲まで初めてわかったことがある。
コイツは酒飲みなのに私と一緒じゃないと飲まないってことだ。厳密に言うと付き合う前は酒を飲み歩いてたらしいが、私に変な心配かけたくないからって寄り道せず毎日毎日まっすぐ帰ってくる。
…………律儀なヤツ。
最近職場の奴らに変な気使われてる。しょうがないので定時上がりさせられてる私は、先に帰って料理作ってることが多いけど……そんなに嬉しいもんかね?
『他人の料理が家に帰ったらあるっていいことだよ。』
と社長は言ってたが…………どうなのかね?…………そうだったら少し嬉しい。
「いい匂〜い♪火伊那さん。今日はご飯なぁに?」
「先に手ェ洗っちゃいな。話はそれからだよ。」
「はーい♪うがいもしてきまーす♪」
「…………ふん。」
なんか子供みたいだね。ホント。
…………かくいう私もそういう顔が見たくて料理本とか読み漁ってるけど。人の事言えたもんじゃないね。
「今日は鳥肉安かったから照り焼き作ってみたよ。マカロニサラダもあるからね。」
「くぅ〜!美味しそう!!私幸せ者だなぁ!」
「……大袈裟だよ。」
「照れてる?」
「うるさい。」
……ちょとだけ多めにご飯盛って、コイツに渡してあげる。
「ありがと♡」
「…………ん。」
……なんでこうもまっすぐ…………ホント調子が狂う。
「いただきま〜す!」「いただきます。」
…………そんなに頬張って……
「……そんなに急がなくても取らないよ。」
「んふふ♪美味しくて!嬉しくてね!」
「…………」
はぁ……顔あっつ……
ちゃぷ……
「…………ねぇ。」
「なぁに?」
「一緒にお風呂入る意味はあるのかい?」
「あるよぉ?」
湯船にふたりで浸かる。コイツに背中を預けるのが定位置になりつつある。じゃないとコイツがうるさいから。……後ろからちょっかいかけて来るのだけやめて欲しい。
「だってぇ〜……?」
「わっ!?」
後ろから胸を揉みあげられる。
「火伊那さんの身体堪能できるじゃん♪」
「やめろっ!!」
「やーだよ♪火伊那さんの身体触ってて飽きないもーん♪」
「このっ……エロ親父が……!!」
「ふふーん。色恋沙汰何も無かったアラフォーの性欲を舐めないでよね!」
「うざ……」
ホント懲りずに毎日毎日……飽きないねぇ?
「……嫌そうにしてるけど……毎日身体の隅々までケアしてるの知ってるよ?」
「………………」
なんのことかね。
「私火伊那さんのそういう所好きかも♪」
「………………ふん!」
「そういう所も!」
「うるさいね!!」
ほんっっと調子が狂う!!
最近髑髏ちゃんにも変わったって言われたし!!職場のやつは生暖かい目で見てくるし!!最悪!!!
「……大好きだよ♡火伊那さん♡」
「………………」
ホント……
「私も。千歳。」
調子が狂う。