side傷原被身子
ぢゅ〜…………
「……〜♪」
今日は休日。隣には流水さん。カタログを上機嫌で見てます。
……今日はふたりきりと言う訳では無いんですけど。
「流水様。新しいお茶をお持ちしましょうか?」
「いいの?ありがと〜♪右腕ちゃん♪」
今日は千棘さんの工房にお邪魔してます。
最近流水さんがちょこちょこ活躍してるのもあって、武器持ちのヒーロー界隈で名前が知られつつあるらしいです。少し忙しいと言っておられました。
だいぶ隠れ家的な場所ではあるので、余程熱心な人じゃないと場所がわからないという難点はあるんですけどね?
「流水さんって武器好きですよね。」
「うん!大好き!」
流水さんは自分の武器の手入れは自分で行う人なので、武器の扱いにも慣れているのですが……なんというか最近は普通に武器マニアになりつつありますね。ちょっと嬉しそうです。
ちょっと流水さんのカタログが目に入った。
刃物ばっかりですね。
……ん?これ……
「そういう機構が多いのは使わないんですか?」
ちょっと気になったので指をさしてみる。
「ん〜……実用的じゃないからね。オールマイトとかデクが使ってるパワードスーツみたいなやつも0..1%でも動作不良とか起こしたらって考えると使えないんだよねぇ。」
「なるほど。」
流水さんはこういう所はリアリストなんですね。だから武器は基本的の装飾がほぼ無く、変形機構もほぼない鉄の塊なんですね……武器だけはかぁいく無いんですよね。
まぁでもそれを嬉々として振ってる流水さんはかぁいいのでOKです。
「……そろそろ新しい武器欲しいなぁ……」
「もう既に新しい剣がありませんか?」
「これ?これはいいよぉ〜♪刃が波打ってるから変則的な攻撃ができるし、溝が彫ってあるから突き刺すだけで相手の血が触れる。それだけじゃなくて硬い。重い!最高!!」
流水さんが腰に下げてる剣を見せながら答えてくれる。…………かぁいい。
「お気に召していただいているようで何よりです♪」
「右腕ちゃんほーんといい仕事するよね!お世話になってます!」
千棘さんがお茶を2杯持ってくる。
「被身子様もどうぞ。」
「ありがとうございます!」
私と流水さんが結婚するにあたって、千棘さんを初め白体教の方々は私たちのことを『被身子様』『流水様』と呼び始めました。まぁ両方傷原になったのでと言われるとそうなんですが……様付けで呼ばれるのはなんか慣れませんね。
「もうお気に入りもお気に入り!大好き♪ちゅ♪」
剣に頬擦りだけじゃなくて口付けまで……ほんとに好きなんですね?
今の流水さんの獲物は3つ。剣、レイピア、それとナイフ。全部刃物。ちょっと前にあった腕に嵌めるタイプの手甲は、やっぱりお眼鏡に叶わなかったみたいで千棘さんに返品してます。
「流水様。そういえば仰られていた武器が完成しました故……ぜひ見ていただければ。」
「ホント!?」
「?」
千棘さんがゴソゴソと机の下から布に包まれたモノを取り出した。
流水さんが飛びつくように布を取るとそこには……
「わぁ〜!!!」
「…………メイスですか?」
丸い鉄塊に、鉄の太い持ち手が着いた武器。メイス。
「やってみていい?」
「どうぞ♪」
流水さんがメイスの頂点に手を当てると、そのままぐっと押し込む。
ガコンと音がなり、一部分が押し込まれた。
何のための機構なんですか???
「わーー!!いいねぇいいねぇ!!」
「……それなんです??」
「ん〜?これね!中が空洞になってるの!」
「……?」
「この中に私が操作できる水入れれるんだ〜!!」
「……なるほど。」
武器にもなる血液タンク……ということですか。たしかにタンクいっぱい持ってるの辛そうでしたよね。
「分厚さも十分!いいね!これ貰っていいの?」
「はい。前金は十分いただいております故。」
「やったー!!!」
「もう。流水さんまた多めに払ったんですか?」
「うん!信頼関係は大事だからね!」
「ふふ……流水さんらしいです。」
その日の帰り道は流水さんがるんるんしてました。スキップでもしそうなくらい。
……腰に何kgの重さを下げてるかは一旦考えないで起きましょう。
次の日からそのメイスは『マッチ棒』とか呼ばれてましたね。それ褒めてます??