少し勘違いしてたようなので色々治しました
side渡我被身子
「まったく。酷いことするもんだね。女の子の顔に火傷なんて絶対にあっちゃダメだよ。ちゃんと治しといたからね!」
「ありがとうございます。リカバリーガール。」
「あの精神性だけどうにかならないものかね。動きも個性の使い方も充分に上手いのに。もったいない。」
「……」
ま、無理でしょうね。とは言わないでおく。
「そういえば……緑谷くんの腕は大丈夫でした?」
「なんだい?気になるのかい?」
ちょっとだけ不機嫌な声色のリカバリーガール。何かあったんだろうか?
「流水さんがしばらく居なかったので。手術でもしてたのかなと。」
「したよ。手術。やっぱり傷原がいると速度が違うね。あの子は医療従事者になるべきだよ。」
ちょっとだけ声色が元に戻った。
「ふふっ……私とお話する度に言ってますね?」
「……そりゃそうさ。私はあの子に辛い道を行って欲しくは無い。……長くは無いけどあの子のことを気にかけてきた……親心なのかもねぇ。」
「……リカバリーガール…。」
私以外にも流水さんを慕ってくれてる人がいる。
こんなに嬉しいことがあるだろうか。私の流水さん。私だけの流水さん。でも仲のいい皆さんにならちょっとだけ分けてあげます。
「あんたもだよ。傷原が気にかけてるんだったら私の娘も同義さ。頼んな。」
「!はい!!」
「……そういえばあんた……少しだけ時間貰っていいかい?」
「はい?どうかしましたか?」
「職場体験。私のところに来ないかい?」
side傷原流水
「うわぁ……」
「……。」
表彰式。
1位の壇上には大暴れする爆豪くん。
2位の轟くんと……3位は不在。
ボコボコにされて今治療を受けてる常闇くんと、少し用事があるからといい参加できてない飯田くん。
「初めて見ました。1位と2位しか居ない表彰式。」
「……くだらん。」
ストレスが溜まったとはいえ……あそこまで爆豪くんが暴れてるのは……
「本当にヒーローになる気あるんですかね?」
「……なければここには居らんだろう。」
「…………精神性が完全に敵なんだよね…。」
「興味はない。」
エンデヴァーが立ち上がる。
「おや?帰るんですか?」
「……フン。」
「…………轟くんのこと。少しでいいので見てやってくださいね。ほんの少しでいいので。」
「貴様に言われるまでもない。」
エンデヴァーが立ち去った。
これ伝わってるかなぁ?
何もすんなって言ったんだけど。
轟くんは多分大丈夫だけど……爆豪くんは職場体験の逆指名来るのかな……
来たとしても……だいぶ物好きだけだぞ?
……もしかして心折ってやる必要があるな?
「はい。私の勝ち。」
「……ハァ……ハァ……ッ……。」
職場体験2日目。私の目の前には血の糸でイモムシな爆豪くん。
爆豪くんを、出来ればいいなくらいの気持ちで逆指名したら来てくれた。
ザ!ヒーロー活動よりかは……実践訓練とパトロールが主だけど。
「……私のパトロールにすらついて来れない。実践訓練も触れれもしない。それで良く『俺に足りないものを教えろ』なんてでかい口叩けましたね?」
「ってめぇ!」
「悪態つく前にこの職場体験の間で私に1回でも勝ってください。被身子ちゃんの方がまだ動けますよ。……没個性に負けるんですか?」
「!なんでそれを!」
「いろーんなところからあなたの情報を調べました。それはそれはもう酷いの一言。ヤンチャのしすぎは良くないですよ?」
「クソッ……」
落ち込んでる暇は無いですよ。
「実践訓練も終わったのでとっととパトロールに行きますよ。遅かったら置いていくのでそのつもりで。」
糸を解いてやる。誓って切り傷は与えておりません。武器使ったら普通に殺しちゃいそうだしね?
「わーったよ!!」
私は雄英の訓練場をそそくさと後にする。
さぁて……パトロールといっても……
「する場所は決まってるんですけどね。」
保須市。今……血染くんが潜伏してる場所だ。
雄英体育祭が終わった直後、私はリカバリーガールに呼ばれて車で病院に向かっていた。
「何処に行くんですかリカバリーガール。」
「ヒーロー殺しが再活動した。」
「……へぇ。それで負傷者が出たから……ってことですか?」
まぁそんな事だろうと思ってましたけど……私が出向くほどの傷って相当ですよね。
「概ね正しい。一刻を争う。手術の手伝いをしな。」
「はいはい。今日は多いですね。」
「……全くだよ。」
あの手術は酷かったですからね。ギリギリ何とか形が保ったって感じでした。ワンフォーオール……本当に彼で良かったんですか?オールマイト。
「誰ですか。負傷者。それと怪我の具合。」
「インゲニウム。」
「はぁ!?インゲニウム!?飯田くんのお兄さんじゃないですか!……ヒーロー性は間違いないと思いますけど……強さですかね?」
「それは分からない。傷の具合は手と足。すぐ死ぬほどではないが……ちょっと酷いらしい。」
「………まぁ。それならどうとでもなりそうですね。」
「……あんたやっぱ医療従事者にならないかい?」
「嫌です。」
すぐ手術室に通される。顔パスだなこりゃ。知ってる人(お医者さん)しかいないし。
それはそれとして……
「……これは……」
両腕両足に大きく見える刺し傷切り傷。体にはあまりダメージが無いことから……血を舐められて一方的にって感じだろう。
「……まだ何とかなりそうですね。神経次第ですけど、ヒーロー活動は続けれる感じにはなりそうです。とっとと治しちゃいますよリカバリーガール。」
「……頼もしいよ。本当に。」
インゲニウムの手術をパパッと終わらせ、飯田くん一家にめちゃくちゃ感謝された。
「本当に……本当にありがとうございます。」
「あなたがいなかったら天晴は……インゲニウムは!」
「先生!!本当にありがとうございます!この恩は!」
「いいです。飯田くん。ヒーローですから怪我は当たり前です。怪我した人が居たから治した。医療関係者として当たり前です。何とかヒーロー活動は続けれる感じにはなりそうです。良かったですね。」
「先生……!」
とても嬉しそうな飯田くん。良かったね。
「でーすーが。リカバリーガールの治癒があったとはいえ、1週間は休んでもらいます。リハビリは……状況次第で。あとはリカバリーガール、お願いしますね。私は帰ります。被身子ちゃんが待ってるので。」
「……あんたって子は……いいよ。あとは私に任せな。」
「はい!お時間を頂きありがとうございました!」
飯田くんの90°お辞儀。律儀だねぇ。
「はいはーい。お大事にね。」
病院を後にする。すっかり暗くなっちゃった。
prrrrr……
帰り道で電話がなる。
パパだ。
「もしもし。パパどうしたの?」
『流水か。ちょっと仕事の件でお願いしたいことがある。』
あー……なんか読めたぞ。
「お願い?……ステインのこと?」
『察しが良くて助かる。君にヒーロー殺しステインの処理をお願いしたい。』
「んー……見つかり次第ですけど。考えときます。」
手は出さないって約束したしね。捕まるなら別の人。せめてニュースにでもなればいい。
『頼む。並のヒーローでは手も足も出ない。そのせいで君に白羽の矢がたった。生死は問わないそうだ。相手も相手だしな。』
「……まぁぼちぼち頑張ります。それだけですか?」
『うむ。ありがとう流水。おやすみ。しっかり寝るんだよ。』
「パパもお仕事そろそろ切り上げてね。また突撃するよ?おやすみ。」
ピッ
……まぁ私はやらないんですけどね。私は。
……エンデヴァーとか差し向けてみます?サクッと終わらせてくれそうですけど。…なんならあのおっさん自主的にパトロールしそうだな。
……パトロールかぁ……苦手なんだよな。職質何度も受けるから時間足りないんだよね。
……まぁ……やりますか。
ビルに血を伸ばし、ぴょんぴょんターザンロープの要領で移動と目視を兼ねる。
爆豪くんも後ろから飛んでついてきてるみたいだけど……手のひら痛そうだね。
「遅れてますよ大・爆・殺・神ダイナマイト。……ヒーローネームそれでよかったんですか?」
改めて聞くととんでもない名前だな本当に。
「あぁ!?ケチつけんじゃねぇ!!今すぐ追い抜くわボケ!」
まだ悪態は治りませんか。……もう少しボコボコにした方がいいですね?
「ふーん……じゃあ手加減は要りませんね?」
本来のスピードに戻す。グングン爆豪くんを突き放す。
「チッ!!早ぇッ!!」
「遅れてはダメなんですよ。ヒーローは特に。ヒーローが遅れると……」
私は移動しながら地面スレスレまで血を伸ばし、足が止ってる人を回収する。
直後、鉄骨が上から降ってくる。
そのまま別のビルに血を伸ばして静かに着地。怪我は無いようだ。
「死人が出ます。あなたが未熟だからと事件は待ってくれません。」
助けた人から感謝された。遅れて着地する爆豪くん。あのままだと目の前でこの人潰れてましたね?
「……クソッ!」
「いつになったら勝てるんでしょうね?」
学びなさい。負けから。
あなたが学べるのであれば。何度でも負けさせます。
何度でも心を折ります。かかってきなさい。
別に被身子ちゃんの顔ボコボコにしたから怒ってる訳じゃないですよ?
コンビニ前。
「おいひー!この新作なかなか美味しいです。」
コンビニの新作、メロンパンクリームづくし。結構美味しいです。
道行く人から暖かい目を向けられる。私可愛いでしょ?
「黙って食えねぇのかてめぇはよぉ!」
爆豪くんは隣で別のパン食べてます。もちろん奢りました。
「無理です。美味しいものは美味しいと言いたいので。」
「ガキかよ。」
貴方ほどじゃないですよ。
「感謝も謝罪もできない大人になるならガキで結構です。」
あなたは今のままで大人になるつもりですか?
「………。」
「さて。お腹は大丈夫ですね?」
「……ああ。だいぶ休憩したからな。」
「じゃあ今日最後のパトロール。行きましょうか。帰ったらまた実践訓練ですよ。」
「次は負けねぇ!」
……向上心は◎ですね。
あとは実力と精神が伴えば……ですか。
職場体験中に何か掴めればいいんですけど。