side傷原流水
とある個室。3人の大人。
「で?私を呼んでどうしたの?早く帰りたいんだけど。」
スマホの画面に目を落とす。被身子ちゃんと歪ちゃんの寝顔(隠し撮り)……はぁ本当にかわいい。
「まぁ待って欲しいッス。ナイトハイドが情報吐き出させてくれたんスから。」
「先生。お久しぶりです。」
私の対面にはふたり。ホークスくんとナイトハイド……心操くん。
「ん。久しぶり。元気してる?」
「はい。お陰様で。お子さんどうです?」
「すっごく可愛い。いつか会わせてあげる。この子なんだけど……」
と心操くんにスマホを見せる。
「あはは。傷原も寝てるじゃないですか。」
「んふふ。私のお宝写真だよ。」
「そんなもん見せてもらっていいんすか?」
「いいよ。減るもんじゃないし。」
「こほん。」
ホークスくんが咳払いをひとつ。……雑談はこの辺にしましょうか。
「それで?心操……ナイトハイドが情報を引き出したって行ったけど……」
「そッス。その事なんスけど……」
ボイスレコーダーが出てくる。
「……この部屋防音よね?」
「当たり前じゃないっスか。」
「ならいいわ。つけてみて?」
カチ……
ボイスレコーダーの情報をあらかた聞いた。うーん……
「…………なるほど。……相当厄介ね。」
「個性はまだしも……本拠地が割れてないのが相当に苦しいっス。Mr.Jにすら教えてないとなると……幹部クラスにしか知らされてない可能性が。」
「……だったら前のガスマスクの話にも繋がるわね。……はぁ。めんどくさ。」
……さて。どうしたものかしらね。これはナイトアイの情報待ちかしら。
「それよりも気になることがあるっス。」
ホークスくんがノートパソコンを取り出し、USBが接続される。
「……なに?」
「コレを……流水さんに聞かせるか悩んだんスけど……多分聞かせた方がいいと思うっス。」
「…………」
ホークスくんがこういう時は……私に何かしら関係のある話。ちょっと用心しようかしら。
「いいわよ。聞くわ。」
「これは……あまり聞かせたいものじゃないっス。」
そこまで……
PCのメディアプレイヤーが再生される。
『ボスは……いろんな子供を外で買って……個性を数値化してマシた……』
これはMr.Jの声。
『外で子供を買った……?どういう意味だ。』
これは心操くんの声。
『ハイ……身寄りのない子を……お金で買収しテ……強い個性の数値だけ抜きとって……データ化してましタ……』
『…………何をしていたかわかるか。』
『ハイ……個性を強く発現させるために……わざと買い与えたモノを目の前で壊したり……ストレスを与えるために……精神的に、肉体的にも罰を与えてマシた……』
…………なんて酷い。私利私欲のためなんて……許されないわね。
『そういう子の特徴はあるか。』
『ハイ……髪が男女問わず短くて……ガリガリで……なにかに強い執着がありマス……そういう子が……1番扱い易い……テ……ボスが言ってましタ……』
髪が短くて……ガリガリで……強い執着……
「……もしかして……」
『何人か……逃げ出した子もいましタけど……だいたい殺処分デス……それに……逃げ出したところで……まともに生きれないッテ……』
ピッ……
まさか……まさか!!
「流水さん。考えたくないッスけど……」
「………………歪ちゃん……」
「……ス。」
歪ちゃんが……そいつらに…………
「………………」
「流水さん。くれぐれも冷静になって欲しいッス。…………奴らは歪ちゃん以外にも子供を抱えてる可能性があるッス。」
「わかってる。……わかってるわ……でもッ!!」
ドンッ!!!
机に拳を叩きつける。……ヒビが入っちゃった。
「………………ごめんなさいホークス。弁償はするわ。請求書は事務所に。…………ちょっと風に当たってくる。」
「…………わかったっス。」
部屋を出て外に。
「…………」
歪ちゃんが……被験者なんて……可能性があるなんて……
わたしが……もっと…………
「…………フーッ……ダメね。」
スマホを耳に当てる。
Prrrr……
『あれ?流水さんどうしました?』
「ねぇ。被身子ちゃん。歪ちゃん元気?」
『はい!すっごく元気ですよ♪事務所で皆さんに遊んでもらってます♪』
今は少しでも落ち着きたい。癒されたい。
…………そう。私には被身子ちゃんがいる。みんながいる。私だけが背負う必要はない。
みんなに共有して、みんなで解決する。
今の私なら……きっとそれができるはず。
「あのね。被身子ちゃん。聞いて欲しい。」
同じ過ちは犯さない。