私のヒーロー   作:おいーも

29 / 232
保須事件

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

 

職場体験3日目

 

「次はこっち。走らず急ぐ。」

 

「はい!」

 

 

私はリカバリーガールの所に職場体験……というか完全にお手伝いさんと化してる。

 

基本的に病院勤務。時々雄英に戻るという感じ。行ったり来たり。忙しい故に休憩はあまりない。

 

でもリカバリーガールのお手伝いが出来ることは嫌な訳では無いし、充実感もあるのでちょっと楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

「はい。ちょっとだけ休憩をし。飴ちゃんあげるわ。」

 

 

 

 

「ありがとうございます!失礼します。」

 

私は病院の一角……自動販売機のあるエリアで休憩。

 

流水さんも本来ならいるはずだったんだけど、職場体験をやってるらしく不在。……やるなら私を指名してくれればいいのに。

 

よりによって……

 

「爆豪くんか……」

 

 

 

ため息がこぼれる。

 

爆豪くんの心をバキバキに折って来るとか……ボコボコにしてくるとか言ってたけど……ちょっとだけ嫉妬。

 

 

 

「……流水さんといる時間が少しだけ短いです。……ふぅ……寂しい。」

 

「……ハァ。あいつも馬鹿だねぇ。」

 

「はえ!?リカバリーガール!!聞いてたんですか!?」

 

気付かなかった……恥ずかしい。

 

 

「声かけたけど反応しなかったのはそっちだろう?……それよりも傷原だよ。……本当に申し訳ないね。アレにもアレなりに考えがあるんだよきっと。」

 

 

「……いえ。流水さんの活動の枷にはなりたくないです。」

 

 

「……大丈夫さ。あいつなら何言っても受け止めてくれるよ。」

 

リカバリーガール……

 

「…………そうでしょうか。」

 

 

「そうだよ。私の弟子だよ?そんなヤワに育てた覚えはないね。」

 

「……ありがとうございます。」

 

 

 

少しの不安。

 

 

今日は空が嫌な色。何も無ければいいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

「だぁっ!!!当たらねぇ!!!!」

 

「少しだけ動きは良くなったけど……それじゃまだまだだね〜。」

 

爆豪くんを転がして今日は10回目。

 

「ハァ……ハァ……くそっ……なんで当たらねぇ……」

 

 

「すごく私の事見て動いてるのわかるんだけど、それ以上にあなたの動きは分かりやすいわ。精進なさい。」

 

「……くそっ…」

 

 

 

「じゃあ今日最後のパトロール行くわよ。とっとと準備なさい。」

 

「わーったよ!」

 

 

 

 

外に出て爆豪くんを待つ。

 

 

 

 

……なんか今日は嫌な気がする。少しだけ……少しだけ歩み寄られてる感じ。

 

 

「……早めに行った方が良さそうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんなのこれ。」

 

 

 

炎。保須が炎に包まれてる。

 

「オイ!これやべぇんじゃねぇのか!?」

 

 

 

「…爆豪くん。騒ぎの渦中に今すぐに急行します。……もしかしたら、ヒーロー活動が続けれない可能性のある大怪我をするかもしれません。それでも来ますか?」

 

 

「あ?誰にモノ言ってんだ!行くぜ。絶対に。」

 

そう言うと思った。だったら私の行動はひとつ。

 

「じゃあ遅れないように。行きます。」

 

この子を守る。怪我なんて絶対にさせない。

 

二人で空に飛び上がる。

 

 

 

 

「……何処……何処に…」

 

「オイ!あれじゃねぇのか!!……なんだあれ。」

 

私もそちらを見やる。

 

「……あれって!羽があるけど…」

 

「脳無ってやつじゃねぇか!」

 

 

 

 

羽の生えてる脳無……空を飛びながら街を襲っている。

 

 

「爆豪くん。避難誘導を。」

 

「……わーったよ!やりゃいいんだろ!!!」

 

流石にわかってくれたみたいだ。怪我しないでね。

 

爆豪くんが地面に着地して避難誘導を始める。

 

 

 

「……いい子ね。じゃあ……」

 

私はアレを処理しないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッと見渡した感じ……脳無が3体。

 

なんで敵連合がここで暴れているのか分からないが……やるべきことをやる。

 

 

「とっとと仕留めるが吉ね。」

 

 

ビルの上。翼の脳無と退治している。ただ……

 

「あの時の脳無程じゃないわね。あなた。」

 

武器を十字に構える。

 

脳無が真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

 

「クロユリ十断!!」

 

 

血の斬撃が十字に放たれる。相手の羽ごと拘束し、飛ぶ力を失った脳無は地面に落ちる。

 

 

「……久しぶりね。この高さからするのは。」

 

私は命綱なしで飛び降り、左足をふり上げて縦回転。

 

 

 

脳無の脳天を目指して。一閃。

 

 

「白雪落とし。」

 

ドゴォッ!!!

 

左足全体に血を纏い脳天を貫く。

 

 

 

 

地面が割れ、脳無の顔が破裂。もはや動けないのは確かだった。

 

 

「……こんなもんかしら。さすがにこれで死ななかったら困るわ。」

 

 

 

「貴様……何故ここに……」

 

後ろから声がしたから振り向くと、

 

 

「エンデヴァー。体育祭ぶりですね。」

 

「ものすごい音がしたから来てみたら……これは……貴様が?」

 

 

「はい。そうですよ。……エンデヴァー。それよりも。」

 

「むっ!」

 

 

 

ボゴォ!!

 

建物を破壊しながら頭のない生物……見た目の特徴からしてUSJの脳無に似た個体が出てくる。

 

 

 

「……頭が無い?……これも脳無ですか。」

 

 

「脳無?そうか……こいつがUSJの……」

 

 

「……ちょっと外見は違いますけどね。」

 

 

「…………援護しろ。ブラッドロータス。」

 

「言われなくても。」

 

 

 

 

指を切り、血を伸ばす。拘束したが……パワーがすごい。

 

 

 

「エンデヴァー!もって数秒です!」

 

 

「まかせろ。ふっ!!赫灼熱拳!!!」

 

 

 

エンデヴァーの炎が脳無を包む……が

 

その炎の中から脳無が飛び出す。

 

 

「何!?」

 

「クロユリ十断!!」

 

 

もう一度拘束。今度はそう易々と解かれない。

 

「超回復……エンデヴァー。あいつは多分再生能力があります。」

 

 

「なんだと!?……赫灼熱拳では熱が足りんか。」

 

ブチブチと音を立てて拘束がちぎれる。

 

「……もう一度……今度は殺すつもりで相手を縛るので。」

 

「…………ふん。いいだろう。」

 

 

今度は私が脳無に突っ込む。手のひらに血を纏い……近距離戦だね。

 

脳無の攻撃。1発でも当たったら終わり。でも……全然躱せる。

 

後ろに回り込み……腕を突き刺す。狙いは首筋。

 

 

 

ドスッ…

 

 

「そろそろ止まりなさい。シスル・シース。」

 

 

 

首から脳無の血に触れた瞬間脳無の全身の血をその場に止める。

 

普通はそのまま死ぬが、生き残る可能性もある。なにゆえ個性が不明だ。

 

 

案の定……まだ生きている。だが……

 

 

「エンデヴァー。どうぞ。」

 

 

首から手を引き抜き、距離をとる。

 

 

 

「……赫灼熱拳では熱が足りんのであれば……焼き切れるまで熱を上げるまで。」

 

エンデヴァーが脳無に触れると、炎を噴出し続ける。その炎が青く変わった瞬間、脳無の体が崩れ始めそのまま息絶えた。

 

 

 

 

 

「さすがNo.2と言った所でしょうか。個性の腕もそれ相応ですね。」

 

 

「……貴様がヤツを固めたから出来たこと。褒められるようなものではない。」

 

 

なんでエンデヴァーが……それよりも轟くんの職場体験先って……

 

「…………そういえば轟くんは何処ですか。」

 

「……!あいつ……焦凍ォ!!!!!」

 

 

うるさ……

 

 

 

 

 

「オイ!避難終わった……ぞ」

 

 

「おや。爆豪くん。お疲れ様です。」

 

「……お前は……体育祭1位の……」

 

 

「これは……それにエンデヴァー……なんで……ここに……。」

 

びっくりしてる。それはそうよね。管轄外だもん。

 

「ヒーローだからだ。ヒーロー殺しを追っていたタイミングでこの化け物。脳無だったか…と鉢合わせただけの事。」

 

 

「…………」

 

 

「脳無は2体片付けました。あと1体は……」

 

 

「もう1体は既に片付けた。脳無はもう居ない……が。ヒーロー殺しが居ないとは限らない。消火活動と共にヒーロー殺しの散策を続ける。」

 

 

「その前に轟くんでしょ?」

 

「わかっている!」

 

prrrr……

 

「……俺だ。なんだ。……何?ヒーロー殺し!?」

 

「「!!」」

 

ピッ

 

 

「……焦凍が今交戦してるらしい。少し急ぐが……お前たちは来るか?」

 

 

 

「……あなたが行くのであれば私は過剰でしょう。ここら一帯の鎮火及び安全確保に努めます。」

 

「ほう。」

 

「はぁ!?俺は!」

 

 

爆豪くんの反発。轟くんが戦ってるのに自分は……って話かな?

 

「爆豪くん。鎮火、安全確保も立派なヒーロー活動です。ヒーローが分散しているという事は、敵も動きにくいということ。これは犯罪現場でも同じ事が言えます。」

 

これは建前。ステインのこと私は捕まえないからね。

 

「……でも!」

 

 

「私だけならともかく。初心者を連れて行って何かあったら対処が遅れます。できることをしましょう。」

 

これは本音。君じゃ正直足手まといだよ。

 

……そもそも轟くんで勝てる相手かな?

 

 

「ふん。ヒーローをしているだけはあるな。」

 

「エンデヴァー。次会ったら覚えておいてください。」

 

「ふん。俺は行くぞ。」

 

 

エンデヴァーが飛び立つ。

 

 

 

 

 

「…………やればいいのかよ。」

 

「はい。ほかのヒーローと連携しましょう。」

 

「……わーったよ。」

 

 

少しだけ成長したのかな?……まぁまだまだ折りますよ。プライドなんて捨てましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side轟焦凍

 

 

「……ちっ緑谷!飯田!動けるか!!」

 

「ま……まだ……多分やつの個性だ……」

 

「ぐっ……うぅ……」

 

 

氷と炎に反応で追いついてくる。

 

まるで……

 

「動きが……まるで渡我だな。」

 

「!」

 

 

少し反応した……?

 

 

 

「ハァ……そこの緑の男も。お前も。……白いお前は論外だが……こんなものだろう。」

 

ステインが飛び上がる。

 

 

「なっ!?逃がすか!!」

 

一気にあんな高くまで!……炎が届かない!

 

 

 

「俺の活動はまだ終わらない。全てにヒーローがヒーローたらしめるまで。誰かが血を流さなければ分からないのだ。この世は。」

 

「……何を…」

 

 

「………貴様たちがそうならないことを祈っている。見返り。名声。求めるものを履き違えるな。」

 

 

ステインは立ち去る。……捕まえることは出来なかったが……助けることは出来た。

 

見返り。名声。認めるもの……か。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう緑谷。お前が位置情報を教えてくれたおかげだ。」

 

 

「ううん。僕だって何も出来てないし……。」

 

緑谷は少しの切り傷のみ。

 

「……すまない。僕の独断で……仕返しなど……考えてはいけないのに。」

 

飯田は腕と足を負傷。1人では立てない。

 

 

 

 

「……俺もそうだった。見返したかった。」

 

 

 

「……。」

 

「……君も?」

 

 

「……だが、あいつの動きも。判断も。全部一級品だった。もう一度向き合わねぇとな。」

 

 

「轟くん……」

 

 

 

 

 

『めんどくさいです。自分の人生なので好きに生きます。親がなんですか?私の親は私をお金で売りました。家庭がなんですか?私は存在しないものとして扱われました。親のことどうにかしたくなったら、自分でどうにかすればいいです。家庭のことも。結局はあなた次第じゃないですか?私に模範解答を押し付けないでください。』

 

 

 

「俺次第……か。」

 

 

 

「焦凍!!無事か!!!!」

 

向き合う。話し合う。やってこなかったことだが……やらなきゃならないことでもある。

 

「エンデヴァー。俺たちは無事です。しかし怪我人が……」

 

前に進まなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。