私のヒーロー   作:おいーも

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あなたの。

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

 

4日目は滞りなく終わった。

 

 

ステインが逃げた事、脳無が暴れたこと。

 

同じ時間、同じ場所で起こった出来事故に、どちらも敵連合が関わってる可能性があること。

 

 

一応公安には報告をした。

 

返ってきた返答は、ステインの動向を引き続き追え。

 

 

……無理なんだよなぁ……連絡取れるけど。

 

捕まってくださいって言う?アホくさ。

 

 

……次出そうな場所にはエンデヴァーがいるはずだし…ステインも悠長には出来ないだろう。

 

 

それとなく出そうなポイントは昨日エンデヴァーに伝えてある。

 

 

 

 

 

明日で最後の爆豪くんの実践訓練とパトロール。

 

 

 

昨日より幾分か静かな爆豪くん。自分なりに今色々噛み砕いてる最中だろう。

 

実践訓練でボコボコにされたあとも、色々考えているようだ。

 

そうやって頭を使いなさい。自分の出来ることと今するべきことをいくつもシュミレートして天秤にかけなさい。

 

それが経験になって身について、土台になって初めて機能するんだから。

 

戦闘だけじゃないわ。救助。救命。災害。全部に必要。

 

それがきっとヒーローとしての精神性を作っていくと思うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4日目最後の実践訓練。

 

 

 

「はい。10本目。今日はこれで終わりね。」

 

「……クソッ……」

 

 

 

血の糸を解いてやる。負け方は変わらないけど少しづつ。少しづつだけ攻撃の仕方を変えてきている。

 

それが機能してるのかしていないのか。それを理解するにはまだ経験が足りないだろう。

 

 

 

「じゃあ明日ね。最後の職場体験。頑張って。」

 

「明日の最後。」

 

 

ん?どうしたんだろう。

 

「明日の最後の実践訓練。あんたも本気で来てくれ。」

 

「…………本気?今も充分本気だけど。」

 

「違うだろ。絶対に何か隠し球がある。それを使って欲しい。」

 

へぇ……目敏いわね。分かられるようなことしてなかったはずだけど。

 

 

「……なんとなくだ。何となくわかった。今俺は手を抜かれてるって。それじゃダメだ。あんたも。轟も。デクも。オールマイトも全部超えないとナンバーワンヒーローにはなれない。そのためには明確な指標が欲しい。あんたを超えるために。」

 

 

その心意気やよし。

 

 

「………………いいわよ。校長とリカバリーガールの許可が出たらね。」

 

「!」

 

 

「明日は昼のパトロールから始めるわ。それまではしっかり英気を養いなさい。生半可な体調で来たら死ぬわよ。」

 

「…………わかった。」

 

 

 

……はぁ。本気かぁ……アレ出すと疲れるのよね。

 

 

校長に確認とってみようかしら。あとリカバリーガール。

 

 

 

 

 

……あっいいこと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。予定通り昼過ぎからのパトロール。

 

 

場所は保須だ。

 

 

一応色々見て周り、何事も無かったのを確認する。

 

 

昨日の夜エンデヴァーにそれとなくあの3人の処分について聞いてみた。

 

 

今回のステイン逃走はエンデヴァーのおかげで、緑谷出久、轟焦凍、飯田天哉の処分は無し。秘密裏にエンデヴァーとグラン・トリノ、インゲニウムに少しの処分が下されることになった。

 

 

 

……まぁ妥当か。公安と警察は今回の事件の真実を揉み消したって事なんだろう。そうでもしないと青少年の夢が閉ざされる。

 

って言うのと、件の青少年がいなかったら死人が出ていた可能性があったのも大きいだろう。

 

 

 

多分もうステインは保須には居ない。もう別の狩場を見つけているはず。

 

……はぁ。めんどくさいなぁ。一応私だけになっても1週間位は保須を回ってみようかな。

 

 

 

多分。

 

 

絶対。

 

 

居ないけどね。

 

とっとと誰かに捕まってくれ〜……私が血染くんを捕まえたくないんだよ〜。

 

 

私が捕まえちゃうと秘密裏に捕まえたことになっちゃうから、公安すげーで終わっちゃう。ニュースにでもなってくれないと……ステイン捜索隊とかできないかな?

 

……今のコンテンツと化したヒーロー社会にヒビを入れないとね。ヒーローはコンテンツじゃない。各々の仕事を全うしてこそ。

 

 

名声や富に釣られてるようじゃまだまだ3流。克己心と向上心。

 

 

 

 

ま。私は血染くんみたいなことしないんですけど。ちゃんと法に則って社会を変えますよ。

 

クーデターなんて社会に興味無い民は認めない。

 

 

ゆっくり

 

しっかり

 

ズブズブと。

 

 

遅効毒のように社会を変える。変えてみせる。

 

そのためのスパイスで血染くんとリ・デストロには頑張ってもらわないと。

 

頑張ってね。2人とも。

 

 

 

 

 

爆豪くんはなんだかんだ私の速度に着いてきて(まだ全然遅いが)、色々起こった保須でちょこちょこ気付いて自ら手伝いをしている。

 

……やっぱり自分で感じることもあったのかな?

 

 

 

今日の実践訓練次第だね。

 

……どうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パトロールも終わり、雄英高校に帰ってくる。

 

 

「おかえり。じゃあ訓練所に行ってて。私校長から鍵もらってくる。」

 

「うす。」

 

「……準備運動はしっかりしとくこと。柔軟もね。体もあっためといて。」

 

「……わかってる。」

 

「……じゃ。10分後に。」

 

 

 

 

 

私は校長室に顔を出す。

 

 

「校長。傷原です。」

 

「いいよ!入ってきて!」

 

「失礼します。」

 

 

ドアを開けると、オールマイトと根津校長がいる。

 

「……」

 

「傷原くん!露骨に嫌な顔しない!!それよりも今日、爆豪少年と本気の勝負をするって本当かい!?」

 

「はい。彼が要望したので。」

 

「HAHAHA!僕もOK出したのさ!過度な怪我が無いこと前提だけどね!」

 

「骨折、内臓破裂。死に繋がる怪我でなければ何をしてもいい。ただし限度はあり。という約束です。」

 

 

「し……しかし!であれば君はアレを使う予定なのだろう?私はともかく…まだ学生の爆豪少年につかうのは……」

 

 

「オールマイト。言って分からぬ事はやってみないと分からないんだよ。」

 

「……そういうことです。鍵を貰いに来ました。」

 

 

「いいよ!そこから勝手に取っていって!」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

校長室から鍵を借り、訓練所に向かう。

 

 

 

「…………。」

 

訓練所の目の前に爆豪くんがいる。身体は……充分準備できたかな?

 

 

「準備は出来た?」

 

「……うす。」

 

「じゃあ開けるね。」

 

 

ガチャ…

 

 

 

お互いに定位置。最近実践訓練のしすぎてある程度始める距離を決めていたものだがら、自然に身体に染み付いてしまった。

 

 

「……んー。よし。じゃあルールだけ決めよう。」

 

 

「ルール?」

 

 

「うん。いつもは10本先取だったけど、今回は『まいった』って言うまでやめないにしよう。」

 

「……負けを認めるまでってことかよ。」

 

 

「そう。怖い?」

 

「誰に物言ってんだ。俺は今日あんたを超える。」

 

威勢よし。

 

 

「じゃあ……みんなに見てもらおうね?」

 

「……は?」

 

 

「いえーい俺一番乗り〜!」

 

「えー!マジでするの?傷原先生!」

 

「……傷原先生の本気…少しだけ気になりますが……」

 

上鳴くん。芦戸さん。八百万さんといったA組の面々と

 

「B組も居るじゃん。なんで?」

 

「傷原先生とは入学式からの仲でね。色々お話聞いて貰ってんだ。」

 

「ん。」

 

拳藤さん。小大さん等、B組の子達。ちょっと少なめだけど。

 

 

「はっ!?なんで……コイツらが……」

 

 

ぞろぞろぞろと数人。10人くらいかな?早めに職場体験が終わった子達を連れてくるように校長には言っておいた。

 

一緒に校長とオールマイトも入ってくる。

 

 

 

 

爆豪くん。君の最後の訓練は、彼らの前で負けを認めることだよ。

 

 

「HAHAHA!大丈夫さ!あと30分もしたらリカバリーガール。も来るよ!」

 

「来るとはいえ……やはり私は……。本当にやるんだね?傷原くん。」

 

 

「もちろんです。彼の望みです。」

 

 

「やれやれ。爆豪少年!マズイと思ったら止めるからね!」

 

 

「あぁ!?うるせぇぞオールマイトォ!止めたら許さねぇからな!!」

 

 

 

「……やれやれ。それは君がアレを見たことがないから言えるんだ。」

 

うるさいですよ。オールマイト。心配性は時に成長を阻害する毒です。

 

 

 

 

「まぁ。外野がうるさいですが、ヒーロー活動をするのであればこれくらいは許容できなければ話になりません。」

 

「……そうだな。お前をここで負かせればいいだけだ。」

 

「そうですね。頑張ってください。」

 

「……準備運動はしなくていいのかよ。」

 

心配ですか?私が今までずっと言ってたことを覚えてないみたいですね。

 

 

「ヒーローたるもの、常に身体の準備は万全でなければなりませんよ未熟者さん。」

 

「…………。」

 

 

 

一触即発。空気がピリピリしてきた。

 

 

「じゃあ。とりあえず見せましょうか。私の本気。」

 

「……あぁ。いつでもいいぜ。」

 

 

 

私は指、太もも、首をコスチュームに付いてる棘で切りつける。

 

 

流れた血を操作して全身に纏う。まるで鎧のように。

 

 

絡めて。

 

固めて。

 

圧縮して。

 

コスチュームのシルエットがほぼ無くなった時。それは完成する。

 

中世ヨーロッパの甲冑のような血の鎧。

 

 

 

「!!」

 

「なに……アレ。」

 

「…血の鎧?…すげぇ!」

 

「かっこいい!」

 

そうでしょう。そうでしょう。私もそう思います。

 

 

 

「あれが傷原くんの隠し球。『エスコルチア』だ。」

 

「エスコルチア?……確か花菱草の別名でしたわよね?」

 

八百万さん。よく知ってるね。さすが博識少女だね!

 

 

「そうだね八百万少女。そして花言葉は……拒絶だ。」

 

「拒絶!?」

 

びっくりした芦戸さんに声をかける。

 

「私の技は基本的に花の名前ですが……意味はだいたい花言葉にちなんでます。これもその一例です。」

 

 

爆豪くんに向き直る。

 

 

「それじゃ……始めましょうか。爆豪くん。準備はいいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side爆豪勝己

 

 

 

赤い鎧。血で作ったらしいが……変わったのは今のところ見た目だけ。

 

 

「……いつでもこいやぁ!!!」

 

見ろ。

 

感じろ。

 

絶対に躱せる。

 

 

 

一撃ぶち込め。そこからが勝負だ。

 

いつもできない事をするな。出来ることで勝負をしろ!

 

 

「では。……」

 

 

すると赤い鎧の足……正確に言うとつま先部分が急に伸び、ブラッドロータスの身長が俺くらいに高くなる。

 

そのまま姿勢を低くして、少しだけ構えを取る。

 

 

 

「……これで。1本ですね?」

 

 

瞬時

 

 

 

俺の視界は

 

 

 

混濁し、

 

 

 

 

その後背中に感じた大きな衝撃で

 

 

 

 

 

俺の意識は暗闇に沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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