side傷原流水
「ごめんなさい。俺の負けです。」
爆豪くんの口から出た。やっと出せた言葉。
「気分はどう?」
「痛いです。身体も。心も。でも……」
始めてみる。無邪気な笑顔。
「悪い気はしねぇな。」
「「「爆豪〜!!!!!」」」
切島くん、瀬呂くん、上鳴くんが突撃する。
「お前そんな素直だったんか!知らんかった!」
「オイオイオイオイ!初めてじゃね?爆豪が人に謝ってるの?」
「すまねぇ爆豪!クソを下水で煮込んだような性格っつっちまって!悪かったと思ってる!今は……えーっと……何だ?」
「うぉいお前ら何だ急に!!いてぇから近付くんじゃねぇ!!」
「おい!切島、上鳴!爆豪保健室まで運んでやろうぜ!」
「「いいじゃん!」」
「は!?オイ!やめろお前ら!優しく運べやボゲ!!!」
神輿みたいに担がれてる爆豪くん。男子高校生って感じ。
「傷原先生!!こいつらどうにかしろ!!!」
「私疲れたからもう少ししたら行くね〜」
「「「ハーイ!」」」
「助けろやぁああああああああぁぁぁぁぁぁ……」
ワッショイ ワッショイ ワッショイ
もう一段仲良くなったかな?良かった良かった。身体張ったかいがあったね。
「流水さん。お疲れ様です。」
後ろから頭を撫でられる。
「およ?ありがとね被身子ちゃん。」
めっちゃ疲れたけど気分いいわ。
「傷原先生本当に強かったんだね!!もっかい見直した!」
「あの爆豪さんを改心させるなんて……本当にすごいですわ!」
「…………変わるもんだねぇ…あいつ。」
「そうですね。……これからの行動しだいですけど。」
少しだけ不安がってる。まぁ……
「変わるでしょ。」
「え?」
「彼。もっともっと強くなるよ。全員置いてかれないようにね?」
「……わかりました。もっと……もっと強くなります。」
「え!私も渡我に置いてかれないようにしなきゃ!」
「わたくしもです!」「あたしも!」
いい環境だね。雄英高校。……私の時もこんなだったらなぁ……。
「A組……凄いですね。」
「拳藤さん?……あなたたちも負けてられないよ?」
「当然。A組だけ目立たせる訳には行きません。」
「そうだよね。B組もすごい子いっぱいいるの知ってるから。胸を張って?」
「はい!皆!そろそろ解散だよ!早く帰ろう!」
「「「はーい」」」
拳藤さん、いいリーダーだな。これはいいヒーローになるね。
「傷原。そろそろ保健室行くよ。爆豪の治療だ。」
「はーい。じゃあA組のみんなもまたね?被身子ちゃんは……来る?」
「はい!彼女なので!」
そういうことじゃないんだけどなぁ……?
ほらB組の人ビックリしちゃったじゃん。
「はい。これで終わりだよ。あとは帰ってゆっくり休みな。」
「はい。ありがとうございます。」
感謝するようになったなぁ爆豪くん。
「………ありがとうございますねぇ……なんかムズムズ来るねぇ?」
「……。」
「ガハハハ!お前いつも頭下げるか『……アザス』で終わるから気味悪がられてるじゃねぇか!!」
「俺だって感謝する時はするわ!!」
「今日からな?今日から!ハハハハッ!」
「だーっっ!!うぜえうぜえ!近寄んなボケども!!」
「いやーんそんなこと言わないで爆豪ちゅわーん!私心配ちたんだからーん!」
「「ギャハハハハ!!」」
「黙れッ!!!!」BOM!
「保健室では……静かにね?」
ピシッ
「「「「ハイ。すみませんでした。」」」」
「……子供。」
「チッ……渡我。お前も……ありがとな。お前がいなかったら今の俺はなかった。」
「……あなたが感謝する時ムズムズするのでやめてください。」
「……ふん。ありがたく受け取ってろ。」
「…………。」
今やっと。ほんの少しだけ自分の殻を破ったんだね。
いやぁ……若い子の成長はいつ見てもいいものですな。
「じゃあみんな仲良く帰んなよ。」
「「「はーい!」」」
「うっぜ!近寄んな!」
「爆豪くん。さようなら。」
「……5日間ありがとうございました。」
うん。いい子になったね。
「……傷原。結果的にいい教育だった。……あまり褒められた教育じゃないけどね。」
「……無理矢理矯正した……って感じですね。まぁ……何とかなって良かったです。」
「おかげで流水さんとの時間が無くなって大変でしたけど。」
「被身子ちゃん……拗ねないでよ〜……」
「傷原。ちゃんとフォローしとくんだよ。」
「勿論。大切な彼女なので。」
帰り道。今日は被身子ちゃんと2人。
時刻は18時。まだスーパーやってるかな?
「流水さぁ〜ん。5日間疲れましたぁ〜。」
「頑張ったね被身子ちゃん。リカバリーガールも胸張ってたよ?」
腕を組んでくる被身子ちゃん。可愛いので頭を撫でてやる。
「えへへ〜……これでもっと役に立てちゃいますね?」
「そうだねぇ。素敵な彼女を持って私は幸せだよ。」
「……嬉しいです。幸せです。……こんなに貰っちゃっていいんですか?」
「もっともっとあげるから覚悟しな!」
「……はい。私もいつか絶対お返ししますね!」
「待ってる。」
「はい!」
家に着くまで沢山喋った。
職場体験のこと。リカバリーガールに教えられたこと。
楽しそうに話す被身子ちゃんを見ると私も楽しい。
ふと目に入ったハンバーガーショップで件の4人がわちゃわちゃしながら出てきたのを見た。
声はかけなかったけど、皆笑顔で幸せそうだった。青春だね。
…………私今こんなに幸せだよ。……ママ。
side赤黒血染
「……死柄木。誰なんだこいつらは。」
とあるBAR。敵連合に誘われた場所。呼び出しがあったから応じた。
カウンターテーブルにはいくつかの写真と書類がある。
紹介したのは…義爛か……?優秀なブローカーであることは間違いない。
「ステイン……敵連合に新たに入る奴らだ。今……先生が着々と準備をしてる。」
「…ハァ………俺は協力関係なだけだ。一緒にするな。」
「ヒーロー殺しステイン。これから敵連合は本格始動を始めます。そのための準備です。あなたにも協力して貰いたい。」
「……価値はあるのか。」
「価値?そんな陳腐なもので測るな。俺はこのヒーロー社会を覆すんだよ。」
「……ハァ。」
このザマだ。死柄木弔。敵連合のリーダーで……子供。
精神が子供のまま何も成長してない。黒霧の方がまだ話が出来る。
コレがリーダーで良いのか……?
「……ハァ。帰っていいか。」
「まぁまて。次の襲撃場所を伝える。」
「襲撃場所?……もう決まったのか?」
「あぁ。雄英体育祭を見た。……アイツは使える。敵の素質がある!!」
「…………結論を話せ。」
「林間学校だ。……雄英高校は夏、林間学校をするらしい。そこで襲撃。ターゲットを回収する。」
内通者でもいるのか。情報が的確だな。
「ターゲットは誰だ。」
「……爆豪勝己。これは確実に敵の卵だ。センスもいい。敵連合に入ったら即戦力間違いなし!」
…………ハァ……
ダメだ。やはり。
「……わかった。当日になったら伝えろ。」
「……当然だ。」
敵連合は……次で見限った方が良さそうだ。
side四ツ橋力也(リ・デストロ)
「スケプティック。どうだ。」
『あー……調べた結果やってる事はデカイけどまだまだ小悪党って感じですね。保須でもその……なんだ?脳無ってやつを使って事件起こしたみたいだ。』
ふむ。……敵連合。最近ニュースで名前を取り上げられつつある敵集団。雄英高校襲撃。保須事件。少し重点的に見るべきか。
「……傷原くんが嘘を言うとは考えにくい。多分彼らじゃない裏に……なにか強大な力が隠れているのだろう。」
『……。……何かいるのは間違いない。ただ何一つ情報が無いんですよね。……傷原サンの情報は信憑性が高い。多少信じてもいいんじゃないですか?』
「あぁ。……彼女は我々を利用しようとしているがそれもまた良し。少し動向を変えて彼女の言う通りゆっくりしっかり準備をしようじゃないか。もう1年くらいかけてみるか?」
『それもいいんじゃないです?従いますよ。リ・デストロ。』
「これは他の幹部と相談した方が良さそうだな。」
『そういえばキュリオスの奴最近見ないんですが何してるんですか?』
「あぁ!私が教えたカフェに入り浸って傷原くんを探しているらしい。」
『暇ですねぇ……』
「いいことでは無いか。何も起きずに力を蓄えれている。もっと強く。もっと先に。だ。」
まだ力を蓄えろ異能解放軍。その時が来るまで。
side傷原流水
夜。ベッドの上で。
「今日もかぁいかったです流水さん。」
「……ふん。そりゃどーも。」
「えぇ〜照れてるんですか?かぁいい♡」
「……もう。ありがとう。」
……最近被身子ちゃんがもっと腕を上げた気がする。これ私勝てるのなぁ……
「ふふふっ。……そういえば流水さん。明日休みですよね?……最近デート出来てないですね?」
「5日間の埋め合わせってこと?……しょうがないなぁ。」
「やった。お揃いで行きましょうね。」
抱きついてくる被身子ちゃん。もう……弱いなぁ私。
「いいよ。連れていきたいカフェもあったからちょうどいいわ。」
「え?いいんですか!楽しみ〜。」
明日くらいゆっくりしたかったが、可愛い彼女の頼みだ。断れない。
「……流水さん……もう1回……ダメですか?」
「…………いいよ?おいで。」
「ふふっ……好き。流水さん。愛してる。」
「私も。被身子ちゃん。愛してる。」
今日の夜も長そうだ。