side渡我被身子
今は八百万先生の授業中。さっき軽くテストをしてみんなの分からないところをある程度あぶり出し、午前中はそこを重点的にするようだ。
私と蛙吹……梅雨ちゃんは今普通に勉強してる。
「ケロ…被身子ちゃん。ここって……。」
「あぁ……そこ難しいよね。そこはね……。」
二人で教え合ったりしながら有意義な時間を過ごせた。
…場所が場所じゃなければ。
こんな長ーいテーブル初めて見たんだけど。何人座れるの???
私達邪魔にならないように反対側に座ってるけど……本当に長い。八百万ちゃんの声聞こえないもん。授業してるよね?
部屋も綺麗だし広いし……なんかソワソワする。
「どうかしたの?被身子ちゃん。」
「いや……色々規格外すぎてソワソワするんですよね……。」
「……わかるわ。なんて言うか……色々凄いわよね。」
「うん。……すごい以外の語彙力が無いのが残念だけど……凄いよね。」
にしても梅雨ちゃん教えるの上手いなぁ……先生とか向いてそう。
お昼ご飯も凄く凄いものを食べて、午後の勉強。
3人は少し遠間から皆が分からないところをワンツーマンで教える形だ。
かくいう私は……
「渡我〜ここわかんなーい。」
「はいはい。芦戸ちゃんちょっと待ってくださいね。」
「渡我ちゃーん!教えてー。」
「葉隠ちゃん?さっき教えて……ちょっと今芦戸ちゃん教えてるからちょっと待ってくださいね?」
大☆変☆
八百万ちゃんも今ウロウロしながら教えてるし、その補佐みたいな感じで梅雨ちゃんも動いてるから、私基本的にこのふたりに付きっきりになってる。
教えたらわかってくれるんだけど教えるところが多い!……先生って大変だなぁ……。流水さんが最初私を教える時ってこんな感じだったのかなぁ……。
「「渡我〜。」ちゃ〜ん。」
「私二人にはなれないので同時に呼ばないで貰えます!?」
「なんか渡我大変そうだな。」
「……渡我さんと蛙吹さんを呼んで良かったです。」
「ケロケロ…百ちゃん。英断ね。」
「これも渡我に課せられた試練か……。」
「……南無三。渡我。」
夜。
「渡我さん。今日はありがとうございました。」
「ううん。大丈夫だよ。明日もよろしくね?」
嘘。めちゃくちゃ疲れた。結局午後は自分の勉強まったくできなかった……教えることが勉強になってるならめっちゃした。
「はい。ですが、おふたりを任せてしまって……」
「いいんです。頼られてるのは悪い気はしませんから。」
「渡我さん……本当にありがとうございます。」
「うん。八百万ちゃんも自分の勉強出来てなかったみたいだけど大丈夫?私に負けちゃうよ?」
「そんなヤワな鍛え方してませんので。安心してかかってきてくださいな!」
「ふふっ。楽しみ。……また明日ね?」
「はい。同じ時間にお迎えに上がるので!」
「ただいま帰りました〜……」
「おかえり〜。大変だったでしょ?」
パタパタと小走りで、流水さんがエプロン姿で出迎えてくれる。
新婚さんみたいですね?
「あれ?流水さん早いですね?」
最近忙しそうにしてる流水さん。いつも帰ってくるのが遅かったから、今日もそんなもんだと思っていたけど……。
「ちょっとだけ進展してね?あとは警察の方々が頑張ってくれるって。」
「それじゃ……」
「お仕事忙しい期間は一旦終了かな〜。」
「わーい!これでいっぱい流水さんとの時間とれますね!!」
思わず流水さんに抱きつく。
「わわっ……もう!明日も早いんでしょ?早くご飯とお風呂行ってらっしゃい?」
「一緒がいいです!」
「……わかった。甘えん坊ちゃんね?」
撫でてくれる手のひらと優しい声色。
流水さんのこと好きだなぁ。毎日好きになる。
「嬉しいです!今日のご飯何ですか?」
「今日は暑かったから冷やし中華作ったわ!具だくさんだから食べ応えあるわよ!」
「夏場ですからね!いっぱい食べないと!」
「被身子ちゃんの好きなトマト多めだからね!」
毎年。毎日。毎秒。流水さんを愛してる。
小さくて強いひと。
きっと横に立って一緒に戦える日が来ると信じて。
いつか私の特等席にします。
絶対に。
「……早く寝るんじゃなかったの?」
「デザート頂いてないので。」
「もーっ!!!早く寝なさーい!!」
「いただきます♪」
今日も夜はふけていく。
私達二人を隠すように。
おはようございます。朝です。
私は暑い中八百万邸に向かってます。
ちゅー……
輸血パックを吸いながら。
最近は外で血を吸うことにあまり拒否感が無くなってきました。
これもクラスのみんなのおかげ……影響が大きいですけど。
私が輸血パック吸ってても何も言いませんからね?……寛容すぎる。
時々好奇の目線を向けられますけど気にならなくなりました。
精神的にも成長出来てるんですかね?……このきっかけをくれたのも流水さん。
……お返し……何年かかるんでしょう。
「あっ渡我来た!!」
「おーい渡我ちゃーん!」
芦戸ちゃん?葉隠ちゃん?
そういえば彼女たちはお泊まりでしたか……。
八百万ちゃんがいると思ってましたが……
「ぷはっ……あれ!?みなさんでお出迎えですか?」
「いや。私達だけ!」
「へっへっへー。今日も頼りにしてますよ姉さん!」
押しつけに来たって事ね。……八百万ちゃんと梅雨ちゃんの顔が思い浮かびますね。大変だったんだろうなぁ……。
「……そーいう事ね。わかりました。どんと来なさい。」
「「やったー!!!」」
「私が来るまでに何もしなかったんですか?」
「何回かテストと勉強したよ〜。点数上がってた!」
「私はぼちぼちかなぁ……もっと頑張らなきゃ!」
今日はみんなで勉強……なんだけど、耳郎ちゃんと尾白くんも先生側に回って、昨日勉強できなかった私達の勉強時間をある程度確保しようという方針らしい。
なんかふたりとも昨日の段階である程度分からないところは頭に入って、特に目立って困るところは無くなったらしい。さすが雄英生……。
かくいう私もあまり困ってるところは無いんですが……いや……
「渡我〜ここは〜?」
「渡我ちゃーん!教えて〜。」
現在進行形で居ましたね。
「2人とも渡我以外を頼れよ。」
尾白くん……そうなんですよね?
「……なんでだろうね?渡我ばっか頼ってるよ!」
「本当だ〜不思議〜……」
「…………渡我も大変だなぁ…」
「大丈夫ですよ瀬呂くん。なんだかんだ楽しいので。」
「ですが……渡我さんの勉強が……」
「ふっふっふ。流水さんがお仕事ひと段落ついたらしくて……帰ってから私はパワーレベリングなのです!」
「パワー……レベリ……ング?」
八百万ちゃんお嬢様だから伝わらなかったかな?ごめんね?
「ヤオモモ。すごい短期間で強くなるってことだよ。」
「そりゃ……傷原先生勉強できそうだもんな。よくB組の生徒を保健室で勉強おしえてるの見るよ。」
え?聞いてないですけど。
「確かに。保健室よったらいるよな!B組の……えーっと……角取と柳じゃなかったか?」
知らないですけど。
「まぁ雄英の勉強難しいからな。しょうがない気もするけど。」
「瀬呂!尾白!渡我がマズイ!!」
「……キイテナイ……シラナイ……キイテナイ…」
「やっべ!渡我!今は帰ってこい!!」
「渡我ちゃーん!!帰ってきて勉強教えてーー!!!」
「……お騒がせしました。(ちゅー」
美味しい。流水さんの味。
「輸血パックあってよかった……。」
「その輸血パックの血って確か……」
「傷原先生の血だったはずよね?」
「なるほど……そりゃ落ち着くか。」
「久しぶりに見ましたね。渡我さんの発作。」
「最近傷原先生忙しそうだったもんな。時間取れねぇのかな?」
「でも輸血パックあと三つくらいあったから多分もつよ。……多分。」
「それはそうと……」
「渡我〜……教えて〜……」
「はいはい。芦戸ちゃん……えーっと?ここはですね。」
「渡我ちゃーん……助けて〜……」
「葉隠ちゃん?大丈夫ですか?……ここはさっきの公式を……」
「……こうみると…」
「うん。なんて言うか……」
「「母親味があるね。」」
「そこ。くだらないこと言ってないでとっととやる。常闇を見習って。」
「蛙吹。ここはこれで合っているのか?」
「梅雨ちゃんって呼んで?……合ってるわ。常闇ちゃん。」
「助かる。……蛙吹。」
「やべぇ俺も勉強しないと。古文がまだヤベェんだよな。」
「ちょっとあたし渡我のフォロー回ってくる。」
「じゃあ瀬呂は俺が見るよ。わかんないのどこ?」
「何か困ったらいつでも言ってきてくださいね?」
「「「はーい!」」」
楽しかった勉強会も終わり、運命の期末試験の日。
みんな……頑張ろう!