私のヒーロー   作:おいーも

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足音

 

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

少し日が経って。いつもの日課……というか月1だから月課……って言えばいいのか。

 

私はタルタロスに来ていた。

 

 

対個性最高警備特殊拘置所……個性による特性、及びそれに付随する本人の特徴などで重大犯罪を犯した人が収監される場所。……いわゆる終身刑限定刑務所みたいなものだ。1度捕まると二度と陽の光を見れない。……基本的には。

 

 

 

私がここに来た理由は面会。……主に公安がしでかした最悪の事件の……被害者と会いに来た。

 

 

ここ正式な手続きをいくつも踏まないと来れないから月一で来るの大変なんですよね。……私のコネコネを結構使っても時間かかります。

 

 

 

「こちらです。面会時間は……」

 

「知ってるので大丈夫ですよ〜。」

 

「……そうですよね。それではどうぞ。」

 

もう刑務官の顔覚えちゃったし覚えられた。あまり仲良くしてくれる雰囲気はなさそうだけど。

 

 

ガチャ

 

 

面会室のアクリル板を通して……青紫とピンクのツートンカラーの女性が私に笑いかける。

 

 

「……もう1ヶ月経ったかい?」

 

「そうですね。……ちょっと遅れましたけど。」

 

「いいよ。こんな可愛い子が会いに来てくれるなら儲けもんだ。」

 

私は頭を下げる。

 

「……公安が本当に申し訳ありません。」

 

「……いつも謝るね?本当に。あんたが悪い訳じゃないのにさ?」

 

「……謝っておかないと行けません。これは使命感です。」

 

「……律儀だねぇ?」

 

 

筒美 火伊那(つつみかいな)…通称レディナガン……公安所属のプロヒーローでありながら仲間のプロヒーローを殺害した……重大犯罪者。……と資料には書いてあった。

 

その程度でタルタロスに入るのか……とも思ったけど。まぁ……聞いてる限り実際のところは違いますね。

 

当時の公安委員会会長殺害……すごいことしたもんですね。……まぁ7割くらいこっちが悪いんですけど。

 

 

「それよりも。流水ちゃんは今日も可愛いね?お姉さん何もしないからここから出してくれない?」

 

「それとこれとは話が別です。一応犯罪を犯しているので私の力だけじゃどうしようもないです。……私が可愛いのは認めます。」

 

「……ハァ……公安にこんな可愛い子が入ってくるなら犯罪なんて犯すんじゃ無かったよ。」

 

「あの時はあなたも精神状態がおかしく、判断能力が低下していたのでしょうがないです。公安が悪いので責任転嫁しちゃって大丈夫ですよ。」

 

「……まぁでも殺人したのは本当だしねぇ。」

 

「公安委員会会長を……ですよね?……まぁあの当時腐ってたと聞きましたので一周まわって良かったんじゃないですか?」

 

「はっはっは……公安所属のヒーローが言っていいセリフじゃないね!…そういえば…もう1人居るんだっけ?」

 

「居ますね。基本的には彼が表立って活動して……私は裏です。……裏と言っても貴方がしていた事の後釜ですけど。」

 

「こんな可愛い子にそんなことさせるなんて……させないといけない社会か。」

 

「自ら立候補しました。……これに関しては公安は何も悪くないですね。」

 

「ふぅ〜ん?物好きだねぇ?」

 

 

最近やっとお話してくれるようになったレディナガン。ここまで漕ぎ着けるの大変だった。最初はもう私殺されるんじゃないか見たいな顔されてたから。何回も何回も面会に来てやっとこれ……本当に頑張った。

 

 

 

私には彼女と面会しなくてはならない理由がある。

 

公安や社会が彼女のことを見捨てても、私は見捨ててないという社会への希望を持たせること。

 

良くないことをした彼女だが、本質はヒーロー社会の浄化。私と同じ。であれば……同士を捨てることは出来ないでしょう?

 

 

「なんか少し疲れてないかい?」

 

「おや?わかります?」

 

「何度も会ってるからね。それに……少なからず洞察力は落ちてないよ。」

 

「流石です。」

 

「褒めても何も出ないよ。それで?何があったのさ。」

 

「……最近敵活動が活発化してまして。それと……彼女が出来たのでその都合もあるかもしれません。」

 

「彼女!あんたに!?……いやぁ……生きてみるもんだね。……可愛いかい?」

 

レディナガン……表情豊かで喋ってて飽きないんですよね。だから毎月来れてるって話でもあります。

 

「ええ。とっても。」

 

「惚気てるねぇ……いいねぇ。……っとそろそろ時間かな?」

 

 

「……そうですね。楽しい時間は短いです。」

 

「……ありがとね。こんなおばさんに構ってくれて。」

 

「おばさん?私の目の前にいるのは麗しいお姉さんですけど?」

 

「はっはっは。お世辞も本当に上手いね。ありがとう。また1ヶ月後かな?」

 

「そうですね。それではまた1ヶ月後に。」

 

 

手を振られたのでこちらも振り返す。拘束具付きなのが痛ましい。

 

ガチャ

 

「…………。」

 

 

公安でも……こんな闇を抱えている。

 

 

そのために彼を作った……と言っていたが…実際のところ彼は優秀だ。

 

だが彼とはソリが合わない。

 

 

 

私は私のヒーロー活動をする。公安に縛られない。

 

…………レディナガン。彼女の感情を察するにはあまりあります。どうにかしてあげたいですけど。

 

 

現状は無理ですね。

 

社会に殺されたヒーロー。どうにかならないモノですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別日。

 

「そういえば傷原先生。林間合宿には行くんですよね?」

 

保健室。夏休みも間近とされる今日。相澤先生が私を尋ねてきた。

 

「はい。被身子ちゃんのこともありますし……警備強化の面もあります。……それ以外に……少し頼まれていることもあるんですけど。」

 

「頼まれていること?」

 

「そうです。敵連合が内通者を使っている場合……まぁ相澤先生では無いでしょうけど。……もし生徒にいた場合。林間合宿も襲撃があると見ていいです。」

 

「オールマイト先生が居ないのにですか?」

 

「はい。用心に越したことは無いです。なので何かあった時用に、林間合宿中私はみんなから隠れて行動します。」

 

「……なるほど。内通者に頭数に数えさせないと……。では皆に伝えなくても良いという事ですね?」

 

「あっ出来れば参加するプロヒーローの方には言っておいてくれると嬉しいです。何かあった時連携が取りやすいので。」

 

もし……先生かヒーローの中に内通者が居るなら……私の徘徊している近くに敵が配置されてもおかしくないですからね?

 

「わかりました。そういうふうにしておきます。」

 

 

そういえば聞いておかないといけないことが……

 

「誰が来るんです?プロヒーロー。」

 

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのみなさんです。」

 

ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!……チャート上位のヒーロー。マンダレイとピクシーボブ、虎、ラグドールのチームヒーロー。学生時代の仲良し4人組で組んだんでしたっけ?個性も強力でヒーロー活動も積極的に行われている……頼りになるみなさんです。

 

……面識は無いですけど。

 

「ほぇー!豪華ですね!……よく了承してくれましたね?」

 

「根津校長が掛け合ったら二つ返事で了解してくれたらしいです。」

 

「あー……あの人凄いですからね。……ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの人達が居ればある程度は大丈夫そうですね。後相澤先生とブラド先生も居るんですよね?」

 

「はい。敵連合が前回と同じならある程度は対処可能かと。」

 

懸念。最悪の事態。

 

「…………どうでしょう。」

 

「……傷原先生?」

 

「まだ確信は持てませんけど……敵連合も、もしかしたら凄い勢力になってそうです。」

 

「……なんだと?」

 

 

「……確定事項じゃないのであまり話してはいけないんですけど……警戒しておいて下さい。常に。何かあればすぐスイッチを押してください。隠れてる暇などありませんので。」

 

「……わかりました。皆にも伝えます。」

 

頼みますよ。相澤先生。

 

 

 

最近神野で凶悪犯罪者の目撃情報が少しだけ増えている。

 

 

もしかしたら。敵連合となに関わりがあるのではないか……と警察の方と連携してパトロールしているが……あまりいい成果が得られていない現状。

 

この水面下でなにか動いている……得体の知れない感じ。

 

海洋恐怖症ではないが……この恐怖は筆舌に尽くし難い。

 

 

 

何も無ければいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別日。

 

今日の被身子ちゃんは、皆で林間合宿用のモノを買いに行くんだと。

 

私は休みなのでお家待機。

 

晩御飯の仕込みは終わったから何をするでもなくゆっくりテレビを見ている。

 

「ふぁ〜……眠い。」

 

最近色々あったからか……こういう休みの日は寝てることが多い。寝るって……幸せ。

 

もう一寝入りしようかなぁ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrrr…

 

へぁっ……寝てた?……電話?……誰

 

「被身子ちゃん?」

 

ピッ

 

 

「もしもーし。あなたの流水さんだよ〜。」

 

『流水さん……死柄木弔が……緑谷君に接触しました。』

 

「……は?」

 

眠気なんて吹っ飛んじゃうよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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