side渡我被身子
今日はみんなと一緒にショッピングモールで林間合宿のための買い物です。
……何買うんでしょうね?虫刺されの薬とか日焼け止めとか?……あと色々衣類も欲しいですかね?
衣類はあるもので良さそうですけど……そういう訳には行かないのが女の子ってやつでしょうか。
男子も全員参加。クラス全員で休みの日にお出かけって今まで無かったのでワクワクします。
ショッピングモールに到着、合流時間を決めて皆で散開。
私は必要な買い物を終えてひとりでウロウロしていると、芦戸ちゃんと葉隠ちゃんに声をかけられた。
「渡我〜一緒に回らない?」
「1人より3人の方が楽しいよ〜。」
「ふふっ。そうですね?回りましょうか。」
2人の話を聞いてると、どうやら
「勉強会で助けてくれたから!お詫び!」
らしい。何がお詫びか分からないけどついて行くことにする。
「そういえば渡我……ずっとそのブレスレット付けてるね?」
「はい。初めて流水さんから貰ったプレゼントなので。」
「うわーっ!大事なものじゃん!」
「いいなぁ〜私も恋したーい!……私の酸でちょっと溶かしても許してくれる人居ないかなぁ?」
特殊ですね?
「そういえば葉隠ちゃんはだいぶ尾白くんといい感じだけど……どうなんですか?」
「えっ!?尾白くん!?……な…なんもないよ!仲良しってだけ!!」
「えっそうなの葉隠!知らないんだけど!!教えろ〜!!」
「ないないない!!何もなーい!!!もーーっ!渡我ちゃーん!?」
「わっ怒った。図星ですか?」
「うがーっ!そんなんじゃないやーい!!」
姿が見えないけど腕をブンブンしてるのがわかる。かぁいいですねぇ。
「それよりも!渡我ちゃんに何か買ってあげるんでしょ!!」
「あっそうだった。渡我は何か欲しいものある?」
「えぇ〜?欲しいものですか?……流水さん……ですかね?」
「もーっ!無理じゃん!!!」
「ふふっ冗談ですよ?これは……いずれ自分で手に入れます。……じゃあ……A組女子皆でお揃いのスマホのストラップとかどうですか?」
「えーーっいいじゃーん!選ぼ選ぼ!!」
「私もお金出しますね?」
「みんな喜ぶぞ〜!!」
「これいいんじゃないですか?ビーズで可愛い。」
「水の生き物?いいじゃん!みんなのイメージ似合うやつあるかなぁ?」
何となくでみんなのモノを選んだ。とりあえず人数分買ってみんなに選んでもらおうって話になった。
「いい買い物した〜!こういうのが楽しいね!」
「そろそろ時間じゃない?一旦合流しようよ。」
「そうですね。皆待ってるかもしれませんし。」
合流場所に着くと……緑谷君と麗日さん……それに警察!?少し空気がガヤガヤしてる。
「緑谷!麗日!何があったの!?」
「芦戸ちゃん!……敵連合が……死柄木弔がデクくんに……。」
死柄木……弔……!?こんな場所に!?
「緑谷に!?無事なの!?」
「う……うん。何とか。」
「ちょっと待ってください。流水さんに連絡します。」
「助かる!公安ヒーロー!!」
「それ流水さんが口外してないのであまり大声で喋らないでください。」
prrrrr…
ピッ
『もしもーし。あなたの流水さんだよ〜。』
完全に寝起きの声だ……かぁいい。
いや!今はそんなことよりも!!
「流水さん……死柄木弔が……緑谷君に接触しました。」
『……は?…………場所は?時間は。周りに人はいた?』
急に仕事スイッチが入る流水さんに少しキュンとしながらも情報を教える。
「場所は……」
20分くらいで流水(ヒーローコスチューム)さん到着。警察に掛け合って操作の協力と情報伝達を行ってた。
その間緑谷君は警察の取り調べ。
皆で買い物する雰囲気じゃなくなってしまった。
A組女子達で駅に向かう。
現地解散になったけど何となく皆で集まった。
「もーーーっ!!本当にイライラする!敵連合!!」
「そうですわね……そんなことが起こってるなんて……。」
「麗日が行かなかったら緑谷がもっと大変だったかもね。やるじゃん。麗日。」
「わっ……私は別に……デクくんが1人だったから誘おうと思っただけで……こんなことになるなんて……。」
「でもその後きちんと警察を呼んでたじゃない。立派だわお茶子ちゃん。」
「そう……だといいな。」
この空気。なんかやだな。……そうだ。
「……芦戸ちゃん。葉隠ちゃん。」
「何?渡我?」
「今ここで渡しちゃいません?」
「「「「?」」」」
「そうだね!こんな空気おさらばだ!!」
「よーし!みんなみんな!見てみて〜!じゃじゃーん!」
「可愛い!」
「なにこれ?買ったの?」
「そうだよ!渡我ちゃんに先生やってくれたお礼……だったんだけど、みんなの分も買っちゃおうってなったんだ!」
「そうなの。ありがとう。被身子ちゃん。」
「御三方はもう選ばれたのですか?」
「こういうのは〜渡我ちゃんから選ぶのが普通だよね!」
「えっ?私ですか?……余り物で良かったんですが……。」
「ダメダメ!私たちのお礼なんだから!渡我から選ぶの!」
そう言われると……うーん……どれにしましょう。……あっ
私はひとつのストラップを手に取る。
「これがいいです。」
「チョウチンアンコウ……?何となくで入れたけどそれでいいの?」
「独特な趣味をお持ちですのね?」
「チョウチンアンコウ……いいじゃないですか。餌で釣って……獲物をパクッと……ふふっ。」
流水さん……逃がしませんよ?
「……愛かな?」
「……愛なんじゃない?」
「その判定は何なんですか?」
「じゃあ次は……」
みんなが思い思いのモノを選んでいく。
麗日ちゃんがクラゲ。芦戸ちゃんがウミウシ。梅雨ちゃんがカエル。葉隠ちゃんがカクレクマノミ。耳郎ちゃんがイルカ。八百万ちゃんがタコ。よくもまぁこんな種類あるもんですね。
「梅雨ちゃん……カエルでいいの?」
「大丈夫よ。私カエル好きだから。」
「ありがとう3人とも!これでみんな仲良しだね!」
「そうですわね!お揃い……こんなこと初めてです!!」
「う……うん。皆でいっぱい作っていこうね!」
「はい!」
お嬢様だからあまりこういうものの経験が無いのかな?
皆でいっぱい思い出作れたらいいですね。
side傷原流水
「はぁ……何も進展なし。……。」
事情聴取。監視カメラの映像。目撃情報。洗いざらい目を通したが何も情報がなかった。
死柄木弔は……緑谷出久と別れたあと、路地裏に入り……消えた。黒霧のせいだろう。厄介だ。
明日からこの辺りに敵連合組織があるかもと、パトロールの強化と監視カメラの確認が待っている。
嫌な考察が出来た。出来てしまった。もしかして……
「…ズズ……そうだと…やだなぁ…。」
私が警察署でコーヒーを飲んでいると…
「傷原先生!緑谷は!」
切島くん……だけじゃなくてA組の男の子たち。
「あれ?皆さん……そういえば今日はみなさんで揃って買い物してたんでしたっけ?……多分緑谷くんは無事ですよ。」
「良かったぁ……。」
「死柄木弔に接触されたと聞いて……みんなで来たんです。無事であれば良かった。」
「ロクな事しねぇな?敵連合ってやつは。せっかくの休みが最悪だぜ?」
「……せっかくの女子との休日が……くそっくそっ。」
「お前って本当ブレねぇのな。」
「……何の目的で接触したのかが不明だ。緑谷目的……?そんなことあるのか?」
思い思いのことを口にする皆。そりゃそうだよね。クラスの仲間が敵と接触したんだもん。何も無くても心配だよ。
「現状はわからないです。……ですが何か害する気はあまりなかったかと……。」
「緑谷が何かしたとか?」
「……出久はこういう時は何もしねぇ。状況判断だけは出来るやつだ。……何か情報でも引き出そうとしたんだろ。」
「……そうです。彼は何もしませんでした。だから被害が無かったとも言えます。」
ただ……本当に謎だ。会話内容も聞いたが……強さを自慢する……見せびらかす子供のような不安定さ。精神年齢と肉体年齢の乖離。明らかに異常だ。
「……ていうわけなので。みなさんは安心して帰っていいですよ。私は緑谷くんのお母様が来られるまで待っているだけなので。」
「そーなんすね!……挨拶しときてぇけどあんまり迷惑になるのもアレだしな。帰るか!」
「先生!緑谷の母さんに俺たちの分までよろしく言っといてください!」
「わかりました。気をつけて帰ってくださいね?」
「さぁ!皆!警察官の皆さんの邪魔になるぞ!外は暗くなってきてる!事故に気をつけて!なるべく早く帰ろう!」
「俺と女子のランデブーがぁああああ!!!」
「峰田。お前女の先生の前で言ってるの自覚あるか?」
「サーセン。傷原先生。出久のこと頼んます。」
「はい。皆さんさようなら。任せてください。」
ぞろぞろとA組男子は帰っていった。
……休日に。あえて休日に。まるで皆がショッピングモールに行ったことを知っていたかのように。
……
「A組生徒の……中か。」
あまり……疑いたくはないね。