side渡我被身子
合宿3日目です。
なんか緑谷出久に避けられてる気がします。
ざまぁみろですね。
乙女の恋心をつついた罰です。
「オイ渡我。」
「はい?どうしました?爆豪くん。」
ちょっとしたお昼休憩。ご飯を食べていざ午後の訓練……て時に爆豪くんに声をかけられました。
「昨日のアレ…なんだ。」
「アレとは?」
「出久と話してただろ。」
あー……聞かれてました?誰もいないと思ったんですけど。
少し警戒。
「……なんですか?私の普通なので放っておいてください。」
「あ?何言ってんだ。それじゃねぇよ。お前の色恋沙汰に興味ねぇよ。……最後の方言ってただろ。」
この人はこういう人なんでした。ほんと……性格だけなんですよねぇ……もう少し言葉遣いも直せば……
最後の方……?あー……
「……個性の話です?」
「……。」(コクン)
無言で頷く。聞かれたくない話。他人の個性事情なんて下手につつけないですよね。
「あー……とある方と流水さんが顔見知りで……デートしてる時に偶然会ってお話されてたんですよ。その場に緑谷君が居たんですよね。……まだ雄英高校入学前なので面識はほぼ0ですけど。その時の会話内容でなんとなく察しました。あとは……個性が体に合ってない……ってリカバリガールが何度もボヤいてたのを聞いてましたし。急に高校生で個性を持つのもおかしな話ですけど…無いことも無いのかなと…カマかけた感じです。」
「……やっぱり…いや……でも。」
「……どうしました?」
「いや。なんでもねぇ。ありがとう。」
爆豪くんは何か思い詰めた様子で去っていく。
幼馴染にしか分からない何かがあるんですかね?……私には分かりませんけど。
そういえば…なんか頭痛いの慣れてきましたね。訓練のおかげでしょうか。
個性いっぱい使うの大事ですね。……次のトレーニングからもっと使っていきましょうか。
あと……なんか今日の夜はオリエンテーションがあるらしいです。肝試し?よくわかんないですけど。
……怖い系であまりびっくりしたこと無いんですよね。まぁ基本的に映画なんですけど。それよりも血に目が言っちゃいます。
流水さんは全部怖がってくれるのですごーーーく役得です。
またホラー映画一緒に見たいです。頼んだら見てくれますかね?
「……アレ?」
吸血パック増えてる。……こんなにあったっけ?
パキッ……ぢゅっ
「……流水さんの血だ。……新しい?」
相澤先生なら何か知ってるかも。
「ん?吸血パックが増えてた?」
「はい。何か知ってるかもって思って。」
「……。俺も知らん。」
「えっ!?じゃあこれ誰が増やしたんですか!?」
相澤先生のため息。……え?何?
「……。心当たりはある。ちょっと探ってみよう。」
「あ、ハイ。ありがとう…ございます。」
「訓練に戻れ。」
「はい。」
みんなの地獄風景を尻目に訓練場に戻る。
うーん……誰なんでしょう。相澤先生じゃないとなると……本当にピンと来ませんね?
もっと……こう……他に流水さんと仲いい人……居ましたっけ?
……そろそろ血だけじゃなくて……流水さんが欲しくなってきました。禁断症状です。流水ニウムが足りない。
あー……流水さんをあの手この手で滅茶苦茶にして……ドロドロのネチョネチョのツルt……
っ!?
今っ!誰か見てた!?木の裏……あれ?あの服装……
私は駆け出す。今見えた姿は。絶対に。
「流水さ……あれ?」
いない。誰も。
「……幻覚でしょうか。……流水さん欠乏症です。重大な疾患です。流水さん病院に入院しないといけないです。」
とぼとぼと自分の訓練場に足を運ぶ。
はぁ……私ってこんなに我慢の効かない人間だったんですね。
嫌な気持ちになります。
それとこれとは話が別なので……しっかり訓練はしないと。
切り替え切り替え。あと半日。頑張りましょう。
「「「「肝を試すぞーーーーっ!!!」」」」
「お前らは補習だ。」
「「「「ええええっ!!!!」」」」
夜。肝試しの時間。
相澤先生に引っ張られて連れていかれた補習組。南無三。
なんでも日中の訓練に身が入ってなかった模様。
うーん……お疲れ様です。
それはそれとして肝試しの組み分け。
何とトップバッターです。私と障子くん。
爆豪くん・轟くん
耳郎ちゃん・葉隠ちゃん
八百万ちゃん・青山くん
麗日ちゃん・梅雨ちゃん先輩
尾白くん・峰田くん
飯田くん・口田くん
緑谷君・常闇くん
となりました。偶数で良かったですね。
爆豪くんが文句言ってましたけど……可哀想に。
そんなこんなで肝試しスタート。
B組が驚かせる側なんですが……どちらも無反応でつまらなさそうです。ごめんなさい。
「渡我!もっと驚いてよ!!」
「あっ拳藤ちゃん!頑張ってくださいね〜!」
「そうじゃなくて!!……もう!」
「拳藤がタジタジだ……すげぇ」
「B組の委員長とも仲良いのか。」
「まぁ……成り行きで?」
「それよりも…ありがとう渡我。…傷原先生と話してみてわかった。あの人は偉大だ。……世間に名が知られてないのがおかしいくらいに。」
お話出来たんですね。良かったです。……それよりも
「……!!そうですよね!そうなんですよ!!……本人がメディア露出を控えてるのはそうなんですけど……もうちょっと世間は流水さんを知ってていいと思うんですよね!」
「あぁ。……あそこまで個性差別…そして個性問題に関わってるヒーローも少ない。見習いたいものだ。」
ちょっと引いてます?熱量凄すぎましたかね?
「うんうん。頑張ってくださいね!障子君なら出来ますよ!」
「そっ……そうだろうか。…なら…まずは自分の出来ることを増やすのが課題だな。」
「おっ……現実主義ですね。」
どこぞの誰かと違って現実主義……これですよこれ。夢見すぎなんです。
「ああ。今の何も実績のない学生が声を上げた所で……って話だしな。ヒーローとして活動する上で……延長線で差別問題に取り組んでいきたい。」
「……立派ですねぇ。眩しいです。」
「そんな事言われたのは初めてだな。少し照れる。」
「私は流水さんのモノですよ?」
「知っている。そういうものにうつつを抜かせる立場でもないしな。」
「?どういう……っ!?危ない!!!」
無数の刃!?無意識に障子くんを押す。
ジャキジャキジャキン!
「っつぅっ……」
「何が……渡我!?」
「だ……大丈夫です。少し切られたくらいなので……。」
腕……太もも……脇腹。出血は多くない。けど……的確だった。
ガサガサ……
暗闇から出てきた人……
「肉……肉!……肉見せて?」
全身真っ黒……ベルトで縛られてる……変態と言わざるを得ない服装。何故か口だけ全開。何この人……
「この人……もしや敵……」
「何?敵?……なんでこんな所に……。」
確実に……確実に障子くんを殺しに来ていた。殺意。
ヒリヒリ肌を刺激する……師匠以来の殺意。人を殺したことのある人が出す……独特な気。……久しぶり。
「……障子くん。応援を呼んで来てください。」
「……渡我は?……まさか。」
「ええ。そのまさかです。この人を足止めします。」
「……無茶だ!二人で爆豪と轟を待てば……」
「2人ともここで情報を何も渡せずに脱落が1番ダメです。どちらかが残らなくてはならないんですよ。」
「……マトが大きい俺は……向いてないと。」
「そうですね。多分……この人相当強いですよ?」
「……わかった。爆豪と轟を呼んでくる。待っててくれ。」
「わかりました。何秒持つかわかんないので……よろしくお願いしますね?」
「……頼む。」
障子くんが走り出した。
「肉……肉……」
「欲求が我慢できない……赤ちゃんですか?……ふーっ……どう来るか……さっきの刃は……?」
「肉ゥ!!」
歯!?伸びて!早い!!
「ぐっ!?」
何とか横に跳んで躱す。足を少し切られたがしょうがない。
「なるほど……歯……ですか。だからそんなコスチュームなんですね。」
「肉肉肉肉!!!」
ジャキジャキジャキ
伸びる速度もさることながら、戻す速度も早い。近付けない。
リーチも殺傷能力も高い。でも……ここで倒れる訳にはいかない。
逃げれない。倒せない。
でも……時間は稼ぐ。絶対に。
side爆豪勝己
「…………」
「…………」
やっぱり尾白と交代していればよかった。
なんの時間だ……コレ。
「……オイ。」
「なんだ。」
「なんか喋れ半分野郎。」
「何をだ。」
「……」
「……」
なんだコレ本当によ!!
もう少し……なんかよ……クソがっ!
……足音?誰だ……
「爆豪!!轟!!」
「障子!?どうした!」
「……。なんかあったか。」
焦ってるのが伝わる。……なんだ?熊でも出たか?
「敵だ。今渡我が足止めしてくれてる。だがっ」
敵!?渡我が足止め!?
「行くぞ半分野郎!場所はどこだ!!」
「ああ!障子!」
「わかった。こっちだ。来てくれ!」
んでこんな所に敵が……?
意味わかんねぇ。
side渡我被身子
「……ハァ……ハァ…」
傷が増えてきた。一つ一つはそうでもないが……ここまで出血があると失血死が怖い。視線がぼやけて……
「障子くん……まだ……」
「肉ゥ!!」
まずっ反応!遅れて!
バキィ!!
後ろの木が貫通した。
「ハァ……」
私は……朦朧とする意識の中で……懐かしい匂いに抱かれていた。
「ムーンフィッシュ。……こいつはダメだ。」
「……なんで邪魔するんだ!僕の……肉だぞ!!」
「…な……なんで…」
「いい。寝てろ。……あとは俺がする。ハァ……こいつはヒーローの卵。俺が認めた原石だ。」
「うるさいうるさい!あともう少しで!!肉が!!肉が見れたのに!!……」
なんでここに……
「ステイン!!!!」
「我慢の効かんやつだ。ハァ……ヒーローが不抜けているからこういう化け物が捕まえられんのだ。……粛清活動は……まだまだ必要そうだな。」
ステイン……師匠……なん……で……
私の意識は闇に沈む。
血を流しすぎた。次の反省……ですね……