side爆豪勝己
「んだこれ……匂い…ガスか?」
「……ガスの個性か?あまり吸わない方が良さそうだな。」
敵は複数居んのか……めんどくせぇ。
ガス……爆破が使えねぇな。引火しちまう。……だったら…
「渡我は何処だ。」
「もう少しだ。」
俺は立ち止まる。
「轟。障子。俺は先生のところに行く。コレを伝える。」
「何言ってんだ爆豪。お前も……いや。ガスか。」
「あぁ。俺の個性だと引火させかねねぇ。個性が使えねぇ。だったら今すぐ戻って皆に危険を知らせた方がいい。」
半分野郎。頭の回転が早くて助かる。
「……わかった。気をつけろよ。」
「轟。こっちだ。」
多分傷原先生ならこうする。
俺だってヒーローだ。ここで間違った選択肢は取らねぇ。
sideマンダレイ
「なんで!敵が居るんだよぉおおお!!!!」
敵……二人。ピクシーボブがやられた。
なんで敵が!?ここは情報を知られてないはず。イレイザーヘッドが言っていた。
機密情報……もしかして……
「そんな事……言ってる場合じゃないね。」
邪推は辞める今ここでの対処を……どうするか。
テレパシーで相澤くんに連絡。いや……
……そういえば…この合宿が始まる前……
『マンダレイ。これを持っていて欲しい。』
『……なにこれ?ボタン?』
相澤くん……イレイザーヘッドになにかのスイッチを渡された。
『協力者を呼ぶボタンです。これを押せば、同じものを持っている人にサイレンが鳴ります。俺も持ってるので……何かあった時の緊急用です。』
『……わかった。何かあれば押せばいいのね?』
『はい。お願いします。生徒を守るために。』
……立派な先生だな。本当に。
じゃぁ……押せばいいのね?
えいっ!!
…………
……まぁすぐに来るわけ……
ガサガサガサッ
「後ろ!?」
後ろの草むらから飛び出たのは……高校生?中学生くらいの女の子。
白い長い髪と……ゴスロリ?っていうのあれ。ふわふわした白と黒のゴシックロリータ。……両手には似つかわしくないナタ。
これが……協力者?
「お騒がせしましたマンダレイさん。虎さん。」
「あっ!!」「なんで……」「やったぞ!!」
あれ?なんか生徒の皆が騒がし……
「「「傷原先生ぇええええええええ!!!!!!」」」
「今宵……血の雨を降らせましょう。」
礼儀正しいカーテンシー。手馴れてる。
先生?……大人なの!?
「なんだ……お前は。」
トカゲみたいな人が喋る。……見た目……ヒーロー殺しみたい。
「他人に名前を聞く時は…まず自分から名乗るのが礼儀ですよ?」
微笑みかけるが……目が笑ってない。
「……くくっ…俺の名前はスピナー……ステインの意志の代弁者だ!」
後ろの大きな包帯を解く。すごい数の武器……あれ……扱えるのかしら。
「…………それではこちらも。私の名前はブラッドロータス。貴方に死を招く……紅い薔薇です。」
「!?!?ブラッド……ロータス!?……ブラッドロータスって言った!?今!貴方!!」
もう1人の敵……サングラスをかけた大男が喋る。
焦ってる……何が……
「スピナー!逃げるわよ!!ここは無理!!私まだ死にたくない!!!」
「なんでだマグ姐!ここを足止めしないと……」
「ブラッドロータス!私の知識が正しければ重大犯罪者戦闘用公安兵器じゃない!!!なんでこんな所にいるのよ!!!」
え?公安!?なんの事!?
「敵マグネ……とスピナーさんでしたっけ?あなたは知りません。どちらから……血になりますか?」
「めちゃくちゃ強いやつなのか!?逃げた方がいいか!?」
「私まだ死にたくない!!黒霧!!助けて!!!」
2人は踵を返して森に逃げていった。
「…………雑魚ですね。お話にならない。」
「先生ェ!!」「よかった!!来てくれたんですね!!!」
生徒の皆が駆け寄る。よほど慕われてるんですね。
「はい。皆さん。ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの皆さんの指示に従いましょう?まだ安全と確定した訳ではありません。私が見回ってくるので……ここで待機。できますね?」
「「「はい!!」」」
トテトテと可愛らしく生徒のあいだをすり抜け、私の前に来る……ブラッドロータス。
「お初お目にかかります。ブラッドロータスと申します。」
綺麗なカーテンシー……呆気に取られちゃダメだ。
「あっはい。私ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのマンダレイと申します。」
「年下ですのでタメ口でいいですよ。皆さんの活躍は耳に入れております。……挨拶している暇はありませんね。」
「あっそうですね……。虎。ピクシーボブは無事?」
「あぁ……傷は浅いが……額に……未婚の女性に……なんてことを!」
ピクシーボブを抱き抱える虎。本当に悔しそうだ。……私だって悔しい。
「なんて酷い……。」
出血は多そう。このままだと傷跡が残ってしまう。
「……傷……見せて貰えます?」
「え?……いいですけど。」
ブラッドロータスさんの指から赤い糸が伸びる。……血?
それがピクシーボブの額の傷に触れる。
「……これくらいなら今すぐある程度塞いで、ファンデーションで全然隠せるレベルまで持っていけます。」
「!!」
「本当か!!」
「ぱぱっとやっちゃいますね。」
ものの10秒くらいで治してしまった。血のカサブタ……?絆創膏?みたいな感じ。
「血が……止まっちゃった……凄いです!」
「ありがとう。本当にありがとう……。」
そんな私たちを尻目にキョロキョロと辺りを見渡すブラッドロータスさん。何が…
「……ラグドールさんは……何処にいるんですか?」
ラグドール!応答して!!……返事がない!
「返事がない!……中間地点……もしかして!」
「くそっ……今すぐ……」
「ダメです。待っていてください。1番此処をよく知ってるあなたたちが離れると…何かあった時大変です。」
「……ぐっ……わかった。」
ブラッドロータスさんは1人の生徒を指さす。
「飯田くん!」
「はっはい!!!」
1人のメガネをかけた生徒。たしかこの子……ずっと走ってた子よね?
「貴方に決死の指示を出します。ですが決して死なずに帰ってきてください。」
生徒に!?そんなの……
「…………はい!!任せてください!!」
「待ってください!それは流石にっ……」
「彼なら大丈夫です。私は彼を信じます。」
この目……慣れてるの?……こういうのに。
「イレイザーヘッド……相澤先生も直に来ます。あなたは今すぐこの森の中に入り、手当が必要な怪我人を回収してきてください。あなたの命が最優先です。……あなたの判断で作戦の変更を認めます。それと……」
見つめる……睨むと言った方がいい眼力。飯田くんと呼ばれた子が背筋を伸ばす。
「戦闘を許可します。個性を自由に使い、人を救いなさい。」
「…………っ!!わかりました!行きます!!」
後ろを振り返らずに走っていった彼。本当に早い。覚悟がきまった背中。これが学生?
「頼んだぞ!!委員長!!!」「お前だけが頼りだ!!頑張ってくれ!!!!」「がんばれー!委員長ーー!!」
「それでは私も怪我人の回収に……」
1人の生徒が身を乗り出す。
「待ってくれ傷原先生!!……緑谷が……緑谷が居ない!」
「…………は?」
その顔は……瞳に光を失い……まるで失望しているようだった。
side爆豪勝己
ある程度走ったらガスがあまり気にならなくなった……というか薄い場所に出た。
これなら……飛んだ方が早ぇ!
BOM!
もうすぐ……ん?
……なんだ?前になにか……
ダダダダダダッ
走って……あれはっ
「飯田ッ!!!」
「爆豪くん!?どうしたんだこんな所で!」
飯田だ。こいつの足なら!
「渡我がやべぇ!俺が来た方向まっすぐだ!」
「!!渡我くんが!?わかった。任せてくれ!!!」
「頼む!飯田……委員長ォ!!!」
絶対間に合う!頼むぞ!!
もうすぐ広場だ。助けを呼べる。
side轟焦凍
「…あれは!」
木に倒れ込んでいる渡我。全身切り傷だらけだ。
それよりも前で戦ってる……全身が黒い奴と……なんでこいつが……
「ヒーロー殺し!」
氷!まずこいつらを渡我と分担させる!
「!?……ハァ…」
「あぁ!!肉っ!!来てくれたんだね!!!」
歯を伸ばして……なるほど。渡我を切ったのはこいつか!
「お前のためじゃない。……渡我を救うためだ。」
「お前……どこかで見たな。保須の時の……」
「…………なんでここにいるんだ。ヒーロー殺し。」
今…三つ巴の戦闘が始まる。