side渡我被身子
揺れて……何……えっと……
「ぁ……ぇ……」
「目が覚めたか!渡我君!!」
飯田……くん?……轟くんと……障子くん……
「渡我!すまないがもう少しだけ我慢してくれ。」
「ぇ……相澤……先生?」
「爆豪が連れ去られた。今犯人を追ってる。」
「爆豪……くんが!?誰に……。」
頭が回らない。血……やっぱり出しすぎた……
でもなんだかんだ生きてるのは……流水さんのおかげでもあったりするのかな……
「ハァ……不甲斐ない。こいつでも飲め。頭を回せ。」
反対側から吸血パックを渡される。
……反対側?
「……え?な………なんで!?」
ステイン師匠が!?
「ハァ……共闘だ。一時的にな。利害が一致した。」
「あぁ。不本意だが……戦力としては申し分ない。……情報源としてもな。今……敵共の合流場所に先回りしている最中だ。」
なるほど……
とりあえず吸血パックを受け取る。
「……いただきます。」
パキッ……ぢゅーっ……
流水さんの味……落ち着く。
「……ぷはっ……ご馳走様です。……飯田くん。もう動けます。手を離してください。」
「わかった。無茶だけはするなよ!1.2.3で離すぞ!……1……2……3!」
私は軽やかに飯田くんから飛び降り、そのまま皆の速度に着いていく。
「ふっ……ありがとうございます。爆豪くんを助けましょう。」
「……無駄のないいい動きだ。」
「……え?」
褒めた?師匠が?……成長出来てるってことですね!!
「当然だ。今は俺が教えているからな。」
「……イレイザーヘッド。手筈通りに。」
「わかっている。助ければ次はお前だ。」
「ハァ……勝手にしろ。」
ステイン師匠が木に飛び移った途端、そのまま消えていった。
すごい……私も真似できるかな……
「…相澤先生。あとどれくらいですか?」
「数秒だ。ポイントに着いたら一旦隠れる。俺の生徒を攫わせる訳にはいかん。タイミングは一瞬だ。ミスは許されない。行くぞ。」
「「「はい!」」」
着いたらしい。一旦隠れる。
もう既に二人……
1人は黒いモヤの人。USJに居た黒霧って人。
もうひとりは……知らない人。
黒い髪……黒い服。目の下と顎が爛れてる。痛くないんですかね?
会話も聞こえてくる。
「遅せぇな。」
「はい。マスタードのガスも消えていることから……捕らえられたと思っていいでしょう。」
「……俺たち8人…優秀なヤツも何人かいた筈だが……どうなってる。……雄英生ってのは優秀だな?」
「……それは大変困りますね。ブローカーからの信頼も落ちる。」
ブローカー……8人……そんなに敵が……。
「脳無……だっけか?アイツは仕事してきたか?」
「はい。先程帰りましたよ。」
脳無!?居たんですね…………被害が無いって訳では無い……みたいですね。
「…………。」
「…………本当に遅いな。そろそろ見捨てるか……。」
「はい。長居もよくありません。そろそろ…」
「待ってくれ!今着いた!」
もうひとり来た…仮面の男…あいつが……爆豪くんを……
「遅ぇぞ。何かあったか?」
「すまんすまん!ヒーローに追われて手間取った。」
「ヒーロー……?足止めはどうなった?…………そういや二人逃げてきたな。」
「はい。マグネとスピナーですね。……なんでもブラッドロータスと会った……とか。」
「ブラッドロータス!?そりゃ逃げて正解だな!真正面から戦ってる勝てるやつ……俺たちだとマスキュラーくらいか?」
「……有名人か?」
「ああ。俺たちの中ではな。……知らねぇのか?重大犯罪者専用の始末屋だぜ?公安が用意した…な?」
「「!?」」
始末屋……。
……まぁそんなところだろうとは思ってましたけど
強いわけですねぇ……。あの人。
……私も同じくらい強くなってみせますよ。
「……今は頭数を減らすことの方が辛い……か。」
「ああ。っと……長居は禁物だな。とっとと帰ろうぜ。目的は回収した。」
手に持ってる小さい……水晶玉!あれか!
「……今だ!」
全員で突撃。
「誰だ!!」
「レシプロッバースト!!!!」
「ぐえっ!?」
飯田くんが仮面の男に回し蹴り。離した水晶玉を私が回収。轟君が氷で分断。
仮面の男対私たちと、黒霧、黒い敵対相澤先生の構図が出来上がった。
「いっつぁ……ほんとによぉ……あんまりおいたは良くねぇぜ?」
「…でも爆豪くんは…この中に……あれ!?」
中身……爆豪くんじゃない!?氷!?
「どうした渡我!」
ボァッ!!
青い炎!?
「何っ!?」
「イレイザーヘッド……。個性を止めるなら俺だったな?」
氷が溶けて……
「そんな……」
「お前ら!避難しろっ!!」
「教えといてやるよ。手品師はな……本当に隠したいものは……見せないものだぜ?」
仮面を外し……口の中!?そんなの分かるわけ……
青い炎と氷の壁。相澤先生の個性で見続けることが出来ない。
「こいつらも……いや…帰るか。黒霧。」
「はい。既に。」
2人を連れて黒霧のワープが起動する。
「させるか!!!」
ボッ!!
「くそっ!?」
炎で行けない。このままじゃ……どうにか……
……!……分かりました!!
「俺が殿務める。とっとと行け。コンプレス。」
「はいはい。それじゃあ……また次のショーで会いましょう。」
ドロ……
変身&血を仮面の男に飛ばす。
仮面の男の腕と肩に突き刺さる。
「うぐぁっ!?」
「今です!!!」
「ハァ……上出来だ。」
敵の真後ろに現れたステイン師匠。
モヤの外側から仮面の敵と黒い敵を切り裂き、そのまま血を舐める。
「ぐぁっ……こ……これはっ……」
「うご……かねぇ……」
「何!?ステイン!!なぜ裏切るのです!!!」
黒霧は喋る。切れてなかったみたいだ。
仮面の敵から玉が落ちる。
見えた!あの玉!!
そのまま血を使って回収。
爆豪くん!居る!!
「黒霧。次は外さない。」
「くっ!一時退散します!!!」
そのまま黒いモヤは消えていき、ステイン師匠の刀は宙を切る。
捕らえられていた爆豪くんが元に戻る。
「!!……んだこれ……」
「「「爆豪!」くん!!」君!」
「……そうか。手間かけた。」
いつの間にか相澤先生が近くにいる。爆豪くんの頭に手を置きながら、
「いい。……お前が無事ならな。……良かった。」
「……うす。」
周りの炎が徐々に大きくなっている。
「一旦炎の消火をしたいところだが……まずはお前だ。ヒーロー殺し……ステイン。」
「……フン。」
相澤先生が臨戦態勢に入る。
「ヒーロー殺し……ステイン!」
爆豪くん、轟くん、飯田くんもつられて臨戦態勢に入る。
私は……どうすれば……
side飯田天哉
「…………お前。名を言え。」
ステインが僕を指さす。
「……僕か?」
「お前だ。メガネの。」
「僕の……名前……」
『天哉。お前が継いでくれないか。インゲニウムを。』
「僕はッ」
『ああ。それまではヒーローインゲニウムの名前は預かっておくよ。……天哉。俺からのお願いだ。』
兄さん!……僕は!決めたよ!!
「……僕の名はヒーローインゲニウムッ!お前を倒す……ッヒーローの名だっ!!!」
「「「!」」」
「インゲニウムって……」
「ハァ……良いな。お前。……ヒーローインゲニウム。お前も……俺を倒しに来い。」
「何だと……!?」
「いずれ強くなり……万全を期して戦いに来い。…………その時はまた全力で相手をしてやる。くっ……奴が言うことは正しかったな。……人は成長できる。」
ステインが木に飛び移る。何を言っている……?奴?
「……いずれだと……今っ!!お前を逃す訳には行かない!!」
「事を急ぐな。……まず……やるべきことを考えろ。」
ステインが火を指さす。
高々と燃え上がり、何れこのままだと燃え移る。
「くっ…………。」
「……ステイン。最後に一言聞かせろ。お前は何がしたい。」
相澤先生が最後に問いかける。
「俺は……ヒーローがヒーローである世界を作る。俺はそのための犠牲だ。」
そう言うとステインは闇に消えていった。
「……ヒーローである世界……犠牲。」
これは彼の……彼なりのヒーロー活動なのかもしれない。
だが……だとしても!
「犠牲を出させる訳にはいかない。」
ステイン!僕がお前を倒す!待っていろ!!