side傷原流水
はいどうも。流水さんです。
病室で目が覚めまして……被身子ちゃんに抱きしめられてから、とある人からあらかた事情を聞きました。
……オールフォーワンは……捕まった……と。
殺せてないのか……とも思いました。まだ……悪意は残ってる。
敵連合も逃げた。逃がされたと言った方が正しいでしょうか。
もしかしたら別で戦力があって……以前よりもっと強くなっているかもしれません。野放しは厄介です。
こちらの損害が大きすぎる事件。
平和の象徴はヒーローとして再起不能。神野は大荒れ。
問題は山積みですが……数日……数ヶ月でもいいのでゆっくりしたいですね。……世間は。
私はこれからも敵連合を探ります。叩けるうちに叩いておかないと。ああいうのを取り逃したら絶対後々大変なことになります。
「……ということだ。ブラッドロータス。……今は色々と後始末と今後が大変だが……君にはまた何かしらの協力を仰ぎたい。」
「……分かりました……けど……」
私は目の前の相手に困惑の色が隠せない。
「なんで貴方が?ベストジーニスト。」
No.4ヒーロー。ベストジーニスト。……一緒に戦いはしましたけど……今後?協力?……何だろう…なにか引っかかる。
「当然だ。この病室は私が病院にお願いしたからね。」
「あっ……それはありがとうございます。……そういうことでは無くて……なんでオールマイトじゃなくて……」
「……オールマイトに頼まれたんだ。僕と……エンデヴァーが。困ったら君に連絡をするように……と。」
??????
「…………は?……え?……ん?……ベストジーニストは……一旦置いておいて……エンデヴァー???」
なんで?……?いや……ベストジーニストもおかしいんだけど……オールマイト?私をなにかの便利屋だと思ってませんか??
「ああ。オールマイトの病室に……私とエンデヴァーとホークスと……グラントリノに大切な話があると……連絡を受けてね。」
「……で、ベストジーニストとエンデヴァーが了承した……と?」
「ああ。ホークス君は……すごく嫌そうな顔して辞退したんだ。グラントリノは君の事を測りかねている。オールマイトの師匠だったんだろう?かの人は。」
私のこと大嫌いだしなぁホークス君。私も嫌いだけど。
「いや……グラントリノ…さんは面識ないですし……しょうがないですよ。ホークス君は……ハァ……無理でしょうね。それよりも……エンデヴァーが了承したのが意外すぎるんですけど。」
「そうなのか?君たちは仲が悪いのか。どちらも公安所属故に仲はいい物と認識していたが……。エンデヴァーは何も反発せずに了承していたよ。それよりもオールマイトの事が許せてなかったみたいだね。」
あー……成程。
「……トゥルーフォームを隠していたことでしょうね。まぁ……初めて見たらびっくりしますよね。」
起きてすぐ……私は当時のニュースを見た。オールマイトがオールフォーワンと戦っているのも、トゥルーフォームを全人類に晒した事も。私の戦闘が流れて無くて安心した。ありがとう公安委員会。
被身子ちゃんは今離席している。今日は一旦私の着替えを取りに帰ってくれてる。……寝たのかな?あの子。
「君は……知っていたんだね。オールマイトのあの姿を。」
「……知っていたも何も。私はオールマイトの協力相手でしたし。そのツテでエンデヴァーの事も知っていたので寧ろ……よく隠していたな……と。」
「オールマイトは自分自身でマネージャーだと言っていたからね。誰も疑わなかったさ。」
皆お人好しだなぁ……私だったら速攻疑うけど。
「……そして君と協力関係になる都合……君のことを少し調べさせてもらった。」
「大丈夫ですよ。情報開示は大事なので。………なにか調べれました?」
「……何も出てこなかった。異常な程に。」
すごく神妙な面持ちで返してきた。予想通りです。
「……ですよね〜……」
「雄英高校に務めているんだろう?それしか分からなかった。」
「……まぁ……私は色々イレギュラーなので……あまり肩を入れ込まないで頂けると幸いです。……私が出す情報も……表立って言えないルートからのものも多いので。何かと丸め込んでもらえると……。」
「………公安は……いや、今はいい。頼りにさせてもらうよ。ブラッドロータス。」
「はい。よろしくお願いします。」
私たちは握手を交わす。ベッドに上半身を起こしたままで……すごく失礼かもしれない。
「……エンデヴァーは?」
「もう帰ったよ。挨拶はどうだい?と言ったんだがね。興味がなさそうに帰っていった。彼も……今後のことで色々あるんだろう。」
「……大丈夫です。また私からエンデヴァーの家に挨拶に行くので。」
「……エンデヴァー………やはり挨拶に来た方が良かったのでは……?」
「私を無視するなんてあのおっさん本当に許せないので粘着します。」
「おっさ……エンデヴァーをおっさん呼びしてるの……世界で君だけだぞ……。」
「そういう仲なので。」
「どういう仲なんだ一体。」
「そういえば…私の連絡先は知ってますか?」
「オールマイトから教えてもらった。君なら私が教えても何も言わないだろうと。」
「…………あのおっさん今どこですか?」
「彼は今寝ている。ゆっくりさせてあげてくれ。」
「……復帰したら説教ですね。」
「オールマイトに説教できる人間がこの世に何人いるんだ。」
「とりあえずここに1人。」
「君は規格外が過ぎる。生徒も君を見て成長すると色々後悔しそうだ。」
ベストジーニストが頭を抱える。しょうがないじゃん。乙女の個人情報を横流しした罪は大きいです。
「大丈夫です。これでもいい先生として通ってるんで。」
「……今の若年層はそうなのか?……情報のアップデートが必要かもしれん。」
大丈夫だと……思いますけど。あなたほど青少年の育成に力を入れているヒーローは私、知らないので。
「それは一旦置いておこう。聞きたかったことがある。」
「なんですか?」
「爆豪勝己を矯正したのは君か?」
あー……その事ですか。たしか……職場体験の時ベストジーニストの事務所から爆豪くんに指名が入ってましたね。
「はい。」
「何をしたんだ?……彼は見違えた。申し訳ないが……人が変わったみたいに。獣のような本性がなりを潜め……まるで1人の大人のようだった。」
「会話を?」
「ああ。少しだったが。……体育祭の時の彼とは思えない。」
「彼の本性は何一つ変わってませんよ。」
「…………というと?」
「あの素直さこそが彼の本性です。彼の言動を歪めてたのは主に自尊心と負けず嫌いが故……だと思います。多分天才肌だから失敗したこと無かったんじゃないですか?それに……周りの大人は何も注意しなかったのもあって、自尊心がメキメキと大きくなっていったんだと思います。……その自尊心も彼の周りに1人イレギュラーが居たから……というのが私の推察ですけど。」
「……なるほど。」
「ただ彼は天才でもあり……完璧主義者でもあります。努力は惜しまない。圧倒的な勝ちにこだわる。それも……相手の全部を上から塗りつぶしての勝ちです。人の弱点を見つけるのが大好きなので。頭脳戦も得意なんですよね…彼。……ただ前述した通り負けを認められない。自尊心が抑えられない。このふたつが……彼をあのような言動たらしてめている要因です。」
「生徒の事をよく見ている……君がいい先生と言われているのが少しだけわかる気がするよ。」
「ですので。徹底的に折りました。」
「…………え?」
「はい。彼が私と本気の模擬戦をしたいと言ってきたので、自尊心も負けず嫌いも完璧主義者も努力も才能も。全部上から物理的に叩き折りました。」
「…………。」
絶句。そりゃそうだ。
「結果的に……彼の粗暴な言動はある程度なりを潜め、彼の本来の素直なところだけが浮き彫りになった結果あれです。……雄英高校で出来た友人の存在も大きいでしょうね。彼らには感謝です。」
「…………君は少々力任せな所があるな?」
「はい。個人的に悪いことでは無いので治さないです。」
「……それが良い方向に向いているなら……何も言わないよ。」
「?」
ベストジーニスト……頭を抱えてどうしたんでしょう?
そのまま部屋を後にするベストジーニスト。大丈夫でしょうか。
入れ替わりで被身子ちゃんが入ってきた。今日は泊まるらしい。
許可は取ったのかと聞いたら、
「リカバリーガールが許可してくださいました!」
と満面の笑みで言われたもんだから何も言えなくなった。
心配かけたんだからちゃんと対処しなってこと……か。
……ハァ……あの人……私の親ですか?
……そうかもしれません。