side傷原流水
「……それで?私に話ってなんですか?」
「はははっまぁまぁいいじゃないか。友よ。少しコーヒーに舌鼓を打っても。」
「まぁ……いいですけど。」
目の前……Cafe wide varietyで相席している男。
四ツ橋力也……異能解放軍のリーダー。リ・デストロ。
彼に呼ばれて今コーヒーを飲んでいる。砂糖多め。
被身子ちゃん?向こうの席で気月さん(キュリオス)とお話してる。雑誌の売れ行きがどうこう……まぁいいや。
「此処は本当にいい場所だ。……うん美味い。サイドメニューも豊富で全て美味だ。」
「まぁ……確かケーキ作りが趣味の子と、単純に実家が果物作ってる子が居るからそれも大きいですね。……うまうま。」
「なるほど。それも君の手腕か。」
「褒めないでください。何も出ませんよ?」
「謙遜するな。友よ。私は君のことが好きなのだ。あまり私の友を蔑まないでくれたまえ?」
この人の本心なんだよなぁ……あまりにも私に対して素直すぎる。
「はぁ……わかりましたよ。……なんでこんなに気に入られてるんですかねぇ?」
「くくくっ……どうだろうか?胸に手を当てて考えてみてくれたまえ?」
……1回殺しあったこともあるんだけど…
本当になんで気に入られてるんですかね?
チラ……被身子ちゃんが楽しそうでなにより。ここに何度か来るようになって仲良しの店員さんも増えたみたい。
「彼女が気になるかね?」
「多少は。……でももう心配はなくなりました。何れ結婚しますから。」
「ほう!その時はぜひご祝儀を出させてくれ!」
「…………あなたが生きていたらですね。」
「……そうだな。何があるかわからん。天下無敵のオールマイトでさえ引退を余儀なくされたのだからな。」
「……次のナンバーワンは……繰り上げでエンデヴァーですが……世間の目は厳しいようです。」
「当然だろう。……あのオールマイトが消えたのだ。平和の象徴が。……市民の不安は深まるばかりだろうな。」
「……あなたがたにとってはチャンスでは?」
「くくくっ……そうだが……色々と行動を起こすには不安要素が多くてね。……君にも情報を渡さねばならないと思ったんだよ。」
少し雰囲気が変わる。……本題だな?
「……情報?…………まずいですか?」
「ああ。緊急性も非常に高い。……しかも……この情報は不透明な部分が非常に多いと来た。」
「…………聞くだけ聞きましょう。」
「……個性消失弾。というものが……少し前から少しづつ名前が広がっているらしい。」
「…………個性……消失弾?」
何その名前だけでもヤバすぎる代物……。
「ああ。……まだどういうものか分からないが……名前を聞く限り……」
「……そういうことですよね。」
個性が消える弾。弾丸。
「……拳銃ってことは……」
「うむ。我々の世界だ。」
「私はそっちの世界のことを知ってるだけで表の人間ですよ?」
「はははっ私と対等に話している時点でそれは通らない。」
それもそうですよねぇ……
「…………でもそれが流通したら……」
「……我々の理想……思想が崩れる。そんなもの……有り得てはならないのだ。」
「…………個性を消す。私も何度も考えましたが……無理でした。個性は今の社会と長く……深く根付いている。そのようなものを消せば……どうなるかは明確なのに。」
「…………。冗談でも君の口から個性を消すことを考える等喋って欲しくは無いな。」
「……私の思想は理解しているくせに。少しだけ話すとこれなんですから。」
「現実的だな。君は本当に。」
「ほぼ全員がそうですよ……だからこそ……革命家は人々を魅了させる。でしょう?」
「そうだ。君を魅了出来なかったのは残念だが。」
「何度も言ってます。行き着く先が違えば争いが起こる。私はあなたの世界に居てはいけない。」
「…………そうだな。……だが。」
それはそれ。これはこれです。
「ええ。こちらでも情報が確実なものかどうか……調べてみます。……絶対に存在してはいけない物です。」
「ああ。頼む。私も色々と調べてはいるが……あまり進展が無くてね。……手を出しにくい場所だったら尚更だ。」
「…………概要指定敵団体ですか。」
概要指定敵団体……まぁ所謂893さん達です。オールマイトのおかげでだいぶ数が減りましたが、まだ水面下で動いているものもチラホラ。私もいくつか潰しましたが、そもそも本拠地が分からないものも多数。そもそもその団体の違法事案を探してその団体を探してってなるとすごーーーく時間がかかります。大変です。……本当によく依頼が来るんですけどね〜……。
「……情報を調べようにも調べにくくてね。君が頼りになるかもしれん。」
「……大丈夫ですよ。何かあれば情報は横流しします。出来るものに限れば……ですが。」
「それでいい。何も無い、何も起きない、何も存在しないが1番楽だからね。」
「火のない所に煙は立たない。何も起きてないはずは無いです。スケプティック情報でしょう?」
「ああ。急を要するわけでは無さそうだったが……存在自体がしてはならないものだ。事を先んじた。」
「聡明です。私も早めに情報を知れて良かった。これで……後手には回りすぎないと思います。」
「…………社会の表しか見れてない連中だと気がつけない情報だ。……その方が何倍も気楽だがね。」
世の中の人は本当の悪意を知らない。知ろうとしない。…普通…興味が無いもんね。
「…………。」
だから私は……裏の人と関わりを持っているんだ。必要だから。重要だから。だからこそ……私の名前が有名になる訳にはいかない。私自身が社会の闇だからだ。
「……おや。だいぶ長話をしてしまったようだね。……気月くん!帰ろう!君たちの分は払っておくよ。私が呼んだのだからね。」
「お言葉に甘えます。ありがとうございます。」
四ツ橋社長はそのまま会計に。
「あっわかりました!今行きます!!」
気月さんがこちらに歩いてくる。
「被身子ちゃん貸してくれてありがとうね?有意義な時間だったわ!」
「そりゃどうも。自慢の彼女なので。」
「見せつけちゃって。じゃあね。次はあなたといっぱい話したいわ。」
私を通り過ぎる時。一言だけ。
「…………四ツ橋社長のこと。頼みますね。」
「……当然ですとも。」
……焦らせない。私が解決する。
…にしても…すごいものが出てきたな。個性消失弾……名前だけ聞けば発射装置は多分拳銃。オートマチックじゃなくてリボルバーの方が作りやすそうではあるが……今のご時世リボルバーがあまり普及してないだろう。
オートマチックで……マガジンが……一般的なものだと15発前後……つまり銃一丁で15人の個性を奪えるんだ。……存在してはいけない。社会に大混乱を招く。
……頭が痛い。
「流水さん!帰りましょう?もう16時です。」
まだ非確定情報すぎる。不安にさせるのは辞めましょう。
「……わかった。帰りましょ?何話したの?」
マスターに挨拶してからお店を出る。郊外だからか…もうほとんど人が歩いてない。
「私の話を元にした雑誌、結構反響がすごいらしいです。ネットでも論争が巻き起こってますよ。」
「……まぁあの人の記事だしね。よく目を引くんだよ。あの人。」
敏腕だからねぇ……あんな感じでも社会からはすごい編集者扱いなのだから不思議だ。
「凄いですね気月さん!…………これであいつらの首を絞めれたらいいなぁ……。」
「……どうせそろそろ5億くらい使ったんじゃない?金の使い方荒そうだし。」
「…………お金で売られたのはそうですけど……私の値段なのにサラッと使われるのはそれはそれで納得いきません。」
難儀ねぇ。分からなくもないけど。
「大丈夫大丈夫。そもそも彼ら……今相当大変なんじゃない?」
「え?何かしたんですか?」
「……知り合いにね〜…すこーしお金持ってる人いるんだけど〜?って相談したらね?その人ある宗教団体のトップだから……まぁ……どうなってるかはお楽しみって感じ。」
久しぶりに会いに行ってみようかな。近況報告も兼ねて。
「……うわぁ……流水さん敵に回したくないです。」
引かれた?ふふっ…
「絶対に離れないからね?」
被身子ちゃんの腕に抱きつく。
いい匂い。私の好きな匂い。
「もっ……もう!そういう意味で言ったんじゃないですよ!」
被身子ちゃんの目線が少し下に……今日暑いから結構薄着で来たのよね。
「ならいいけど。……被身子ちゃん最近我慢できないわね?」
「流水さんが魅力的なのが悪いんです!」
「あら。情熱的ね?溶けちゃいそう。」
胸元チラッ…………ちょっと恥ずかしいかも。
「うぐぐっ……ぐぐぐっ……」
「どうしたの?被身子ちゃん?」
被身子ちゃん……我慢は身体に毒よ?
「…うーっ…そんな誘い方…どこで……もう!!流水さん!早くお家帰りましょう。早く。今すぐ。」
「あらあら。せっかちなのね?……嫌いじゃないわ。」
「もう!そのキャラいいですから!絶対泣かせます。」
「焦らなくても逃げないわ。安心して?」
貴方のものなのでしょう?
もっと刻みつけて。私に。
お返しも……ちゃんとあげるから。