私のヒーロー   作:おいーも

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辻褄合わせのため少し変更しました。(2025/10/24)





会談と転機

 

 

 

 

 

 

 

side赤黒血染(ステイン)

 

 

「ハァ………」

 

 

奴の頼みとはいえ。

 

ひとつの借りとはいえ。

 

 

『私が……みんなが普通であるために。』

 

 

自己中心的で。

 

己の欲望を隠さない。

 

 

「ヒーロー失格だ。……本来であれば。」

 

 

『普通な幸せを手に入れるために。』

 

 

「……」

 

 

あの目

 

 

『この世を正すのは……圧倒的正義じゃない。最も悪に近い正義よ。』

 

 

「……ハァ…」

 

ビルの上から街を見渡す。

 

まだ未完成。灰汁はどこにでも潜んでいる。

 

 

 

今日の夜風は少しだけ冷たかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

血染くんとコンタクトしてから2ヶ月がたった。

 

被身子ちゃんはメキメキと学力、運動能力を伸ばして少しづつ個性を戦闘用にチューンナップしてるみたい。

 

 

ただ。今のところ私しか血を吸ってないから私にしか変身できないみたい。

 

 

個性の伸ばし方と個性の使い方。

 

始めた当初は毎日ボロボロになって帰ってきたけど、最近は「絶対にあの人をぎゃふんと言わせます」と張り切ってる。いいことです。

 

私の朝一のランニングにも着いてくるようになった。私毎日1時間くらい走ってるけど……最近は着いてくるようにもなった。この子結構フィジカルおばけでは?

 

 

私も暇が出来たら見に行ってるけど明らかに動きが変わってる。

 

あんなに嫌々そうだったのにやってくれる時はやってくれるねぇ。血染くん偉い偉い。とか思ってたらナイフ飛んできたからあんまり変なこと思うのやめた。

 

「お前は思ってることがわかりやすい。」

 

そうかな?被身子ちゃんも頷いてたしそうなのかも。納得いかない。

 

 

そういえばそろそろ学生は夏休み。その前に先生との三者面談があったから被身子ちゃんと行ってきた。

 

先生には私がちっちゃいから驚かれたけどヒーローライセンス見せたら安心してくれた。持てるものは持っとくべきだね。

 

期末試験は上々。学年1桁代に居るらしい。本当にすごいね???最近は先生とコミュニケーションをとってくれるようにもなったらしく、先生から非常に感謝されました。絆創膏とか生傷が絶えないのはちょっと詰められたけど………雄英の話と今頑張ってることを伝えると一旦納得してくれた。本当にいい先生だね。

 

年齢の違いもあるけど……同級生と仲良くできたらいいね!

 

 

 

そんで私は今何してるかって言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

とある男の人とカフェの個室で向かい合っていた。

 

公安管轄のカフェだ。聞かれたくない話でもあるんだろう。

 

 

 

「まぁまぁ。そんなに固くならなくていいじゃないか。私たちの仲だろう?」

 

「固くなるも何も私はあなたが嫌いです。オールマイト。」

 

「うーん……手厳しいな。」

 

そう。NO1ヒーローオールマイト。平和の象徴。公安で仕事を終えて帰ろうとした矢先捕まった。私は今……というか1年くらい前からこの人絡みの仕事を多々やってる。今や情報屋みたいな扱いされて非常に困る。

 

 

今は皆が知る筋肉モリモリのオールマイト……ではなくガリガリでオールマイトの似つかわしくない骨男だ。

 

 

「……で?今日はなんで来たんですか。私そろそろ帰ってご飯作らなくちゃいけないんですけど。」

 

「いや。君にも重要な話だ。」

 

「……重要?」

 

 

オールマイトが1口コーヒーを口に運ぶ。ここのコーヒーは香りがいいんだよね。味?苦いの苦手だからよく分かんないや。

 

 

「私はワンフォーオールを譲渡する相手を決めたんだ。」

 

「ふーん。そうですk………………ハァ!?」

 

 

私は思わず立ち上がる。

 

ワンフォーオールを?……平和の象徴を!?譲渡!?!?何考えてるんだこの人は!

 

 

「久しぶりに君の鼻を明せたみたいだね!」

 

慌てる私を見て笑うオールマイト。腹が立つがそれどころじゃない。今の日本で平和の象徴が居なくなるとどうなるかよくわかってるだろうに!!

 

 

「いやいやいや……ここ個室なんで誰も聞いてないから良かったですけど!誰!?誰にですか!?!?」

 

「……まだ答えるべきではないかな。私がもうちょっと彼の成長を見てからでも遅くないだろう?」

 

 

成長を見るとかいいながらもう譲渡はほぼ決定事項でしょ……。どうせ。

 

私は席に着き直し、コーヒーを1口。……だいぶ思考が落ち着いてきた。

 

 

「…………あなたがそう言うとテコでも動かないの知ってますよ。…これだけ教えてください。彼は平和の象徴足りえますか。」

 

「……うん。私はそう思うよ。少し不器用で頼りないけどね。」

 

「ふーん。男の人なんですね。」

 

「…………アッ!傷原君!!!」

 

「そういう所が甘いんですよオールマイト。」

 

 

カマをかけたらすぐ引っかかる単純な男。もう少し会話に頭を回した方がいいですよ?

 

 

「くぅ〜やられた。本当に上手いね。君は。」

 

 

フンと鼻を鳴らしてコーヒーを飲む。もちろん砂糖マシマシだ。

 

 

「…話したいことはそれだけですか?」

 

 

そう言って席を立とうとする私を彼は手で制する。

 

 

「いや。もうひとつある。」

 

 

オールマイトのこの目。…多分こっちが本題だな。

 

 

「……聞きましょう。」

 

 

「うん。さっき話した子が雄英に行くと言っていてね。私も見守りがてら雄英の先生になろうと思うんだ。」

 

 

オールマイトが先生?冗談でしょう。

 

「絶対無理ですよ。先生とか向かないでしょ貴方。」

 

 

「いやそうかもしれないけど!せっかく行くと言うんだ。私も腹をくくろうとね。」

 

 

この程度の話で私の足は止めないだろう。多分……

 

 

「……それだけではないのでは?」

 

「鋭いね。私のトゥルーフォーム……この姿で居る時を隠しておきたくてね。マッスルフォームの活動限界も少しづつ短くなっている。隠れ蓑にしようと思ったのさ。」

 

「……ふーん。本当みたいですね。」

 

「君……嘘を見破る個性でも持ってるの?」

 

「勘ですよ勘。」

 

「うーん……手厳しいね。」

 

「それで?まだ続きがあるんでしょう?」

 

「うん。私も1教師となる都合、何かあった時が対処に困ってしまう。教師といえどパトロールや仕事は別にあるからね。」

 

 

 

「……嫌ですけど。」

 

「まだ何も言ってないのに先読みするの辞めてもらえるかなぁ!?」

 

 

「どうせ雄英の警備に付けとか何とか言うんでしょ?めんどくさいです。」

 

 

「いや。警備とかではなく。先生にならないか?」

 

 

 

 

 

 

 

「…………ハァ??私が?先生??」

 

 

「聞いた所によると君も1人弟子が居るみたいじゃないか。雄英に入りたいんだろう?彼女。」

 

「……なんで知ってるんですか。」

 

「君のパパさ♪」

 

 

パパ……本ッ当に口が軽いんだから……

 

 

「うぐぐ………………でも私教員免許持ってないですよ。」

 

「私も持ってないけど無理して入れてもらう手筈になってるよ。」

 

「じゃあ私も無理にとは行かないでしょう?」

 

「根津校長やリカバリーガールが君のことよーく知ってるんだから事情を話せば入れてくれるさ。」

 

「私公安です。」

 

「君のパパから許可が出てるよ。」

 

 

パパ!!!!!

 

最後の頼みの綱が……

 

 

「…………じゃあ……無理じゃないですか…。」

 

 

「そうだね。君は頷くしかないね!」

 

 

「うげぇ……最悪……。」

 

「まぁ私と同じで、どこかのクラスの担任になるとかいう話じゃないから大丈夫!」

 

「じゃあ私何するんですか?」

 

 

「基本的にはリカバリーガールの補助だね。多分人手が足りなくなる。」

 

「……あー……ワンフォーオール……。」

 

確か体が出来てないと体ぶっ壊れるんでしたっけ?だいぶ前にこの人が話してた気がする。

 

次期平和の象徴まだ未熟なのかぁ……大丈夫かなぁ……

 

「そうそう。察しが良くて助かるよ。」

 

「……まぁ……久しぶりに根津校長やリカバリーガールにも会いたいし……まぁ……行きますけどぉ…………なんで私に話を通さないかなぁ?」

 

「断られるからじゃない?」

 

ハッハッハと笑いながらコーヒーを飲み干すオールマイト。本当にしてやったり顔で腹が立つ。

 

「…………わかりました。拝命します。」

 

 

渋々頭を下げる。下げざるを得なかった。

 

 

「もっとゴネるとおもったけど意外と素直だね。」

 

「私をなんだと思ってるんですか。さすがにもう下がれない場所はわかってます。」

 

「うん。じゃあ私から根津校長と飼田君には言っておくよ。」

 

「……はい。お願いします。」

 

「会計は私がするからね。女の子に払わせるわけにはいかないよ!」

 

「……はい。」

 

 

二人で個室から出ようとした時。

 

そういえば

 

 

 

「オールマイト。」

 

「なんだい?」

 

「ここ数ヶ月で少しだけ気になったことがあって。」

 

「……聞こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり遅くなった私が家に着いたら、案の定被身子ちゃんが料理しちゃってた。

 

すごく私を心配してたから渋々事情を話したら。

 

 

「え!?流水さんと一緒に学校に行けるんですか!?」

 

 

とか嬉しそうだったからいっぱい抱きしめていっぱい撫でて……いっぱい血を吸われたらちょっとだけ頑張ろうって思えた。

 

 

チョロいな私。

 

 

 

 

 

 

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