side渡我被身子
「ひーん……皆さんわかりやすいです〜……」
「いや〜……俺達も苦労したからな。」
「そうだな。爆豪に教えて貰えなかったら終わってた。」
「流石爆豪様様だな。」
なんか私じゃなくてA組さんばか男に教えて貰ってる……。
「爆豪さんって頭いいんですか!?」
「めっちゃいいよ。ウチのクラスで五本の指に入るくらい。」
「「…………」」
全く論理的に教えられないから、スイスイわかってる辛堂ちゃんを見てモヤモヤしてる鳴花ちゃんと、話したいことも話し終わったのか、スマホポチポチしてる爆豪くん。
「こっちの空気が終わってる……。」
「うわー!過去最速で終わりました!わかんない所無くなったかもしれません!!」
「良かった良かった。やっぱ雄英ハードル高いんだって。」
「それはそうだろ。だって日本最高倍率だぞ?」
「オイ!テメェ個性使ってズルすんじゃねぇボケ!」
「気付かないあなたが悪いんですよ!ウニ頭!!」
「渡我……あいつらなにしてんの?」
「空気悪かったんでスマホアプリのリバーシさせてます。鳴花ちゃんが個性使ってズルして勝とうとしてるので爆豪くんがブチギレてます。」
ちなみに今爆豪くんの2勝、鳴花ちゃんの1勝。3本先取って言ったら鳴花ちゃんが本気出しました。
「俺こんなところにコマ置いた覚えねぇぞ!テメェだろズル個性野郎!!」
「あー!ズル個性野郎って言った!!もう加減しません。絶対にボコボコにします!!(ピコピコピコ」
デデーン
「連打すんじゃねぇボケ!!……ってあ?」
「え?」
「……お前適当に押したせいで負けてるじゃねぇか。何してんだ。」
「………………罠だ!」
「は?」
「このウニ頭が……私に暴言吐いて心を惑わして……くそっ。」
「何言ってんだこいつ。」
「爆豪ですら手に負えねぇのか……よくやってるな…渡我。」
「まぁ……付き合い方もなんだかんだわかってるんで。それよりもみなさんは宿題大丈夫なんですか?」
「「「爆豪に教えて貰ってるから大丈夫!!」」」
なんでそんないい笑顔できるんですかね?爆豪くん……南無三。
「あー…………大変ですね爆豪くん。」
「爆豪さん……教え方上手いですか?」
「辛堂ちゃん?彼だいぶスパルタなのでやめた方がいいですよ?」
この子もこの子で大分迷いが無いですね。
「じゃあな!渡我!それと2人とも!」
「ばいばーい!」
「はい。また学校ですね。」
カフェで皆と別れてまた3人。……鳴花ちゃんの元気がちょっとないですね?
「どうかしました?鳴花ちゃん。」
「えっ……いや……なんでもないよ〜!」
「…………亜煌……もしかして……。」
「なんでもないよ!!!」
「…………なんでこういう時に限って奥手なの……?」
「なんでもないったら!!!」
「…………。」
「渡我ちゃん!察そうとしないで!!!」
もしかして……
「イイ人居ました?」
「ふぎっ……。」
「顔が好みの人は居なさそうですし……っていうか鳴花ちゃんは顔で人の事選びませんもんね。何か前に助けてもらった〜とかお話した〜とかでしょうか。」
「ふごっ……いてっ……。」
「亜煌……それ自白してるよ。」
「…………何があったか聞いてもいいですか?辛堂ちゃん。」
「いいよ。あのね〜……」
「えっ!?瀬呂くんに助けて貰ってから忘れられない!?」
「……ぅー……。」
「あの調子だと本人も覚えてなさそうですけど。」
聞いた話によると、ナンパを受けた時に瀬呂くんがちょろっと助けてくれてそのまま去っていったから何も聞けなかったんだとか。期間的に職場体験中ですね。
その後、神野の悪夢当日、塾で外に出ていたら、急な避難でテンパっていた時も助けてくれたらしく……顔は覚えてたけど相手は覚えてないし、名前も知らないからどうしようもなかったらしい。
2度も偶然が重なって今回の3回目。そりゃ運命感じますよねぇ。
「なんで連絡先聞かなかったんですか……?」
「……緊張しちゃって……それどころじゃなくて……露味が独占しちゃうし……リバーシ楽しかったし。」
楽しんでくれて良かったです。
「…………まさか相談の主が居るとは思わないじゃん。」
「名前だけでも聞けたから良かったかな……って。」
「「おバカ!」」
二人で頭を叩く
「あて!!」
「こんな所で恋する乙女発揮してどうするんですか!」
「そうだよ!相手多分あなたのこと覚えてないからガツガツ行かなきゃ!!」
「……だってぇ!!私から好きになったの初めてなんだもーーーん!!何していいかわかんないよ!!」
そうなのである。この不思議ちゃん……顔がいいので言い寄ってくるのは基本的にあっちから。なんとなくで付き合ってなんとなく好きになってなんとなく別れるのだ。……クソ厄介ですね?
そんな子が自分から好きになった人がいるなんて……成長……なんですかね?瀬呂くんが捌ける気がしないですけど。
「高校も違いますしねぇ……私から聞きましょうか?連絡先。」
「いいのぉ!?」
「そうなるんだったら自分から聞いときなさい。」
「……はい。」
なるほど……確かにこれは話せませんね。今日偶然が無ければどうすればいいのか私もわからなかったです。
今回の恋は幸あらん事を。
side傷原流水
「おっそいなぁ……。10分遅刻ですよ……。」
私は今ある人を待っている。お仕事なのかコスチュームだ。
事務所に行こうか連絡したら、パトロールがあるとか何とかで、待ち合わせ場所がちょうどいいコンビニ前になった。
パトロール中に何かあったのか。だいぶ遅れてる。
私はコンビニで買ってきた適当な大きいアイスコーヒーをストローですする。砂糖多めだ。
ぢゅー………
「……やっぱマスターのコーヒーのが美味しいですね。」
「あれ?」
「……まだかなぁ……」
「オイ!お前傷原だろ!」
「…………?」
話しかけられた。知らない人に。男……?ヒーローっぽい格好してるからヒーローなのかな?……こんな人知り合いにいたっけ?
「俺だよ!雄英の時の同級生の……。」
「……覚えてないです。」
よりによって……同級生ですか。……めんどくさ。
「ちっ……そりゃそうだろうな!雄英首席さんは俺みたいな凡夫のこと覚えてねぇよなぁ!」
まぁこういう態度ですよねぇ……。
「凡夫と言った覚えはありませんが。名前が知られてないって事はそういうことなんでしょうね?」
「テメェもだろうが!テメェも無名ヒーローだろうがよ!あれだけ天才天才持ち上げられてたお前も!ヒーロー業界に出ちゃなーんも名が響かねぇやつになっちまうんだな!?哀れだぜ!」
「……それ。あなたにも刺さってるのわかってます?」
「黙れ!クソがっ!」
「オイ!新人。何してるんだ。単独行動は……。」
……一緒にパトロールしてた最中でしたか。新人……サイドキックでしたか。ぷーくすくす。そりゃ名前聞きませんよ。……ヒーロー名知らないですけど。
この人……確か竹の人。名前覚えてないです。
「……済まない。お嬢さん。ウチの新人が君をバカにしたみたいだ。」
「いいですよ。次からもう少し新人教育に力を入れてくれたら。じゃじゃ馬育成大変ですね。」
「コイツ……俺をなめてんじゃねぇ!!」
パンチが飛んでくる。私の顔面とか……一応女性ですけど?
とりあえず痛いのは嫌なので躱すと……コーヒーに当たって吹っ飛んでいきました。
バシャッ……カラカラ……
「あー……私のコーヒー……。」
「君!!何やってるんだ!!!」
「だって先輩!こいつがっ……」
「黙れっ!ヒーローが心境に任せて手を挙げるなど!!」
お?やっと来たようですね。
「あー……いいですよ。ツレも来たんで。掃除しといて貰えると。」
「ツレ……?」
「は?」
「またせたな。ブラッドロータス。」
「おせぇですよ。おかげで変な人に絡まれたんですけど。」
「貴様なら対処可能だろう。時間もない。歩きながら話そう。」
「エンデ……ヴァー……。」
「…………貴様らが誰か知らんが……こいつは一応俺の商売相手だ。何かあったら俺を通せ。」
さすがの圧ですね。現ナンバーワンヒーロー。と言った所でしょうか。黙っちゃいましたよあの二人。……掃除しといてくださいね?
「それで。要件は?」
「色々あるんですけど……まずはオールマイトに渡していた…まだ終わってない件の引き継ぎです。資料あるので目を通しといてください。」
分厚めのファイルを渡す。
「…………奴はこれ程の量を理解していたのか。」
「ぜーんぜん?話を持ちかける度に私が資料持参してたんで何も無かったですけど。あなたの方がこういう時は頼りになります。」
「ふん。世辞として受け取っておこう。」
「それで一応口頭でも説明するんですけど……コレは……」
事件の内容、概要をいくつか喋りながら歩いているとエンデヴァー事務所に着く。そのまま中を通されて応接室に。
「……なるほど。理解した。……まだまだ対処せねばならぬ事が多いな。」
「理解が早くて助かります。まだまだこれから調査を続けていくので……進展があればその都度連絡します。」
「わかった。それだけか?」
話すべきか……一瞬迷った。だが知っておいた方がいいだろう。
「いえ。ひとつだけ……まだ確定情報でも無く、裏も取れていないのですが伝えておきたいことがありまして。」
「……聞こう。書類にすら出来ないという事だろう?」
「はい。とある筋から……個性消失弾なるものを聞きまして。」
「個性……消失弾だと!?」
「はい。どんなものかも、誰が作ったのかもまだ解明できてません。」
「…………確かなんだろうな?」
「嘘はいいませんよ。ですが……なにぶん名前だけ独り歩きしてる状態でして、存在するのかも怪しいです。」
「…………何かあれば連絡を寄越せ。それはこの社会に大きな問題を起こすモノだ。」
「当然です。ベストジーニストにも連絡してより強固な連携を取ります。」
「……頼んだ。現状貴様だけが頼りだ。」
「最善を尽くします。話したいことは以上です。」
「…………。」
それはそうなるよねぇ……存在してはいけない物だから。
話題変えましょうか。
「そういえば……轟くんはどうですか?」
「……焦凍?何の話だ。」
「家族間の溝ですよ。あなたが作った。」
「…………少しづつだが……少しづつ皆が話すようになった。……それだけだ。貴様は一言多いのだ。」
話せるようになったってのは大きいですね。轟くん……頑張ってるんだなぁ。
「それはすみません。轟くんにはあまり必要ない事で悩んで欲しくないので。」
「……必要……無いだと?」
「はい。家族間の人間関係。個性問題なんて子供が背負っていい問題じゃないです。」
「…………そうだな。済まない。」
「私じゃなくて謝る人が他にいるでしょうに。」
「……焦凍のおかげだ。少しづつ家族の形を取り戻せていっている。」
「あなたも寄り添うんですよ。」
「…………わかった。忠告痛み入る。」
「忠告ってほどじゃ……まぁいいですけど。」
少しは改善してくれるといいですけど。