私のヒーロー   作:おいーも

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復讐

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

「ゴ……ゴキブリ?……どこがですか?」

 

顔は別に虫っぽい感じはしないですけど……

 

 

「……ゴキブリ嫌いじゃないのね。珍しい子。」

 

「ちょっとうってなりますけど……そんなに発狂するほどじゃないです。」

 

「へぇ〜……流水ちゃん。いい子ね。本当に。素直で話してて気持ちがいいわ。」

 

「でしょ?私の自慢の彼女だから。」

 

「私はこの子達……千棘と糸重と違って顔には出てないのよね。」

 

いつの間にか生重院さんと止九ノ院さんが白灘さんの両脇に座ってる。

 

気が付かなかった。

 

ちなみに私は流水さんの隣だ。

 

 

「……顔……には?って事は……。」

 

「そう。顔以外のほぼ全身。人のシルエットは保ってるけどあとはもうほぼそれ。」

 

「…………そう……なんですか。」

 

それを聞くと……私の悩んでたものなんてすごく小さいものだなって思ってしまう。

 

血。家族からの圧力。見た目は問題なかったから……笑顔は怖がられたけど。この人達の苦労を私は知らない。知らないからこそ……何も言えなくなってしまう。

 

 

「…っ。」

 

「…………みる?」

 

「……え?」

 

「私の体。見る?」

 

「な……なんで……」

 

「少しだけ……悩んでるみたいだったから。多分私達のことでしょ?」

 

 

「…………はい。そういう事があるのは知っていたんです。ただ……実際被害を経験した人たちを前にすると……やっぱり現実味に欠けるというか……私も親から被害を受けた身ですが、見た目は人なので……共感が難しいというか……。何と言ったらいいんでしょうか。……言葉にするのが難しいです。」

 

 

「「「……。」」」

 

……何か変なこといいましたかね?

 

「ふふっ。」

 

横からのかぁいい笑い声に私は少しだけムッとなる。

 

「……なんですか。流水さん。」

 

「いや?初対面の人のことそこまで考えられるなら、気にしなくてもいいんじゃない?……優しい子。あなたは私の自慢よ。……本当に。」

 

流水さんが手を握ってくる。その笑顔で少しだけ肩の力が抜ける。

 

「そ……そうですかね?……ありがとうございます。」

 

つられて笑ってしまう。……この笑顔に弱いんですよね。

 

 

「……渡我ちゃん。」

 

白灘さんだ。

 

「……どうされましたか?」

 

「ありがとうね。私達のこと考えてくれて。何言っても失礼だって思ったんでしょう?」

 

「……はい。申し訳ありません。」

 

 

「本当……貴方は……いいわ!私たちは渡我被身子を傷原流水の生涯の伴侶として認めてあげる。」

 

 

「…………え?」

 

「白体教全勢力でお祝いするわ。結婚式は呼んでね?」

 

「え?……え?……あの……ありがとうございます?」

 

「良かったね?被身子ちゃん?」

 

「……流水さん?一体何をしにここに来たんですか?」

 

 

「?社会的にある程度影響力のある白体教を、私達の関係に承認として付ければ……だってもう逃げられないでしょ?何があっても絶対逃がさないからね?」

 

ゾクゾクゾクッ

 

もう……この人ったら……

 

「私が逃げると思ってます?」

 

「私の意志の強さよ。絶対に逃がしてあげない。貴方は私のモノ。」

 

「もう…………んっ!?」

 

人前ですけど!?流水さん!?

 

「わぁ〜……」

 

「「…………」」

 

「ん……へへっ。白ちゃん。よろしくね?」

 

 

「ふふっ仲睦まじくて私も幸せよ?流水ちゃん。結婚式は任せてね?……2人とも。いいわね?」

 

「かしこまりました。生重院千棘。この目にしかと焼き付けました。」

 

「はっ……はい!止九ノ院糸重!かっ……確認しましたっ!」

 

「……糸重ちゃんは本当にウブね?可愛いけどそろそろ耐性つけなきゃダメよ?」

 

「…………うぅ……申し訳ありません。」

 

「いいじゃありませんか。教祖様。この子は可愛いままで。」

 

「でも〜……。」

 

 

「…………何が…?」

 

「ふふっそれはね?私達……結婚してるの。」

 

 

「……私……達?…………ええええっ!?さ……3人でですか!?」

 

 

「ええ。そうよ?……事実婚だけどね?」

 

「日本は……まだそういうのが遅れてるからね。同性で。2人以上で。…………もう少し緩くなってくれてもいいんだけども。」

 

「……流水さん……。」

 

「大丈夫。私たちは結婚相手としては日本では認められないけど、どうしてもってなったら海外で結婚式をあげることもできるから……ね?」

 

「流水さん!」

 

私は流水さんの腰に抱きつく。正座してるからこうなってしまった。

 

「ふふっ。行儀悪いわよ?」

 

 

「いいなぁ……海外だって。2人とも。」

 

「教祖様は日光浴びれないですし……他者からの邪な視線も独り占めですので。絶対に許しません。」

 

「はい。我々がお守りはしますが。もう少し自身の容姿を客観的に見てくださいまし。」

 

「…………それって2人は私の事そういう目で見てるってことでいいよね?」

 

「「…………。」」

 

「黙秘は肯定だよ?…………ごめんね?体が弱くって。」

 

「いえ。それでも共にありたいから。私達は教祖様と一緒になったのです。」

 

「教祖様と共に在れるこの時間。至福のひとときですわ。」

 

「…………ありがとう。」

 

 

 

 

「……それで……そろそろ本題に入ろっか。白ちゃん。」

 

「ええそうね。あの流水ちゃんのお金ごっそりもぎ取った化け物達のことでしょ?」

 

 

「……!……それって……」

 

「そうよ。被身子ちゃん。あなたの親。……復讐したいでしょ?」

 

私の……両親。……復讐。

 

「……何をされてるんですか?」

 

 

「ん?簡単だよ。私が個人的にあの化け物共の動向を調べて、住んでる場所は突き止めたから、白ちゃんに事情を説明して色々相談したらものすごく怒っちゃって。」

 

「当然じゃない!子供の個性の悩みは子供が1番辛いのに。産んだのは親達よ。責任を放棄するなんて考えられない。しかもお金で。流水ちゃんのお金で。」

 

「教祖様だけではありません。我々も相当頭にきております。」

 

「だから落ちるところまで落ちてもらおうって思ってね。被身子ちゃんの記事が書かれた雑誌……あれの売れ行きが良かったのは私が白体教に連絡入れたからで、白体教の人……特に上層部の人達はみんな知ってるし、それ以外にも色んな人に買ってもらったから結構社会的に売れたの。」

 

 

「…………流水さんって行動力すごいですよね。」

 

「あなたのことだからね。そーれーで。まぁあとはご察しの通り白体教の人が被身子ちゃんの元両親宅周辺の色んな人に色んな情報流した結果……金はあるけど精神的に相当キてる両親(家から出られなくなったsecond season)到来ってこと。」

 

あなたのこと……ちょっと頬が綻びそうです。

 

「…………うわぁ。……手口が似てますね?」

 

「それが1番効果的だからね。あの化け物たちも最初は私が動いてるって思ってたらしいけど、複数人が噂広げてるもんだから完全にそういう星に生まれちゃったんだってめちゃくちゃ心病んじゃったらしいわよ。」

 

「……自業自得ですね。」

 

「そこからまた彼ら引っ越したんだけど、そこで待ってるのが……白体教の皆さんです。」

 

「え?」

 

白体教……?なんで……

 

「引っ越した化け物達に、私達の教団員が取り入ったのよ!傷心者はすごく扱いやすいんだから!」

 

「教祖様。ここは一応すごく善性のある宗教団体として売っているので……あまりそういうことは……。」

 

白灘さんが高らかに答える。

 

 

「まぁまぁいいじゃないの。それでね?色々相談してもらったり、色々グッズ買ってもらったら本当にのめり込んじゃって。今やお金をじゃぶじゃぶ流してくれる狂信者になったわ。もう3/4くらい回収できたわよ。流水ちゃん。」

 

この人達……考え方が似てるんでしょうね。すごく敵に回したくないです。

 

 

「早……まぁ思った以上に色々終わるのが早そうね。」

 

「ええ。もちろん使ってないから安心してね?」

 

「いいわよ。多めの資金として使ってもらっても。」

 

「大丈夫。お金に困ってないし。」

 

「……私はみんなに不自由してもらいたくないの。困ったら言ってね?」

 

「……ありがとう。流水ちゃん。心だけ受け取っておくわ。」

 

「ありがとう。白ちゃん。大好き。」

 

「私もよ?流水ちゃん。これからもよろしくね。」

 

流水さんと白灘さんがハグをした。

 

何故かとても美しいものを見てる気がして胸の奥がキューっとした。他の2人も同じようで、表情は分からないけど幸せそうだった。

 

 

 

そしてその後少しだけ雑談をしてから帰った。

 

帰る時は総勢で見送ってくれた。7、8……10人は居たと思う。流水さんがみんなに握手して感謝してた。中には飛んで喜んだり倒れたりした人が居たけど……本当に慕われてるんだなって。

 

私は私で色々もみくちゃにされたけど皆さんから感謝された。流水さんをよろしくお願いしますだって。任せてください。

 

 

 

 

 

「……すごく綺麗な人でしたね。白灘さん。」

 

「そうだねぇ……一種の芸術だよあれは。」

 

帰り道。アイスクリーム片手にゆっくり歩いて帰る。

 

「何か秘訣でもあるんでしょうか。」

 

「気になるの?」

 

「流水さんの目をもっと奪うためです。」

 

「…………これ以上奪ってどうするのさ。」

 

「私しか見れなくします。」

 

「もうあなたしか見てないよ?」

 

「ふふふっ。」

 

「…………もう。……あの子言ってなかったけどアルビノなんだよね。多分それで綺麗なのもあると思う。」

 

「アルビノ……?それって色素が薄い人のことですよね?」

 

「そうそう。だから身体はゴキブリみたいな真っ黒じゃなくて真っ白なの。全身真っ白。本当に綺麗。…………あんな子でも迫害されるんだから……個性差別は根強いね。」

 

「…………許せません。」

 

「ね。……絶対無くさなきゃ。……協力してくれるんでしょ?」

 

「絶対にします。……待っててくださいね。」

 

「うん。ずっと待ってるから。」

 

どちらともなく手を握る。

 

雲ひとつ無い夕焼け空は

 

まるで私達の心を表してるかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

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