side傷原流水
「引っ越し完了〜!!」
「疲れましたね!」
部屋に色々家具を運び入れ、ダンボールをあらかた開け終わり……整理と収納も終わってこれで一息つけるね。
二人でやったから早い早い。
「……ふぅ。喉乾いたね?なにか飲む?」
「……冷蔵庫なにか入ってましたっけ?」
「いっぱい水入れた。」
「水しかないですね?」
「しかも冷えてないやつ。」
「充分ですね。喉が乾きました。」
「私もってくるから被身子ちゃん休んでていいよ。」
「じゃあお言葉に甘えますね?」
冷蔵庫……前家から持ってきた大きい冷蔵庫。置ける場所あってよかった。……この引越しの家具全部パパが買ってくれたんだよな。どれだけ金持ってるんだあの人。私に1文も払わせてくれなかったぞ。
……リビング……広……。物置いても全然広いや。ソファ(パパ購入)大きめにしておいてよかった。
椅子(パパ購入)と机(パパ購入)も大きめなんだけどそれでも拾いなぁ……。ルンバ(パパ購入)2台持ってきて良かったね。掃除大変だ。
…………。
私もしかして結構いい所のお嬢様だったりする?
冷蔵庫を開けてまだ冷え切ってないペットボトルの水を2本取り出す。
「はい。被身子ちゃん。」
「ありがとうございます。流水さん。」
ゴクゴクゴク……
「おいしー!ひと仕事終えた後の水は最高だね!」
「はーっ……美味しいですね。……そういえば流水さんってお酒飲まないですよね。」
「ヒーローだからね。いつ何処で何があるか分かんないからお酒は飲まないようにしてるんだ。1回だけ飲んだことあるけど、アレルギー出ちゃったからそれで飲むのやめたのもある。」
「え!?アレルギー!?大丈夫だったんですか!?」
「軽度だから大丈夫だよ。全身真っ赤になったくらい。」
懐かしいな。パパと飲んだんだけどチューハイ一缶で真っ赤だったから……パパびっくりしてたな。
「……心配です。絶対にお酒飲んじゃダメですよ?」
「わかってるよ。被身子ちゃんに心配かけたくないしね?」
「……お願いしますね?」
水。お茶。コーヒー。紅茶。牛乳。
お酒なんて飲まなくてもこの世界には美味しい飲み物が溢れてるんだよ!
「被身子ちゃんはお酒飲めるのかな?」
「……元両親はお酒結構飲んでたので飲めるんじゃないですかね?」
「そうなんだ。じゃあ成人したらお酌してあげないとね?」
「………………………めっっっっっっっっっちゃ魅力的ですけど…無限に飲めちゃいそうなのでNGで。」
……すごい間があったけど何想像したの?
そんなこんなで買い出し。ご飯がないと生きてけない!
近場にスーパーあって助かった。本当に良かった。
「……じゃがいも。安い。ほうれん草。ちょっと高い。人参。普通。……」
値段的には……前の場所と似たりよったりだね。いい場所見つけたかも。
「流水さん?流水さーん?」
「はいはい?どしたん?」
「今日の晩御飯何にします?」
「んー……色々野菜が安いねぇ〜……お肉も安そう。卵どうだっけ?」
「入った時に既にもうだいぶ品薄だったので無いかもしれません。」
「んあー……失敗したね。とりあえず味噌と豆腐とお米があれば生き残れるからそれはマストだね。……今日は簡単に済ましちゃうか。お魚焼いて浅漬け作って和食デーにしよ。アルミホイル買わなきゃ。」
「わかりました。明日の朝ご飯どうします?」
「おーん……ちょっと多めに浅漬けは作っとこうね。漬物大事。ウインナーと適当になにか合わせて野菜炒め作ろ。明日以降は明日考える!」
「はい。そうしましょう。まだ台所に慣れてないですし。」
「こういう時ウインナーとベーコン最強だからちょっと大きめの買っとこう。」
「そうですね。加工肉最強です。」
「油あったっけ?」
「持ってきてませんでしたっけ?」
「覚えとけばよかったねぇ。……なんかあったらフライパンのテフロン加工を信じよう。」
そんなこんなでわちゃわちゃ話しながら少し多めに食材を買い込み、帰路に着く。
二人で1つづつ袋を持てば、手を繋いで帰れるね。
「いやぁ……買ったねぇ。」
「買いましたね。でも食費的にはあまり変わらなそうです。」
「うんうん。いいスーパーがあってよかったね。やっぱお金は庶民感覚の方が生きやすいよ。」
「そうですね♪……流水さん。」
「およ?なぁに?」
「幸せです。」
「ふふっ……私も幸せ。」
少しだけ寄り添うと、被身子ちゃんも寄り添ってくれる。こんな幸せが続けばいいのにね?
続かせるよ。絶対に。
prrrrr…
「ん?私じゃないね。」
「あっ……私かも?すみません流水さん。電話でますね?」
手が離れる。ちょっとだけ残念。
「…もしもし………芦戸ちゃん?どうしました?」
『……!……!!』
「え?私の部屋?……グループチャットで私は寮暮らしじゃないって伝えませんでしたっけ?」
芦戸さん……知らなかったのかな?それとも……
『…………!』
『……!』
『…………!!!』
「あはは……やっぱり見てないだけじゃないですか。」
ちょっとだけ抜けてるんだよねぇ……大人になっても大丈夫かしら。
『……!……!』
『……!!』
「え?私の家に来たい?……いいですけど。今のところ男子禁制ですよ?それに引っ越したばかりですしダンボールも片付いてません。」
『……!!……!!!』
「んー……そう言われましても……しかも寮暮らしになったのも皆さんの安全を守るためなので……私の判断ではなんとも……相澤先生に確認を取ってみては?」
『……!』
『…………!!!』
『……!……!!』
『…………!』
『…………』
「そっちで話し合うならちょっと切りますよ?私まだ外なんです。」
『……!!』
『……!』
「はーい。また登校日ですね。」
ピッ
「話聞いてたよ?見に来たいって?」
「はい。結構みんな乗り気で……。」
「いいんじゃない?……2階以上はダメだけど。」
「そうですよ。当然です。プライベートルームです。」
どちらともなく指を絡める。慣れたもんだね。……私はまだちょっと恋人繋ぎはドキドキするけど。
「結構歩くと思ったけど全然だね。」
「はい。流水さんと過ごすといつも時間が早いです。」
「じゃあ尚更じっくり味わわないとね?」
「はい。いっぱい噛み締めます。」
そのまままだ見慣れぬ我が家に入る。これからの生活に胸を膨らませながら。
「……え?仮免を1年の間に取る?」
『はい。一応渡我被身子の家族であり、雄英の1教師でもあるので予め伝えておこうかと。』
夜。相澤先生から電話があった。被身子ちゃんはお風呂だ。
「いいんじゃないですか?敵活動がだいぶ活発化してますし。」
『はい。生徒の身を守るために必要との判断です。』
「そうですね。私も己の身は己で守ってもらわないといけないタイミングは訪れると思います。」
『そう言っていただけると幸いです。生徒に伝えるのは夏休みが開けてからなので他言無用でお願いします。』
「はい。わかりました。……もしかしてまだお仕事中ですか?」
『はい。夕方辺りに1部生徒から襲撃を受けまして……。傷原先生の家を見せろとデモが……。』
「…………。」
芦戸さん……あなたって子は……。
「ごめんなさい。相澤先生。」
『いえ。残業は慣れっこなのでなんとも。教員寮に住んでるので通勤時間も無いですし。』
「慣れっこはダメですよ……?」
『私だけじゃなくてブラドキング先生もデモを受けたので……二人で仕事を終わらせてるのでもうすぐです。』
「なんでブラドキング先生も……?」
『B組1部生徒からも同じようなデモがあったので。』
「…………ほんっっとうに申し訳ありません。」
なにしてんの本当に!迷惑かけちゃダメでしょうが!
『いえいえ。生徒から慕われてるいい先生だと思いますよ。良い相談役になってくれてありがとうございます。同性の方がしやすい相談もあると思うので。』
「そう言っていただけると……幸いです。……結果…どうなりました?」
『はい。一応条件付きで許可は出しました。』
「条件付き?」
『はい。傷原先生の送り迎えが大前提です。』
そうなるよねぇ!?
「…………かなりハードですね。」
『はい。それは本当に申し訳ないです。なので行ける人数を絞ろうと思います。……それは追々。』
「わかりました。こちらでも対処可能なことは対処します。」
『助かります。それではこれで。』
「はい。お疲れ様です。」
ピッ
……芦戸さん。行動力はすごいけど……その行動力を勉強にも活かして欲しいなぁ……。