side渡我被身子
「え!?渡我!コスチューム変わった!?」
「黒〜い!なんか雰囲気違う!」
「えへへ。かぁいいですか?似合ってますか?」
「似合ってるよ。いいじゃん。」
それから1週間とちょっと。新しいコスチュームが届いた。
更衣室に一緒にいた耳郎ちゃん、梅雨ちゃん、芦戸ちゃんに少し早くお披露目。
訓練最終日に間に合って良かったです。
「捕縛布と武器は……相変わらずなのね?」
「そうですね。まぁ……慣れちゃったってのが正しいです。」
武器を腰のアタッチメントにはめて、捕縛布を首周りに巻いて完了。
捕縛布と腰の吸血道具一式は、付けたままで変身出来ることに気がついたのでそのまま利用させてもらう。
「これで心置き無く全身変身ができるってこと?」
「はい。皆さんの個性も使えますよ?」
「えーっ!渡我に私より個性上手く使われたら悲しくなっちゃう!」
「そんな上手く使うなんて……皆さんの方が練度は上ですよ。」
「でも被身子ちゃんならすごい個性の使い方を思い浮かびそうだわ。頭の回転早いもの。」
「そうですかね……。」
「渡我はもっと自分がすごいって自覚した方がいいよ?……まぁあの怪物先生と一緒に住んでるなら感覚狂うかもしれないけどね。」
「流水さんのこと怪物先生って呼ぶのやめてくださーい。」
「もう……そこじゃないでしょ?」
……たしかに。人の個性を自分で使うことに……何かしら本人の使い方でやらないといけないって思い込んでいた節があります。
……奪う。相手の姿を。個性を。これができてしまう。
これって必殺技になれませんかね?
「…………。」
色々考えてみる。人の姿を奪う必殺技……いいかもしれない。
「どうした。渡我。」
「あ……相澤先生。」
「また腕が止まってるぞ。……必殺技は難しいだろうが、今身体を作ることは何もおかしくない。できることが増えればそれが必殺技になったりするんだ。」
「……相澤先生。」
「どうした。」
「私の個性って……発動そのものを必殺技に出来ませんか?」
相澤先生は少し目を見開いたあと、ちょっとだけ考えてから答えてくれる。
「…………他人の個性を人並みに扱ってから……だな。発動が難しい上に発動しても手間取るようだったら必殺技とは呼びづらい。」
「……わかりました。……もっと身体を作って発想を柔軟に……ってことですね!」
「……なにか糸口が見えたようで何よりだ。そのまま伸ばせ。」
「はい!」
……それはいいんですけど発想……クラスの人の動き見てみます?
…………。へぇ…皆個性の使い方色々出来るようになってますね。凄い。……爆豪くん…貫通力を……へぇ。芦戸ちゃん。飛距離を伸ばす……ふぅん。葉隠ちゃん眩しいですね?そんなこともできるんですか……。緑谷君。足?たしかになんで今まで腕しか使ってなかったんでしょうか。
……柔軟な……発想。……例えば芦戸ちゃん。酸性の液……粘度をあげれるなら投げることも出来ないのでしょうか。そしたらもっと飛距離が……。切島くん。硬化って皮膚だけなんでしょうか。全身?皮膚だけならその下……2重に硬化は出来ないのでしょうか。
…………できることなら血を頂きたいのですが……それはわがままが過ぎますよね。この思考。できること、できないことを取捨選択。……私の課題。情報収集。取捨選択。
これが出来るようになれば。自然に行えれば。……目を鍛える……。
これがきっと私の必殺技の足掛かり。できることが増えたことで……見つけた私のオリジナル。
相手のオリジナルを奪い……自分のオリジナルにする。
例えば……『ロスト・オリジン』とか。
ちょっと厨二臭いですかね?
「そういえば渡我!今日!行きたい!渡我の家!!」
女子更衣室。今日の訓練が終わった時。突然芦戸ちゃんに言われた。
「え?許可は出たんですか?」
「出たよ!出た出た!…………良くて3人って言われちゃったけど。お泊まりはダメって言われちゃったけど!!!」
「まぁ……そりゃそうですよね。」
「私も行きたーい!」
「私も見てみたいわ。」
「ウチも!めっちゃ広いんでしょ?」
みんなの挙手。……3人なのでは?
「ふふっ。皆さん、あみだくじを作りますのでそれで決めましょうか?」
「「「「はーい!」」」」
「さすが八百万ちゃん。みんなのママ。」
「渡我さん?他人事だと思って……。」
「「ヤッオッモモ!ヤッオッモモ!」」
「その音頭は何ですの!?」
八百万ちゃんが作ったあみだくじで決まったのは……
「傷原先生のお家楽しみ〜」
「めっちゃ豪華って聞いたよ!」
「広い家いいなぁ……羨ましい。」
葉隠ちゃん 耳郎ちゃん 麗日ちゃん。
言い出しっぺの芦戸ちゃんはハズレです。可哀想。次……ですね。
「急なんだもんね。びっくりしちゃった。」
「すみません。流水さん。嫌でしたか?」
「大丈夫だよ〜。掃除は毎日してるし…恥ずかしいことは2階より上だけだね。」
2階より上。私たちの寝室がある部屋。……たしかに。色んなもの置いてありますもんね。
ちなみに2階にはいくつか空き部屋があります。何に使うか模索中。
そんなこんなで家に着く。
「でっ……」
「で?」
「「「でっか……」」」
「そうですか?……1階は確かに広いですけど……居住空間はあんまり前の家と変わらないですよ?」
「傷原先生……どんな家に住んでたんですか。」
「か……金持ちやんけ!」
「麗日ちゃん?」
「はい。麦茶だけど……どうぞ。」
「「「ありがとうございます!」」」
「ひえー……本当に広いね。これクラス全員で来ても全然余裕あるよ……。」
「寮の談話室と同じくらい広いね。ホントすごい。」
「何も無いけど……ごめんね?……暇つぶしと言っても……映画のCDくらいしかないかも。」
「豪華やんけ!」
「麗日ちゃんどうしたの?」
「自分の元住んでた所と比べて脳みそがキャパオーバーしてるらしい。」
「……難儀ですね。」
「難儀だね。」
『ギャオオオオオオッ!!』
「「「うわああああっ!!」」」
なんだかんだホラー映画鑑賞会。3人の悲鳴が心地いいですね。
「……渡我……よくこういうの見るよね。」
耳郎ちゃんはあまりびっくりしないタイプですか?
「そうですか?血が好きなのでそれもあるかもしれません。」
「素で耐性持ちか……相当好きだね。」
「ひっひひっ被身子ちゃん!今からでもやめない!?本当にやめない!?」
私の腕がガンガン揺られる。
「……傷原先生こういうの無理なんだね?」
「現実味が無いのは苦手らしいです。現実に起こってることは何かしらの原因があるから脳がシャットアウトする……とか。」
「それもそれで凄いね。」
『ォオオオオオオオッ!!!』
「「「ふぎゃーーーっ!?!?」」」
「とっとととととおとおと渡我ちゃん!!抱きついてていい!?いいよね!答えは聞いてない!!!」
ぎゅっ
「へへへ……。」
「渡我……あんたそれ目当てだったりする?」
「2……5割くらいは♡」
「……悪い人だねぇ?」
「そうですか?……役得ですよ。本当に。」
「はわ……はわわ……。」
怖がってる流水さん……ほんっっっっっとうにかぁいいんですよね……涙目……腕がガタガタ震えて……もう嗜虐心を煽らないでください。
映画が終わった。
「面白かったですね〜。」
「「怖かったよ!!!」」
「うわ…渡我の家……ホラー映画しか無いじゃん。」
うわってなんですか。
「「えぇっ!?すごい趣味してるね!?」」
「ホラー映画大好きなので。特に洋画。」
「……血が出るから?」
「はい。そうです。」
「筋金入りだね。」
「映画って聞いたから可愛いものだと思ったのに!」
「……夜寝れなくなりそう……。葉隠ちゃん。一緒に寝ようよ。」
「そうだねお茶子ちゃん。今日は二人で一緒に寝よう!」
「……耳郎ちゃんは?」
「ウチは……別に怖い系見ても眠れるしいいかな。」
「「裏切り者!!!」」
3人でワイワイしてる中、私は袖を引っ張られた。
そこには涙目の流水さん。
「……ト……トイレ行きたくなっちゃった……着いてきてくれない?」
ゾクゾクゾクッ
これがあるからやめられないんですよね。
本当にかぁいい♡