私のヒーロー   作:おいーも

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ビッグ3

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

お風呂上がり。被身子ちゃんは今髪乾かしてる。わたしは長ーーーい髪を拭きながらリビングへ。

 

お風呂も広いんだよな。この家。もう少し狭くてもいいんだけど。手持ち無沙汰な部屋いくつかあるよ。

 

牛乳飲まなきゃ。牛乳。身長伸びるかもしれない。

 

冷蔵庫に手をかけた時

 

 

prrrrr……

 

……私のスマホ。こんな夜遅くに誰?

 

 

え?

 

 

「……もしもし。なんですか?こんな夜遅くに……珍しい。…………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

インターン……ですか。必修科目じゃなかったはずですけど……。実際のところあまり興味がありません。

 

私たちの目の前には相澤先生……と3人の先輩。

 

 

「現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名。通称ビック3の皆だ。」

 

ビッグ3……すごい人たちっていう認識しかないです。

 

 

「じゃ、手短に自己紹介よろしいか?まず天喰から。」

 

黒髪の……両手をポッケに入れてる雰囲気の悪い人。

 

 

「「「!!」」」

 

すごい視線ですね。色々くぐり抜けてきたんでしょうか……。ちょっとだけ違う気も……。

 

「ダメだ…。」

 

……え?

 

「ミリオ…波動さん…ジャガイモだと思って臨んでも頭部以外が人間のまま……依然人間にしか見えない…どうしたらいい………。」

 

そのまま壁に向き直ってしまった。

 

「言葉が出てこない……頭が真っ白だ…辛い……帰りたい!!」

 

ノミの心臓……ってやつですね。

 

 

「聞いて天喰くん!そういうのをノミの心臓って言うんだって!ねぇ人間なのにねぇ不思議!彼はノミの天喰環。それで私が波動ねじれ。今日はインターンについて皆にお話して欲しいと頼まれて来ました!」

 

そのままぺちゃくちゃ喋り出す波動先輩。

 

…………いつ終わるんですかこれ?

 

 

 

 

そのままなんやかんやあって最後の先輩のターン。

 

 

「前途ーー!?」

 

 

シーーーン

 

 

「多難ー!っつってね!よーし!掴みは大失敗だ!アハハハ!」

 

…………え?ビッグ3って変な人しかいないんですか?

 

 

「まぁ何が何やらって顔してるよね。必修ってわけでもないインターンの説明に突如現れた3年生だ。そりゃわけもないよね。」

 

たしかに…………。

 

そういえば今日から緑谷君は復帰ですね。普通に忘れてました。

 

「うーん……1年から仮免取得だよね、今年の1年ってすごく元気があるよね、そうだね、何やらスベリ倒してしまったようだし………。」

 

 

「ミリオ?」

 

天喰先輩?

 

 

「君たちまとめて俺と戦ってみようよ!」

 

「「「「えぇええええええ!!」」」」

 

「俺たちの経験をその身で経験した方が合理的でしょう?……どうでしょうね?イレイザーヘッド。」

 

「好きにしな 。」

 

 

 

 

 

そのまま流れで運動場……

 

 

「あの……マジすか?」

 

「マジだよね!」

 

通形先輩は準備運動をしている。……私もしておきましょう。

 

「ミリオ……やめた方がいい。インターンについては形式的に語るだけで十分だ……皆が皆、上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない。」

 

……なるほど。

 

「え?立ち直れなくなるって……。」

 

「待って下さい。我々はハンデありとはいえプロとも戦っている。」

 

「そしてヴィランとの戦いも経験しています!そんな心配されるほど俺らザコに見えますか?」

 

みんなが言い返してるけど…多分。……きっと。

 

「うん!いつどっから来てもいいよね。一番手は誰だ?」

 

本当にザコに見えてるんでしょうね。それだけ圧倒的な差……だと思っておいた方が良さそうですね。

 

 

「俺が……。」

 

「僕、行きます!」

 

「意外な緑谷!」

 

 

「おまえら!いい機会だ!しっかり揉んでもらえ!」

 

相澤先生もあの態度。……多分仮説は正しい。…ちょっとだけ……殺す気で……行きましょう。

 

「……問題児!いいね君!やっぱり元気があるなァ!」

 

緑谷君が突っ込む……と通形先輩の服が落ちて全裸になった。

 

「うわあああああああっ!!」

 

耳郎ちゃんの声。うちのピュアピュア耳郎ちゃんになんてもの見せてるんですか!

 

 

「今服が落ちたぞ!」

 

「ああ失礼、調整が難しくてね」

 

緑谷君の蹴りは顔に。ただしすりぬける。

 

すり抜け…………すり抜けが個性ですかね?

 

 

「顔面かよ。」

 

みんなの遠距離攻撃も全部すりぬける。

 

爆風。

 

……消えた。煙とともに目の前で。……何処に……。

 

「待て!いないぞ!」

 

 

「まずは遠距離持ちからだよね!」

 

「ギャアアアア!!」

 

耳郎ちゃん!?

 

後ろ…………ワープ?

 

「ワープした!?」

 

半分が一瞬で処理された。……遠距離攻撃出来る子だけ狙われた感じですね。…集団戦にだいぶ慣れてますね……厄介です。

 

「どんな強個性だよ!」

 

「パワー!!」

 

 

……すり抜け……だけじゃない気もしますけど……それ以上に近接戦闘能力が高すぎますね……。個性無しなら私とどっこいでしょうか。……個性があるから厄介なんですけど。

 

「遠距離はこれだけ。あとは近接主体ばかりだよね!」

 

 

「何したのかさっぱりわかんねえ!」

 

「すり抜けるだけでも強いのにワープとか……。」

 

「それってもう無敵じゃないですか!」

 

「よせやい!」

 

 

無敵……?それは違いますね。

 

「無敵じゃないですよ。絶対に。」

 

「うん!何かからくりがあると思うよ!すり抜けの応用でワープしてるのか、ワープの応用ですり抜けてるのか……。どっちにしろ直接攻撃されるわけだから、カウンター狙いでいけばこっちも触れられる時があるハズ!」

 

「多分近距離組だけ残したってことは相当近距離戦自信があります。注意しましょう。」

 

「何してるかわかんないなら、わかってる範囲で仮説を立ててとにかく勝ち筋を探っていこう!」

 

緑谷君と同じ意見なのは非常に腹が立ちますが……彼のこういう情報処理と出力は目を見張るものがありますね。頭の回転が早いんでしょうか。

 

「おお!サンキュー!謹慎明けの緑谷すげーいい!」

 

「渡我ちゃんもありがとう!よーし頑張るぞ!!」

 

「だったら探ってみなよ!」

 

また沈んだ……多分……後ろ……

 

緑谷君が予測して蹴りを入れている。

 

「だが…」

 

あ……すり抜け……

 

「必殺!ブラインドタッチ目潰し!」

 

「ほとんどがそうやってカウンターを画策するよね!ならば当然そいつを狩る訓練!するさ!」

 

緑谷君……撃沈。

 

カウンターを狩る訓練……至極当然ですね。

 

 

 

「あとは!君だけだね!」

 

「そうみたいですね。」

 

私以外のみんなは腹パンに沈んだ。

 

消えた。後ろ。

 

でも私は……付き合いませんよ?先輩。

 

少し前に走ってから後ろを向く。

 

びっくりしてるみたい。そうですよね。みんな律儀にカウンターしてましたもん。

 

私は違います。

 

「!」

 

狙うは軸足。立ってるってことはすり抜けてないってこと。足の裏を狙う。

 

飛び蹴り。私の中でリーチと速度は今これが最大。

 

クロスカウンターは無理。相手がすり抜けてこっちに一方的に貰うだけ。

 

「凄いね!でも俺の勝ちだよ!」

 

ジャンプ。……たしかに見てるなら対処は余裕だ。

 

そして無慈悲な腹パン。

 

私は沈んだ。

 

もう少し……時間をかけてゆっくりやれば良かったでしょうか……。

 

 

「パワー!!」

 

これは単純に経験値と場数が圧倒的に違いますね。

 

 

 

 

 

 

「とまァ、こんな感じなんだよね。」

 

全員整列。

 

この腹パン一発でまだ痛がってるなんて……訓練がまだまだ足りませんよ。流水さんと師匠にボコボコにしてもらってください。

 

「わけわからず全員が腹パンされただけなんですが……。」

 

 

「俺の個性強かった?」

 

「強すぎっス!」

 

「ズルイや!私のことも考えて!」

 

「すり抜けるしワープだし轟みたいなハイブリッドですか!?」

 

「いや、一つ。」

 

「はーい!私知ってるよ個性!ねえねえ言っていい?言っていい?」

 

波動先輩だいぶおしゃべりさんですね。見た目も相まって不思議ちゃんって感じです。

 

「透過!」

 

「波動さん、今はミリオの時間だ。」

 

天喰先輩の冷静なツッコミ。

 

「そう!俺の個性は透過なんだよね。君たちがワープと言うあの移動は推察された通りその応用さ。」

 

「どういう原理でワープを……。」

 

「全身個性発動すると俺の体はあらゆるものをすり抜ける。あらゆる、すなわち地面もさ!」

 

地面に落ちる……すり抜けるって……あらゆるもの!?それって相当……

 

「じゃああれ、地面に落っこちてたってこと!?」

 

「そう、地中に落ちる。そして落下中に個性を解除すると不思議なことが起きる。質量のあるモノが重なり合う事はできないらしく……弾かれてしまうんだよね。つまり俺は瞬時に地上へ弾き出されてるのさ。これがワープの原理。体の向きやポーズで角度を調整して弾かれた先を狙うことができる!」

 

「攻撃は全てスカせて自由に瞬時に動けるのね。やっぱりとても強い個性……」

 

「梅雨ちゃん。多分違います。苦しい個性ですよね。きっと。」

 

「!…うん。そうだよ。強い個性にしたんだよね。個性発動中は肺が酸素を取り込めない。吸っても透過しているからね。同様に鼓膜は振動を網膜は光を透過する。あらゆるものがすり抜ける。それは何も感じることができず、ただただ質量を持ったまま、落下の感覚だけがある、ということなんだ。」

 

皆の絶句。どこまで極めたらそうなれるんでしょうか。普通だったらヒーロー諦めちゃいますけど。……諦めなかったんでしょうね。こういうタイプは。

 

 

「わかるかな?そんな感じだから壁ひとつ抜けるにしても片足以外発動、もう片方の足を解除して接地。そして残った足を発動させすり抜け、簡単な動きにもいくつか工程が要るんだよね。」

 

「急いでる時ほどミスるな俺だったら。」

 

「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねぇ。」

 

 

「そう、案の定俺は遅れた。ビリっけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた。」

 

笑う所ですかね?

 

「この個性で上にいくには遅れだけはとっちゃダメだった。予測!周囲よりも早く!時に欺く!何より予測が必要だった。そしてその予測を可能にするのは経験。経験則から予測を立てる。長くなったけれどこれが手合わせの理由。言葉よりも経験で伝えたかった!」

 

……実践。……経験。大事ですね。私もそう思います。……通形先輩ほどじゃないでしょうけど。

 

「インターンにおいて我々はお客ではなく1人のサイドキック、プロとして扱われるんだよね。それはとても恐ろしいよ。プロの現場では時に人の死にも立ちあう……けれども怖い思いも辛い思いもすべてが学校じゃ手に入らない一線級の経験!俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!」

 

現実論。実際にトップを掴んだ男の言葉。……理想じゃなくて現実。これがトップヒーローのあるべき姿ですね。

 

 

「ので!怖くてもやるべきだと思うよ1年生!」

 

 

インターン……少しだけ興味が湧きました。

 

流水さんに相談してみましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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