side渡我被身子
「えっ……インターン募集してない?……ですか?」
「そうなの。ごめんね?同じ時期に予定が入っちゃって……。」
その日の夜。流水さんにインターンの相談をしてみたけど……断られた。まぁ行けたらいいなくらいの気持ちだったからあんまりガッカリはしてないけど……ちょっとだけ残念。
「うーん……どうしましょう。」
「行きたいの?インターン。」
「ちょっとだけ。今日通形先輩……雄英ビッグ3の人達とあって……経験が足りないなって痛感して。」
「通形……通形……どこかで聞いた覚えが…………あー……サー・ナイトアイの所。会ったこともあるね。確か。」
「え?そうなんですか?」
「学校内だとなかなか怪我しないから全く会わないけど、多分インターン先がサー・ナイトアイの事務所なんじゃない?何度か会ったこともあるし挨拶もした事あるわ。」
サー・ナイトアイ……そういうヒーローが居るって名前だけしか聞いた事ないです。
流水さんの行動範囲と友好関係がいまいち掴めないんですよね。仮免試験の時ギャングオルカさんとも話したって聞きましたし。実は結構なコミュ強なのでは?
「うーん……どちらにしろインターン先……あればいいんですけど。私職場体験もリカバリーガールと一緒にほぼ病院勤めでしたし……体育祭も意味のわからない降参だったので逆指名も無かったんですよね。……コネクションがないです。」
「確かにね〜……一応。一応だけど逆指名あったわよ。私が駄目だって言って事前に折ったけど。」
「…………え?」
そうだったんですか?……よほど流水さんが嫌いなのか……私と合わないのか……。
「……どうする?あっち次第だけど私が声掛けてみよっか?」
すごーーーーーーく嫌そうな顔。苦虫を噛み潰したような……。
でも。私流水さんの役に立ちたいので。
「流水さん。私……今。苦労したいです。」
伝えた。意志を。私は強くなりたいって。
「………………。本当ね?」
「はい。変わりません。」
「……ハァーーーーッ……私の目の届かない所に被身子ちゃん置くのすごーーーーーーく嫌だけど……被身子ちゃんの意思だもんね。わかった。それとなく声かけてみるわ。」
流水さん……本当に大切にしてくれる。嬉しい。本当に嬉しい。
だからいっぱい強くなってきますね!
「……誰なんですか?」
「…………まだいいたくない。あっちがOK出すかもわかんないし。」
……よほど嫌いなんですね。
「わかりました。進展すれば教えてください。」
「……私じゃなくても……あっちから声掛けてきそうだけどね。」
「……?」
それだけ気に入られてるんでしょうか……私なにかしましたっけ?
別の日。お昼休み。
「みんなはインターン行くの?」
麗日ちゃんの一言。
今日は食堂に皆でご飯を食べてる。男子も混じって仲良しクラスだ。
「そういえば切島は?どこいったんアイツ。」
「あー……確か今天喰先輩ところに居るって。どうしてもインターンを受けたいヒーローが居るって……。」
瀬呂くんと尾白くんの会話。切島くん…頑張ってるんですね。
「そういや爆豪インターン決まったよな?」
「え?そうなんですか?」
「ああ。ベストジーニストん所だ。……ゼッテェ何か吸収して帰ってやる。」
ベストジーニスト……そういえば神野で話してましたね?叶ったんですか……良かったです。
「俺も早く追いつかねぇとな。」
轟くん……今日何度目ですかね?補修頑張ってください。
「渡我は?決まってないの?」
「んー……行きたい気持ちもあるんですけど……どこに行っていいかわかんなくて。流水さんに聞いたら紹介してくれるっぽいですけど……なんか望み薄そうで。」
「プロヒーローが身内にいるとそういうのいいよね!羨ましい!!」
「ふふっ。最大限利用させてもらいます!」
……とは言ったものの……流水さんからまだ連絡ないんですよねぇ。どうなんでしょうか。
「あっ見つけた!渡我……だっけ!」
え?この人……通形先輩!
お昼休み、ご飯も食べ終わって廊下を歩いていた時に声をかけられた。
「お疲れ様です。通形先輩。」
「うん!おつかれカツカレー!」
シーーーン
「ははっ!君に話したい事があってね!」
「あっはい。」
「サー・ナイトアイの事務所にインターンで来ないかい?」
「…………え?」
サー・ナイトアイの事務所?それって流水さんが言ってた……もしかして断った人って……
「緑谷と一緒に!」
「は?」
すごい嫌な顔しちゃったかもしれません。
「い……意外だね。渡我さんが僕と一緒の場所に行くなんて……。」
ガタンゴトン…
「…………。流水さんの紹介なので。」
ガタンゴトン……
「……そ……そう。僕のこと嫌いだから……来ないかと思っちゃった。」
ガタンゴトン………
「はい。大嫌いです。」
「…………良いんだけどさ!俺を挟んで会話しないで貰えるかい!?」
今私たちは電車でサー・ナイトアイの事務所に向かっている。
結局……私は承認した。流水さんの紹介ってこともわかったし、通形先輩が推してくれたってのもある。
緑谷君が居るのは本当に無理ですけど。
オールマイトが頼んだらしいですけど……本当に……余計です。
「ここがサーの事務所だよね。」
結構遠かったですね。……これから1ヶ月……頑張ります。
「おいおい角張るなよ!よくないぜ!言いそびれてたけどサーはとても厳しいんだよね!」
「存じております!自分にも他人にも厳しくストイックな仕事が有名なヒーロー。テレビ出演した時、モニター越しでもあの鋭い眼差し……ゾワッとしましたよ。」
緑谷君……本当にオタクですね。
「それもそうだけどね、サーにはメディアと違うもう一つの顔がある。君が門前払いされたくないのなら、これからサーと会って話し終わるまでに必ず1回笑わせるんだ。」
「え?な、何ですかそれ!?笑わせる!?」
「え?私もですか?」
「渡我はなんというか……サーが逆指名したから別にいいんだけど……緑谷は違う。」
あ、良かったです。…あれ?……今回も逆指名?流水さんの説得じゃなくて?
「サーはああ見えてというか、だからこそというかユーモアを最も尊重してるんだ。俺ができるのは紹介までで君を使うかどうかはサーが決める。」
ユーモア……私からかけ離れてますね。
事務所の廊下を歩く。螺旋階段…すごい!初めて見ました。
「俺も協力してやりたいけど、ここからは君一人でサーに認めてもらうしかない。」
「今更ですけど、会ったばかりなのに先輩は何で良くしてくれるんですか?」
緑谷君の疑問。……私も気になりますね。
「別に良くしてる気もないけどね。君はめちゃくちゃな目標を持ってそれを実現しようとしてる。困ってる人がいたらお節介やいちゃうのはヒーローの基本だろ?」
……そうなのかもしれません。お節介……ですか。
「さて、あのドアの先だ。強くなりたいなら己で開け!」
「私はいいんですか?」
「これは緑谷の問題だからね!」
緑谷君がドアを開く。……すると
青い人が擽られてた……機械に。
「バブルガール……サイドキックだね。多分ユーモアが足りなかったんだ。」
ユーモア……
メガネをつけた怖そうな人……がこちらを振り向く。
「緑谷出久です!!」
何それ……オールマイトみたいな顔……そんなこと出来たんですか?……好きとはいえ……気持ちわr……
私が流水さんにしてることとあんまり大差ないのでは……?私血吸ってますし……よっぽど酷い気が……
「……君が渡我被身子。ブラッドロータスから聞いている。ようこそ。私の事務所に。」
「あっはい。よろしくお願いします!」
「ふむ。」
ポチ。サラッと印鑑を押してくれる。緑谷君の時とは大違いですね。部屋移された時はもしかしたらインターンさせない可能性もあると思ったんですけど……無理でした。
「あの……私にユーモアとかって……。」
「む?試験して欲しかったのか?」
「いえ!そういうことではなく……私ユーモアのユの字も無いですけど?」
「君はブラッドロータスと同じで常に笑顔だ。体育祭の時がそうだったように。作られているものであっても。苦しい状態でも笑顔で居れることは才能だ。笑顔は人に笑顔を与えられる全ての1歩。私は高く評価している。」
「流水さんと仲悪そうでしたけど……?」
「……アレが一方的に嫌ってるだけだ。」
ほんとかなぁ……
「……何はともあれよろしくお願いします!」
「いい笑顔だ。その調子で頑張ってくれ。」
なんとなくですが、サー・ナイトアイさんいい人かもしれません。