side ???
「はい。こちら……え?ファットガム。久しぶりですね。今立て込んでて……え?ナイトアイとイレイザーヘッドとグループで通話?違法薬物の相談?……ちょっと待ってくださいね。安全な場所に行きます。」
黒い影が建物の間をすり抜ける。
「……へぇ切島くんが…………個性……破壊?……じゃあもう黒ですね。ココでもいくつかサンプルを回収できました。もう確実です。製造場所は死穢八斎會本拠地。個性消失弾……破壊弾は地下の巨大空間にあります。……少々……厄介ですね。……ナイトアイ。ファットガム。イレイザーヘッド。学生の参加は…………あなたたちの判断に任せます。後悔のない選択をしてください。あと私を早く仕事から解放してください。」
side渡我被身子
あの日から進展がほぼ無し。切島くんがニュースの乗ったとかなんとか……
今日もインターンの日だけど……あれ?
「あれ?皆こっち?切島くん関西じゃ……。」
「なんか集合場所がいつもと違くてさ。」
「梅雨ちゃんも麗日ちゃんもこっちでしたっけ?」
「今日はこっちなの。」
「(行先も一緒……)」
「(ビッグ3の人たちも一緒……)」
事務所につくと色んなヒーローがいた。それに……
「相澤s……イレイザーヘッド!?」
「お前らか。……難儀だな。」
「「「「「?」」」」」
「あなた方に提供していただいた情報のおかげで調査が大幅に進みました。死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか。知り得た情報の共有と共に協議を行わせていただきます。」
サー・ナイトアイの言葉を皮切りに、会議が始まる。
「えーそれでは始めてまいります。我々ナイトアイ事務所は約2週間ほど前から死穢八斎會という指定敵団体について独自調査を進めています。」
「きっかけは?」
「レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からです。警察は事故として片付けてしまいましたが、腑に落ちない点が多く追跡を始めました。」
「私、センチピーダーがナイトアイの指示のもと、追跡調査を進めておりました。」
センチーピーダーさん!すごい!ムカデですね!流水さんが好きそう。
「調べたところ、死穢八斎會はここ一年の間に全国の組織外の人間や、同じく裏稼業団体との接触が急増しており、組織の拡大・金集めを目的に動いているものと見ています。そして調査開始からすぐに敵連合の二人、引石健磁……敵名マグネともう1人の女性と接触。そして名前は不明ですが、マグネと仲良く話していた為もう1人も関係者であると推測できます。」
髪が短くて白い人。身長は高めだけど……顔が見えませんね。あんな普通そうな人も敵連合に居るんですか。
「尾行を警戒され追跡は叶いませんでしたが、警察に協力していただき、組織間での何らかの争いがあったことを確認。」
「連合が関わる話ならということで俺や塚内にも声がかかったんだ。」
「その塚内さんは?」
「他で目撃情報があってな、そっちへ行ってる。」
グラントリノさん……でしたっけ?が緑谷君に声をかける。
「小僧…まさかこうなるとは思わなんだ。面倒なことに引き入れちまったな。」
「面倒だなんて思ってないです。」
「知り合いなんだ?」
「はい。職場体験でお世話に……。」
確かそうでしたね。……敵連合と関わりがあるってすごい人なんでしょうか。
「続けて。」
「えー、このような過程があり”HN”で皆さんに協力を求めたわけで……。」
「そこ飛ばしていいよ。」
「うん。」
「HN?」
「ヒーローネットワークだよ。プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり、便利な個性のヒーローに協力を申請したりできるんだって!」
へぇ……そんなものがあるんですね。何れ私も使うんでしょうか。
「雄英生とはいえガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねぇや。本題の企みに辿り着く頃にゃ日が暮れてるぜ。」
ロックロックさんでしたっけ?すごく口が悪いですね?私初対面なのにこういう人嫌いです。
「ぬかせ!この2人はスーパー重要参考人やぞ!」
「俺……たち?」
「ノリがキツい……。」
切島くんと天喰先輩が?
「とりあえず初対面の方も多い思いますんで。ファットガムです。よろしくね。」
かぁいいヒーローですね。飴ちゃん持ってる。
「八斎會は認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります。そこで、その道に詳しいヒーローに協力を要請しました。昔はゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!」
結構パワー系なんですね?
「そんで先日のレッドライオットのデビュー戦。今までに見たことない種類のもんが環に撃ち込まれた。個性を壊すクスリ。」
「環!?無事なのか!」
「あぁ…寝たら回復したよ。見てくれ。この立派な牛の蹄。」
「朝食は牛丼かな?」
幼なじみなんでしたっけ?仲良しですね。
「回復すんなら安心だな。致命傷にはならねぇ。」
……戦闘中に個性が使えなくなるは……だいぶ致命傷ですよね?
「いえ、その辺りはイレイザーヘッドから。」
「俺の抹消とはちょっと違うみたいですね。俺は個性を攻撃しているわけじゃないので。」
そうなんですか?
「基本となる人体に特別な仕組みがプラスαされたものが個性。そのプラスαが一括りに個性因子と呼ばれています。俺はあくまでその個性因子を一時停止させるだけでダメージを与えることはできない。」
「環が撃たれた直後、病院で診てもらったんやがその個性因子が傷付いとったんや。幸い今は自然治癒で元通りやけど……。」
「その撃ち込まれた物の解析は?」
「それが環の身体は他に異常なし。ただただ個性だけが攻撃された。撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ!弾も撃ったっきりしか所持してなかった!ただ切島くんが身を挺して弾いたおかげで中身の入った1発が手に入ったっちゅうわけや。」
「お、俺っスか!?ビックリした!急にきた!」
切島くんお手柄ですね!
「そしてその中身を調べた結果、むっちゃ気色悪いもんが出てきた。人の血や細胞が入っとった。」
……人の血……?……もしかして……
「つまり、その効果は人由来、個性ってこと?個性による個性破壊……。」
「うーん…さっきから話が見えてこないんだがそれがどうやって八斎會と繋がる?」
「今回切島くんが捕らえた男、そいつが使用した違法薬物な、そういうブツの流通経路は複雑でな、今でこそかなり縮小されたが色んな人間・グループ組織が何段階にも卸売りを重ねてようやっと末端に行き着くんや。八斎會がブツを捌いとった証拠はないけど、その中間組織の一つと八斎會は交流があった。」
「それだけ?」
「先日リューキュウたちが退治したヴィラングループ同士の抗争、片方のグループの元締めがその交流のあった中間売買組織だった。」
「巨大化した一人は効果の持続が短い粗悪品を打っていたそうよ。」
「最近多発している組織的犯行の多くが八斎會に繋げようと思えば繋がるのか。」
「八斎會をどうにかクロにしたくてこじつけてるような…もっとこうバシッと繋がらんかね?」
「若頭、治崎の個性はオーバーホール。対象の分解・修復が可能という力です。分解、一度壊し直す個性。」
あまりにも……想像したくないですね。
2人とも……察したみたいです。
「そして個性を破壊する弾。……治崎には壊理という名の娘がいる。出生届もなく詳細は不明ですが、ミリオと緑谷と渡我が遭遇した時は手足に夥しく包帯が巻かれていた。」
「まさかそんな悍ましいこと……。」
「超人社会だ。やろうと思えば誰もが何だってできちまう。」
「何?何の話っスか?」
「やっぱガキはいらねぇんじゃねぇの?わかるよな。つまり……」
「つまり治崎は実の娘の身体を銃弾にして売り捌いてたんじゃないかって話ですよ。切島くん。」
「そういうことか!ありがとう渡我!」
「てめ……」
私はロックロックに舌を出す。べーっっ!
「実際に銃弾を売買しているのかはわかりません。現段階では性能としてあまりに半端です。ただ仮にそれが試作段階にあるとして、プレゼンの為のサンプルを仲間集めに使っていたとしたら、確たる証はありません。しかし全国にわたる仲間集め・資金集め、もしも弾の完成形が完全に個性を破壊するものだとしたら、悪事のアイデアがいくつでも湧いてくる。」
「想像しただけで腸煮えくり返る!今すぐガサ入れじゃ!」
「こいつらが子ども保護してりゃ一発解決だったんじゃねぇの?」
……それが出来たら立派なプロヒーローですね?
「全て私の責任だ。3人を責めないでいただきたい。知らなかったこととはいえ、3人ともその子を助けようと行動したのです。緑谷はリスクを背負いその場で保護しようとし、渡我は治崎の個性発動のトリガーを見破り、ミリオは先を考えより確実に保護できるよう動いた。……今この場で一番悔しいのはこの2人です。」
「今度こそ必ずエリちゃんを!」
「「保護する!」」
あんなにかぁいい子を傷付けるなんて許しません。
「ガキがイキがるのもいいけどよ、推測通りだとして若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった核なんだろ?それが何らかのトラブルで外に出ちまってた。あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった。」
……そうなんですよねぇ。
「素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない。攻め入るにしてもその子がいませんでしたじゃ話にならねぇぞ。どこにいるのか特定できてんのか?」
「確かに……どうなの?ナイトアイ。」
「それに関しては問題ないです。協力者が1人……死穢八斎會に潜入、尾行しているのでほぼ情報は割れてます。確実に本拠地にいる。」
協力者の人本当に凄いですね?見つからずにずっと居るって事ですか……?
「協力者ァ?誰だそれ。」
「……それに関してはまだ話せません。ご了承を。……ですので礼状はあります。明日。直ぐに行動を起こします。皆さんには出来る限りの準備と迅速な行動をお願いしたい。……そして相手の人員と個性ですが……。」
「あの時、強引にでも保護しておけば……今頃エリちゃんは……。」
「そうか……そんなことが……くっ……悔しいな。」
「……被身子ちゃんはあまりに気にしてなさそうね?」
「……あのタイミング。ヒーローが出来る最善じゃなかったかもしれないですけど……私たちが出来る最良だったので後悔はないです。後悔したところで……エリちゃんは助けれません。……私だって悔しいですけど……今私たちは準備するしかないです。」
「渡我……さん。」
「通夜でもしてんのか?」
「ケロ、先生。」
「学外ではイレイザーヘッドで通せ。……いやしかし今日は君たちのインターン中止を提言する予定だったんだがなァ。」
「えっ!?今更なんで!?」
「ヴィラン連合が関わってくる可能性があると聞かされたろ。話は変わってくる。」
……確かにそうですよね。大人の判断です。
「ただなァ……緑谷、おまえはまだ俺の信頼を取り戻せていないんだよ。」
……何かあったんでしょうか?
「渡我。お前は頭が回る。悔しいかもしれないが……お前が緑谷と通形のストッパーになってくれ。」
「…………わかりました。」
「ミリオ、顔を上げてくれ。」
「ねぇ私知ってるの!ねぇ通形、後悔して落ち込んでも仕方ないんだよ!知ってた!?」
「ああ。」
「気休めを言う。掴み損ねたその手はエリちゃんにとって必ずしも絶望だったとは限らない。前向いていこう。」
「はい!」
「俺、イレイザーヘッドに一生ついていきます!」
「一生はやめてくれ 。」
「ミリオ。」
「わかってる。」
「緑谷くん、渡我さん、今度こそ必ず。」
「はい!必ず!」
「当然です!」
ストッパー……嫌ですけど……
私はエリちゃんを救う。治崎の企みは絶対に許さない。