私のヒーロー   作:おいーも

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死穢八斎會 上

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

「……ふーっ。」

 

朝のランニング。

 

流水さんがいる日は毎日。……今日は1人。

 

こういう日は……こういう日こそやらないと落ち着かない。

 

「渡我。充分か。」

 

相澤先生。今日はお願いして見てもらっていた。

 

「はい。ありがとうございます。相澤先生。」

 

「……毎日この量走ってるのか?」

 

「流水さんがいるともう少しペースは遅めですけど……量は変わりませんね。」

 

「…………そりゃフィジカルが同級生と違うわけだな。」

 

「…………今日は。頑張らないといけないので。……色んな意味で。」

 

「……そうだな。お前が頼りだ。……俺が常に見続けれるとは限らない。」

 

「……はい。わかりました。」

 

死穢八斎會の本拠地への突撃。死人が出てもおかしくない。だからこそ……私がストッパーにならないといけない。

 

「無茶はさせません。」

 

「……よし。……渡我。傷原先生に頼まれたものがある。お前に渡しておく。」

 

相澤先生が私にあるものを手渡す。

 

「……え……これって……。」

 

 

 

 

 

 

「き……協力者のお陰で……八斎會組長宅には届け出のない入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に今回の目的である女児が匿われていることが確定した。」

 

8:00警察署の前。死穢八斎會本拠地の近く。

 

「地下のほぼ全体を把握し、リストアップしたものを手に入れてくれた。八斎會の広い敷地を捜索するにあたって最も有益な情報となる。ただ細かい場所はまだ把握しきれてない場所もある。それは飲み込んでくれ。」

 

協力者さんすごすぎますね?……もうその人だけでいいんじゃないですかね?

 

「しかし目指すにしても個性を駆使されれば捜索は難航する。そこでわかる範囲でだが八斎會の登録個性をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ。」

 

 

「こういうのパッと出せるっていいよな。」

 

「決まったら早いっスね!」

 

「君……朝から元気だな……。」

 

「プロは皆落ち着いてんな……慣れか!」

 

「……コンディションを整えるのはヒーローの基本なんですよ。切島くん。」

 

「なるほどな!精神的な落ち着きも大事か!」

 

……元気ですね。あなたはそのままでいいかもしれません。

 

 

 

「ねぇ今朝からグラントリノの姿が見えないけど、どうしたんだろう?」

 

「あの人は来られなくなったそうだ。」

 

「えっ!?」

 

何かあったんですかね?別の仕事?

 

「塚内が行ってる連合の件に大きな動きがあったみたいでな。だがまァこちらも人手は十分。支障はない。」

 

「八斎會と敵連合、一気に捕まったりしてな。」

 

なるほど……そうだったらいいですね。

 

「おい、俺はナイトアイ事務所と動く。意味わかるな?」

 

「はい!」

 

「……はい。任せてください。」

 

「ヒーロー!多少手荒になっても仕方ない。少しでも怪しい素振りや反抗の意思が見えたらすぐ対応を頼むよ」

 

「環これ食うとき、カジキ。」

 

「何でカジキ……いただいておきます。」

 

「相手は仮にも今日まで生き延びた極道者。くれぐれも気を緩めずに各員の仕事を全うして欲しい。突入開始時刻は0830とする!総員出動!」

 

待っててエリちゃん。絶対に……絶対に助けてみせる。

 

 

 

 

 

 

side???

 

 

「やあエリちゃん。」

 

「…あっ……お姉さん。」

 

「……そろそろ皆があなたを助けに来てくれるよ。」

 

「……皆?」

 

「うん。いい子で待っててね。」

 

「うん!わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

8:30。死穢八斎會本拠地の前。

 

 

「令状読み上げたらダーッと行くんで速やかによろしくお願いします。」

 

「しつこいな。信用されてねぇのか?」

 

「そういう意味やないやろ。意地悪やな。」

 

ロックロックさんとファットガムさんが言い合ってる……ロックロックさん本当に口悪いですね?どんどん印象が落ちていきます。

 

「フン!そもそもよ、ヤクザ者なんてコソコソ生きる日陰者だ。ヒーローや警察見て案外縮こまっちまったりしてな。」

 

ドゴォ!

 

「何!?」

 

筋肉質の……ペストマスクの……。

 

「何なんですか?朝から大人数で。」

 

 

「おいおいおい待て待て!勘づかれたのかよ!?」

 

「いいから皆で取り押さえろ!」

 

 

「少し元気が入ったぞー!!!」

 

来る!

 

「離れて!」

 

「何の用ですか!?」

 

リューキュウさんがドラゴンに!?……確か個性だって言ってたけど……かっこいい!あの筋肉の人一瞬で制圧しちゃった……。

 

「とりあえずここに人員を割くのは違うでしょ。彼はリューキュウ事務所で対処します。……皆さんは今のうちに!」

 

 

 

「「「はい!」」」

 

「ヒーローと警察だ!違法薬物製造・販売の容疑で捜索令状が出ている!」

 

「真っ直ぐ最短で目的まで!」

 

「緑谷くん渡我さんいくぞ!」

 

「はい!」

 

「……はい。2人とも無理しないでくださいね。」

 

絶対ですよ?

 

 

 

「怪しい素振りどころやなかったな。」

 

「俺ァだいぶ不安になってきたぜオイ…始まったらもう進むしかねえがよ。」

 

「どこかから情報が漏れてたのだろうか?いやに一丸となってる気が……。」

 

「だったらもっとスマートにかわせる方法を取るだろ。意思の統一は普段から言われてるんだろう。盃を交わせば親分・兄貴分に忠義を尽くす。肩身が狭い分、昔ながらの結束を重視してんだろうな。この騒ぎ、そして治崎や幹部が姿を見せてない。今頃地下で隠蔽や逃走の準備中だろうな。」

 

凄い判断能力……こんなタイミングですけどプロヒーローの動きを学べる数少ないチャンス。盗めるものはしっかり盗まないと。

 

 

 

「ここだ。この下に隠し通路を開く仕掛けがある。この板敷きを決まった順番に押さえると開く。……らしい。」

 

らしいてのは協力者の報告でしょうか。……開きましたね。

 

「忍者屋敷かっての!ですね。」

 

「見えてなきゃ気付かんな。まだ姿を見せてない個性に気をつけましょう。……む!?」

 

「!」

 

人がっ!死穢八斎會の人達ですか!?

 

 

センチピーダーさんとバブルガールさんが一瞬で制圧する。

 

プロヒーロー……すごい。

 

「追ってこないよう大人しくさせます!先行ってください!」

 

「行くぞ!」

 

「「「はい!」」」

 

「すぐ合流します!」

 

 

 

 

 

渡された地図の道通りに進む。……が

 

「行き止まりじゃねぇか!道合ってんだよな!?」

 

「説明しろナイトアイ!」

 

行き止まり……?協力者に騙された!?

 

いや……そんなことは……

 

「俺見てきます。」

 

通形先輩?服脱げちゃうんじゃ……。

 

「ルミリオン先輩待って!またマッパに……。」

 

「大丈夫。ミリオのコスチュームは奴の毛髪から作られた特殊な繊維だ。発動に呼応し透過するようにできている。」

 

……すごい。そんな服が……。

 

「壁で塞いであるだけです。ただかなり厚い壁です。」

 

「治崎の”分解して直す”ならこういう事も可能か。」

 

「小細工を……!」

 

「来られたら困るって言ってるようなもんだ。」

 

「そうだな!妨害できるつもりならめでてぇな!」

 

緑谷君と切島くんが突っ込む。

 

2人の攻撃で壁が吹き飛ぶ。

 

「ちったァやるじゃねぇか。」

 

「先越されたわ!」

 

 

 

 

「……今度は何!?」

 

足元が!?

 

「道がうねって……。」

 

「変わっていく!」

 

「治崎じゃねえ!逸脱してる!考えられるとしたら本部長の入中だ!入中の個性はモノの中に入り自由自在に操る“擬態”!地下を形成するコンクリに入り込んで生き迷宮となってるんだ!」

 

「規模が大き過ぎるぞ!奴が入り操れるのはせいぜい冷蔵庫の大きさまでと!」

 

「かなりキツめにブーストさせればない話じゃあないか…しかし何に化けるか注意しとったがまさかの地下!こんなん相当身体に負担かかるハズやで!イレイザー消されへんのか!?」

 

「本体が見えないとどうにも……。」

 

…………これは……対処を早めないと……。時間を取られても……。

 

「道を作り変えられ続けたら向こうはその間にいくらでも逃げ道を用意できる!」

 

「即座にこの対応、判断……ああダメだ……もう……女の子を救い出すどころか俺たちも……。」

 

天喰先輩!?なんで……!?

 

「環!そうはならないし、おまえはサンイーターだ!」

 

「!」

 

「そしてこんなのはその場しのぎ!どれだけ道を歪めようとも目的の方向さえ分かっていれば俺は行ける!スピード勝負!それを奴らもわかっているからこその時間稼ぎでしょう!先に向かってます!」

 

「!駄目っ!!ルミリオン先輩!!…………っ!?」

 

どうすればっ……いやここは!渡我被身子!最善を考えろ!!常に!

 

「サー!!」

 

「なんだ!」

 

「ルミリオン先輩について行ってあげてください!貴方なら追いつけます!先輩は絶対無茶をする!」

 

「…………イレイザー。」

 

「わかってる。任せろ。」

 

「他のものはイレイザーヘッドに従え!私はルミリオンを追う!」

 

「お願いします!!!」

 

「次はなんだ!?」

 

!?足元が!?落ちる!?

 

 

 

「いてて……」

 

「広間?」

 

「ますます目的から遠のいたぞ!いいようにやられてるじゃねぇか!」

 

「おいおいおいおい空から国家権力が落ちてきやがった。」

 

「不思議な事もあるもんだ。」

 

……3人。誘い込まれた。

 

この人数なら処理はできる。ただ……時間を取られる。

 

「よっぽど全面戦争したいらしいな。さすがにそろそろプロの力を見せつけ……。」

 

 

「そのプロの力は目的の為に。」

 

天喰先輩……?

 

「こんな時間稼ぎ要員……俺一人で十分だ!」

 

「何言ってんスか!?協力しましょう!」

 

「そうだ協力しろ。全員殺ってやる!」

 

「窃野だ!こいつ相手に銃は出せん!ヒーロー頼む!」

 

「バレてんのか、まァいいや、暴れやすくなるだけだ!」

 

「ならないぞ!刀捨てろ!」

 

相澤先生の個性。やっぱり凄い。……あの窃野って人の個性止めちゃった。

 

「刀も銃弾も俺の体に沈むだけや!おとなしく捕まった方が身の為やぞ!」

 

「そういう脅しは命が惜しい奴にしかきかねぇんだよ!」

 

「資料には目を通しています!」

 

天喰先輩が3人を拘束、そのまま3人の身動きを止めた。

 

「こいつらは俺が相手します。ファット事務所でタコ焼き三昧だったからタコの熟練度は極まってるし、以前撃たれたことでこういう物には敏感になってる。こいつらは相手にするだけ無駄だ!何人ものプロヒーローがこの場に留まっているこの状況がもう、思うツボだ。イレイザー筆頭にプロの個性はこの先に取っておくべきだ!うごめく地下を突破するパワーも拳銃を持つ警官も!……ファットガム!俺なら一人で三人完封できる!」

 

 

「…………行くぞ!」

 

「ファット!」

 

「え!?」

 

「あの扉や!」

 

「おいおいおい待て待て……」

 

本当ですか!?誰か一人でも残った方が……

 

「天喰、3人を見ておいた。効果がある間に動きを止めろ。」

 

相澤先生まで!?

 

「皆さん、ミリオを頼むよ!あいつは絶対に無理をするから助けてやってくれ!」

 

 

 

 

 

「ファット!先輩一人残すなんて何考えてんスか!?」

 

「そうですよ!本当に大丈夫なんですか!?」

 

「おまえんとこの人間だ。おまえの判断に任せたが正直マズいんじゃねぇか?」

 

「アイツの実力はこの場の誰よりも上や。ただ心が弱かった。完璧にやらなあかんっちゅうプレッシャーで自分を圧し潰しとるんや。そんな状態であいつは雄英のビッグ3に登りつめた。そんな人間が”完封できる”と断言したんや!ほんなら任せるしかないやろ!」

 

 

……そうですか。だったら私たちは……天喰先輩を信じて……出来ることをしましょう。

 

負けられません。絶対に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side???

 

 

 

 

「……天喰環くん。本当によく頑張ったね。お疲れ様。」

 

「ハァ……ハァ……あなた……は……。」

 

「あとは私に任せて。」

 

「せん……せ……。」

 

「……誰だお前。」

 

「急に出てきやがって。お前……さっきのヒーロー達の中に居なかったな?ハァ……ハァ……痛ェ。」

 

「……御機嫌よう。死穢八斎會の皆々様。あなたがたの命。いただきに参りました。」

 

「……!その前語り!オイ!こいつやべぇぞ!」

 

「なんでお前がいんだよ!!……ハァ……ハァ。」

 

「こっちは既に消耗してる!まずいぞ!」

 

「……それではさようなら。あまり関わりは無いですけど……私の生徒なのでね?」

 

 

 

 

「…………死んでは……ないですね。よかった。……この地下。私が書いたマップと違いますね。……中いじってるめんどくさいやつが居ますね……どこでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

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