私のヒーロー   作:おいーも

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辻褄合わせのため少し変更しました。(2025/10/24)





自覚

 

 

 

 

 

 

 

 

side渡我被身子

 

 

 

 

 

多分。

 

 

きっと。

 

 

私は今普通じゃない。

 

 

でも。この気持ちは絶対普通だ。

 

 

一目惚れ。

 

 

血を纏うあなたは美しかった。

 

 

心……奪われた。

 

 

たとえこれが私の個性による執着から来るものだとしても。

 

 

そして救われた。救われてしまった。

 

 

もうすぐで溢れてしまう1歩手前

 

取り返しのつかない1歩手前

 

手を引かれた。声をかけられた。

 

止めて……抱きしめて貰えた気がした。

 

 

「もう、無理をしなくていいんだよ」って

 

「大丈夫だよ」って

 

嬉しくて。でもこれだけじゃ終わらなくて。

 

 

優しさを貰った。入り切らないくらい沢山。

 

 

夢を貰えた。零れるくらい沢山。

 

 

生き方を教えてもらった。溢れるほど沢山。

 

 

愛を。愛を貰った。溺れるほどに。

 

 

一生をかけても返せないくらい。

 

 

一緒に料理をした。一緒に勉強をした。一緒に掃除をした。一緒にお風呂に入った。一緒に同じベットで寝た。一緒にランニングした。一緒にアニメを見た。一緒にお出かけした。一緒に……一緒に……

 

かけがえのない……でも私がずっと望んでいた日常。

 

 

私はあなたに何が出来るだろう。

 

 

何をすればいいだろう。

 

 

でもきっと優しいあなたは今のままでいいよと言ってくれる。

 

 

でも私ワガママだから。あなたが言ってくれるようないい子じゃないから。

 

 

もう1つ。もう1つ欲しいものがあるの。

 

 

たとえあなたの枷になったとしても

 

たとえあなたの弱点になったとしても。

 

止まらない。もう止められない。

 

 

あなたが他の誰かを見ると心が少し痛い。

 

あなたが私の見ていないところで傷を負うのが怖い。

 

あなたが……私じゃない人に笑いかけるのが…………辛い。

 

 

あなたの心も。体も。髪の毛も。料理も。笑顔も。匂いも。血も。髪を乾かしてる時の少し眠そうな顔も。時々料理を失敗して泣きそうになってる目も。仕事から帰ってきた時に首筋に流れる汗も。血を吸っている時の甘く痺れる声も。全部。全部。全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部………

 

これはきっと普通じゃない。

 

 

きっとあなたは受け入れてくれる。

 

 

私の望んだ形では無いとしても。

 

優しいから。それでも。あなたの心に漬け込んだとしても。

 

 

私はあなたを離さない。

 

 

やっと見つけた私の巣。

 

 

 

 

 

誰にも奪わせてやるものか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side傷原流水

 

 

 

 

「あれって………もしかして私の事ですか?」

 

 

被身子ちゃんは私を抱きしめる。顔は見えない。

 

少しの沈黙の後、ポツリポツリと話し始める。

 

 

「……私……血が好きです。自分を止められない程に。」

 

「……そうだね。」

 

「……私…勉強をするのが好きです。流水さんが褒めてくれるから。」

 

「それは……」

 

「私……訓練をするのが好きです。帰ってきた時に流水さんの声を聞くと安心するから。」

 

 

「……」

 

 

「私…料理をするのが好きです。流水さんがいっぱい美味しそうの食べてくれるから。」

 

「私、お出かけが好きです。手を握って…流水さんを沢山感じれるから。」

 

「私流水さんのために頑張るのが好きです。」

 

苦しそうな顔。わかるよ。私も。不安だよね。

 

私は被身子ちゃんの頭を撫でる。

 

 

 

「被身子ちゃん。」

 

「…………はい。」

 

「貴方は?自分の事好き?」

 

「…………。」

 

 

長い沈黙。顔は見えないから何を考えてるのか分かんないけど、きっとすごく悩んでるんだと思う。そして多分それは私の想像通りだとしたら……。

 

「「嫌いです。」」

 

お互いの声が重なる。

 

 

「!!」

 

 

被身子ちゃんは上半身を起こし私を見つめる。目には少しの涙。言いたくなかったんでしょ?

 

「やっぱりね?」

 

「……なんで…」

 

「あなたの事……この1年で曲がりなりにも理解してるつもりだから。」

 

「…………」

 

 

辛いと思うけど……聞いて欲しいな。

 

「辛い家庭環境。自由とは言えない学校生活。きっと私でも自分の事が嫌いになる。」

 

 

「……。」

 

「でも。」

 

 

大きく深呼吸。この気持ちは。言葉は。絶対に伝えなくては行けない。これがきっと私の心。本心。

 

 

「私は貴方が生まれてきてくれて良かったと思ってるわ。」

 

 

声……少し震えちゃった。しまらないなぁ……私。

 

「……流…水……さ……ん。」

 

 

「被身子ちゃん。生まれてきてくれてありがとう。あなたと生活出来ている今が……私にとって間違いなく…かけがえのない宝物よ?」

 

 

「……流水さん……流水さん!」

 

 

被身子ちゃんが私の胸に抱きついてくる。きっと彼女は愛されたかったのだろう。本心から。心から生まれてきたこと。生きてきたことが間違いでなかったと……本来であれば……

 

 

「被身子ちゃん……いいわよ。今日はお姉さんがいっぱい胸を貸してあげるわ。」

 

 

 

 

あなたの両親が理解すべきだったんだから。その分まで私が愛してあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして。

 

 

「……涙は大丈夫?」

 

「ぐすん……はい。ご心配おかけしました。」

 

 

被身子ちゃんが私の胸の中で顔だけこちらに向けて答える。

 

目と鼻が赤い。いっぱい泣いたんだね。

 

 

「大丈夫よ?私の胸はこういう時にあるからね!」

 

「ふふっ…ありがとうございます。」

 

今は被身子ちゃん特等席だけどね?

 

 

「……迷惑かけてばかりで……私から何もあげれてないなって思ったら……心配になっちゃって……。」

 

「……おバカ。」

 

おバカな被身子ちゃんにチョップ。

 

 

「あいた!」

 

 

「私は。あなたが。居てくれるだけでいいの。幸せなの。沢山愛を貰ってるの。何も心配することないわ。」

 

しっかり一言づつ。伝わるように。私の心が。

 

 

「……はい…」

 

また目尻に涙を浮かべて……。

 

 

「今日は泣き虫さんね?」

 

指で被身子ちゃんの涙を拭いてあげる。本当に綺麗な顔が台無しじゃない。

 

 

「……いいんです。流水さんが甘やかしてくれるんですよね?」

 

 

「当然。」

 

「ふふっ…ありがとうございます。」

 

 

被身子ちゃんの頭を撫でる。髪の毛はサラサラだ。こうみるとまだまだ子供っぽさが残る。普段はあれだけ大人っぽいのにね。

 

 

 

 

「流水さん……」

 

 

「ん〜?」

 

 

 

「好きです。」

 

 

 

 

 

 

「ん〜……ん!?」

 

ちょっと待ってこの子なんて言った????

 

 

「好きです。大好きです。愛してます。」

 

「えっ?ちょっと待って!?好き!?」

 

 

聞き間違えじゃなかったみたい。もしかして…

 

 

「はい。ずっと前から。一目惚れでした。」

 

「……それって個性の…」

 

私の心配を裏腹に。彼女は自信を持って答える。

 

 

「さっき……言葉にしてしっかり泣いたら……心の整理が付きました。この心は。絶対嘘じゃない。私の気持ちです。」

 

「……そう。」

 

違うみたいでホッとしたのと同時に……少しの困惑。

 

 

「断ってくれてもいいですよ?一回りくらい年下の戯言ですから。」

 

「…………そんなこと無いでしょ?」

 

本気のくせに。

 

 

「ふふっ…………」

 

 

彼女の精一杯の。だけど等身大の告白。答えなくてはいけない。大人として。1人の女として。

 

 

「……私もあなたの事好きよ?」

 

「でもそれって…私の好きとは違いますよね?」

 

 

私の中のこれは……多分違う。

 

 

「……分からない……が正しいわ。」

 

「あれ?そうなんですか?」

 

 

「そもそも私は恋愛経験0だし……この感情に恋と名前をつけていいのか分からないの。」

 

 

あんまり胸張れないけどね?

 

 

「……初心者さんですね?」

 

「でも。」

 

顔が熱くなっていく気がする。でも……伝えなきゃいけない気がして…

 

「でも?」

 

被身子ちゃんが私の顔を覗き込む。

 

 

「あなたのことを考えるとドキドキするし……あなたが傷だらけだと不安になる。あなたに髪を解いてもらってる時は安心するし…………血を吸ってもらってる時は……ちょっと……ちょっとだけ……嬉しい。」

 

まだ……まだ言うべきじゃない。

 

私の理性は私を押しとどめようとする。

 

でも、被身子ちゃんの気持ちを私は無下にしたくない。

 

 

「…………」

 

被身子ちゃんの顔があまりよく見えない。何を考えてるか分からない。怖い。……それでも

 

 

「私の血を飲んでくれてるって……私を必要としてくれてるって……私を信頼してくれてるって……嬉しい。……最近はドキドキが強いけど……だから…」

 

 

多分これを口に出したら自覚してしまう。止まらなくなってしまう。私は大人とはいえ相手は未成年。止まらなくてはならない。

 

 

 

「流水さん。」

 

 

 

「なに?被身子ちゃんむっ……」

 

刹那

 

 

カーテンから差し込まれた月明かりは2つの影を重ねた。

 

それは一瞬でもあり永遠に長く感じられた。

 

影が離れれば……そこにはもはや…

 

 

「……被身子……ちゃん……今のって……」

 

分かってしまった。

 

分からされてしまった。

 

いや。分かっていたのを……きっと私は隠していた。

 

 

「……もう我慢できません。少しでも嫌だって……私のこと嫌いになったら……私を押しのけてください。本当にお願いします。」

 

 

何度も何度も想像したし夢も見た。好きな人との蜜月。でもそれはあまりにも唐突で……でもそれはあまりにも甘美で

 

 

「ちょっと待って!私心の準備がっ……んんっ!?」

 

 

被身子ちゃんの目は……もうきっと止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

私の心は

 

 

 

「好きです。流水さん。」

 

 

 

身体は

 

 

 

「被身子ちゃん!被身子ちゃん!!」

 

 

 

いとも容易く絆されて

 

 

 

 

「ずっとずっと一緒にいましょう?」

 

 

 

彼女の侵入を許して

 

 

 

「被身子ちゃん!一緒にいる!ずっと一緒にいるから!」

 

 

 

何度も何度も何度も何度も

 

 

 

「好き!被身子ちゃん!好き!大好きだからぁ!」

 

 

 

泣いても叫んでも許してくれなくて

 

 

 

 

 

「愛してます。流水さん。…一生私のものですよ?」

 

 

 

 

 

囁かれた愛の言葉に、私の脳は抵抗をやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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