side傷原流水
「……私の力が至らず……申し訳ありません。四ツ橋社長。」
『……ふむ。聞く限り君は悪くないが……君は認めないのだろう。』
「……。」
『頑な……だな。』
個性消失弾の依頼主……四ツ橋力也に連絡を入れる。死穢八斎會が作っていたこと。もう作れないこと。そして……現物を敵連合に奪われた事。私が寝ていなければこうはならなかった。
一応1人のヒーローを護衛につけた状態で輸送していた筈が……敵連合に奪われた挙句ヒーロー含め数人消息不明……。最悪の結末すぎる。警察とヒーローが総力を尽くして捜索しているが未来が無さすぎる。黒霧が居る都合、敵連合は日本全国……もしかしたら外国にいる可能性すらある。……最悪だ。
『…………ふむ。であれば君に罰を与えよう。』
「何なりと。」
『……君はもう少し自分を許した方がいい。敵連合の事は任せたまえ。後は我々の仕事だ。』
「……。」
『それでは……君への罰は……。』
「……え?」
後日。私と被身子ちゃんは雄英高校の仮眠室に呼ばれた。
「すまない。時間を取らせる。」
目の前には相澤先生と根津校長。
お茶を全員分用意してから話が始まった。
「いえ……いいですけど。何かありました?」
「君達の……許可が必要な話でね。少し相談がしたかったんだ。」
「許可……ですか?」
少し重々しい雰囲気。根津校長らしくない。
「一旦今回の死穢八斎會の件。ご苦労さま。傷原ちゃんも渡我ちゃんもファインプレーじゃないか!」
「いえ。自分の出来ることをしたまでです。」
「です!」
被身子ちゃん相澤先生の個性すら使えちゃったものだから、近くにいたヒーローに次のインターンの声掛けられちゃったみたい。まぁそりゃそうだよね。個性万能すぎるもん。
本人は今は先のことまで考えてないって丁重にお断りしたみたいだけど……何かあったら私が盾になる。私にあった事と同じことしてみろ。絶対に許さない。
「うんうん。死者0は君達のおかげと言っても過言じゃない。本当にありがとう。」
「ですが……。」
「うん。個性消失弾の紛失と行方不明者の件……だよね。」
「はい。残念で……この上ありません。」
「流水さん……流水さんのせいじゃないですよ……。」
「ありがとう。被身子ちゃん。」
……本心なんだろうけど……気休めにしかならないなぁ……これはもう私の性格だから本当にどうしようもない……。
「……気負いすぎないように!学生時代からの君の悪いくせだ。君が起きていたからなにか防げた訳じゃない。君は万能にでもなった気かい?」
「……すみません。」
「……君が言いたいのは可能性だろ?……可能性だ。確定事項じゃない。……まぁ今回呼んだのはそれじゃないんだ!」
「それじゃない?」
「考えてみてください。貴方を叱る為なら……渡我が居る意味は無いです。」
相澤先生からの指摘。たしかに。
「流水さんは自分を責めすぎです。私も怒っちゃいますよ?」
え!絶対やだ!
「被身子ちゃんに怒られるのはやだ。笑顔でいて欲しい。」
「……もう!」
「話してもいいかな?」
「「はい。」」
ごめんなさい根津校長。
「本題から入ろう。君たちの家のもう一人住まわせて欲しい人がいるんだ。」
「「…………え?」」
もう一人?私たちの愛の巣に?
「いや。絶対じゃないし……毎日じゃないんだけどね?……本人の意思もあるし。一応相談だけという形さ!」
「毎日じゃない?」
??ますます意味がわからない。
「……壊理ちゃんだ。」
「えっ!?壊理ちゃん!?」
壊理ちゃんってあの……白い髪の子だっけ?個性消失弾の素材になってた。……私ちゃんとお話するの初めてなんだよね。
資料で見てたのと……最後の治崎と対面した時しか会ってない。
「どうしてですか?……なにか深い理由が……。」
「深い話はないさ!でも何れ孤児として一般家庭に住まわせて貰うってなった時に、練習台として君たちが適任かな!と思ったくらいさ!近いし、何より信頼できる。」
「……個性が暴走したら大変ですよ?」
被身子ちゃんの心配もごもっともだ。
「それは大丈夫だ。壊理ちゃんがそちらに行くタイミングで俺の血を少し渡我の渡す。これでどうにか出来るだろう。お前達の家に行く時以外は教員寮の空き部屋に住んでもらう。個性が暴走しても俺がいるからな。」
「……相澤先生の負担にならなければいいですけど……。」
「大丈夫だ。渡我が一吸いするくらいなら負担にはならん。」
「そうですか……なら私はいいですよ?流水さんは?」
「私も良いですよ。特に困ること無いですし。」
「わかった。それではそう言う風に話を進めたいと思う。」
「壊理ちゃん……大丈夫ですか?熱が落ちてない……とか。」
「……一応安定はしているが……これからの経過観察が大変だろうね。」
……個性を過剰に使ってしまったからこその熱暴走って感じかな。……これは外部からどうにかできる問題じゃないね。緑谷くんの為に無理くり使っちゃったんだもん。実際あれがなかったらこっちがだいぶ怪しかったしありがたいっちゃありがたいんだけど……うーん。
緑谷くんは少しだけ怒られたらしい。そりゃそうだよね。保護対象背負って戦ったんだもん。結果オーライとはいえ……全員が全員褒めてくれるものじゃない。
「ありがとう。渡我。傷原先生。壊理ちゃんの為にこちらの要件を飲んでくれて。」
「大丈夫ですよ。なにか返してもらうので。」
「強かだねぇ。被身子ちゃん。」
「流水さんの真似ですよ?」
「え!?」
私そんなこと言ってたっけ!?……言ってた気がする。
「自覚なしですか……。」
呆れないでください!!!
「なんとかなっちゃったねぇ。」
もぐもぐ。
夕食時。今日は私が腕によりをかけて作った肉寿司。美味しいって聞いたから見様見真似で作ってみたら何とかなった。
「流水さん。なんでも出来るんですね。おいひいです。」
被身子ちゃんももぐもぐ。可愛いね。
「お肉はあんまりレアは好きじゃないんだけど……肉寿司は少しレアの方が美味しいね。わさびがよく合うね。うまから。」
「旨辛は少し違うのでは……?」
「そうかな?そうかも。」
「流水さん。ほっぺにご飯ついてますよ?」
「え?本当?取って!」
「……もう。動かないでくださいね?……はい。かぁいいですね?」
被身子ちゃんは迷わず私のほっぺに付いてたお米を自分で食べちゃう。ちょっと恥ずかしいんだよね。
「……そういえば被身子ちゃん。壊理ちゃんの事受け入れてくれてありがとうね。多分あのままだときっとあまり良くないかも。」
寮とはいえひとりで過ごすのは寂しいからね。
「そうですか?私はそういう話があれば頷く気でした。流水さん次第ですけど。」
「え?そうなの?」
「はい。私と同じように個性で悩んで苦しんでる子は助けてあげたいので。流水さんの受け売りですけどね?」
「……立派だね。」
被身子ちゃんのこと心から好きになってよかった。
「あと……ちょっと流水さんに似てますよね。壊理ちゃん。」
「……たしかに髪の色は似てるけど……あんなにちっちゃくないよ?」
「どっちもかぁいいです。」
モヤッ!
「むー?少し嫉妬しちゃうな?」
「大丈夫ですよ?私は流水さん一筋です。」
「本当かなぁ?……信じてる。」
「もっと委ねて下さい。」
晩御飯終了!美味しかった!
今日は私が机の上の片付け。被身子ちゃんが食器洗い。
食洗機もあるけどなんか嫌なんだよね。手で洗うの慣れちゃった……ってのもあるし、2人で並んで洗えるのが少し嬉しいから。
「そういえば被身子ちゃん。次の休み暇?」
「次ですか?……今のところ予定は無いはずです。」
「デートしない?久しぶりに。」
「デート!良いですよ!やりましょう!」
被身子ちゃん。
ずっと一緒にいようね?