side渡我被身子
今日は学校。もちろん指輪はつけてきてない。落としちゃったら最悪ですからね。
……でも
「……んふふふふ。」
「今日はどうしましたの?先程からずっとそれですけど……。」
「ん〜?なんでもありませんよ?……ふふっ。」
まぁもう心配されるくらいに浮かれちゃってる。
もうお昼休みなんですけどね。
「渡我なんかずーーーっと笑顔なんだよね。よくわかんない。ヤオモモも知らないかぁ……。」
「ええ。……私たちの知らないところで何が……。」
「ケロ……。」
「んふふ……ふふっ。」
笑みがずっと零れる。幸せが無限に供給されてる。こんなの笑わないって方が無理です。
「……傷原先生となにかあったらのかしら。」
「「!!」」
おっ……やっぱり梅雨ちゃんは鋭いですね。
「ねぇ!!渡我!傷原先生と何かあったの!?」
「もしかして仲が進展しましたの!?」
「ん〜?えへへへ。」
「笑って誤魔化すなーーーっ!!!」
「!!ラブコメの匂いがする!!!」
「ちょっ……葉隠?どしたん?」
「ラブコメ?」
葉隠ちゃん、耳郎ちゃん、麗日ちゃん参戦。
だけど今日の私は無敵なのです!
「総員!話を聞き出すぞ!!確保っ!!!」
「「「ラジャー!!」」ですわ!」
「ら……らじゃー……。」
「ケロケロ……。」
最近八百万ちゃんがこういうノリに着いてこれるようになったのいいね。女子高生って感じです。
「きゃーっ!皆さんやめてください!」
「こんな状況でも笑顔なのやっぱおかしい!何があったか吐け!」
「素直になれば何もしないよ!」
「傷原先生と何したんですの!?も……もしかして……キ……キスしたんですの!?」
「キ!?……ちょちょっとまって!それあんまり周りに言いふらさない方がいいんじゃないの!?」
「きゃーっ!もうそこまで!?こっちが照れちゃうなぁ。被身子ちゃんあんまり傷原先生と何したか話してくれないから、このタイミングで根掘り葉掘り聞いちゃおう!」
「仲がいいのね。傷原先生と。いい事だわ。」
乙女ですねぇ…………もう既にあんなことやこんなことしてるって言ったら倒れちゃうんじゃないですか?大丈夫ですか?
私はほぼ無抵抗のまま椅子にロープ(八百万ちゃん制作)で縛られる。
「観念しろ!何があったか喋れ!」
「うわ……うわわわわっ……。」
「響香ちゃんには刺激が強すぎるかもしれないわ。」
梅雨ちゃんが耳郎ちゃんを守るように前に出る。
「やっぱり!キッ……キスしたんですの!?」
「キッ……!?」
「ん〜?……そんなのほぼ毎日してますよ?」
「「「えええええっ!?!?」」」
「被身子ちゃん!?初めて聞いたんやけど!!」
「言ってませんからね。」
「言ってよぉ〜!女子高生は他人の恋愛事情を聞くことで生きられるんだから!!」
「葉隠ちゃん?違いますよ?」
どんな生き物ですか。
「キ……キキキキキキッ……。」
「耳郎ちゃん……そういう生き物みたいになっちゃってるわ……。」
「最初!最初はいつなんですの!?」
「んー……1年くらい前じゃないですか?」
「「早っ!?」」
「どっ……どちらから?」
「私です。」
「「「「キャーッ!!」」」」
「…………。」
「興味津々ね。耳郎ちゃん。」
「わああああっ!?そっそんなんじゃ!!」
「どうだった!?」
「どうだったも何も……まぁ普通のキスでしたよ?」
「普通ってなんだよぉ〜!!」
嘘です。そのままそういうことに入ったので普通じゃないです。
「何処でですか!!」
「当時住んでたお家です。……前のお家って言えば良いですかね。」
「家!そういう雰囲気になったんだ!?」
「そういう雰囲気……?ではありましたね。」
「へぇ〜〜⤴いいじゃんいいじゃん!それで!?」
「…………それで?」
「そこからだよ!!何したの!?あんなことやこんなことしたんでしょ!!」
「「キャーッ!」」
「……黙秘権を行使させて貰います。プライベートなので。」
「ちぇー話してくれたっていいじゃん。」
「芦戸さん!?一応此処は学校ですのよ!?あまりそういうことは聞かない方が……。」
「えー……ヤオモモ知ってるんだ〜?えっち〜。」
「ばっ……馬鹿なこと言わないでくださいまし!!!」ボンッ
「うわ〜うわ〜凄いねぇ!凄いねぇ!!それでそれで!?昨日は何があったのさ!キス以上でしょ!?もしかして……。」
「………………。」
「……話しちゃってもいいですかね。……実は」
「って事があったんですよ。」
「「「キャーーーッ!!」」」
「遊園地デート……そのあとのレストランで指輪……本当にロマンチックですわ……。」
「………………。」
「でも被身子ちゃん。今日は指輪はしてないみたいね?」
「はい。無くしたら困りますし……校則で禁止されてるかどうか不明瞭なので。」
「それもそうね。聡明だわ。」
「いや確かにうちのクラスで結婚1番早いのは渡我だと思ったけどさ?まさか学生の内とは思わないじゃん。」
「「たしかに。」」
「え?そんな話してたんですか?」
「寮でね?」
「あ〜……寮で。」
「………………。」
さっきから黙ってるのは耳郎ちゃんです。両手で顔隠しながら指の隙間でこっち見てます。顔真っ赤です。耳まで。かぁいいです。
「まぁそういう事があったからニコニコしてたんですよ。これで満足ですか?」
「良かったね。渡我ちゃん!」
「いやぁ……これはB組の子にも教えないと!」
「え?芦戸ちゃん??」
「そうだね。A組だけじゃ不平等だよ!」
「葉隠ちゃん?……ちょっと?」
「B組の見守り隊の人達にも共有せねばなりませんね!」
「八百万ちゃん!?見守り隊!?A組だけじゃなかったんですか?その素っ頓狂な集団!」
「ケロケロ……こうなっちゃったらどうしようもないわ。被身子ちゃん。諦めて?」
「えっとまずあの……梅雨ちゃん!これ解いてくれると嬉しいんですけど!?」
「耳郎ちゃん。お水飲む?一緒に買いに行こ。」
「…………。ぅん。」
「ちょっ……あの?耳郎ちゃん?麗日ちゃん?まって!?私をこのままにしないで?」
そして誰も居なくなりました。
開放されたのは授業開始5分前。
もう本当に許してあげません。
ふんだ。
「ってことがあったんですよ!どう思いますか!?」
「ははは。女子高生って感じだね?」
私はリビングで目の前で料理してる流水さんに文句を言う。
私はリビングで勉強。今日の宿題は多くは無かったがちょっと難しめ。早いうちに終わらせちゃわないと。
まぁもうすぐ終わるんですけど。流水さんが家事全部やってくれたからですね。
フリフリのエプロンで料理してる流水さん……かぁいいです。
でも昨日からそれ以上に……あの後ろ姿が愛おしい。
すぐに勉強を終わらせて、流水さんを後ろから抱きしめる。
「わっ……もう?被身子ちゃん?びっくりさせないで?」
「ごめんなさい。すごく抱きしめたくなっちゃって……。」
「勉強は終わったの?」
流水さんは私のわがままをいっぱい許してくれる。本当に……もう離れられない。好き。大好き。
「はい。お陰様で。今日の晩御飯は何ですか?」
「今日は麻婆豆腐。ひき肉が安かったからね。」
ほぼ完成してる。スパイスのいい匂いがしてたと思ったら今日は麻婆豆腐ですか。
「流水さんの麻婆豆腐ですか?大好きです!私のは……」
「わかってるわ。少し甘めね?」
「はい!流水さん大好きです!」
抱きしめる力を少しだけ強くする。
「ふふっ。危ないから座っておいて?」
「はーい。…………ふと今思ったんですけど。」
「どうしたの?」
「……どっちが旦那さんですか?」
「たしかに……どっちだろうね?」
自覚が……ないんですね?もう。おしおきです。
「……ふふっ。」
「ひゃっ!?被身子ちゃん!?耳ダメ…って…………ん……」
「ちゅ……私が旦那さんですか?流水さん?」
「……は…………はい。」
「ずっと愛してますよ?流水さん。」
「私も……です。……愛してます。」
流水さんのこの顔が……本当にたまらない。
麻婆豆腐は少し冷めちゃいました。