side傷原流水
眩し……
……朝?
ん……なんか……息苦しい……
口の中……何……
あっ……もう!
「……んん……?」
私は私の唇を貪る主の背中を叩く。
「んは……おはようございます。流水さん♡」
「……もう。起こすなら普通に起こしてよ。」
私に覆い被さるようにしてる被身子ちゃん。
「嫌ですか?」
「……嫌じゃないけど。」
「かぁいい口開けてる流水さんが悪くないですか?」
「そうかなぁ?それ責任転嫁じゃない?」
「ふーん?……んちゅ……。」
「ちょっ……ん……んんっ!……んっ。」
また口内を蹂躙される。寝ぼけた脳は完全に覚めた。
「ぷは……悪いこと言う口はこうです!」
「……はぁ……もう。あなた今日学校でしょ?準備しなきゃだからあんまりしないで。…………我慢できなくなるでしょ。」
「んふふっ……はーい。」
2人でシーツとタオルケットを洗濯機に入れる。……そろそろタオルケットじゃ寒いかな。
一緒にシャワーを浴びてお互いの髪を乾かす。メイクは軽めに。朝ごはんは……有り合わせでいいや。
ご飯を食べて。余り物で被身子ちゃんのお弁当を用意して。歯を磨いて雄英に送る。
最近の朝のルーティーンだね。
「被身子ちゃん?準備できた?」
「はい!出来ました!」
いつも通りのお団子ヘア。可愛いね。
「ちょっと時間かかってたね?どうしたの?」
「あっ……えっと……指輪見てました。えへへ。」
「……。」
無言のハグ。可愛すぎるこの子。
「あっ?流水さん?嬉しいですけど……どうしました?」
「…………よし。行こうか。」
被身子ニウムも吸収完了。今日の仕事も張り切っちゃうぞ〜!
「え?今日流水さん雄英に居ないんですか?」
「うん。ちょっと遅くなっちゃうから寮にお邪魔してて?迎えに行く。」
「はーい。待ってますね?」
「ごめんね?頑張って終わらせるから。」
「無理しないでくださいね?」
手を握りながら歩くのも慣れたものだね。もう被身子ちゃん横にいるのに手を握らないともうソワソワしそう。これも慣れか……。怖い怖い。
「あっ!皆さん!おはようございます!」
玄関にA組女子達が見える。B組の女子もちらほらいるね?
「じゃあ流水さん。行ってきますね?」
……。
ありえないだろうけど……誰にもあげない。私のモノ。
牽制……だね。
「んー……。被身子ちゃーん。」
「どうしまs……んっ!?」
「「「キャーッ!」」」
「ふへへ。行ってらっしゃい♪」
「もっ……もーーーっ!流水さん!!!」
ごめんね?でも私のだから。誰にもあげないよ?
「おいひー!」
コンビニのいちごスムージーも捨てたものじゃないね!
パトロールも兼ねてコンビニも色々回ってみるもんだ。このサンドイッチも美味しい。卵。ハムとマヨネーズ。一般的なサンドイッチ。
うんうん。こういうのでいいんだよ。
横に置いた私のスマホから声が聞こえる。
『はははっ!ほんとに傷原ちゃんは美味しそうにモノ喰うなぁ!次こっち来ることあったら美味しいところ紹介したるわ!』
「ありがとうございます。ファットガム。すみません。こんな感じの通話で。」
『ええねんええねん。お互い仕事やろ?ほんで、こっちの情報HNで渡すで。多分そっちに残ってるはずや。』
通話相手はファットガム。今回は薬物売買組織を潰すために協力中。減らないねぇこういうの。なんでも警察が介入しなくてもある程度自由に動ける私に頼むのが楽らしい。薬物の知識もありますし……ファットガム程じゃないですけど。
私は現在人前で話せるものでもないので適当なビルの屋上。飛んできた。
「んー……お、来ましたね。これで全部ですか?……少ないですね?」
『倉庫は昨日潰したさかい……後残ってるのは運送してたヤツと取引してたヤツや。すぐ終わるで。……アツアツッ!』
「たこ焼き食べてます?好きですね。たこ焼き。……この調子だと今日中には身柄確保できそうです。」
『たこ焼き大好きや!傷原ちゃんも食べた方がええで!週8でな?ほんま頼もしいわ。あんがとさん。』
「週8って一日に2度食べてる日があるじゃないですか。前にファットガムに貰ったたこ焼き機があるので……今度被身子ちゃんと食べましょうか。こういう薬物検挙は知識がある人じゃないと難しいのでしょうがないですよ。ファットガムも全国飛び回れる訳じゃないので。」
『……ほんまに一緒に暮らしてるんやな?仕事一辺倒だった傷原ちゃんが意外やで。』
「久しぶりに会ったみんなに言われます。ファットガムはお仕事は?」
『書類整理が主やな!もうすぐで終わるで。終わったらパトロールや。』
「お仕事熱心ですね。頑張ってください。」
『当然や!死穢八斎會の件で少し遅れを取ったからな!頑張らなあかん!』
「無事で何よりです。それでは。」
『ほいなら!またよろしゅう。』
ピッ
ズズーッ……ズコッ……
「ふぅ。……美味しかった。それじゃ……ぱぱっと捕まえますか。」
暗い。まだそこまで時間は経ってないはずだけど……夜の帳が降りるのが早いね。
本拠地に突撃。その後情報を吐かせたらもう1人いるっぽくてそのポイントに向かってる。警察の人には少しだけ距離を取って近付いてもらってる。本当にわがままばっかりで申し訳なくなっちゃう。
「……少し急ごう。」
「何処にだ?」
「!」
後ろから振られた拳が宙を切る。
「あっぶな…………ってそういえば此処……あなたのエリアでした
か。」
「チッ……腕はなまってねぇみたいだな。ブラッドロータス。」
「……面倒臭い人に会いましたねぇ。……ナックルダスター。」
疑わしきは罰すを信条に、自警活動をする覆面の大男。少しオールマイトの大怪我の件を調べている時に出会った……出会ってしまった。
厄介なことに私が公安所属を何も情報が無いからと信じず。名刺を出しても不正に作れると見ず。見た目が幼いのも年齢詐称と疑い……私はこの区域に入るのに相当手間取る。
忘れてた……相当に厄介だぞこのおっさん。
強いんだ。本当に。ただ単純に強い。
「面倒臭い?お前の方が相当面倒臭いぞ?……ヒーローの皮かぶった無法者が。」
「ヒーローの皮かぶりぞこないに言われたくないですね。」
「テメェを今ここでぶん殴ってもいいんだぜ?」
「生憎もうすぐ警察がここに現着しますよ?それでもいいなら喧嘩しますか?」
「……。」
「……。」
「……。」
「……なんでやる気なんですか。本当に来ますよ?」
「来るまでに始末すりゃいい。」
頑固者め。
「……はぁ。あなたに時間を取られる訳にはいきません。これをあげます。」
私はナックルダスターに1枚の紙を投げる。
「……あん?誰だこいつ。」
「違法薬物売買組織のブローカーしてた人です。捕まえようと来たんですけど……厄介なおっさんに捕まりましてね。」
「なるほど?コイツとテメェをシバけばいいんだな?」
「血の気が多いですねぇ。そいつシバいたらこっちに回してください。こっちの事件なので。分前はこの件の半分でどうですか?」
「ふん。いいだろう。今回は見逃してやる。」
「明日また来ます。それまでによろしくお願いしますね。」
「とっとと去れ。」
私はその場を立ち去る。
prrrr……
「あっすみません。傷原です。お世話になってます。目標が少し……ええ。はい。そうですね。……すみません。はい。それでは明日……ですね。はい。…………わかりました。また連絡します。はい。お疲れ様でした。」
ピッ
ナックルダスターめ……ほんとにいなければこんな事なってないのに。面倒臭い。
「昼間まともな仕事してんだから自警活動なんて辞めればいいのにさ。やっぱ性格ねじ曲がってるよあのおっさん。」
毒が漏れる。
もうやだめんどくさーい!!
次の日にはちゃんと縄でぐるぐる巻きのホシが放置されてた。仕事は出来るんだよなぁ?
本当に面倒臭い。