sideベストジーニスト
ブラッドロータスから連絡があって数分。
現場に着いた。白体教……いわゆる宗教団体。あまりいいイメージは無い。過激な発言と行動で青少年の心を乱す悪……とまではいかないが、社会問題になりつつあるのも事実。
白体教が何をしているのか定かではないが、宗教団体であるという認識を持ち警戒をしておくのは無駄ではないだろう。
ブラッドロータスはなぜ白体教の本殿……本拠地周辺に居たのか。謎が深まるが一旦置いておく。
「我々のすべき事は被害者の有無と確認。そして敵連合の足がかりを追う。行くぞ!」
「「「シュア!ベストジーニスト!!」」」
あれからブラッドロータスに電話が繋がらない。何も無ければいいが。
「それではブラッドロータスは森の中に……?」
「はい……。流水t……ブラッドロータスが何処に向かっていったか……私達は分かりません。」
白体教の本殿に着くと、仮面と巫女服の女性が何人か既に外に出て警戒網をとっていた。自己紹介とブラッドロータスからの依頼だと説明すると室内に招かれ、教祖様と呼ばれる女性と会話が出来た。
教祖様と呼ばれる女性は右腕を怪我していたが、これは部下を守るために燃えて落ちてきた木材を叩いたから……だそうだ。
本殿内に燃えている跡があったことから、荼毘が居たのは間違いがない。……が肝心のブラッドロータスが見当たらず、説明を求めたが返ってきた返事に未来がない。
「では我々と警察が連携して捜索に当たります。」
「よろしくお願い致します。ブラッドロータスを……私の友達を探してください。」
友達。なるほど。ブラッドロータスはプライベートで来ていた可能性がある。
すぐに見つけ出さねば。
捜索を初めて数分後。サイドキックからの連絡で、森の中にありえないものがあるとの事で……現着してみたのだが……
「これは……。」
「車の山……ですよね?」
見上げるほどの車の山。5……10台はくだらない。
「とりあえず重機を手配します。」
「車のナンバーも見てみよう。結構新し目だぞ。」
「なんでこんなものが………………はっ!」
『敵連合出現。逃亡中。以下3名。死柄木弔。Mr.コンプレス。荼毘。応援を要請します!』
Mr.コンプレス……もしやこれが元々圧縮してあった物だったら。もしこれの下に……
「まずいぞ……!」
「どうしましたか!?」
「まずいぞ!この下にブラッドロータスが居る可能性がある!」
「なんですって!?応援を呼びます!」
「重機が来るんじゃ遅い。救急車も呼びます!」
「頼む!私はどうにかどかせないか探ってみる。」
「「シュア!ベストジーニスト!」」
雨音が強くなる。これ以上は……
ズズ……
すると、車の山が少し動いた。
ズズズ……
「!」
見間違いじゃない。動いた。絶対に!
にゅぅうううん……
車と車のの隙間から出てきた大きな茶色い手のひら。
それは車を掴んではどかし、掴んではどかし、自らの意思を持って動いているようだ。
「なんなんだこれは……。」
「……っ。」
そして最後の1台。その茶色い物体は車の下から車を持ち上げ、完全に車の山を無いものにした。
「……疲れた。滅茶苦茶するんだもん敵連合の奴……雨降ってなかったら多分死んでたね。」
その茶色い物体の中にもはや見慣れた顔。
「ブラッドロータス!無事だったか!」
「あえ!?ベストジーニスト!助けに来てくれたんですか!ありがとうございます!」
ブラッドロータスがその茶色い物体の中から出てきた。
泥だらけだ。コスチュームも髪も茶色。葉っぱもついてる。
「……さっきのは一体……?」
「……ああ!あれですか?私の個性は実は泥水扱う方が得意なんですよ!だからエスコルチア……血を纏うやつを代わりに泥水にすることで出力を上げてどうにかって感じです。1回どかそうと思ったんですけど……流石に泥水の量が足りなくて……もう少し雨降るまで地面に穴掘って待ってました。」
規格外……だな。泥水を扱ったとはいえ、腕一本で車をどかす……とてつもないパワーだ。彼女が表舞台に出ていたらヒーロービルボードチャートも変わっていただろう。
「敵連合の痕跡は…………雨降っちゃってるからもう無理ですね。」
「……ああ。痕跡は無くなってると見ていい。」
「白体教の皆さんは無事ですか?火事があったんですが……。」
「我々が現着した頃には火は消えていた。……すまない。もっと早く来ていれば……。」
「充分早いです。……私もここに敵連合が来るとは思いませんでした。……私が居て良かった。」
「ああ。もっと被害が大きかった可能性がある。」
「…………。ただしいくつかいいニュースがありますね。」
「……なんだと?」
side傷原流水
「1度本殿に戻りましょう。……いてて。」
胸が痛む。肋骨やったか?
「大丈夫か!?」
「た……多分肋骨にヒビが入ってますねこれ。滅茶苦茶されたんでしょうがないですけど。」
「……私はむしろその程度ですんでいることに驚いている。」
……確かにそれはそうですけど……。
これが出来ないと裏の仕事何も出来ないので。
「……とりあえず向かいながら話すとします。いいニュースは2つ。」
「2つ?」
「ええ。まずひとつ。アンコシャス……という私の知らない敵が敵連合に所属していること。……そして多分仮説になりますけど……誰かも検討がついてます。」
「なんだと……!?それは本当か!」
「はい。私は夏……荼毘を見逃してから、月に何度か公安の犯罪者リストを見漁ってます。なので……知らない名前と知らない敵であることは明白です。」
……これはここで話すには相当重い話ですね。
「……この続きは本殿に着いてから話します。もうひとつが……黒霧の居ない敵連合ということは、移動距離が狭められますよね?」
「……なるほど。この辺り一帯の何処かを根城にしている可能性が高い……という事か。」
さすがベストジーニスト。頭が回る。
「はい。車を運転出来る人がいるはずなのでもう少し範囲は広そうですけど。」
「……確かに。それはエンデヴァーにも連絡をしておこう。」
「……グラントリノにも後で話しておきましょう。」
「そうだな。広く浅くじゃなく、狭く深く探ることが出来そうだ。」
「多分大きな一歩です。」
……怪我の功名って奴ですかね?
白体教本殿に着いた。
ベストジーニストから白ちゃんが怪我をしていると聞いて、命に別状がないらしいからまだいいが……気が気じゃない。
「白ちゃん!」
焼けた跡の残る本殿の中に入り、白ちゃんに駆け寄る。
「流水ちゃん!無事だった!?」
白ちゃん……右腕に包帯が巻かれている。
「大丈夫。ちょっと肋骨にヒビ入ってるっぽいけど全然生きてる。」
「全然大丈夫じゃないよぉ……病院行こ?お金は私が出すから……。」
白ちゃんが目に涙を溜めてる。
「白ちゃん……泣きそうな顔しないで?私は大丈夫だから……。」
「ううん。だって今日流水ちゃんに会いたいってわがまま言ったの私だし……本当にごめんなさい。」
「大丈夫。白ちゃんが遊びに誘ってくれなかったら……私大切な人達を失うところだったんだよ?私安心してるんだから……。」
「流水ちゃん……。」
「無事で良かった。」
「お取り込み中失礼します。」
「あ……ベストジーニスト。ごめんなさい。」
完全に忘れてた。
「ベストジーニストさん。流水ちゃんを助けてくれてありがとうございます。」
「いえ。私の力ではありません。……それよりもブラッドロータス。話したいことがあるのでは?」
もっと忘れてた。白ちゃんの事で頭いっぱいだった。
「あっ……そうじゃん!……白ちゃん。心して聞いてね。」
「…………弟の事でしょう?」
「うん。多分あなたの弟……敵連合と関係を持ってる。」
「…………そうだと思った。」
「何!?ブラッドロータス!それは本当か!」
「はい。実は……」
私はベストジーニストに白体教本殿に来てからの事を事細かに話す。白ちゃんの弟に会ったこと。話していた内容。縛って捕まえたこと。敵連合の回収したとの言葉。憶測に過ぎないが、疑うには充分すぎた。
「…………まだ確証は持てないが……根拠はあるな。」
「はい。だから調べてみてもいいかもしれ……」
「待ってください。私は弟が敵連合に関与してるとは少し考えにくいです。」
「え!?白ちゃん!?」
なんで否定してくるの!?確かに確証は無いけど多分絶対怪しいよ!
「…………理由をお聞かせ願えますか。」
「まってよ白ちゃん!絶対怪しいって!」
白ちゃんは意を決したような面持ちで発言する。
「流水ちゃん。……私言ってなかったんだけど……私の弟……無個性なの。」
「……無個性!?」