悟が帰ってくるのは本当に遅かった。
時間を潰すものもなく、思わずうたた寝してしまったほどだった。
疲れ切った悟が、テーブルの上の食事を少し摘んでシャワーを浴びるのをぼんやり眺める。
髪を乾かして、悟は布団に入ってきた。
悟に言いたい事は山ほどあったはずだった。
でも、疲れ切った悟に何も言えるはずがない。
ぎゅっと私を抱きしめて眠る悟。
起きるのは明け方前。
「どうにかしたいよな……」
そして眠る。
体を弄られて起きた。
「おい」
「ほえ、あ、悪い!」
どうやら寝ぼけた状態で私の体に触れていたようだ。全身を密着させてきている。
私の殺気に、私の周囲に体をくっつけて寝ていたポケモン達がなんだなんだと慌てて起きてオロオロしている。大丈夫だから。
「はぁ、布団別にするかい? 私と君はそんな関係じゃないし、浮気になるよね、これ」
「そ、れは……」
あうう、と言った様子の悟。嫌なのか。嫌なんだな。
でも言えないと。言えよ。
「口があるんだから、君の考えを聞かせてよ」
「俺は傑分を補給したいです……。ただでさえ俺の傑いねーのに」
どうやら、悟はちゃんと私を好きでいてくれるらしい。
並行世界の私と悟がそんな関係なんて、複雑だけどね。
それはまあ、呪術界から強制された事だから仕方ない。本人が受け入れているだけ良いんだろう。私はどうだかわからないが。
「じゃあ、一緒に仕事に出ちゃう? 私、強いから安心だよ。こう見えて特級」
「えっ」
「嫌かな?」
「あ、嬉しいっつーか……でもポケモンは」
「守るよ、ちゃんとね。さっさと任務片付けて、君の私に会いに行きなよ。留守は守ってあげるよ」
「良いのか?」
「私が襲われるよりはね」
「悪い……」
それでも悟は嬉しそうだ。
私の事がすごく好きらしい。
と言うことで、一緒に出かける事になったのだった。
今回の任務は七海と灰原と合同だった。灰原!? こっちでは生きてるのか!
悟と現場に行くと、灰原がいた。いた! カメールを引き連れている。信じられない……! ソワソワしながら、作戦を聞く。
「五条さん、今日は傑さんと喧嘩しちゃったんですか?」
灰原が悟に聞いてきたので、私は思わず答えた。
「喧嘩なんてしてないけど?」
「ほら、喧嘩してる。傑さんが五条さん以外と話すなんて!」
「えっ」
「やめなさい、灰原。五条さん以外と会話して後で責めを追うのは傑さんです」
「僕は五条さんとしか話してないよ」
「えっ」
私は空気人間なのかい? やめてくれ、君がそんないじめみたいな。
「そんな事ないよね、悟? だって話しただけで……」
「あー。実は、傑、敵の襲撃があった時に頭打って、ちょっと記憶が曖昧なとこがあって……。傑、傑には俺とだけ話してて欲しいな」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫」
「は? それ言ったの君? 総監部? 会話もダメなんておかしいだろ」
会話が駄目? 嘘だろ、酷くないか?
「あ、本当に記憶ないんですね。口答えとか絶対しなかったですもんね、傑さん」
「傑さんがいて五条さんがセクハラしてないとかありえないですからね」
「えっ」
「あー、傑が触れられるの怖がってさ。記憶がちゃんと戻るまで無理に触らないようにってだけだ。傑、総監部に睨まれるから、話し相手は俺だけな」
「なんだよ、それ……」
戸惑う。その後も、本当に灰原と七海は私と会話してくれなかったし、悟から嗜められた。なんだよ、これ。見知った人間の、悪意を感じない悪意に溢れた行為に呆然とする。
そうこうしている間に作戦が始まり、私は戦闘を見ることが許されてないからと目隠しをされた。その状態でも取り込みはできるだろうと。
実際できるけどさぁ!
「術式は良いから、勿体無いですよね」
「本当だね、七海」
なお、見えない相手を運ぶ為兼お仕置きという事で、めちゃくちゃ悟に触られた。
目隠しされて。人前で!
これ、悟を殴っても許されるんじゃないかな???
なお、頑張って仕事を早く済ませたら追加の仕事が入ってその日の転移は出来なかった。
あと、悟はからは謝られた。
入れ替わりがバレないために仕方なかったらしい。
でもあんな扱いされて易々諾々と従ってた私は良い子通り越してバカだと思う。
それから数日。
悟の仕事に付き合った私はすっかり寝不足とストレスでグロッキーになってた。
もはや割と際どいセクハラも受け入れちゃってる。疲れてるから仕方ないだろ?
元気な状態なら絶対に殴ってたと思う。
悟には悪いけど、ちょっとお休みをもらおう。
悟は働いてるのにって思うけど、人間には限度があるよね……。
もう眠気が限界なんだよ。
あと、悟の仕事減らす方法を考えよう。
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マシュマロ
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