ポケモン廻戦   作:かりん2022

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長くなったので一旦投稿します。


チェンジ!5

卵からはピチューが孵り、美々子、菜々子、利久は大喜びした。

今日は皆で映画である。

 

人気のない映画館の最後列で、こっそりとポケモン達と鑑賞である。

 

「凄い、美々子、菜々子、凄い!」

「スー様、しー」

「楽しいですね、スー様」

「ポップコーンはいかがですか? キャラメル味とか美味しいですよ」

 

 3人の少年少女に手を引かれ、イーブイを抱きしめ、あからさまに幼い様子で連れ回される。

 

 子供のようなその様子はイーブイを抱っこした写真とともに、あっという間に拡散された。

 そして、呪霊集めをしている時に、ついに追っ手が現れたのだった。

 

 

「傑くん、ええもん連れとるやん」

「直哉と、憲紀?」

 

 その様子に会敵したという警戒心はない。ただ、幼児が意地悪な人にあったなぁ、といったような、ピチューを抱きしめて上目遣いに見る感じ。

 めっちゃ幼女みがある。

 スーはピチューを抱きしめ、その足元でイーブイは唸る。

 

「んー。やっぱり幼児化か記憶半端に飛んどるかしとるようやな」

「人間を襲っては駄目だよ、雷光(ピチュー)、ブイ(イーブイ)。人間を襲ったポケモンは殺されてしまうんだ」

 

 暴れるイーブイを抑える。やはりあまり状況はわかってなさそうである。

 

「スー様、下がってください。ラルゥがもう直ぐ来てくれます」

「スー様、こいつは敵です。利久、スー様を連れて逃げて」

「スー様、こっちです!」

「う、うん。イーブイおいで!」

「逃すわけないやろ」

 

 てててて、と夏油が走る。

 それを追う直哉。才能はあるとはいえ、それを腐らせるよう全力を尽くして育てられた夏油と、比喩抜きで物心ついた時からずっと研鑽を積んできた直哉である。

 比較になるはずがない。

 利久が瞬く間に蹴り飛ばされ、あっという間に囚われた。

 

「あうっ」

「なんや、特級呪詛師が目も当てられんわ」

 

 そこに、ころんとモンスターボールが転がる。

 

「げっ」

 

 モンスターボールが開き、そこから出たのは五条悟だった。いや、違う。

 

「悟くん!? ゴッホ! メタモンか!」

 

 顔を見て思わず吹き出す直哉。メタモンは顔はそのままなのである。

 

「すぐる!」

「鏡也(メタモン)!」

 

 メタモンが吹き出した一瞬の隙をついて、傑を抱き抱え、逃亡する。

 更に、美々子と菜々子、利久にも逃げられる大失態。

 

「ああもう、失態やな!」

「……暖かい」

「何してるんや……イーブイか。これだけでも祓おか」

「いえ、私の責任で連れて帰ります」

 

 キャンキャンと吠え立てるイーブイをしっかりと抱き上げ、憲紀。

 2人揃って帳から出る。

 

「えっ あれ、イーブイ!?」

「わ、そっくり! 可愛いー!!!」

「めちゃくちゃ可愛い、凄い!」

「えっ」

 

 憲紀はあっという間に囲まれて、写真を撮られる。

 

「呪霊ちゃうやん……」

 

 憲紀は高専に帰ると、一時的に人気者になった。

 イーブイ目当てである。

 そんな様子で機密保持などできるはずがなく、五条の耳にも夏油のことが入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「おーて♡ ふふ、可愛い、小虎ちゃん♡」

「伏せ! 良い子だね、クッキー食べる? ポチくん」

「その子は牙なのだが……」

 

 控えめに憲紀は主張する。そこに、生徒達を連れた悟が訪れた。硝子もいる。

 

「やー! 傑捕まえに行ったんだって? 無謀な事するじゃん!」

「五条教諭」

「わ、本当にイーブイだ!」

「しゃけ!」

「可愛いな」

「俺の方がかわいいだろ!?」

 

 そんな事を話しながら、イーブイを見る。イーブイは五条にアピールする。

 

「……。うっそだろ。普通の動物なんだけど。受肉も呪力の操作もなし! 何らかのエネルギーを持ってるけど呪力じゃないね!」

「は?」

「マジでポケモンかよ。何があったんだ夏油のやつ」

「話に聞いてたのと違って、鍛えてない感じはしました。完全に素人の動きでした。スー様って呼ばれてて、私達の事はわかっても状況は理解してないようでした。あと、ピチューと五条教諭に変身できるメタモンがいました。おそらく、強さも大体一緒かと」

「いやー。それはないでしょー。わかった。調査引き継ぐよ。イーブイ貸して」

「いや、その。メタモンがなんで五条教諭に変身できたかって問題があるので、せめて一緒に捜査させてください」

「僕としては全く覚えがないんだけどね。まあいいよ。一緒に捜査しよう!」

 

 という事で、イーブイと一緒にお散歩する簡単なお仕事である。

 めちゃくちゃ写真を撮られまくるが、コラテラルダメージである。

 

 

 

 

 

 

 

「ブイ!」

「スー様、駄目です!」

「はい、傑みっけ」

 

 傑を捕まえ、荒野へ転移する。なお、憲紀と直哉、乙骨と伊地知も荒野で待機していた。

 

「悟! その、ブイを帰してくれないか!」

「その前に、お前が誰だよ」

 

 目隠しを外し、五条は冷たい目でスーを見る。

 

「傑だけど傑じゃない。筋肉のつき方からして違う。お前、最近まで全然運動してないだろ」

「う、うん」

 

 傑の肩では、ピチューが荒ぶっている。

 ピチューを見た乙骨も荒ぶっている。

 

「本物はどうした?」

「えと、私の替え玉をやってくれてるんだ」

「替え玉?」

「う、うん」

「体を入れ替えたって事か? 同意か」

「ちゃんと説明して、協力してもらったんだ。迷惑掛けちゃってたなら、ごめんね……。私、君に迷惑掛けてばっかりだね」

 

 きゅっと上着の裾を握って顔を俯ける。

 

「あー。事情話せよ。それ聞いてから判断するから」

 

 夏油は素直に頷いた。

 

「長くなるけど良いかな?」

「良いよ。ちゃんと聞かせて」

「私、10歳の時にアルセウスって神様に気に入られてね」

 

 その時、夏油の腹の前あたりに卵が現れる。

 夏油はそれをそっと抱き留めた。

 

「こんなふうに、定期的に卵をもらえるんだ。最初の1匹は卵じゃなかったけどね。えっと、利久に教えて貰ったんだけど、コイキングっていうポケモンだったんだって。いくつかのポケモンの候補から、友達を選んでって言われて、私が選んだんだ」

「コイキング! ギャラドスっていう龍になるやつです!」

 

 興奮半分、心配半分で乙骨が言う。

 

「そう。それで、私のグッピーくんは龍になって、街を襲って、沢山の人と術師が犠牲になって……グッピーくんは殺されて、私も死刑になる所だったんだけど、ポケモン達が怒って、呪術界をぶっ潰しちゃって……」

「ええ……」

 

 さらっとぶっ潰したと言われて、一同ドン引きである。

 話し合いを選んでよかった。傑を殺してたらこっちでもポケモンが暴れてたかもしれないのである。

 しかし、当然、そんな記録はない。となると並行世界である事がすでに予想がついた。

 

「アルセウスは言ったんだ。術師も動物も昆虫も、ポケモンにしてあげるって」

「邪神じゃん」

 

 ちょっとこの世界まで巻き込まないで欲しいのだが。

 

「私、それは嫌だって言って、アルセウスにお願いして、ポケモンにされちゃった悟も戻してって」

「ポケモンにされてた!」

「それから、私の子供がアルセウスにお願いをしたら大変なことになるから、私は子供を作っちゃ駄目だって事になって」

「あー。子供に呪いを引き継ぐってありがちだしね……」

「悟もポケモンになっちゃって後遺症がある以上、血を継がれたら困るってなって」

「まあね」

「悟、私を娶らないといけない事になって……」

「そうはならないでしょ」

「ごめんね、悟……」

「いや、続けて?」

 

 食い気味に否定した悟だが、スーが悲しげに言うので先を促した。

 

「穏便に、2人とも子供作れないねってアルセウスに納得してもらって、呪術師の受けた損害は私の貰ったポケモンで穴埋めしようって感じで、でも、私、恨まれてて、呪詛師、もしかして呪術師かもしれないけど……とにかく襲われて、悟がしばらくこちらにいて欲しいって。並行世界の、強い私を探してしばらく入れ替えるって。その間、その、羽を伸ばしても良いよって。外に出たり、人と話したりしても良いよって」

「なるほど理解」

「なんや、面倒な依頼やな。報酬は?」

「私のこっちにいる間に孵化させたポケモン」

「五条先生! 保護しましょう! ピチューも報酬に入りますよね!」

「うーん、そうね。アルセウスがどう出るかわかんないし、保護一択かな……。拘束するけどいい?」

「うん」

 

 スーはおとなしく捕縛されたのだった。

 




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