「カラドボルグ、順調に飛翔中!着弾まで残り30秒!」
発射された巡航ミサイルは正確に目標へ飛翔する。目標は敵の首都と海運都市に2発づつ、農業都市に工業都市に1発づつだ。位置情報は全て墜落してしまった哨戒機のデータに基づいている。核弾頭こそ搭載されていないが、超音速で着弾し大量の炸薬に引火されれば絶大な威力がこのミサイルにはある。
元はユークトバニアやエルジアがオーシア空母機動部隊やベルカ空軍超長距離対艦攻撃隊に対抗して出来た国際的なミサイルだった。エメリアでは元隣国のノルデンナヴィク王国の軍事企業であるマクミラン重工業とケセド海軍工廠が協力して射程の延長や精度向上が行われ、高性能通常炸薬800kgに及ぶ絶大な破壊力と650kmに及ぶ超射程を手に入れた。黒い噂が絶えないマクミラン重工業だが仕事はしっかりやってくれる。
「着弾まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、弾着!」
レーダー画面から巡航ミサイルの反応が消える。恐らくはしっかり命中してくれただろう。
「さて、、、やる事は終えた。全艦戦闘配置解除、警戒態勢に移行。特にレーダーには気を付けろ。帰るまでが戦いだって事忘れんなよ。」
第五艦隊司令は意外にアッサリと終わった戦いに改めて驚いた。なんとなく察してはいたが、それを踏まえても、彼らはエストバキアとのそれに比べるとあまりにも技術格差があり、脆かったのだ。彼は相手の状況が自分達の状況で無かった事に感謝した。
王都北の港
「大王は一体何をしたいのやら、、、」
海将シャークンがぼやく。つい数日前に水夫を歩兵として転用するとして人員が大幅に取られたのに、ついさっきの魔信では「この前の水夫を全て戻すので海上戦力を万全の状態にせよ」という正反対の命令が届いたのだ。二転三転する命令に少々うんざりに思う彼であったが、人員が帰ってくるとポジティブに考えることにした。
「さてと、ひとまず作戦を練る事としますか、、、」
ロウリア王国海軍は現在4400隻の艦船がある。隣国のクワトイネでも52隻が限界であり、ロウリアの国力が現れていたが、それにしても多い。これには海将シャークンの涙ぐましい努力と交渉の末だった。
「はぁ、、、」
とはいえ、海軍の地位はその規模に対して低いと言わざるを得なかった。ここまで増強するとなると騎士団や竜騎士団と軋轢が生まれ、しかも海軍の本拠地は首都でない為権力争いで敗北していたのだ。
「うん、、、?なんだあれ、、、」
疲労が蓄積していた彼は刹那、その苦しみから解放される。巡洋艦から放たれた超大型ミサイルはレンガ製の海軍本部に直撃し凄まじい爆発と砂埃を発生させた。爆風で軍船が揺れ、近くにいた水兵は吹き飛ばされて地面に衝突するか海に投げ出された。砂埃が晴れた時、軍船上にいた水兵は即座に生存者無しと判断出来るレベルまで倒壊した海軍本部を見て絶望した。
この日、第五艦隊は大型巡航ミサイルを用いて敵の戦略的重要拠点を叩いた。
超音速で動くラムジェットエンジンから出る炎はロウリア側では隕石と思われた。
ロウリア王国軍の被害統計によるとこれによる被害は以下の通りであった。
・ジンハーク 竜騎士用格納庫 完全破壊 既に壊滅している為竜騎士の被害は無し
・ジンハーク ハーク城 8割が崩落 国王は奇跡的に生存
・王都北の港 海軍本部 完全破壊 海軍司令部壊滅
・王都北の港 弾薬庫 4棟の内1棟が完全破壊、2棟が一部破壊 海軍用総弾薬の6割を損失
・ホッカロ 作物集物庫 完全破壊 年の収穫作物の9割を損失
・ビーズル 鉄工所 完全破壊 鉄生産が4割減
ケセド島 陸軍駐屯地
「また戦争か、、、しかも外国、、、」
ワーロック独立機甲中隊長が呟く
ただでさえこの前の戦争で人員を大量に損失しているのにこの命令は死ねと言ってるようにしか聞こえなかった。
「命令だから行くけど、、、まぁ遺書は書いとくか。」
絶望する彼であったがそれが杞憂で終わる事をこの時の彼は知らない。
短くてごめんナス!許してクレメンス!