異世界でも天使は踊る   作:唯の人擬き

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第三話 行軍

時は戻り

2017年4月2日 ジンハーク付近の海岸

 

「ぅう、、、」

 

呻き声が上がる。後ろでは炎が音を立てながら燃えている。。やがて彼は落ち着いて状況を確認した。

彼はエメリア海軍の哨戒機オリオン2の搭乗員、よくわからない現象で大陸ごと転移したと聞かされて、人を探す為にケセド島を出た後、大陸を見つけて歓声が上がった。だがいざ侵入してみると迎撃を受けた後にバードストライクでエンジンがやられて墜落したのだ。

 

ひとまず現在の状況を確認した彼 ーオリバー准尉ー は周りの皆を起こす。

パイロット等は骨折なり出血が起きていてたが他はなんとか軽傷で済んでいた。

見ると墜落した割には機体本体の損傷はかなり少ないように見え、パイロットの腕が出ていた。

 

次に彼はあるものを探した。

 

「えーと、、、あった!」

 

彼は非常用の救難信号機を内蔵した無線機、そして医療セットに食料など必要な道具類が入っていたエマージェンシーボックスを出した。人数は計14人。負傷者を最低限処置して担架で運ぶとして残りは5人。3人が武器庫に入っていたMP5を持ち、1人が食料ボックスを、そしてオリバーが無線機を持った。ちなみに2人とも護身用にベレッタ92を持っている。

 

こうして、よく分からない土地でいつ助けが来るか分からないサバイバルが始まる。

 

 

4月3日

 

彼等は少々ピンチになっていた。

 

「クソっ、、、アイツらも気付いたか、、、」

 

休息の為、墜落した近くで仮眠を取っていたのだが、墜落現場を現地人に発見されたのだ。

 

「どうしますか?准尉?」

 

判断次第では死にかねないこの状況。

現状、パイロット陣が指揮できない以上、オリバーが最も階級が高い。

14名の生死が彼の判断にかかっていた。

 

「、、、ひとまず離脱だ。絶対に音を出すんじゃないぞ。」

 

オリバーはコンパスを見ながら北へ向かう。海岸まで行けば助けがいつか来ると踏んだのだ。

30分後、なんとか彼等は位置を知られずに墜落現場一帯からの離脱に成功した。

 

 

4月5日

 

鬱蒼とした森林が広がるところを彼等は歩く。一応ちゃんとした道(といっても舗装路なんかではなく砂利道)のようだったが正直周りが道のそれとは思えない。

 

「、、、ッ!各員道脇に避けろ!」

 

静かにオリバーは命じる。全員道の右側の森林に身を隠す。

 

「、、、軍隊か、、、」

 

やってきていたのは非常事態による配置換えで移動していたロウリア軍の歩兵隊だった。主武装は剣と盾であり万が一の時には勝てそうであったが、人数が多すぎた。

 

「なんてこった、、、数千人規模じゃ無いのかこれは?」

 

彼はそうぼやく。だがある事に気がつく。

 

「今は朝、、、この人数が移動しているということは近くに町がある、、、?」

 

そう思った彼は、途中にあった分岐路で小さい方の道に入る。

大きい方の道を言った先にはロウリアでも有数の農業町であるホッカロがあった。

 

 

ロデニウス大陸 ロウリア王国 ホッカロ

 

ホッカロ、ロウリア王国でも有数の農業町。ビーズルやジンハークが城壁に囲まれた町であるのに対し、古くからの集落が発展してできた事で町全体を囲う城壁がなく、これにより町の拡張がしやすく近年のロウリアでは最ものりしろのある町である。現在では農業の他にも、余った農産物を活かした畜産など多種多様な産業がある。

 

「、、、今はどんな状態だ?」

 

ホッカロは現ロウリア王の10世代程前の時に無理矢理併合させられた町だった。当時のロウリアでは飢饉が発生しておりその解決の為の軍事行動だったが、この軍事的勝利はその後のロウリアの拡張政策を進めるにあたる自信に繋がった。

そんな前史により、ロウリア軍全体として王直轄陸軍は諸侯連合陸軍の1/4なのにも関わらず、ホッカロ駐屯地は諸侯軍計420名に対して王直轄軍は5000名と10倍以上の差であった。

 

「現在、王直轄軍は王都へ帰還していると偵察隊から来ています。」

 

しかし、墜落事故を受け対亜人戦争を中止したロウリア王国は戦力を再編する事を決定。ホッカロから王国軍は既に消え去っていた。

 

「そうか、、、わかった。下がってくれて構わない。」

 

報告に来た部下を下げさせたホッカロ行政府長官であるエルファ伯爵は、一人呟く

 

「墜落したものには人が居たはずだ、、、王都から逃げるにはこちらの方に来る必要がある、、、これは使えるな、、、」

 

そう言った彼は魔信でどこかに連絡を入れる。

 

 

4月7日

 

オリバー達は北の海岸に到着しかかっていたが、様子を見て後悔する。

 

「しまった!ここはあの港町か、、、」

 

侵入する時に見えた港町である事を見て彼は最悪な気持ちとなる。

 

「どうしますか、准尉?この港町、結構大きかったですよね、、、?」

 

食料ボックスを持った彼の後輩がそう聞く。他は一旦休んでいる。無論、警戒は怠っていない。

 

「確か東は海岸が崖のようになってたはず、、、全員、西へ移動するぞ。」

 

東が崖海岸である事を思い出した彼は、西の方向へ向かう。

 

一方ロウリア側では、、、

ロウリア王国 首都ジンハーク ハーク城

 

「緊急と聞いたがパタジン、いったい何があったのだ?」

 

国家的に重要な事柄であるなどの理由で軍隊が調査していた墜落事故。しかし最悪な出来事が起きていた事が分かる。

 

「残骸をどかして現場を調査したのですが、、、その、、、大変言いづらいのですが、、、」

 

言葉を濁すパタジン、しかし覚悟を決めて言う。

 

「現場には血と思われるものがありました。そして肉片などもあり、調査した者によると、王族の衣装と思わしきものがあると報告が来ました、、、」

 

「まさか、、、アイツが、、、弟が死んだというのか⁉︎」

 

ロウリア34世には実は弟がいた。王にはなれなかった者の、逆に庶民との交流が増えていて若干国民の顔のような存在となっていた。3週間程前から南の方に外遊しており、そろそろ帰って来るはずだったのだが帰ってきておらず、ロウリア34世は心配していたのだ。

 

「恐らくは、、、数人巻き込まれたような形跡もありますので、、、」

 

沈黙が流れる

 

「、、、外務卿を呼んでくれ」

 

この日、ハークロウリア34世は外務卿にパーパルディアでのミリシアルとの交渉を急がせるよう命令。徹底した追求による謝罪と賠償をさせる事を決意した。言ってはないが、万が一断られた場合は戦争も辞さないと彼は本気で考えていた。

 

 

4/8

 

ロウリア王国 ホッカロ

 

「大王の弟が死んだと、、、報告ありがとう。」

 

報告に来た部下を下げさせたエルファ伯爵は悪い笑顔を浮かべる。

 

「利用しがいのある種が舞い込んできたな、、、頼むよ。」

 

30代前半にして伯爵となった聡明なる男は執務に戻る。

 

 

一方オリバー達は

 

なだらかな山を見つけて登り一度休息を取る。

 

担架は降ろされ大半が座り、まるで大人のピクニックのようであった。なんなら食料ボックスを出して食事している以上、本当にピクニックなのかもしれない。(なお食べていたのはカロリーメイト系の栄養食でまともな食事とは言えなかったが)

 

オリバーは座りつつ海岸を見る。双眼鏡を出してくまなく救出しやすいよう場所を探す。

そして、、、

 

「、、、お!」

 

ちょうど良さそうな砂浜の海岸を彼は見つけた。距離的にも結構近く。1日あれば辿り着く。

 

1時間ほど経ってまた歩き始める。その日は途中にあった川にいた鮭と野草(ちゃんと食えるやつ)を火を通して食べた。ちなみにこの時の火の煙は王都北の港の監視塔から見えていたが、重税により腐敗が進んでいた為見逃された。

 

 

4/9

 

周りを見渡すと緑、緑、緑。道なき道をオリバー達は進んでいた。太陽光が木である程度カットされ暑すぎず寒すぎずな気温であったのが幸いだった。

 

しかし

 

「、、、ッ!これは波の音だ!海が近いぞ!」

 

少々ペースを上げて歩くオリバー達。オリバーに至ったてはもはや走っていて後ろとの差がかなり開いた。

 

「海だ、、、海ダァ!」

 

彼は大声を出して喜ぶ。

 

他のメンバーも蒼い海を見て喜ぶ。

 

「やりましたね!」

 

「あぁ!」

 

だが水を差すように何かが飛んできて慌てて全員が伏せる。

 

そしてオリバーは何が飛んできていて、自分達がどういう状況にあるのか理解する。

 

「これは、、、矢、、、?」




毎日投稿とか出来る人がどれだけ凄いか身に染みて分かる、、、
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