救援を砂浜で待っていたオリバー達に矢が飛んできて慌てて全員が偶々あった窪みに身を隠す。
しかし、、、
ヒュン
2発目も大体同じ位置に飛んできた。ほぼ確実に位置がバレた事によりオリバーは絶望感に苛まれる。
(クソッタレ!アイツらどこから付いてきやがってたんだ?いや、それより今どうするかだ、、、弾も無駄遣い出来ないし、、、)
「准尉、どうしますか?」
食料ボックスを運んでいた彼の後輩が小声で相談する。
「どうするったって、、、相手から何か言われるまで待とう。セーフティーは解除しておけ。」
位置が細かくはバレていないようで、相手方は矢を無駄遣いしていた。5分程経つと痺れを切らした相手方が名乗る。
「そこの砂浜にいる者ども!直ちに身を出して地に伏せろ!矢を撃たれたくなければなぁ!」
若干荒い言葉を使ってロウリア側は挑発した。
無論、殺害は許可されていないのでただのハッタリである。
「どうしょうか、、、?馬鹿正直に出ても撃たれますよねこれ?」
だが彼のハッタリは事態を長引かせる事となり、失敗した。
「、、、おい!こっちに来てくれ。」
MP5を持つ3人を呼び作戦を練る。
「相手方の言う通りに出ますか?」
「いや馬鹿正直に出ても撃たれるだけだ。」
「でも撃つだけならわざわざ出させなくてもずっと撃ち続ければいいのでは?」
「そうする事で誘き寄せる作戦かもしれないぞ。」
「でもじゃあどうするって言うんですか?」
「だからそれを考えるんだろ!」
議論している間もロウリア側は挑発を続けるが苛立ちがだんだん表面化されてきている。だが議論は平行線を辿るばかりだった。しかしある1人が思いつく。
「、、、いっそのこと殲滅しません?」
全員がはぁ?何言ってんだお前みたいな表情を浮かべる中続ける。
「敵が追跡部隊ならそこまで多くないはず。これまで見てきた技術的に防弾装備では無いようですし、MP5と拳銃で殲滅出来るのでは?」
「だが敵の位置は?こっちはバレてるが相手は位置を晒して無いぞ?」
「投降する為にこちらの方に来るようにしましょう。さっき言ってた通り殺すだけなら近づいて剣でやればいいんですし。最悪そちらから出せと言われたら私が出ます。降伏偽装とはなりますが目撃者を皆殺しにすれば大した問題にはならんでしょう。」
筋の通った理論。オリバーが「責任を取る立場は俺にある。」といって万が一には自らが出るようにした以外は全員が快諾した。
「わかった。そちらの言う通りに降伏しよう。だがそちらの姿を先に見せて欲しい。」
ロウリア側はしばし議論してこう返す。
「ダメだ!そちらが先に降伏しろ!そしたら姿を見せよう。」
プランAは崩壊、プランBに突入した。
「わかった。両手をあげて姿を見せよう!」
オリバーが両手をあげて窪みから出る。ベレッタはホルスターに入れたままにしてあるのでいつでも撃てる。他のメンバーも窪み内で射撃準備を整えている。
ロウリア側が姿を現した。見たところ将校のような違う服を着てるのが一人といかにも中世な戦士が50名ほど出てきた。
将校がオリバーに近づき
バン!
オリバーが拳銃を抜いて将校に発砲。将校は血を流して倒れ、戦士達が弓なり剣なりで無理矢理拘束しようと走り始めたが時既に遅しだった。
バババババババババ!バババババババババ!
窪み内からMP5が火を吹き、ロウリア側は鉛玉の餌食となって1分足らずで全滅した。
「「やった!」」
敵の排除を確認して皆喜ぶ。しかし、、、
ヒュヒュヒュヒュン
今度はもっと矢が飛んできたと思ったらざっと100人ほどが一斉に突撃してきた。
MP5で対応するも弾薬の在庫切れ間近の状況であり、オリバーらは絶望したり拳で殴り合う覚悟をする者もいた。
とうとうMP5が弾切れし、ベレッタを乱射していた頃、、、
ドンッ!
爆発音のような音と共に敵が吹き飛ぶ。
何事かと後ろを見ると
後ろに鎮座する揚陸艦と猛スピードで近づくLCACがいた。
4/8 墜落機救援艦隊 旗艦エーデルワイス CIC
「司令!こちらが該当機の搭乗員と思われる者らの昨日に至るまでの行動です!」
部下から渡されたタブレット端末を見るフィッシャー。そこにはオリバー達の救難信号がいつどこで出されたか(定期的に発信するシステム)が乗っており、そこを折れ線グラフのように線引きされていた。
「なんで西に行ったんだ、、、?まぁいい。艦隊全艦に通達!面舵一杯!進路を南西から西南西へ変えろ!」
定期発信される救難信号に合わせて艦隊も進路を変える。
4/9
王都北の港 西におよそ8kmの海岸
「恐らくこの辺だな、、、よし!海兵隊を上陸させろ!」
エーデルワイスから水陸両用の上陸機材を運ぶLCACが出る。荷台には本作戦での最高戦力であるIFV、ナイトハンターとAPC、パイオニアにVADSを積んだ対空車バージョンが積まれてる。歩兵隊は新開発の水陸両用装甲車で上陸する。
「司令!艦橋から『対象ハ戦闘中ノ模様、苦戦シテイルト思ワレ』と来ましたがいかがしましょう?」
「戦闘中?上陸の邪魔はさせん。一番近くの艦艇に艦砲射撃をさせろ!間違っても対象に当てるんじゃねぇぞ!」
命令を受け、海岸に一番近かった駆逐艦レブノールが艦砲射撃を実施した。
、、、こうして今に至る。正直経過などはどうでもいいがオリバー達にとって救援が来た事が何より嬉しかった。
「やったぞ!救援だ!」
やっと本国の救援が来た事に感謝する。
10分以内に敵は艦砲の前に殲滅。墜落機の搭乗員を保護し、海兵隊を上陸させた。まもなく外交官を乗せた車両が到着。救難信号を逆手にとり、一路ジンハークへ向かう。
一方ホッカロでは
ロウリア王国 ホッカロ行政府
「中隊長、、、中隊長!早く出て!状況を報告!」
執務室でエルファ長官が叫ぶ。エメリア軍墜落機救出部隊は搭乗員を追跡していたのはロウリア政府(ロウリアの政府体系がわかるのは、4/15のエメリア=東ロデニウス大陸国群安全保障会談である。)の正規軍(王直轄軍)と判断していたが、実際は王直轄軍がいなくなり誰にも監視される事が無くなったホッカロ行政府のエルファ伯爵が独自に派遣していた私兵(所謂諸侯軍の部類)だった。
墜落した機の所属国の恐喝や自身の出世など使い勝手のいい材料と考えて送ったのだが、追跡隊のトップと連絡がつかず苛立っていた。最も、魔信機そのものが私兵集団のトップらなどと共に艦砲射撃により破壊されたのでそもそも繋がるはずもなかった。
「長官、大声を出されていましたがどうかされましたか?」
部下にあたりそうになるのを抑えて、理性を取り戻しながら答える。
「すまない、部屋に虫がいて鬱陶しかったものだからつい叫んでしまった。迷惑をかけてすまないな。」
「いえ、何も無いならよかったです。では」
だんだん足音が小さくなっていくのを聞いた後、エルファは次の計画を練る。
エルファ伯爵は先代が50台半ばという若さで病死(ロデニウス大陸などは後進国の部類ではあるが、魔法のおかげで人でも平均寿命が80歳である。)した事により、20台という格別に若い年齢で行政府長官となった。初めは白い目で見られたが、伝統に縛られない改革の実施(地主から農地を買い上げ小作人に分配など 畜産業の発展も彼のアイデア)で町の経済を飛躍的に発展させた。
また容姿も非常によく、家柄も良い為教養もある事から町に出ると町娘からは黄色い声が至る所から聞こえる人気のあるものだった。
「、、、彼らはこう来るはず、、、いやこうか、、、?クソ、国王に近づくにはアイツらを連行するのが手っ取り早いのに!」
だが彼には裏の顔もあった。とにかく金を集める事と出世欲が強かったのだ。彼自身、幼少期には弱小集落の長の一族という立場でしかなく、ホッカロも今からは信じられない程中心街は廃れていた。だからこそ、それがコンプレックスとなっていて、それを打ち破る事として彼は国の権力者という立場を目指す事にしたのだ。
「ともかく今日は寝るとしよう、、、」
疲れた彼は家へ戻り、寝室で静かに寝た