ロウリア王国 ハーク城
「、、、なるほど。その様なことが。それは大変でしたね。」
ハーク城では外交トップのマオスがエメリア外交官マリアと交渉(と言うが実際はマオスが根掘り葉掘り質問してそれに対してマリアがお茶を濁しながら答えていた)していた。
が、話を聞いてみると国どろか大陸ごと転移してきたと言い、荒唐無稽な話としか思えなかった。
列強序列2位のムーも大陸ごと転移してきたという記録があるらしいが、他国では嘘としか思われてない。しかし
(あんな鉄竜、ムーでも作れない。作れるとしてもミリシアルぐらいだ、、、身なりを見るにまさか本当に、、、?)
ムーですら複葉機を主戦力としており、大型の、エンジンを積んだ航空機はミリシアルしか保有してない。その上、それすら上回る大きさの航空機という者もいた。
頭の常識ではなく事実のみで考えると、とても新興国家とは思えない。そうすると奴らの話が本当の可能性がある。
「えぇ、、、本当に、、、」
相手方の声の様子を見るに本当なのだろう。
「うん?眩しいな、、、」
南の窓のカーテンの隙間から太陽光が入る。
身につけていたムー製の時計を見ると12時。ちょうどお昼時だ。
「どうかされました?」
「いえ、時刻を見ると12時だったもので、、、昼休憩にでもしましょう。部屋を用意しますので少々お待ちを。」
「わかりました。」
ちょうどいい。相手の様子を見る機会だ。と言うことで時間を利用しマオスは探ろうとした。
「どこに行くのでしょうか?」
広く美しいハーク城を歩いてる途中で疑問に思ったマリアが問う。すぐ着くと言われたが色々見ながら回ると20分は経ってしまった。
「こちらです。どうぞ」
案内されて部屋に入る。中は所々荒れているが気にするほどではない。部屋には食事が置かれていた。
「時間になったらまたお迎えにあがります。およそ1時間ほどありますのでごゆっくり。」
そう言って案内の兵士はドアを閉じどこかへ歩いて行った。
「ふぅ、、、」
想像したよりも大量の質問を受けて回答に疲れた彼女。伝えて良い事と伝えてはいけない事を瞬時に判断するのは流石に疲れる。
(流石にバレているのかしら、、、核心をいきなり突かれなければいいけど、、、)
「ちょっといいかしら?」
護衛兵を呼び『他愛のない会話以外は絶対しない事』と書かれた紙を見せる。理解した護衛兵は敬礼し再び元の体制に戻る。
「お腹も空いたし、、、貴方達もご飯食べましょう?見たところかなり美味しそうに見えるわ。」
見たところ人数分の皿は用意されているので遠慮なく取る。色々見慣れないものもあったがどれも
議員一家出身の彼女も唸るほど用意された料理は美味しかった。そうして舌鼓を打ってる間、、、
王前会議
「何故あやつらをあんな厚遇でもてなしているのだ!」
他の閣僚から詰められるマオス。王は沈黙を貫いているが他は額に青筋を立てている。
「だから、現状はまだ彼らかはわからないんですs「そもそも即座に確認して宣戦布告が大王様の命令じゃなかったではありませんか!」
「ですから!あくまで確認しているんです!こっちの先入観で決めつけて実は違ったなど言い訳にすらならないんですよ⁉︎国が滅ぶか滅ばないかがかかってるのにいい加減でやっていいと思ってるんですか?ミリシアルはダンマリな以上、奴らがボロを出すまで待つしか無いです。」
「、、、皆の者、マオスの言う通りだ。マオスよ、貴君の好きにやると良い。」
国王の認可を受けた以上他の者は何も言えない。ロウリアの運命はマオスの手に委ねられた。
『時間ですのでご準備下さい。』
1時間経ち、交渉が再開する為、出迎えの兵士が来た。
「わかりました、今開けます。」
そうしてドアを開け、再び会場へ行く。
「では再開しましょう。あぁそちらはただのお茶なのでお気になさらず。」
「はい。それではこちらからの質問なのですが、、、」
そうして交渉が始まる。
「、、、なので我が国はこの大陸内でも有数の工業国であります。こちらは我が国の工業製品です。」
自信を持って見せられたのは剣、投石機、盾などいかにも中世を思わせる物だった。
マリアが驚きに思う気持ちを顔に出したのをマオスは見逃さなかった。
(やはりこいつらが、か、、、さて)
「ところで、、、貴国は鉄竜をお持ちと小耳に挟んだのですが、、、」
「⁉︎」
いきなり核心を突かれ狼狽えるマリア。それを見たマオスは確信する。
「いえ、、、我が国にそのような物が飛来してですね、、、墜落し我が国の王族が死亡したのですよ。」
最悪な事態という事を認識したマリアは自分の運命を呪う。
「我が国はおろか、、、列強でも持っていないようなもので、、、貴方の身なりを見るにそのように思ったのですが、、、いかがでしょう?」
「、、、えぇ我が国の哨戒機です。不運にも事故により墜r「そうですか、ではこれを。」
そう言ってマオスは紙を渡す。
「、、、これは?」
「宣戦布告状です。大王様からの命令です。」
「は?」
流石にこれには疑問を持たざるを得なかった。確かに哨戒機で領空侵犯し挙句の果てにはそれが墜落で王族が死亡、外交ルートで猛抗議はおろか宣戦布告も確かにされるだろう。だが書面まで用意していると話は別だ。被害者ムーブをかます為に自作自演していないとも限らない。もしそうなら面の皮が分厚いどころかマッハで測られる航空機を撃墜可能な武器を持っている事になる。もしそうならジェット戦闘機も撃墜される可能性もある。さっきの最新の工業製品とやらは信用出来ない。まんまとロウリア側に騙されたとマリアは思った。
「わかりました、、、受領します。それでは我々はこれで。」
そうしてエメリアの外交団はハーク城を出ていく。彼らを数で殺そうとしなかった事が、国王が与えた唯一の慈悲だった。
派遣軍 指揮車両内
「交渉は決裂したわ。」
「、、、了解しました。」
マリアは無線で交渉決裂を艦隊に通達。通信機経由で本土へと伝わる。
エメリア共和国 首相官邸
「交渉は決裂した模様です。」
最悪な結末となり重い空気が漂う閣議場。
「宣戦布告もされました、、、最早戦争は避けられません、、、」
「クソッタレ、、、」
痛烈に批判していた労務大臣が悪態を吐く
「、、、国防大臣。我がエメリア軍は奴らを殲滅する事は出来るのかね?」
ある種の覚悟をした顔で問うディーン。
「哨戒機が墜ちた原因が気になる所でありますが、、、エメリア軍を持ってすれば彼らを撃破する事は容易いかと。搭乗員の脱出時の戦闘では彼らは剣や弓を主兵装としていたとの事です。」
「そうか、、、」
ディーンは頭で自責の念に駆られる。自分が判断を誤ったが為に他国の王族を殺して戦争を決断させてしまった。自分の性で何千、何万と死ぬだろう。その責任は自分にあると、、、
「では国防大臣は直ちに攻略計画を立てる事。派遣中の部隊は撤退。他の者は議会に通す文を考えるぞ。」
しかし彼は決断した。エメリアは前に進まなければならない。止まる事は許されないのだ。例え何万と死んでその命の重みを負いながら生きるのが自分の責務でもあると。
ロデニウス大陸 ハーク城近郊
『〜なので、直ちに上陸地点まで撤退して本土に帰還せよとの事です。』
「こちらビギャック、了解した。直ちに艦隊へ撤退する。」
「全車、これより上陸地点へ撤退する。5分以内に発進準備を整えろ。」
無線が入り、周辺警戒中の歩兵が急ぎ兵員輸送車に乗り込む。
3分後には全隊員が乗り込み、最後の扉が閉まる。
「全員乗ったな?よし、、、全車発進!」
音と土煙を立てて急速に離脱する部隊、一路艦隊を目指す。
ジンハーク 王都防衛竜騎士団本部
「どうだ?外交団らの様子は?」
ロウリアでは既に出て行った外交団を監視していた。通常の哨戒と見せかけて(最もエメリア側は監視されている事はとっくのとうにわかっていたが)上空から監視していた。
「無理ですね、これは。奴ら森に入って行ったので。」
「そうか、、、異変があったら報告するよう言っとけ。特に森の近くの奴に。は。」
「了解。」
『、、、ッ⁉︎こちらターナケイン!本部聞こえるか?』
「こちら本部。何があった?」
『森の中が変だ!何かが動いてる!』
「こちら本部。増援を向かわせる。貴騎は監視を続行せよ。」
魔信が飛ばされる。飛行場からはまるでスクランブル時のように大量のワイバーンが迅速に空へ上がった。哨戒中の騎も合流して大航空団を結成する。王都防衛隊からは騎兵隊が出動準備を整えており、ワイバーン攻撃後に殲滅する気満々だった。
ロデニウス史上最大の戦いの始まりであった。