異世界でも天使は踊る   作:唯の人擬き

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第七話 先制攻撃

「竜騎士団長より全騎、これより敵を確認し攻撃する。相手はあの鉄竜を送ってきた奴らだ。死なないように行動しろよ。」

 

相手が鉄竜を送ってきた国という情報に恐怖を覚える竜騎士達。だがやるしかない。大王直々の命令となれば尚更に。

 

(果たして生還出来るのか、、、)

 

団長は出来るだけ多くを生かす方法を頭で考える。

 

(あいつらを見事に消し飛ばしてやるんだ!)

 

一方新参の竜騎士であるターナケインは初の戦いに意気込んでいた。ロウリア王国軍の中で精鋭中の精鋭たる竜騎士、その中でも更なる上澄みが属すのが王都竜騎士団である。過去に竜騎士に命を救ってもらった経験から、自らも竜騎士として人を助けると意気込み王国軍に入隊、1日12時間に及ぶ猛勉強で見事竜騎士になった。メキメキと頭角を示し、今では団長に次ぐ実力の持ち主となった。初の活躍の機会にウキウキしている。

 

『全騎、確認が出来た。明らかに我が軍の部隊ではない。攻撃準備!』

 

団長の合図で全てのワイバーンがエメリア装甲部隊へ照準を合わせた。火球を生成し攻撃合図を待つ。

 

『Fier!』

 

攻撃合図に伴い全てのワイバーンから火球が発射された。

 

 

エメリア外交団護衛部隊

 

エメリア軍は来た時の道を全速力で引き返していた。中世の騎士が主力といえども囲まれたり弾薬が切れれば現代兵器の優位性は崩れる。ましてや資源統制の中で補給が厳しくなっているエメリアにとって、弾倉を全て埋め尽くす程の弾薬を護衛部隊にポンと渡せる力は無かった。だからこそ、機動力を持ってして艦隊まで戻らねばならない。相手が横一列で止めよう者なら轢く、騎士ならそのまま正面から突っ込む。

彼等の状態は一刻も資源供給を回復させたいエメリアの性急さを表していた。

 

「操縦手、とにかく急いでくれ。」

 

「わかってますよ司令、最速で向かってます。」

 

焦りを顔に出す司令。生きて帰らねば隊員の家族に示しがつかない。命を預かるという辛く重い覚悟を一年以内にまた味わうとは思ってもみなかった。

 

『04より全車、上空に何か居るように見えるのは俺らだけか?』

 

無線が唐突に入る。即座にハッチを開けて確認する司令。確かに上空に黒い粒が見える。がよく見えはしない。

 

「うん、、、?」

 

黒い粒が光ったように見えた司令は目を擦って確認する。空は光ったままだった。

 

「クソッタレ!全車ハッチを閉めて車内を密閉!ガンポートも塞げ!攻撃が来るぞ!」

 

生存本能が危険信号を発した事を感じ取った彼は即座に命令を下す。各車順次攻撃準備と密閉作業を同時並行で行った。

 

ブォォォン!

 

「何が起きた⁉︎」

 

激しい轟音にさらされた車内。幸い鼓膜は破れなかった。

 

「クソ!暑すぎないか⁉︎」

 

それと同時に車内が唐突に暑くなる。

 

「あぁっ!一体何が、、、って何じゃこりゃぁ!」

 

司令が後ろを見ると周りが炎に包まれていた。なるほど、あの光は火球で轟音は着弾時の燃焼音かと合点する。

 

「こちら隊長車!対空車とIFVは対空戦闘!APCはとにかく避けろ!周りに気を付けろ!」

 

命令を受ける前から既にやる気満々だった各車から光が放たれる。IFVからは高精度な35mm機関砲が放たれ、当たったワイバーンは一瞬で肉片となる。対空車からはまるでレーザー光線に見えるほどの収束された20mm機関砲弾の弾幕が張られ、当たったワイバーンの胴体は粉々になり両翼がもげて地に落下してくる。

 

空の騎士達は、現代兵器の前では余りにも無力であった。

 

 

「クソッ⁉︎どうしたんだ相棒!何があったんだ⁉︎」

 

竜騎士のターナケインは先頭で火球を放った。地面に命中したのを確認して喜んだが、直後ワイバーンが言う事を聞かずに地面へと緊急着陸した。ターナケインは空戦の素質は確かにあったが、経験が重要なワイバーンの扱いは他の者に比べて劣っていた。

 

「うん?何だこれ、、、?」

 

空からボトボト落ちてきた物を見て空を見上げた彼は絶句する。

 

「まさか、、、そんなことが、、、竜騎士が、、、あんな風に、、、」

 

地面から出る光線(機関砲の曳航弾)に当たるにつれて墜ちまくるワイバーン

 

文明圏外国では圧倒的な強さを持つワイバーンが一方的に地面から落とされるその姿は常識離れとしか言いようが無かった。

 

戦いの様子はジンハークから全て見えており、王都内は大騒ぎとなった。

 

この日、最初の戦闘にてロウリア王国は全体のおよそ3割に及ぶ149騎のワイバーンを喪失した。

 

 

「全ての竜は落ちた模様です。」

 

通信士からの報告に安堵する車内。

 

「異変の兆候はあるか?」

 

「1騎が地面に着陸したようですがそれ以外は問題ありません。」

 

「わかった、対空警戒を厳として行動しろ。こっちの航空機は飛んでないから空に何かあったらすぐに墜とせ、いいな?」

 

「了解。」

 

エメリアの外交団護衛部隊は艦隊との合流を急いだ。

 

 

4/10 夜 ハーク城 地下作戦室

 

「、、、何があったのだ?」

 

静かで暗い空間で大王が問う。だが誰も答えようとはしない。

 

「何故!あのような事態となったのだ!答えよ!パタジン!」

 

大王は戦争でロウリアが負ける事も覚悟していたが、まともな地対空兵器などないロウリアではワイバーンが地上から墜とされると言うのは考えられなかった。

 

「、、、ご説明します。」

 

顔を真っ青にして答えるパタジン。

 

そもそも国を滅ぼす覚悟というのは王の独断なのだ。ブラック企業並みに理不尽な話ではあるが、王への忠誠心が高い者は、王の弟の仇を討つ事が出来なかったという負債を抱えたと捉える。

 

「エメリア側は外交官を収容した後、鉄の馬で撤退したと思われます。それを確認した哨戒騎の報告を受け、王都竜騎士団は全騎出撃したのですが、、、その、、、」

 

答えを渋るパタジン。だが王に睨まれ続ける。

 

「地上からは光線、、、恐らく2タイプの光線のようなものが出て、これに巻き込まれた騎が粉々となり墜落。さらにこの殺人光線は精度がとても高く、うまくワイバーンを扱えずに着陸した1騎を除いた149騎が撤退も間に合わず撃墜されました、、、」

 

余りにも絶望的すぎる報告。その殺人光線のようなものは恐らく地上にも使えるだろう。そうであるならば重歩兵の盾も貫徹するだろう。要するに、対策は打てないという事だった。

 

「大王様、、、ここは借金をしてでも戦力を増大させるべきではないでしょうか、、、?」

 

ある兵士が具申する。しかしそれは現実的で無いのは分かりきっていた。

 

「借金して何を買うというのだ⁉︎ワイバーンはいとも簡単に墜ちた!あんな様じゃムーのマリンだって墜とされかねんぞ⁉︎」

 

「例えば、、、最新の大砲とやらは、、、」

 

「そんなものあの殺人光線の前じゃ壊されて終わるだけだ!せめて列強上位2カ国の艦艇を持って来ないと防げん!」

 

「、、、第一、奴らに本土に帰ってしまった、、、見限ったのだろう。」

 

予定外の事をした事で奴等かたありったけに罵声を浴びせられた事を思い出した大王は怒りを表す。いや、自分らを下等種族としか見てない奴等が帰ってむしろ清々しい気持ちでいた。

 

「全てのワイバーンを王都に一時召集していたのでそれを出さなかったという意味では幸運でしたが、、、対策が無いと何の意味も無いです、、、」

 

国滅んででも一矢報いて自害のつもりだった大王は、あまりにも絶望的な戦果を前に申し訳なさと後悔に襲われる。このままじゃ無駄に死んでく者が増えるだけという事実だけがそこに残った。

 

ロウリア王国軍王直轄軍は死守命令を発令。守備に努めた。しかし状況を理解できていない一部諸侯軍は外交団護衛部隊を追跡、機を見て襲撃する。

 

 

4月11日 早朝

海上 シオス王国とロウリア王国の国境沿い 

空母ネモフィラ 艦内

 

蛍光灯の光る無機質な部屋に5名の人がいた。

 

「おはよう。全員集まっているな?」

 

「一体何だってんだ?」

 

椅子に座っているパイロットから質問が上がる。

 

「それも説明する。紹介が遅れたな、私はマイケル・フューラー。国防省との連絡要員だ。諸君らには敵部隊の爆撃を担ってもらう。」

 

「爆撃だと?一年前のままあなたの頭は更新されてないのk「話を聞け。」

 

「全く、、、状況を伝えよう。まず4/1に我がエメリアが所属するアネア大陸が異世界へとやってきた。哨戒機を出して状況を把握しようとしたがあろう事か事故で墜落、謝罪をかねて国交樹立を目指した外交団が出るも相手の王族が死んでしまったらしく昨日正式な宣戦布告状を受けた。撤退中に航空攻撃を受けて護衛部隊は発砲し、相手の航空機、、、最もトカゲ擬きらしいが、、、とにかく迎撃に成功した。だが地上部隊による追跡を受けているらしい。これを撃破するのが諸君の任務だ。」

 

「相手のおおよその数と保有兵器は?」

 

「数はおよそ3200。護衛部隊のおよそ10倍だ。対空兵器は無いが地上には騎兵隊がいるらしい。他に質問は?、、、無いな。よし!お喋りは終わりだ!今すぐ出動!」

 

 

「緊急発艦!緊急発艦!」

「待機中の艦載機を出せ!」

「格納庫の機体は対空兵装にして待機!」

「カタパルト準備よし!」

「前方オールグリーン!」

 

海上を鋼鉄の艦隊が波を切って進む。

 

救援艦隊の控えとして配備されていたエメリア国防海軍西方艦隊群所属の第五艦隊と第二空母機動部隊だ。第五艦隊は先の戦争で海外派遣中だった為唯一被害を受けなかった。第二空母機動部隊は空母1隻とイージス巡洋艦3隻で構成されており、開戦時はグレースメリア付近を訓練中に開戦。艦載機部隊が交戦したが首都放棄命令に伴い西へ撤退。エメリアで生き残った貴重な空母となる。

 

「ちくしょう、また戦争か。嫌な事だぜ全く。」

 

先の戦争でガルーダ隊の次を争う戦績を上げた第二戦闘攻撃飛行隊ースノー隊ー、その隊長を務めるフレディ・デュラン、TACネームアバランチが愚痴を吐く。

 

「まぁ今言っても変わりはしない、、、か。」

 

踏ん切りをつけた彼は愛機に乗り込む。

 

『管制よりスノー全機、聞こえるか?』

 

「こちらスノー1、聞こえるぞ。」

『スノー2、バッチリだ。』

『スノー3もだ。』

『スノー4、聞こえる。』

 

『よし。全機発艦を許可する。墜ちるなよ?』

 

「あぁ、エースが墜ちる訳ねぇだろ?」

『よく言うぜ。』僚機にツッコまれる。

 

「まぁいい、、、スノー1、発艦する!」

 

手信号の合図をしてカタパルトからF18Eが射出される。前方甲板には蒸気が立ち込める。

 

『スノー2、行きまーす!』

『スノー3、発艦だ。』

『スノー4、出ます。』

 

隊長機に続いて3機連続で射出され前方甲板は蒸気に包まれる、

 

「スノー隊全機発艦よし。攻撃に向かう。」

 

 

「司令、攻撃隊が出た模様です。」

 

第五艦隊旗艦、巡洋艦ロゼッタのCICで状況報告が行われる。

 

「了解、一応聞くけど中将達は?」

 

「合流次第離脱の予定です。」

 

「OK、艦隊各艦に繋いでくれ。」

 

無線が繋がったのを確認し、下令する。

 

「艦隊各艦に次ぐ!これより本艦隊は空母打撃群から離脱し、敵都市へのミサイル攻撃に移る!」

 

 

破壊の槍は、放たれた。




作者、作品内の時間感覚がたまにわからなくなる()
後Wikipediaの偉大さを知りました。ガチで感謝です。
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