MISSION LOG
ついにセミナー棟最上階に到着したスネーク、モモイ、ミドリ。ステルスを徹底するものの、C&Cのスナイパー・カリンに位置がバレてしまった。
応戦し突破するものの、運悪くC&Cのナンバー2であるアスナに遭遇してしまう。
ユウカの指示により、廃棄を待つだけだったロボットたちが全機動員された。
新型旧型入り乱れる軍勢が、わらわらと倉庫から動き出す。
その間にもスネーク達はアスナに追い詰められていた。
「何、あれ……デタラメに強い。」
「なんでスモークが効かないの……?」
「ふーん……」
アスナが二人の分析を始める。彼女は直感に対しての迅速な対応といい、思考の速さについてはC&Cイチである。
彼女が注目したのはモモイ、ミドリのチームワークだ。どちらかが指示を出すのではなく、自発的に
一方が露払いをすれば、もう一方が本命を重点的に攻撃する。また一方が攻撃されれば、もう一方がその攻撃を防ぐように割り込んで援護する。
二人で一人のような動きは的が絞りにくく、厄介。
「これも双子のパワーってやつなのかな?」
そんな分析をしていると、アスナには見慣れた物が飛んでくる。
隙ありとばかりに、モモイとミドリも挟撃する。
アスナはそれが視界に入った瞬間に飛び退くと今度はスネークの方へ飛び込んでいった。
「ッ!?」
「あはは、先生って結構華奢なんだね。しかも私のこと撃てないんでしょ?」
アスナはスネークの上に覆い被さるようになり、銃床をスネークの鎖骨あたりに押し付ける。
こうして「先生に攻撃してはマズい」と、モモイとミドリは行動不能になってしまった。
「……レディのことは撃ちたくないな、そのうえ俺の立場だ。」
「へー、でももったいないよ?」
「君を顔をこんな間近に見られるんだ、勿体なくはない。」
「へぇー……」
スネークは麻酔銃の引き金を引くと、銃口からアスナの右上腕へ一直線に刺さった。
「!?」
「「!?」」
「悪いな……アスナ。」
アスナは腕が脱力し、銃を落とした。と同時に、後方へ銃を蹴ってから自分も後退した。
直後にスネークが起き上がると、ミドリとモモイはスネークを後退させた。が、
(バァン!!)
「この口径……カリン!?」
『その通り。私が撃った。』
「!?」
スマホから声がした。
『周波数はとっくに割れている。事前に情報が入ってたからな。何回か、傍受させてもらった。』
「この短時間で移動したってこと!?……あっ!?さっきのヘリ!」
『この声、確か……才羽モモイ?その通りだ、私は今ヘリコプターから狙撃している。』
『私たちの
「ってことはウタハ先輩も……」
『みんな、そっちは無事かい!?』
ウタハは捕まってしまったらしい。無事を確かめる声には少しづつノイズが入り、通信が切れた。
「……クソッ。」
「先生、みんな、どうかしたの?まさか作戦失敗?」
「……先生、あなたでしたか。」
「シャーレの先生ともあろう方が、ここまでやるとは…」
「ユウカ!」
ユウカと多数のロボットが広間にやってきた。軽蔑と困惑が混ざったような表情で、ユウカはスネークを睨む。
「……ユウカ、私たちは非殺傷を徹底してるよ!」
「それはいいことね、あなたたちが
「……」
痛いところを突かれた。
そろそろ彼女たちが本格的に攻撃を始める頃だろうが、それは避けたい。
「……いい、二人とも。プランBでいくよ。」
「本気か?保証は無いんだぞ!」
「うぅ、やっぱり怖いよ!」
「やけに冷静ね、何か策でもあるって言うの?」
「「「……。」」」
三人は両手を上に、ゆっくりと下がる。しかし銃は置かない、キヴォトス流だ。
「……降参、かしら?随分あっさりじゃない。」
「違うよっ!」
三人が銃を構えると、背後のガラス窓が割れた。また、13.9mm弾である。
と同時に、スネーク、モモイ、ミドリの順に外へ身を投げた。
「「「「!?!?」」」」
最上階から凄い勢いで落ちていく。5m、10m、20m……
再びローター音が聞こえた、ピンチか?
違う、今度は援護だ。
「スネェェェク!!!」
「みんなぁーー!!!」
「助けに来ましたー!!!」
オタコン、ハレ、アリスの声。
2機のヘリを跨ぐように、ネットが張られている。
「うわっ……っと、」
「……成功です!」
三人はネットの上に着地できた。ヘリが衝撃を殺すよう、瞬時に急降下したこと、キヴォトス人である二人とスネークの身体が頑丈であったおかげだ。
「……お前たち、後で説教だ。」
「オタコン、お前も。」
「はは……ごめんよ。」
「ところで、ヘリの操縦は誰が?」
「僕とコタマが。ハレは別の機体をハックしてる。」
ハレはカリンの乗るヘリを足止めしていた。丁度タワーが遮蔽物となり、こちらに弾が当たらない位置に留めているのだ。
「急ですが、報酬としてシャーレの執務室に盗聴器を仕掛けても?」
「断る。見つけ次第処理するからな。」
スネークは「窓からヘリで回収する」としか聞いていなかったため、キレていた。
「そういえば、オタコン先生、デイブ先生をスネークって……」
「……あ、つい。まあデイブのあだ名みたいなものだよ。」
「お前たちはその名前で呼ぶなよ。」
「どうして……?」
「…あだ名にも色々あるんだよ。それじゃ、このまま最上階まで上がるよ。コタマ、そっちの機体は任せた。」
「了解です。とりあえず近くのヘリポートにでも…」
「アリス、最上階まで上がったら窓を壊してもらえる?」
「分かりました!」
────────────────────
「───着いた、ここだよ!」
最上階から侵入した一同。ヘリは自動操縦で適当な場所に下ろし、同時に支援側だったアリスとオタコンも合流した。
扉を開け、保管所に入る。
「急いで見つけて、急いで戻ろう!誰か来る前に!」
「落ち着いてミドリ。棚が崩れそうだから。」
「どこだ……USBは。」
「……あったぁ!!」
「でかした、モモイ。よし、後はここから…」
アリスの動きが止まった。
そして、目を閉じて屈んだ。
「どうかした?アリス。」
「誰か……来ます。」
アリスが目を見開き、空きっぱなしの扉の向こうを凝視する。
「1人……小柄な体格のようです。」
「……それなら強行突破した方が早いかもね。」
「ちょっと不安だな……よく見てからにしよう。」
オタコンがカメラを限界までズームすると、確かに小柄なシルエットが確認できた。
[CALL]
PUSH SELECT
ほぼ同じタイミングでオタコンの元へ着信があった。ハレからだ。オタコンはそれに応答する。
「ハレ?一体どうしたの…」
「説明してる暇は無い!早くそこから逃げっ、に………て……早k……!」
通信は切れてしまった。
「……みんな、何か来る。備えておいた方がいいよ。」
「え?」
「どういうことですか?それに何かって…」
「接近対象の身体情報を基に、生徒名簿を参照……対象を把握。」
アリスが言うには、146cmの身長、サブマシンガンを二丁持ち、スカジャンを羽織っているそう。
その特徴に適するのはただ一人、
「すぐに隠れてっ!!」
ミドリが叫ぶと同時に、各々が身を隠す場所を探し始める。
スネークは無意識下に考えた。
「場の波長に同調し、息を殺す。自分がその場と同化することで、その波長を乱すものが分かる。」
これはビッグボスとザ・ボスがつくり上げたスニーキングの基礎だ。
スネークはその言葉通りに
他の全員も、それとなくこの事を意識しているようだった。
ネルが、部屋へ侵入したのを感じ取る。
彼女は保管所を一
「ふーん、もうめっちゃくちゃだな。」
(カタッ)
「ん?」
位置からしてモモイだ。動いてしまったらしい。
モモイもミドリもアリスもスネークも、ロボットの身体のオタコンまで、彼女の持つ強者のオーラを感じている。
やり過ごしたと思ったのも束の間、ネルはモモイの隠れる机へ近寄る。
バレたら終わる。モモイ、ミドリ、アリスは、死を覚悟した。
「あ、あの……っ!」
聞き覚えのある声がした。部屋の入口側からだ。
「せ、先輩!大変です!」
ユズだ。引きこもり癖が偶然にも、顔が割れていないというアドバンテージを生み出したのだ。
「あんたは?」
「せ……
「戦闘ロボットが暴走したせいで今、あちこちがめちゃくちゃなんです!あそこの窓が割れてたりとか……」
「アカネ先輩とカリン先輩が、制圧を試みていますが……アスナ先輩が動けず……」
堂々を嘘をつく故の緊張は、よくある「後輩が先輩相手に萎縮する」様子に見える。
「なんだよ、暴走か?あれを差し押さえたのなんか随分前だろうに、まだ整備が終わってねぇのか。」
「そうみたいで……じょ、状況的に、助けが必要かと思い……」
「それで、ここにいらっしゃると聞いたので……」
「……はぁ、仕方ねぇな。」
「わ、わたしはここの整理をしますっ。そ、その……戦闘は怖くて……経験も、あまり無いですし。」
「んなこと、どうでもいいけどさ……」
ネルがユズの肩をトン、と軽く叩く。
「覚えときな。戦闘で一番大事なのは、武器でも経験でもねぇ。」
「度胸、だ 。」
「その点、あんたに素質が無いとは思わねぇ。」
ネルが人差し指をユズの額に当て、改めて『覚えておけ』とサインした。
「自分がどう思われてるかくらい、あたしにも分かってる。それに、あんたが結構ビビりなこともまあ分かる。」
「それなのに、初対面でこのあたしに声をかけるなんてのは、それなりに度胸がいることだろうからな。」
完全に励ましの言葉だ。ユズは少し、申し訳なくなった。
「は、はっ、はいっ!ありがとうございますっ!!」
「じゃあな、またどっかで会おうぜ。」
ネルは部屋を出ると、廊下の突き当たりへ走り出していった。
「ふぇぇ……っ」
膝から崩れ落ちるユズを、スネークはすぐさま受け止めた。
「見事だった。」
スネークは素直に褒める。
「ユ〜ズぅ〜〜!!!!」
「すごかったよ、ユズちゃん!おかげで命拾いしたよ!」
「いやぁ、まさかネルが来るなんて……ありがとう、ユズ。」
「し、死ぬかと……でも、力になれて、良かった……あっ。」
ユズはスネークに抱えられていたのを思い出したのか、慌てて立ち上がる。
「えっと、アリスちゃんが持ってるソレが、例の?」
「はいっ。」
「これが人類と世界を救う、私たちの新たな武器。『鏡』です!」
「確かに、ゲームで人類や世界を救うかもな。」
「……今は急ごう、先輩たちが戻ってきたらマズい!」
「オタコン、このプランでの退路は?」
「確保してある。安全なのをね。」
「安全とは言っても、戦闘ロボットがまだまだいる。注意して行こう。」
ユズが弾を
「そうだね、まだ任務は終わってない!」
終わってない、と言われ、ある人物がスネークの脳裏にチラついたが無視した。
「目的はあくまで『G.Bible』!早くヴェリタスの部室に行かなきゃ……!」
「後方はアリスが担当します!先生、指揮を!」
「了解。ここからも非殺傷、完全ステルスだ。」
「「「「はい!!」」」」
スネーク達は保管所を出た。
こだわってたら文字数が普段の倍になりました。
そしてmgs1のノベライズを読んでたら1週間空きました。