BlueArchive SOLID   作:Roon

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MISSION LOG

苦戦の末、C&Cを退け『鏡』を奪還した一行。
ヴェリタスへ持ち込んで調整を終えた後、再びG.Bibleの解析。ついに中身を見られる段階までこぎつけた。



再起

 

「うぅ……」

 

モモイ達がクッションに顔をうずめる。

 

「……」

 

スネーク、オタコンも例外ではない。

肝心のG.Bibleには、最高のゲームを作るための方法として…

『ゲームを愛しなさい』の一言だけが書き残されていた。それも、ファイルの破損やバグではなく。

 

ヴェリタスの確認のうえ、オタコンがその場で何度もチェックして……この結果だった。

 

 

「モモイ、今日のデイリークエストはしないのですか?」

「いつも、『デイリークエストより大事なもなんてない』と言っていたのに……。」

 

「アリス…私のHPはもうゼロだよ…」

 

モモイまでそう言うと、スネークは顔を背けて缶コーヒーを啜ろうとした、が、中身が無かった。

 

「ミドリ…?」

「ごめんね、アリスちゃん……知ってたけど、現実って元々こういうものなの……」

 

「ミドリ……」

否定できない。今の状況がその言葉の正当性を示しているからだ。

オタコンはマニピュレーターでミドリの背中をさすった。

 

 

「もし…廃部になっても、シャーレでゲームを作れる環境を整えよう。機材なら揃う。」

「……。」

そうじゃないよ、と言わんばかりの目がスネークに向けられる。3人の少女に圧を掛けられ、スネークは数歩だけ後ずさった。

 

…教師2人とアリスが、ユズがいないことに気づいた。

 

「ねえ、ユズはどこ?」

「ロッカーの中ですか?呼吸のような音が聞こえました。」

「たぶんそうだね……また引きこもってる。」

 

(ガタ…)

ロッカーが少し震えた。

 

 

「…コーヒーを買ってくる。」

コーヒーを買うのもそうだが、少しだけオタコンと話し合おうと離席した。

ここは介入せず本人らに諸々の判断を委ねようと決めたのだった。

 

 

「……で、どうする?」

「みんなが再起してくれることを祈るしか…ないさ。」

「……」

「…コーヒーはもういいな、カフェイン中毒になりそうだ。」

「君、ここの所けっこうコーヒーを飲んでるよね。水やお湯にしたら?」

「…機械のボディが羨ましいな。」

 

 

────────────────────────

 

 

「───アリス、一体どうなった…」

 

「決めました!アリスたちは、今から『TSC2』を開発します!!」

 

アリスがスネークへ抱きつく。結構な力が入っていたため、その拍子にバランスを崩しそうになった。

 

「…そうか。」

アリスの頭を撫で、スネークは彼女をパソコンの方へ促す。

 

「ゲームの方針は?」

ミドリが聞く。

「2Dレトロ風ファンタジーRPG。シナリオもそうだけど、オンライン対戦もできるようにする。」

「了解!」

 

そこからはあっという間だった。

ある時は……

「音楽は誰が?」

オタコンが尋ね、ユズが答える。。

「私とアリスちゃんが。先生、そこのマイク取って。」

 

また、ある時は……

「はい、差し入れ。みんな食べて。」

「パンと栄養ゼリー?」

「片手で食べれるからね。作業向きだろ?」

「オタコン先生、ありがと!」

 

「……オタコン、お前の方がこういうサポートは向いていそうだ。」

「じゃ、スネークは買い出し担当ってことで。」

「……」

 

 

そしていよいよ……

「先生たち、BGMの評価をお願い!」

「……」

曲ごとのテーマを決めているモモイと作曲のユズ・アリス曰く、この曲は『スマートフォンで発音させられる限界を攻めた、臨場感溢れるサウンド』だそう。

 

「おぉ、これ前作のアレンジかい?音にこう……重厚感が増して豪華になってるね。」

「それでいて目立ちすぎない。いいんじゃないか?」

「よっし、高評価!改善点は?」

「えーっと、まずね───」

 

そしてプログラム、グラフィック、サウンドが完成した後、オンライン対戦も含めてのテストプレイ、及びバグの修正が終わった。

 

 

「世界観がいいね、それに前作のシナリオが綺麗に繋がってる。色んな要素が進化してて、続編として完璧だと思う。」

「非殺傷で進められるのがいい。それに倍速機能で速度調整ができてストレスが掛からず遊べる。」

「…ホント!?やったぁ!!やったよみんな!!」

 

モモイが予想以上の高評価に飛び跳ねて喜ぶ。

 

作業は先生2人のサポートとモモイ達の意欲の高さにより、『TSC2』は少しだけ余裕を持って完成することができた。

 

 

また、その裏で2人は『TSC1』をプレイしていた。アリスがプレイしているのも少しは見ていたが、前作のことを詳しく知らなかったためだ。

ゲームオーバーの度に交代しながら、気が狂いそうになりながらも少しずつ攻略していった。

その結果、前作の要素を汲んだ評価ができたのだった。

 

───────────────────────

 

 

「よしっ、アップロード…完了っ!!」

 

『ミレニアムプライスへの参加受付が完了しました。』

「間に合って良かったぁ〜!!」

「余裕でしたね!」

「……やっと、だね!」

 

「よし!やったぞ!」

「オタコン、お前、あいつらより喜んでないか?」

「そうかもね。だって嬉しいじゃないか!」

「……まあな。」

 

そのハイスペックなロボット・ボディの身振り手振りで喜びを表現するオタコンの後ろで、モモイは()()()()をしていた。

 

「受付はできたけどさ、まだ結果は出てないじゃん?」

「お姉ちゃん?」

「ミレニアムプライスまでまだ3日もあるしさ……」

 

「先に、web版の『TSC2』をアップロードしてみるのはどう?だって、3日後には私たちの今後が決まっちゃうんだし……」

 

「!?」

予想だにしていない提案に、ユズは大きくビクリ、と驚く。

 

「ま、待って、どうして?」

「だって、3日間も待てないよ!それに、審査員の評価より先に、ユーザーの反応が見たくない!?」

「……でも、低評価のコメントが怖いかも。」

ミドリは初代TSCでの前例を警戒し、同時にトラウマとして怯えていた。

不特定多数にブーイングの嵐を食らうなんてことを、二度と体験したくない。

 

「何言ってるのさ!『TSC2(これ)』はそもそも、ミレニアムプライスに出すためだけに作ったゲームじゃない!」

 

「もっと自信を持って、見てもらおうよ!私たちはベストを尽くしたんだから!」

 

それはそうだけど、とミドリが返し、沈黙が走る。

それを破るのはユズだった。

 

「うん、アップしよう。」

「…え?」

 

一息置いて、また一言。

「作品っていうのは、見てくれる人、遊んでくれる人がいてこそ、完成されるものだと…思うから。」

 

再びユズが息を吐き、脱力する。

 

 

彼女は前作の挽回というより、むしろゲーマーの目線での改善点を知ろうと最大限に筋を通そうとしているように見える。

プライスへ提出した内容は、もう変えられない。覚悟を決めたのか、自暴自棄気味なのかは分からないが、彼女の決定には文句なく部員全員が従うだろう。

 

「…わたしは……わたしたちのゲームを、きちんと完成させたい。」

 

一見いつもと変わらない、しかし熱意のこもった目で述べる。

 

「大丈夫。もし前みたいに、低評価コメントのオンパレードになったとしても。」

「全力で、頑張ったから。それに…みんながいっしょだから。きっと受け止められる。」

 

「私はもう、大丈夫。」

「……。」

「それじゃ今すぐアップロードー!!」

「ああっ、待っ───」

間髪入れず、モモイがTSC2をアップロードする。

 

「完了っと。評価が来るまで2、3時間かかるだろうから、それまでしばしの休憩ってことで!」

 

 

────────────────────────

 

 

アップロードしてから、コメントが止まらない。どうやら暇なライターがWeb版『TSC2』の配信を取り上げたらしい。

アンチコメントを睨む4人。直接報復を試みるアリスをどうにか宥めてから、パソコンを閉じる。

 

 

「で、どうする?一度散歩でもするか?」

「お昼食べない?特にユズちゃん、しばらく何も食べてないし。」

「うん……でも、ゆっくり寝て待ちたいかも……」

 

「まあそれも手だね。先生ってこういう時どうする?」

「俺か?……オタコンに聞いた方がタメになるぞ。」

 

「そこで僕に振るか……アニメでも見るかい?」

「いいですね、私オススメのがあって…」

 

ミドリが近くのキャビネットを探り始める。

日本アニメ(ジャパニメーション)ってあるのかな…おぉ、ロボットモノかい?」

 

「そうなんです。デザインの参考になるので。」

「知らない作品だし、一気見しちゃおうか。」

 

「ッ!?」

窓ガラスが割れる音が聞こえた瞬間、驚くユズの悲鳴が聞こえた。

 

 

「!?」

「何ぃ!?」

「ほ、本当に心臓…爆発しちゃったんですか?」

「爆発しそうとは言ったけど!私のじゃない!」

 

窓を貫通し、コンクリートの壁に弾痕が残った。

 

「遠距離攻撃を確認、部室に対して11の方向!」

「距離は!?」

「およそ1kmです!」

 

「13.7mm弾、カリン先輩のじゃ!?」

 

「俺とオタコンが外の様子を見に行く。合図したらついてこい。」

 

 

────────────────────────

 

スネークが強くドアを開き、オタコンのメタルギアmk4が先行する。

微かなホイールの音と共に、最新式のセンサーが詰まったカメラが器用に回転する。

 

 

「…誰もいない。」

オタコンがそう呟くと、スネークが歩きだす。

 

 

「やっほー!先生!」

 

スネークが振り向くと、そこには。

 

「アスナだよ!」

 

 

 

 

 

 




今回は結構本編通りです。
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