BlueArchive SOLID   作:Roon

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MISSION LOG

ミレニアムプライスを乗り越え、無事存続が確定したゲーム開発部。
オタコンは溜まりに溜まった業務を消化し、スネークは例の人物の捜索へ。
そこに、新たな「大人」が姿を現す。




Act2.5 雷電編
ライトニング・ボルト


 

D.U. シラトリ区。

 

 

 

 

 

 

 

「本当にありがとうございました!うちの子、すぐどこかに行っちゃって…」

 

 

「ヴァルキューレのお姉ちゃん、ありがとう!」

 

「お母さんが見つかってよかったです!」

 

 

母親がヴァルキューレの生徒に頭を下げ、何度も感謝の旨を伝える。

パトロールをしていたキリノは迷子の親を探し終え、その日の業務に一区切りついた頃であった。

 

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

「んっ?」

 

肩を軽く叩かれ、振り返る。

 

 

 

「キリノ〜。こっちもパトロール終わったよー。」

 

「フブキでしたか、お疲れ様です。」

 

 

同じく1年生活安全課、合歓垣(ねむがき)フブキ。やや大きめの紙箱片手に、キリノに合流した。

 

「…これ、何か分かる?」

 

「えーっと…」

 

 

「…これ、前に言っていた限定ドーナツですか?」

 

「大正解。キリノの分もあるから後で食べよ。」

 

「わぁ…ありがとうございます、フブキ!」

 

 

二人は今日あったことを話しながら、ヴァルキューレの校舎へ戻ろうとしていた。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

しばらく歩いた頃───住宅街に入った頃、不意にフブキが路地裏に目をやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

「…………んん?」

 

「フブキ、どうかしましたか?」

 

 

「あそこ、路地裏に誰か倒れてない?」

 

 

「…えっ?」

 

 

 

 

 

フブキの発言に、キリノは路地裏へ目を凝らした。

刹那、彼女が駆け出す。

 

「え、ちょっ、待って!キリノ!」

 

 

「!誰かいます!」

 

 

 

 

「大丈夫ですか!どこかお怪我──へぇぇっ!?!?

 

 

「なになに!?どんな状況!?」

 

フブキがようやく追いつき、キリノが負傷者の状態を確認しているのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が──────おぅぅ。」

 

 

珍妙な声を出した理由は目の前にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全裸の成人男性が、うつ伏せで倒れている。

 

 

 

 

 

 

 

「こーれは、刺激的……キリノ?おーい?」

 

 

赤面して固まるキリノを、フブキが正気に戻す。

 

「わっ、と、とにかく意識を確認しましょう!!この時期では風邪を引いてしまいます!」

 

彼の身体が仰向けになる。

 

 

キリノはすかさず、持っていたタオルを下半身に掛けた。

 

 

 

「きっ、聞こえますかー!!」

 

全裸の男性を目にしたキリノは、動揺しながらも冷静に意識を確認しようとする。

 

人ではあるが、身体のあちこちに継ぎ目や機械のような部分があるなど、奇妙さを覚えつつ声をかけ続けた。

 

 

しかしキリノはフルパワーで肩を叩く…というより殴っている。

 

 

「…この人ヘイローも無いし、その強さじゃ肩にヒビが入っちゃうかも。ん、肩……?」

 

 

フブキがキリノを下がらせ、交代した。

フブキ自身が冷静な部分もあるが、キリノが今までに類を見ない勢いで取り乱していることも彼女の冷静な対処の理由だった。

 

 

「脈と呼吸もあるね。おーい、動けますかー。意識はありますかー。」

 

フブキは肩を叩き、声を掛け続ける。おかしいな、と彼の胸に耳を当てて心臓の音を聞き直した。

 

 

この人物の肩を見ると、肩の機械部分にシャーレの刻印がある。シャーレの関係者なのだろうかと疑おうとしたが、彼女はこんな人物を見たことがない。

 

「この人、シャーレの関係者かな…?」

 

 

「…?」

 

一度落ち着きを取り戻したキリノは、倒れている彼の足元に紙のようなものを見つけた。

 

「…れ、連邦生徒会のマーク?」

 

 

一方、フブキは彼を起こそうと声を掛け続けていた。

 

「……返事ないね。ブランケットか何か取ってこようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……」

 

 

 

「「!?」」

 

男が目を覚ました。銀髪の彼は周囲を見渡し、自分の義体の保護機構が作動したのではと勘繰る。

 

 

「何だ、何が起こって……」

 

 

「────!?」

 

「…ここは?…子供?君たちは───」

 

 

 

 

「ヴァルキューレ警察学校1年生、生活安全課の中務(なかつかさ)キリノと申します!」

 

「突然で申し訳ありませんが、一度署で保護させていただきます!!!」

 

「警察?待ってくれ、俺は──────」

 

 

 

 

「どうしましょうフブキ!これって露出狂なんでしょうか!?」

 

 

つい今の態度とはうって変わって、キリノが半泣きでフブキに問いかけた。

 

 

「……とりあえず、応援を呼んだよ。」

 

困惑と同僚のテンパりのせいで、フブキは半ば死んだ目をしている。

 

無線で応援を要請したところ、露出狂、人通りがそれなりに多い地域と分かった途端に向こうの声色が変わった。

 

なんでも、『数分以内に到着する』とのこと。

 

 

 

「…フブキ?フブキ!?どうしたんですか?ボーッとしてませんか!?」

 

「…人間、焦りすぎると逆に冷静になるね。」

 

「フブキ!?」

 

 

 

「どういうことなんだ!?」

 

「…ドーナツはお預けかなー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして5分ほど後…

 

 

 

 

 

 

「離してくれ!俺は目が覚めたらそこにいただけだ!」

 

「記憶なしか…お酒、相当飲まれました?」

 

応援に来たヴァルキューレ生の1人が、慣れたように質問する。

 

 

 

 

「この寒い時期に、露出狂の検挙が増えるなんて……はぁ。」

 

「馬鹿は風邪引かないって言うでしょう。そんなとこじゃん?アルコール検査しますよー。」

 

もう1人も加わる。

 

「……アルコール出ないな……」

 

 

「だから、誤解なんだ!」

 

 

「近くにいたとはいえ……なんであたしが…」

 

偶然近くに居たコノカも、なぜか連行に付き合うこととなった。

 

なんなんだコイツ。と言わんばかりの軽蔑する視線を向け、男を後部座席に突っ込んだ後パトカーを発進させる。

 

 

「大人は居ないのか!?何か教えてくれ!」

 

 

……そうして、彼は連行されていった。

 

──────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────で、あなたはここにいると。」

 

「氏名、住所などは覚えていますか?」

 

 

雷電は身体に巻くためのブランケットを貸し出され、取り調べを受けている。

 

署に着くと、コノカは「後は任せったっす」と後をカンナに任せ、何がなんだか分からないまま取り調べに入った。

 

唯一、受け取っていたのは例の()()であった。

 

 

 

「俺は…俺は、ジャック(雷電)。マヴェリック社の社員だ。住所は〇〇州の…」

 

「…マヴェリック社……キヴォトスにそのような企業は存在しませんが。」

 

 

 

「というか…アメリカとは?」

 

「……嘘だろ?」

 

そこでカンナは、シャーレの先生(スネークとオタコン)が以前にも似たようなこと言ってたな、と思い出す。

アメリカが…だとか、××州が…とか。

 

 

「やはり…『シャーレの先生方』のように、外から来た……?」

 

 

 

「少々お待ちください。取り調べは一度中断します。」

 

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

「もしもし、こちら尾刃です。」

 

 

「こちらシャーレの───カンナ?一体どうしたんだい?」

 

オタコンは手を止め、マニピュレーターで受話器を取る。

 

 

 

「今、取り調べが少々難航していまして。」

 

「というと?」

 

「全裸で倒れていたを保護しているのですが……どうも先生方と同じ所から来た方のようで…」

 

 

「…その人、何か特徴は?」

 

「銀髪の成人男性、身長およそ180cm。身体のあちこちに継ぎ目のような線があります。」

 

「ジャックと名乗り、マヴェリックという会社の社員を名乗って…」

 

 

「…ああ、もう大丈夫だ。…思い当たる人物が丁度いたよ。」

 

「そっちに行く。…あと、できれば『オタコンがそっちに向かってる』って言ってみてくれないかい?」

 

 

「…それは検討させていただきます。」

 

「ああ、それと。」

「彼の近くに()()()()()()手紙らしき物が落ちていました。そちらの確認もお願いいたします。」

 

「内容としては『この人物はシャーレの顧問として赴任してきた人物だ』と…」

 

数秒の間が空く。

 

「デイビッド先生は?」

 

「…あいにく、出張で居ないんだ。呼んでおくけど、そっちには僕が行くよ。」

 

 

──────────────────────────────

 

ヴァルキューレ警察学校 面会室

 

 

オタコンは、それほど遠くないシャーレのオフィスからホイールをすっ飛ばして駆けつけた。

 

 

「……今度はロボットか、何の用......!?」

 

 

 

 

雷電が怪訝そうな顔でドアの方を見ると、少し目つきが変わる。

見覚えのあるロボットが、そこにいたからだ。

 

「…!?」

 

 

「……雷電。」

「僕だ、オタコン。ハル・エメリッヒだよ。」

 

「オタコン……本人なのか?」

 

 

「カンナは言わなかったか。…ああ、そうだよ。」

 

「…それにしても、君は素っ裸に縁があるね、スネークに聞いたけど、今回で2度目だったかい?」

 

「…よしてくれ。」

 

「冗談だ。で、君はどうしてここに?」

 

「それはアンタもだろ。…俺は目が覚めたらここに。」

 

 

オタコンはキヴォトスについてを、自身の立ち位置についてを説明した。

 

 

 

「...ところで、そのボディは?」

 

「えっ?ああ。」

 

 

雷電の義体(ボディ)は、以前のグレーやブラックのものと違い、改造される前のような人工皮膚と、その継ぎ目や関節部に人工筋肉と金属製フレームが使われた物となっていた。

近いもので言えば、ガンズ・オブ・ザ・パトリオット事件収束後と同じような見た目となっている。

 

「...それは?」

 

「どれだ?」

 

「肩に入ってるマーク。僕やスネークの所属してるとこのなんだ。」

 

 

「どうしてそんなものが俺に?」

 

「わからないけど...外部から大人を引き入れるのは連邦生徒会の管轄のはずだ、連絡してみよう。」

 

 

 

確かに、雷電の肩にはシャーレのマークの白い刻印が施されていた。

 

これが何を意味するのか。

 

 

 

 

「……繋がらないな、ちょっと待ってから掛け直すよ。」

「あと、スネークに連絡しておく。」

 

「してなかったのか?」

 

「なんせ急ぎだったから。あと、スネークは今調()()をしてるところだから、邪魔しちゃ悪いなと思って。」

 

 

「…これ、結構大事なんじゃないのか?」

 

「まあ……ね。お、リンに繋がった。」

 

 

「もしもし、ああ、お疲れ様。…誰だか分かるから名前はいい?分かった、ちょっと相談したいことがあって…」

 

 

 

オタコンは通話音声をスピーカーから流した。

 

『相談とは…どういったことでしょう?』

 

 

なお、時刻は8時半頃。雷電はこんな時間まで仕事をしているリンのことを、学生だと思っていなかったようだった。

 

「その…僕たちシャーレの顧問のことなんだけど。」

 

『……?』

 

「もしかして、僕たち2人以外にも居る?」

「そうとしか思えない事があったんだけど。」

 

『……』

 

オタコンは冷静ながら、困惑を隠せない。

 

『……その方の身体には、シャーレの刻印がありますか?』

 

「あるね。」

 

『……お伝えするべきか判断しかねていましたが…先日、連邦生徒会からのメッセージが見つかりました。』

 

「どうして言ってくれなかったんだい?…いや、この際関係ないか。」

 

『そのメッセージ…これも以前のように手紙なのですが、本文に

 

 

その先生本人が現れるまで、他の先生への告知も、公表もしないように。

 

…とありまして。』

 

「…ちょっと待って。」

 

 

オタコンが、カンナから受け取った手紙を開いてみる。

 

すると。

 

 

 

 

 

 

 

 

サプラーーイズ!

……デイビッド先生、エメリッヒ先生、いつもお疲れ様です。驚きましたか?

 

私は先生方の労働環境のことを考えて、「人手が足りないのでは?」と想定していました。

 

ですので、そちらの方を連れてきました。新たな先生として、よろしくお願いします!

 

追伸:ご家族のことはご心配なく!エメリッヒ先生もそうですが、外の世界で言う『浦島太郎』みたいなことにはなりませんので!

 

 

…と書かれた紙に加え、銀色のカードが入っていた。

 

「大人のカード」だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…連邦生徒会長の()()()みたいだね……すごいことするなぁ。」

 

『何から何まで、彼女が申し訳ございません…』

 

「ああ、いや。リンは悪くないさ。」

 

 

「…じゃ、原因も分かったし、ヴァルキューレの取り調べもあるからね。後でデイブも一緒にそっちに向かうよ。」

 

『……はい。』

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

オタコンは、雷電を連れて取り調べ室に戻り、カンナに事情を説明した。

 

 

「…先生が仰るのでしたら、そうなのでしょう。あの手紙にも、連邦生徒会独自の偽造防止加工があったので本物でしょうし。」

 

「ありがとう。……カンナ、雷電(この人)はどうしようか?」

 

オタコンは状況を踏まえ、雷電とは距離を置いた話し方をする。

 

 

「……私たちの管轄外になりますので、直接サンクトゥムタワーで色々な手続きを進めていただくことになります。」

 

 

「分かった。今日は仕事を止めちゃってごめんね。」

 

「構いませんよ、これも仕事ですので。…では。」

 

 

 

 

そう言うと、カンナは敬礼してから仕事に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

「…雷電、とりあえずキヴォトスについては理解できそうかい?」

 

「いや…正直、『学園都市』なんて事も信じられない。俺は幻覚(ファントム)でも見てるのか?」

 

「うーん、そりゃそうか。気持ちは分かるよ。」

 

 

2人がヴァルキューレ校舎のロビーで話していると、入口前の通りにシャーレの白い

バンが停まった。

 

「スネークかな?」

 

 

 

ロビーの自動ドアが開き、シャーレのネームタグを首から提げた男が歩いてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは紛れもなく、雷電が敬愛した戦友───ソリッド・スネークそのものだった。

 

 

 

 

 

「……」

 

「スネーク……!?何で───」

 

 

 

「…事情は聞いた。待たせたな。」

 

 

 

 

 

生前の比べ、驚くほど若いスネークの姿に驚きを隠せない雷電。

 

 

「どうやって生きて……?」

 

「俺も未だに信じられない。まさか生きてるとはな。」

 

 

 

「………とりあえず、適当な服を持ってきた。着替えるといい。」

 

 

「ああ……」

 

 

 

言われるがまま雷電はバンに乗せられ、サンクトゥムタワーへと向かうのだった。

 

 

 

「……とにかくリンに全て説明してもらおう。彼女のせい…じゃないが、これは連邦生徒会側の責任だ。」

 

 

 

 

 

 

 

困惑しながら、起こっていると信じ難い光景を目に焼き付けながら、雷電はサンクトゥムタワーに連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 





雷電が参戦しました。

一応補足として、雷電は義体の弱体化を喰らっております。


・運動性能やや低下(MGS4時点のレベルまで)

・耐久性低下(装甲の大半が人工皮膚に置き換えられたことによる)

・ブレード紛失

・リッパーモードに制限(大人のカードを使用しなければ使えない)

などなど……
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