MISSION LOG
妨害も止まず、助けを求めて陰陽部を訪れた雷電とシズコ。しかし陰陽部部長からの伝言で修行部に向かうことを勧められ、二人は魑魅一座を警戒しながら修行部へ向かう。
しかし、彼らはその道中で一座に追われてしまう。
雷電はシズコを抱え、一座から逃げていた。足元にスパークを走らせ、建物を飛び移って弾を避ける。
彼はスーツを脱ぎ捨て、義体の上にインナーを纏った姿となった。
これで彼の身体は、多少の無理が効く状態となった。
規格の揃った弾たちが彼らを目掛けて飛んでいく。彼の身体はそれを弾く。
しかし持久力にも限りがある。戦闘用の義体ほど丈夫ではないのだから。
彼は非常用のソーコムを一丁、脚のホルスターに差してはいるものの、生徒に直接撃つわけにはいかない。彼の信念に反する。
「シズコ、怪我は無いか!?」
「ありません!ありませんから!酔いますってこれ!」
シズコの顔色が悪くなってきた。が、もう間も無く修行部の部室へ到着する。
「もう少しだ。頼む、耐えてくれ...」
「うぅ...」
『雷電、そろそろ到着する。できる限り急ぐ...うわっ!?』
「どうした!?」
『ヘリが攻撃されてる!まさか魑魅一座が!?』
『ごめん、通信を切───』
「...クソッ!」
そろそろ一座を振り切る頃だが、未だ誰かが追ってくる。
その
「誰だ!?」
「先生殿、お覚悟ぉっ!!」
「!?」
イズナだ。
雷電は屋根から地面へ着地、シズコを降ろしてからイズナの元へ向かった。
「待ってくれ、イズナ。どうか話を聞いてくれ。」
「......話?」
「ああ、君たちは桜花祭を───っ!」
「先生殿!?」
ロケット弾が掠め、彼の背後で爆発する。道端に置かれたのぼりに火がつき、その隣の長椅子にも燃え移った。
「水を持ってきます!」
「あわわわわ...イズナのせいで...!?」
「イズナ、後ろ!」
「!?ぎゃっ!?」
イズナを巻き込んでの掃射が始まった。邪魔だと言わんばかりに、彼女にも銃弾の雨が降り注ぐ。
雷電もホルスターに手を伸ばした瞬間。
「忍術研究部、参上?」
「修行部、ここに参上!!えっ?
「あ、お先にどうぞ......」
「ふぁ...遮っちゃった?」
「あなた達は...ミチルさんと、ツクヨさん?」
「こういう時、あんまり本名を出さないんだけど...まあいっか!」
「何だかすごい見られてる気が......」
「部長、どうしましょう...?」
「「とにかく!」」
「「魑魅一座・路上流、覚悟!」」
「うん、覚悟〜」
「覚悟、してください!」
修行部に加え、忍術研究部が介入、援護に回った。ここから揺り戻しが始まる。
「イズナ、こっちに。」
「えっと...はい!」
「皆さん、戦闘が始まるので避難を!また燃えるかもしれないので!!」
一度消火を終えたシズコは、周辺の通行人を避難させてから戦闘に加わる。
「指揮は俺が。」
「オタコン?」
『忍術研究部の二人にお礼を言わないとね。狙撃手を足止めしてくれたんだ。』
「そうか、なら避難の誘導を頼む。
『了解!』
「い、イズナは......」
「何があったかを聞かせてもらおう。後でな」
「...イズナは......」
「全員、前進!」
会話の合間にも、指示が飛ぶ。
「ミチル流忍法!!」
「つ、ツクヨ流、忍法...!」
イズナは気持ちの整理がつかないのか、どちらに着くか決めかねてか、少し身震いした。
「イズナ流忍法!四方八方もくもくの術!!」
「!」
イズナは雷電に煙幕弾を投げ当て、再び風のように消えてしまった。
視界の悪い中でも、どうにか手を掴んだ。
「…身代わり!?」
彼女は変わり身の術も併用していた。煙幕と、そして彼女の瞬発力と組み合わせれば、隙のない戦法となる。
「ごめんなさい!先生殿!!」
身代わりにはそう書かれた手紙が括り付けられていた。
「また逃げるか……」
「ば、爆発!?」
「けほっ、けほっ...みんな、無事?」
「こっちは平気だよ!」
「こっちは平気です。」
だが、被害を受けたのはこちらだけではないらしい。
「ぐっ、イズナ殿がやったのか!?」
「何なんだアイツは!使えないじゃないか!?」
あちらは大人数である分、統率が取れていない。前列が乱れ、後列も身動きが取れない。そしてオートマタはこういった時、対応の柔軟さに欠けるという特徴を持つ。
撤退していくのも時間の問題だと思われる。
「全員撤退、繰り返す、全軍撤退!」
「撤退!?させるもんですか...」
「シズコ、今は他が。」
目線が辺りに向く。本来は祭りの設営中だった街道がは、屋台の布が焦げたり機材が壊れたり、道が荒れている様子が窺える。
「......」
「シズコも修行部の三人も、忍術研究部の二人も、協力ありがとう。」
「近くに居て本当に良かった!この辺に魑魅一座が集まってるって聞いたから。」
「カエデちゃん、お手柄ですね!」
「ふぁあ...眠くなってきちゃった。」
「...変わってるんだな。」
「ね、言った通りでしょう?」
「...さっきの子も忍者?」
「みたいです...あ!」
「君たちは?」
「えーっと、あたしたちは忍術研究部!読んで字の如く、忍術を究める部活だよ!二人しかいないけど。」
「あの、私たち、先生をその、追いかけてきたんです!」
彼女たち忍術研究部は、百代堂の店先での一幕を見かけたらしい。
介入するには遅すぎたので眺めていたが、中でも
そして無線も掛かってきた。
『...戦闘が終わったみたいだね。これから避難させた人と戻るよ。』
「ありがとう、オタコン。こっちは忍術研究部と初対面だ。」
『どんな
「直接会った方が早いさ。色々話すことがあるし、そろそろ切るぞ。シズコに呼ばれた。」
◇
時刻は19時、日は完全に沈んだ頃。
「お頭ァ!お帰りなさいマセ!!」
「だーかーらー!…あ。何でもないですよ?」
共闘した生徒たちとオタコンが、続々店内へ入っていく。
「…全員居るな?」
一人一人点呼を取って、それを確かめた。
…全員居る。
「作戦会議を始めよう、まずは───」
提案されたのは、
雷電→イズナを見つけて質問する(あと一押しあれば、こちら側に協力する可能性がある)
オタコン→自分の持参したドローンで魑魅一座を捜索、アジトを見つける(しかし、複数の部隊に分かれて移動しているうえ、森林に入るコースもある)
シズコ→全員で魑魅一座を包囲、その後拘束して情報を聞き出す(最も手っ取り早い)
フィーナ→シズコの案に加え、魑魅一座の小指を切り落とす(即、却下)
カエデ→首謀者として思い当たる人物を絞り込み、突撃。
ミチル→魑魅一座の目撃情報が多い場所(アジトへの道中)に罠を仕掛け、掛かり次第奇襲(コースの特定が難しいうえ、事態を未然に防げる方が望ましい)
……となった。
最終的には、シズコとオタコンの折衷案が採用された。
案が決まる頃には、既に21時。各々の門限などもあるため、実行は明日…桜花祭当日になる。
雷電とオタコンは宿を探しに、周辺を散策した。
一応、彼はオタコンの持ってきた麻酔銃を装備している。
刀は明日に完成する予定だ。これでも可能な限りスケジュールを繰り上げた、とオタコンは念を押して言っていた。
多少リスキーだが、ドローンでの空輸で雷電のもとに届けるという。
義体のヒールで石畳を踏みながら、周囲を警戒しながら、宿の密集する辺りを目指す。
───カランッ
二人が振り向くと、そこにイズナがいた。
クナイを落としたらしい。それを拾おうとして、体勢を崩したという所だろうか。
「…君か。立てるか?」
差し伸べた手が掴まれる。
「あ、ありがとう、ございます…!」
「オタコン、他の生徒たちには連絡するなよ。」
『分かってるさ。』
雷電は歩み寄って、片膝をついた。
「イズナ。」
「教えてくれ。君の雇い主と、その狙いは何だ?」
「わ、───私の雇い主は…」
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「…そうか、ありがとう。」
「それからもう1つ。」
「…何でしょう?」
「俺たちに協力して貰えないか?」
「……」
「君の判断に委ねる。」
『…………』
「………」
・刀について
MGR序盤で使われていたようなタイプの高周波ブレード。
オタコンが雷電の意見を基に設計、後に偶然聞いていたウタハも自主的に協力して制作した。
このブレードには峰が着いており、峰打ちが可能。
オタコンはヘリの中でも遠隔で作業を続け、ようやく完成した。無線が少ないのはそのため…(後付け)。
なお、ウタハは銃に刀で対抗することに関心もといロマンを感じている。