BlueArchive SOLID   作:Roon

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MISSION LOG




連邦生徒会長の就任後、彼女の手腕と各校の生徒会長によって、キヴォトスは安定化の時代を迎えようとしていた。
具体的には、短期間での治安や地域問題の改善や一部地域でのインフラ整備が大きく進んでいた。



以前から連邦生徒会主導で計画されていた、「エデン条約」、いわば「ゲヘナ・トリニティ版 安全保障条約」締結もその内の大きな一つである。


しかし「エデン条約」は連邦生徒会長・ゲヘナの前生徒会長両者の失踪により瓦解。
これによって、古くから続く二校間での差別意識を解消することは叶わなかった......。



しかし、平和を望まない者たちも存在した。








「アリウス分校」と呼ばれる勢力である。


この勢力はゲヘナとトリニティ双方へ敵対する武装集団。
アリウスは条約締結阻止を目論み、その一人はトリニティに潜入していることが発覚。




そこから数か月後、エデン条約締結が現実味を帯び、締結まで漕ぎつけた頃。
スネーク達シャーレは、系統麻痺が続く連邦生徒会の代理として査察に入るように。

その中でトリニティ生徒会「ティーパーティー」から呼び出され、中立の公的組織として「アリウスから潜入した『裏切り者』を捜す」ことを依頼される。


スネークはトリニティ「補習授業部」顧問として、雷電はゲヘナの「万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)」オブザーバーとして、オタコンは両者のサポートのために介入していくことになる...




Act3 エデン条約篇
トリニティ


 

 

 

 

彼はタブレット端末一台とファイルを小脇に抱え、煌びやかな校舎内を歩く。

 

教室の表札を脇目に見ていき、少し深呼吸をしてから扉を引いた。

 

 

 

 

 

「......やはり君か、ヒフミ。」

 

「先生!?」

 

「名簿を見てまさかと思ったが…」

 

 

 

「...何か思い当たることは?」

 

「えっと、その...ですね。」

 

「ペロロ様のゲリラ公演に参加するために授業を休んだら、テストの日と被っていて...」

 

 

平凡と自称するにしても、彼女も中々のことをする。

 

「...まあ反省しているなら、それでいい。」

 

 

「それと、ナギサ様に先生のサポート役を頼まれまして。」

 

 

 

ヒフミの話を聞くに、彼女はナギサに相当な信頼を置かれている。それ故にこの部の部長に選ばれたのだろう。

 

それにしても、教室に人が居ない。

来るのが早かったのだろうか。

 

スネークはヒフミに、他の生徒のもとへ案内してもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

彼らが向かうのは『正義実現委員会』の部室。

 

あそこなら、シャーレ奪還以降も当番や指揮で少し馴染みのあるハスミがいる。が、彼女は副委員長ということもあり多忙の身。

出払うことも多いため、期待すべきではないだろう。

 

 

 

 

 

「犯人確保!確保ぉ!!」

 

「このまま牢まで連行します!」

 

 

中庭を通ると、正義実現委員会と一人の生徒が大規模な戦闘を終えたようだった。

騒動を起こした犯人と思われる生徒が大人しく連行されていく。ちょうどハスミが誘導しているようだ。

「何があったんでしょう…?」

 

「待っててくれ、聞いてくる。」

 

 

 

「ハスミ?いったい何が?」

「…先生?」

 

 

彼女いわく、生徒の一人が正義実現委員会を相手に籠城戦を展開したのだそうだ。

校内での暴行の疑いから正義実現委員会に追われていたところ、教材用催涙弾の倉庫を占拠。

ブービートラップや即席爆破装置(I.E.D.)、4トンにのぼる催涙弾を使用し抵抗。

単独で3時間もの間、抵抗を続けたという。

 

 

 

「惜しかった、弾丸さえ足りてれば…───!?」

 

 

負け惜しみを吐く彼女の顔を眺めるスネーク。ガスマスクをしていたアズサだが、マスクのレンズ越しに目が合った。

 

 

その目は大きく見開かれていた。

 

 

 

 

「(………ムッシュ!?)」

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

「取調べが終わり次第、そちらへ引き渡します。」

 

「わかった。」

「あは……すごい子ですね……」

 

 

 

これといった抵抗もなくアズサは連行され、委員会の部室で取調べを受けている。

 

 

 

 

 

残るメンバーはこの部室にいるだろう。

スネークがハスミに名簿を渡すと、残る二人とも同じ部屋にいるらしいことが分かった。

 

ヒフミを先に戻らせ、拘置所の方へ案内される

 

 

 

 

 

「いい加減にして!エッチなのはダメ!!」

「ふふ...♡」

 

 

 

この時点で嫌な予感がしていた。ハスミが拘束された少女を咎め、興奮しているもう一方の少女を宥めていた。

 

後者の様子はまるで母子のようだったが、スネークは勿論余計なことを言わなかった。

 

 

それぞれ、二年生の浦和(うらわ)ハナコと一年生の下江(しもえ)コハル。

前者は素行不良と著しい成績の低下、後者は入学から現在までの成績が低いことが原因だ。

 

 

「ハスミ先輩、その、この…人は?」

 

 

 

「以前お世話になった、シャーレの先生です。」

 

 

「……」

 

 

 

ハスミ副委員長がそう言うなら、と、コハルは目の前の大人を疑うことをやめた。

 

一方のハナコは態度を変えず、薄く笑みを浮かべるようにこちらの様子を伺っている。

 

 

 

 

「君たちに頼みがある。」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこんなのと一緒に授業を受けなきゃいけないの!!」

 

 

成績が悪いから、と言われればそれまでだが、この部は存在自体に別の狙いがある。

 

 

 

「これから仲良くしましょうね?」

 

「もう嫌!」

 

 

「あはは…」

 

「……」

 

 

まったくもってまとまりの無い四人。そしてそれほど社交的でないスネーク。

 

この構成でやっていくには不安が残るが、これを解決するのはスネークとヒフミの仕事。

 

 

まずはアイスブレイクからだ。

 

 

 

 

「自己紹介からしよう。まずは俺が。」

 

「俺は連邦捜査部『シャーレ』の顧問、そしてこの補習授業部の顧問を担当する、デイビッドだ。」

「何か質問があれば今聞こう。」

 

「はい。」

 

 

ハナコが挙手した。

 

「先生は私の■■■■に興味はありますか?」

 

 

彼としては、興味がないと言えば嘘になるのが本音だ。

 

 

 

食い気味にコハルが立ち上がり、

「エッチなのはダメ!!初対面の大人に聞くことじゃないし!」

 

 

一通りの批判を終えたコハルが座ると、空気を良くしようとヒフミが手を挙げた。

 

「先生の担当科目は何ですか?確か、もう一人いらっしゃるんですよね?」

 

 

「ああ、俺は主に国語と社会系、英語だ。今日は居ないが、もう一人(オタコン)は数学と化学、生物を担当する。」

 

「ありがとうございます。」

ヒフミはメモを取って着席した。

 

 

「私も。」

 

アズサが手を挙げた。

 

 

「先生は屋内の戦闘に慣れているか?」

 

「アズサちゃん?」

 

「どうしてそんなことを?」

 

 

「いや、理由はない。嫌だったら答えないでいいよ。」

 

 

「君たちの指揮や援護をするつもりだ。なるべく君たちには引き金を引かせたくない。」

「最大限、戦闘は俺が行う。」

 

半ば濁すように答えた。あまり堂々と過去を明かすようなことはしたくない。

 

 

彼が蛇として生きた2014年までの経歴は、オタコンや仲間との出会いを除き、彼にとっての呪いだ。

 

 

 

「頼もしいですね。」

 

「………」

 

 

ハナコはその答えを訝しみ、コハルは違和感を覚えた。

 

そしてアズサは、彼が何者なのかを薄々感じ取っていた。

 

 

 







前話投稿から相当な間が空いてしまいました。今後は月一で投稿できるかどうかの頻度になると思います。
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