BlueArchive SOLID   作:Roon

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MISSION LOG

スネークがトリニティを担当しているのに一方、万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)及び風紀委員会のオブザーバーとして、ゲヘナを訪れた雷電。

ゲヘナもトリニティに負けず劣らずの警戒態勢を敷いている中、雷電は条約締結に向けて本気で動き出す。





ゲヘナ

 

 

 

 

 

高速を降り、自治区の境の検問をパスする。

 

雷電はゲヘナ、性格にはパンデモニウム・ソサエティーによって、手配されたリムジンに乗っていた。

 

スネークと同様に長期の出張になるため、着替え等を簡単にまとめた少し大きめのバッグを持っている。

 

彼自身の持ち物はそれほど多くないが、スーツの替えと業務に必要な物がほとんどだ。

 

護衛もついている。

 

 

 

「まあ、デイビッド先生じゃないだけマシ…か…?」

 

護衛隊のリーダーは銀鏡(しろみ)イオリだ。彼女含め4人が護衛を担当している。

実情としては、ヒナがD.U.と反対方向の自治区境界付近での暴徒鎮圧で出払っていたための人選である。

 

 

「ゲヘナだと、デイブはどんなだ?」

 

「…私といることが多いな。たまに気持ち悪いし、なんなんだアイツ!私の脚周りばっかり見て!」

 

「(相性がいいんだろうな…。)」

 

 

 

「あ、それと。」

 

「聞いたんだけど、百鬼夜行で大暴れしたって本当?」

 

「……いや、デマだ。」

「そっか。でも刀持ってるからジャック先生のことだと思って。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荷物の中には細長いアタッシュケースもある。

刀が収まったケースだ。

 

雷電はまた、刀を変えた。

 

今度は峰打ち、即ち「無力化」「武装解除」のみに特化した非殺傷武器としての選択をした。

使おうと思えば戦車やオートマタの破壊にも使えるだろうが、そういった使い方は推奨されていない。

 

カーボンスチールの刃を持つため、本来なら錆びに気を配る必要がある。が、せめてもの処置として錆止め加工が施されている。

 

 

 

 

 

 

 

イオリが暇を持て余し、悪魔のような尻尾を揺らしながら窓の外を見張る。

 

まあ、わざわざ生徒会のリムジンを襲うような愚か者は居ないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───ぐっ!?」

 

事故なら起こる。

 

 

 

 

横からの強い衝撃に、思わず窓を開けて外を覗く。

 

美食研究会だ。

 

 

 

 

 

「あら、すみません。タイヤがパンクしていまして。」

 

堂々と給食部の車を乗り回すアカリ。そしてハルナとジュンコ。

 

 

「気をつけろ!そもそもそんな状態で運転するな!校則どころか法律違反だ!!」

 

 

「では、失礼します〜!」

「待って、肝心の食材を置いてきてない!?」

「……戻りましょうか。アカリさん。」

「はい☆」

 

 

 

勢いそのままにコーナーで進行方向を変え、再びリムジンに衝突して逃げて行った。

 

 

 

「ああ…もうっ!!」

 

 

 

 

「…経費で落ちるんで平気ですよ。」

運転手の生徒が冷静にそう言う様子や一連の出来事から、雷電はゲヘナの治安を察した。

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着です。」

 

ゲヘナ中央区に到着し、ドアが開く。

 

脇にイオリと委員三人が着き、護衛らしく四方を囲む。

 

 

すると、奥から二人ほど歩いてくる。

イオリが眉間に皺を寄せると同時に息を漏らした。

 

「げ……」

 

 

 

 

 

「ゲヘナへようこそ、ジャック先生。」

 

 

万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)議長、羽沼(はぬま)マコト。

 

雷帝政権崩壊後、ゲヘナをの政治体制の復興に大きく貢献した一人が彼女だ。実力者なのだが、性格には少々難がある。

風紀委員会への嫌がらせがその最たる例だろう。

明らかにキャパシティを超えた量の仕事を回すのだが、風紀委員長空崎(そらさき)ヒナを筆頭に、それを捌くことができてしまう。

そしてマコトが仕事を回す…というサイクルだ。

 

雷電は、彼女の能力を考慮してもなお難のある性格にどう対応すべきか決めかねていた。

 

その後ろには、戦車長である(なつめ)イロハが立っていた。

 

 

 

それから、ゲヘナ校舎の簡単な案内が始まった。

 

順に広場、第一校舎、第二校舎と回り、運動場では陸上部の活動を見学。

学生広場では、不良生徒と風紀委員が殴り合いの喧嘩をしていた。

 

部室棟の次に風紀委員会本部を訪ねようとすると、さりげなくルートを変更された。

 

最後に廃校舎…は安全面を考えて入らなかった。不良が多すぎる。

 

 

 

 

 

「キキキ、最後に我が生徒会室を案内しよう。」

 

雷電はゲヘナ校舎の建築様式や配色に威圧的なものを感じていたが、この部屋ではそれが顕著に感じられた。

 

黒や紫、赤や金といった色が多く使われている。

 

 

悪趣味と言ってしまえばそれまでだが、気品は感じられる。

 

 

「イブキ、紹介しよう。シャーレの先生だ。」

「先生。彼女がこの万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の美しく心優しき天才、イブキだ。」

 

「こんにちは!」

 

 

「…彼女、まだ小さいが、飛び級でもしたのか?」

「ええ。イブキは天才ですよ。」

 

「えへへ、マコト先輩もイロハ先輩もありがとう!」

 

 

雷電は足元から自分を見上げるイブキを撫でてやった。

イブキがご満悦なのを見て、マコトも不満は無さそうだった。

寧ろ微笑ましく見守っている。

 

 

「…まあ、イブキの反応からも先生が悪い人じゃなさそうなのは分かりますから。」

 

 

 

…悪い人じゃない、と言われてやや判断には迷いそうだったが、自分は自分だ。雷電は気にせず流した。

 

後ろではイオリがイブキを撫でたり、話をしていた。

 

 

 

「……改めて、これからしばらくはオブザーバーとして参加させてもらう。」

「連邦捜査部の代表として、あくまでも公平な立場からの『観察』と『サポート』をするのが俺の役割(ロール)……いや、仕事(タスク)だ。」

 

「ああ。先生の役割は理解している。」

 

 

 

そして、応接室にて。

 

「まず、俺の立場をイチから確認していきたい。いいな?」

 

「ああ。」

 

 

「まず、俺は連邦生徒会に認められた公式のオブザーバーだ。俺には『身体の不可侵』がある。つまり逮捕や拘束、暴力は一切行ってはならない。」

 

「承知している。」

 

 

 

「そして俺と、トリニティにいるもう一人───デイビッドとの間での通信は機密事項として守られ、トリニティ・ゲヘナ両者、またいかなる者にも公開されない。いいな?」

 

「…ああ。」

 

 

「最後に、俺は自衛手段を持つ。」

 

雷電はアタッシュケースから刀を取り出し、万が一の際に使用する武器として示した。

 

この時点で彼は「オブザーバー」というより「武力調停官」と言うべき立場にある。

 

 

そもそも言葉の前提が違うのだ。

まだ理性的なトリニティと違い、ゲヘナは校風の通り『混沌』。

不良の湧き出る泉とも言えるゲヘナにおいてオブザーバーの立場を取るのならば、抑止力となれるレベルの武力が求められる。

 

また、内政干渉を指摘されることは避けたい。そのため名目上は「オブザーバー」なのである。

 

 

ここまでの条件を連邦生徒会のメンバーと共に設定するのにはそれなりの時間が掛かったが、それは()()()()()を防ぐためだ。

 

万が一にも、条約の締結失敗による二校の全面戦争、またそれに値する事態になった場合、キヴォトスは大きな混乱に陥る。

 

 

雷電は刀を仕舞い、マコトは帽子を被り直す。

 

二人は打ち合わせを終え、応接室から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 





今回はオリ展開と独自解釈がとっ散らかっております。
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