BlueArchive SOLID   作:haaru

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MISSION LOG

『トリニティの裏切り者』は、白洲アズサであることが判明した。
そのアズサを潜入させたアリウス分校の指導者は『ベアトリーチェ』、そして『ジョージ・シアーズ』…つまり『ソリダス・スネーク』。
彼らに迫るため、スネークとオタコンは計画を立て始める。



裏切り者

 

ソリッドとソリダスには、深い因縁がある。

同じ男(ビッグボス)から生み出された事実上の兄弟である彼らは、全く異なる人生の末に敵対するに至った。

 

二人は最終的な敵こそ同じであった。が、手段は全く違う。

自分の存在を後世に伝えるため、忘れられることのないように、『愛国者達』から逃れようとした。そして謀略によってハシゴを外され、子供(ジャック)に殺されたソリダス。

 

戦争が経済活動となり、『愛国者達』に蝕まれていく世界を解放するため、仲間を救うため、そしてソリダスでないもう一人の『兄弟』に決着をつけるために戦い、目標達成を果たして穏やかな老後の末旅立ったソリッド。

 

 

そして……自分を呪った彼(ソリダス)にとどめを刺した、ソリッドの戦友。

 

雷電こと、ジャック。

 

彼はソリダスに出会って以降殺しを、役割(ロール)を、孤独を強いられてきた。サイボーグ化の改造も不本意なものである。

それこそが呪いだ。

 

 

 

「……何だって?」

 

雷電はゲヘナのホテルで、スネークと通話をしていた。

 

スマートフォンが普及した現代、キヴォトスだが、口頭の言葉を誰に盗聴されているか分からない。

そのため彼らは体内通信を選んだのだ。

 

雷電は周波数を141.80に合わせ、口も開かず会話をしている。

 

 

「第3勢力の正体はおそらく『アリウス分校』。

指導者は……ベアトリーチェという女に、ソリダス。」

 

「は?」

 

 

雷電は顔をしかめ、頭を抱えた。

ヤツは生きている。このキヴォトスに。

 

なんせ死んだはずのスネークだって生きているのだから、彼が生きていてもおかしくは無いのかもしれない。

 

「……正確な情報なのか?」

「アリウスの生徒から聞いた。子供の嘘で出てくるような名前じゃない。」

「わかった……俺もアリウスについて調べよう。ゲヘナにもスパイがいるかもしれない。」

 

雷電は通話を終了した。

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

そして、その日の昼頃。

 

スネークを訪ねてきた生徒がいた。

 

 

 

「こんにちは、先生!」

 

頭上に輝く宇宙のようなヘイロー、ドレスのような白い制服。黄金色の瞳。

 

ティーパーティーの三大巨頭、パテル分派首長の聖園ミカ。

 

 

「あ、デイブ先生とエメリッヒ先生か。名前で呼ぶね。」

「今日はちょっとお話があったんだけど…」

 

「ナギちゃん、本当に気合い入ってるねー…空き校舎を丸々1個貸し出しちゃうなんてさ。」

「掃除大変だったんじゃない?」

 

視線はプールへ向く。

 

 

「ここも随分綺麗になってるけど。水まで入れてるし……補習にプールってあったっけ。」

「ここだけそのままにしておくのもな。活動の一環として掃除させてもらった。」

 

「先生も一緒に?」

「ああ。」

「結構丁寧なタイプ?デイブ先生。エメリッヒ先生はそんな感じしてたけど…」

 

オタコンはミカに舐められていたのかもしれない。

スネークは何気ない彼女の言葉がそれなりに刺さった。

 

それは置いといて、とミカが話を戻した。

 

「そうそう、合宿の方はどう?楽しい?それこそみんなでプールパーティとか、ベッドで枕投げとかさ!」

 

「……お前、今まで勉強はしてきたか?」

「デイブ先生は厳しいなぁ…ナギちゃんみたいなこと言うじゃん。私も繊細なんだよ?」

 

彼女も上流階級。皮肉には慣れていた。

 

 

 

「そろそろ本題に入ってくれないかな?ミカ。」

「あー、ごめんね。前置きが長くなっちゃった。」

 

本題に入るところで、ミカから説明が入った。

ここに来たのはミカ独断の単独行動であり、護衛もいないためナギサは知らない…らしい。

 

 

 

「先生。」

「ナギちゃんから取(・)引(・)とか提案されなかった?」

 

「どうした?」

「いや、多分ナギちゃんならそういうことするでしょ?何となく分かっちゃうよ、幼なじみだもん。」

 

予測自体は的中しているため、何とも返答に困る。

 

「……例えば、うーん…そうだなぁ…『トリニティの裏切り者』を捜してほしい、とか?」

 

これも的中。

 

 

 

「…………。」

 

ミカは目を細めて、彼の顔とオタコンのカメラを交互に見ていた。

特にスネークの顔を、興味ありげに注視しているらしい。

しばらく待っても、うんともすんとも言わないので話を再開するミカ。

 

 

「…図星?やっぱりかぁ。」

 

「軟禁されてるところだ。四人が居なきゃ脱走してただろうな。」

「うわぁー…ナギちゃん荒々しいね。なんかごめんね?」

 

「謝罪は本人の口から頼む。」

「…怒ってる?」

 

「…………」

スネークは未だ仏頂面。

 

「ミカ、続けて。」

「うん。何かこの部に関する詳しい情報とか、『裏切り者』については知ってる?それともただ『探して』だけ?」

 

「君の言う通りだよ。『探してくれ』って。」

 

 

上の人間は重要事項ほど黙っている。そういうものだと彼らは知っている。

 

 

 

「君にもひとつ言っておく。」

「俺たちは俺たちのやり方で、この件を進める。」

 

「…それはどうして?」

 

 

「俺たちはイエスマンじゃない。冤罪で退学になる生徒が出るなんて事態はどうしても避けたいんだ。」

 

…スネークの、オタコンの本心。

これも、世界のために奔走した彼らが導き出した一つの答えだ。

正解はない。

 

 

「………ふーん。」

「それじゃあ聞くけど、先生は誰の味方?」

 

 

 

「ナギちゃんに不満があるならトリニティ以外?連邦生徒会?ゲヘナ?」

 

 

 

 

 

「僕らは…」

「俺たちは、特定の組織の味方じゃない。」

 

「…その心は?」

 

 

「俺たちは、生徒の争いを広げないために動く。」

「そして、そこでの出来事を後世に伝えていく。」

 

「…それ、みんなの敵ってこと?」

「無条件に味方をするわけじゃないってこと。一応、僕たちは中立のスタンスを保ってるよ。」

 

 

 

「うーん、なんか思ってたよりの曖昧というか固いというか……………えっ、それなら私は?」

「……」

 

 

再び、スネークが口を開いた。

 

「せめて、君のことは信じたいな。」

「………うーん?信用はされてるんだよね?」

 

 

「でも、先生たちのスタンスはよくわかった。」

「なら私からも、取引を提案しようかな。」

「というと、どんな?」

 

 

「『トリニティの裏切り者』が誰なのか、教えてあげる。」

 

 

 

 

 

アズサの情報が正しければ、アズサ自身がその『裏切り者』。

ミカを疑わないわけではないが、情報の中身が一致すれば信ぴょう性は上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白洲アズサ。あの子だよ。」

 

……事実のようだ。

 

彼女の発言に下手なリアクションはできない。ミカもティーパーティーに所属しているし、個人的な繋がりもあることは読み取れた。

 

 

「………それと、あの子を。」

「「?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アズサちゃんを、守ってほしいの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…守る?」

 

「あぁ、言葉足らずかな。なんかナギちゃんみたいな…」

 

 

 

理由として述べられたのは、以前アズサから聞いていた内容。

大昔のトリニティとそこにあった派閥、そしてそれらが一つの共同体、連合となるきっかけの『第一回公会議』。

そして、認められることのなかったアリウス派。

 

彼女によれば『彼女たちは連合体制を批判、参加も自ら拒んだ』そう。

そうして格好の的として攻撃、その末に追放。

 

しかし、次の彼女の発言が少し興味を引いた。

 

 

「───『エデン条約』、あれはさっき話した『第一回公会議』の再現なの。」

 

 

確かに、多くの分派が和解して一つになった公会議と、2つの大勢力が手を取り合うエデン条約。

しかし実際は、抑止力としての武力集団の結成に過ぎない。

 

 

 

 

 

その武力集団が問題なのだ。

 

国連に相当する連邦生徒会、そのリーダーが不在で混乱が無くならない中で、新たな大規模勢力が台頭する。

 

武力集団を何の目的で、どのように手段として使うのか。

 

 

ミカはそれらを伝え終わると、一度開いた口を閉じた末に、考え込んだ様子で立ち去ってしまった。

 

 

 

 

守るとは何なのか。

何から守るのか、何が起こるのか、何のためなのか?

 

 

話を一度持ち帰って整理するため、スネークとオタコンは部屋へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






祝 MGS MASTERCOLLECTION Vol.2
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